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41,小太郎様
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シア達は宝箱を睨んでいた。
「今まで全部はずれだよな」
「ああ、おれはパスする」
「俺もダメだった」
「俺も……」
「じゃあ、残っているのは?」
「みんな開けているよ……」
「いや、ひとりいる」
「……小太郎かっ!」
「小太郎様、宝箱を開けてください」
「いいよ~、何か大きな楯が出てきたよ~」
「アラガン、どうだ……」
「ヤバい、ついにきたぞ、ミスリルとオリハルコンの合金でできた楯だ。」
「キターーーーーー!」
全員がこれまで数知れず宝箱を開けてきたが全部はずれだったことを知り自信をなくす中、小太郎が大当たりを引いたのであった。この大楯をアラガンが装備して戦った時さらに驚きは増した。この大楯は攻撃された後に自動的に反撃をしてくれる魔法がかかっていたのだ。敵の攻撃をアラガンが楯で受けると、敵は自らの攻撃を止められるだけではなく、自分の攻撃が跳ね返ったようにダメージを受けるのだ。アラガンはこの楯を「反撃の楯」と名付けた。
「この楯は凄いよな。攻撃を受けただけで敵が倒れるもんな」
「ああ、すごく役に立つな。それに防御力も高いな」
「この楯を元に改良をしたいな」
「うん。そろそろ皆の武器を決めて作ってもいいかもしれないな」
「ついたぞ、今日はここまでにしようか」
シア達は69階層を下りた横の部屋で今日は寝ることにした。
ところで、シア達のテントは男女別に分かれていた。当然のことながらエマとルーナは同じ部屋である。
「ところで、シアとはどこまで進んだのよ?」
「どこまでって?」
「ち、ち、ちゅうとか……」
「何でエマが照れているのよ?」
「……照れてないわよ」
「そういうのはないわよ。いつも邪魔されるし」
「……無いの?」
「無いよ」
「そっか、そっか、そっか」
「なあシア、ルーナとはどこまで進んだんだ?」
「どこまでって?」
「例えば……ち、ち、ちゅうとか……」
「何でアーサーが照れているんだよ」
「照れてないよ」
「そういうのはないよ。いつも邪魔されるし」
「……無いのか?」
「無いよ」
「そうか、そうか、そうか」
これがもうすぐS級冒険者の最高到達階層に挑むパーティーの夜半の会話であった。
70階層に入ると、空気がひんやりと冷たかった。肌に纏わりつくような冷気と足元から上がってくるおぞましさ。背筋が寒くなるような感覚を全員が覚えていた。
「敵がきたよ~ うーん、ゴーストが三体だね」
「ゴースト?」
「シアは知らないのか。この世に恨みを持って亡くなった人が霊体になって現れるというな」
「ふーん。強いの?」
「厄介なのは物理攻撃が効かないことだな。ルーナ、試しにあのゴーストにクナイを投げてみろよ」
ノイマンの言葉に従ってルーナがクナイを投げつけると何の抵抗もなくクナイがすり抜けた。
「突き抜けたね……」
「でも、方法があるんだ。次は浄化するように光魔法を込めて投げてみろ」
ルーナが光魔法を込めてクナイを投げるとゴーストは消滅してしまった。
「なるほど、武器をそのまま使うのではなく苦手な属性の魔力をまとわせるのか」
「そうだな。おそらくそれがなかなかできないからこの階層から先に進めないのだと思うよ」
「なるほど、じゃあ、来た敵の苦手属性を知っていればクリアできるということかな」
「ああ、見つけたら言うからやってみてくれ」
シア達はノイマンの指示通りに武器にまとわせる魔力の属性を変えながら戦い続けた。
ゴーストには光属性、鬼火には水属性、ゾンビには火属性、グールには光属性と火属性といった具合であった。だが、属性を捨てた彼らにとっては特に脅威を感じる敵ではなかった。あっという間に70階層のボス部屋についたシア達は、一息ついてから気合を入れると注意深く踏み込んだ。だが、
「魔物がいっぱいだよ~」
「ちっ、何でボス部屋がモンスターハウスになっているんだよ」
「文句言ってもしょうがない斬りまくれ」
「おおお、くそっ」
それからは部屋中に溢れるゴースト、鬼火、ゾンビ、グールを全員がひたすらに倒し続けた。だが、
「相当時間経っているよな」
「ああ、もう一時間くらいは戦っているぞ」
「どこからか湧いてきているのか?」
「……魔物の影が濃いとこを探せ」
「面倒だな、魔法を使うか……」
「いや、待て、あれを見てみろ」
「変な水晶みたいなのがあるな……」
「あれを壊そう、アラガン後ろについていくから突っ走ってくれ」
「わかった。アーサー、エマ、いくぜっ」
アラガンが楯を掲げて走り抜け、アーサー、エマがそれに続く。ノイマンとルーナが背後を守り、シアと小太郎は彼らに魔物達が近づけないようにしていた。
やがて、アラガン達は水晶に近づき、エマが水晶を槍で砕いた。すると全ての魔物達が消え失せ、宝箱が現れた。
「……小太郎様、よろしくお願いいたします」
「何だろう~、服みたいだよ~ それと巻物みたいだね~」
「服は武道着みたいだな。ノイマン着てみろよ」
「この巻物はなんだ?」
「……大当たりじゃないかな」
「アラガン、どうしたんだ?」
「反射の巻物って書いてある、武器とか防具にこの巻物を使って魔法効果を付与すると相手の攻撃を反射するんだよ。買ったら10億エニぐらいするよ……」
「10億エニ?」
「この反撃の大楯みたいなものがもう一つ作れるよ」
「……小太郎様だな」
「ああ、もう小太郎様に足を向けては寝られないな……」
「手でもあわせようか……」
「……小太郎様~」
この先ダンジョンの宝箱はすべて小太郎様が開けることに決定したのであった。
「今まで全部はずれだよな」
「ああ、おれはパスする」
「俺もダメだった」
「俺も……」
「じゃあ、残っているのは?」
「みんな開けているよ……」
「いや、ひとりいる」
「……小太郎かっ!」
「小太郎様、宝箱を開けてください」
「いいよ~、何か大きな楯が出てきたよ~」
「アラガン、どうだ……」
「ヤバい、ついにきたぞ、ミスリルとオリハルコンの合金でできた楯だ。」
「キターーーーーー!」
全員がこれまで数知れず宝箱を開けてきたが全部はずれだったことを知り自信をなくす中、小太郎が大当たりを引いたのであった。この大楯をアラガンが装備して戦った時さらに驚きは増した。この大楯は攻撃された後に自動的に反撃をしてくれる魔法がかかっていたのだ。敵の攻撃をアラガンが楯で受けると、敵は自らの攻撃を止められるだけではなく、自分の攻撃が跳ね返ったようにダメージを受けるのだ。アラガンはこの楯を「反撃の楯」と名付けた。
「この楯は凄いよな。攻撃を受けただけで敵が倒れるもんな」
「ああ、すごく役に立つな。それに防御力も高いな」
「この楯を元に改良をしたいな」
「うん。そろそろ皆の武器を決めて作ってもいいかもしれないな」
「ついたぞ、今日はここまでにしようか」
シア達は69階層を下りた横の部屋で今日は寝ることにした。
ところで、シア達のテントは男女別に分かれていた。当然のことながらエマとルーナは同じ部屋である。
「ところで、シアとはどこまで進んだのよ?」
「どこまでって?」
「ち、ち、ちゅうとか……」
「何でエマが照れているのよ?」
「……照れてないわよ」
「そういうのはないわよ。いつも邪魔されるし」
「……無いの?」
「無いよ」
「そっか、そっか、そっか」
「なあシア、ルーナとはどこまで進んだんだ?」
「どこまでって?」
「例えば……ち、ち、ちゅうとか……」
「何でアーサーが照れているんだよ」
「照れてないよ」
「そういうのはないよ。いつも邪魔されるし」
「……無いのか?」
「無いよ」
「そうか、そうか、そうか」
これがもうすぐS級冒険者の最高到達階層に挑むパーティーの夜半の会話であった。
70階層に入ると、空気がひんやりと冷たかった。肌に纏わりつくような冷気と足元から上がってくるおぞましさ。背筋が寒くなるような感覚を全員が覚えていた。
「敵がきたよ~ うーん、ゴーストが三体だね」
「ゴースト?」
「シアは知らないのか。この世に恨みを持って亡くなった人が霊体になって現れるというな」
「ふーん。強いの?」
「厄介なのは物理攻撃が効かないことだな。ルーナ、試しにあのゴーストにクナイを投げてみろよ」
ノイマンの言葉に従ってルーナがクナイを投げつけると何の抵抗もなくクナイがすり抜けた。
「突き抜けたね……」
「でも、方法があるんだ。次は浄化するように光魔法を込めて投げてみろ」
ルーナが光魔法を込めてクナイを投げるとゴーストは消滅してしまった。
「なるほど、武器をそのまま使うのではなく苦手な属性の魔力をまとわせるのか」
「そうだな。おそらくそれがなかなかできないからこの階層から先に進めないのだと思うよ」
「なるほど、じゃあ、来た敵の苦手属性を知っていればクリアできるということかな」
「ああ、見つけたら言うからやってみてくれ」
シア達はノイマンの指示通りに武器にまとわせる魔力の属性を変えながら戦い続けた。
ゴーストには光属性、鬼火には水属性、ゾンビには火属性、グールには光属性と火属性といった具合であった。だが、属性を捨てた彼らにとっては特に脅威を感じる敵ではなかった。あっという間に70階層のボス部屋についたシア達は、一息ついてから気合を入れると注意深く踏み込んだ。だが、
「魔物がいっぱいだよ~」
「ちっ、何でボス部屋がモンスターハウスになっているんだよ」
「文句言ってもしょうがない斬りまくれ」
「おおお、くそっ」
それからは部屋中に溢れるゴースト、鬼火、ゾンビ、グールを全員がひたすらに倒し続けた。だが、
「相当時間経っているよな」
「ああ、もう一時間くらいは戦っているぞ」
「どこからか湧いてきているのか?」
「……魔物の影が濃いとこを探せ」
「面倒だな、魔法を使うか……」
「いや、待て、あれを見てみろ」
「変な水晶みたいなのがあるな……」
「あれを壊そう、アラガン後ろについていくから突っ走ってくれ」
「わかった。アーサー、エマ、いくぜっ」
アラガンが楯を掲げて走り抜け、アーサー、エマがそれに続く。ノイマンとルーナが背後を守り、シアと小太郎は彼らに魔物達が近づけないようにしていた。
やがて、アラガン達は水晶に近づき、エマが水晶を槍で砕いた。すると全ての魔物達が消え失せ、宝箱が現れた。
「……小太郎様、よろしくお願いいたします」
「何だろう~、服みたいだよ~ それと巻物みたいだね~」
「服は武道着みたいだな。ノイマン着てみろよ」
「この巻物はなんだ?」
「……大当たりじゃないかな」
「アラガン、どうしたんだ?」
「反射の巻物って書いてある、武器とか防具にこの巻物を使って魔法効果を付与すると相手の攻撃を反射するんだよ。買ったら10億エニぐらいするよ……」
「10億エニ?」
「この反撃の大楯みたいなものがもう一つ作れるよ」
「……小太郎様だな」
「ああ、もう小太郎様に足を向けては寝られないな……」
「手でもあわせようか……」
「……小太郎様~」
この先ダンジョンの宝箱はすべて小太郎様が開けることに決定したのであった。
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