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四百珊瑚

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継続編

第二十三話 戦い続ける?

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 「くそっ!」
  一は苛立っていた。鋭い目付きをして息を切らしていた。

 「次で決めないと!」

 あのランドマークタワーでの事件から数ヵ月、一は相変わらず戦い続けていた。倒した怪物の数は、実に32体にも及ぶ。今回は33体目の怪物だ。その間に一は戦い慣れてきた。今回の怪物は攻撃力はさほど高くは無いが、空中を時速100kmほどで飛行しており、倒すのに苦労していた。

 「これが最後の一発!」

 一は自分の体力の限界もわかるようになってきていた。

 「よし!」

 『6126 enter,rifle mode』

 手に収まるほどのサイズであったガラパゴスケータイがライフルに変形する。切らした息を整え、一はケータイに取り付けられたスコープを覗いた。荒れていた呼吸は止まっていた。

 「当たれ!」

 パァンと小気味いい音が辺りに鳴り響いた。そして、残響が消えると同時に、怪物は勢いを失い、空から落ちてきた。一は怪物の方に走っていった。丁度怪物が地面に打ち付けられたのを確認したのと同時に例の声が一の頭のなかに鳴り響いた。

 『任務終了。直ちに帰還せよ。』

 ………

 「…またこの部屋か…。」
 一体戦いはいつまで続くのだろうか。また母さんに会えるだろうか。一はそんなことをずっと考え続けている。ランドマークタワーでの戦い以来、母には再開できていない。

 「…寝るか。今日は疲れたな。」

 考えても埒があかないと割りきって一は眠りについた。

………

 「おい!桜ちゃん!そっち行ったぞ!」

 「ひぇっ?!え!え!え! 」

  同じ頃、神谷と桜の二人は猫を追っていた。近隣住民のトメさん(79)からペットの猫が行方不明になったので探して欲しいと神谷が頼まれたのだ。

 「うえっん?!」

 いつも以上に高い声を発しながら、桜は自分に向かって走り込んでくる猫に驚き尻餅をついた。猫は何食わぬ顔で桜の脇を通り抜けて行った。

 「大丈夫か?!桜ちゃん!」

 慌てて神谷が駆けつけた。

 「痛てて…。大丈夫です…。っていうか、神谷さんなんでこんなことまで引き受けるんですか?!」

 「しょうがないじゃない!トメさんの頼みなんだから!これも立派な仕事だよ!それに、今の俺たちこれくらいしか仕事ないじゃん!」

 「それは言わないでくださいよ~…。」

 ランドマークタワーの事件から、神谷と桜はかろうじて警察をクビにはならなかったが、以前のような重大な事件の捜査の仕事はほとんど回ってこず。警察組織のお荷物揃いの特務課の中でもお荷物扱いとなった。特に、神谷がクビにも降格にもならなかったのは奇跡と言っても過言ではない。桜が噂で聞いた話では、警察上層部の中でも神谷に一目置いている者たちが神谷を守るためにあれこれ手を回したとかなんとか…。

 「まぁ、どんな仕事でも真面目にやろうよ。トメさんみたいに、俺たちのことを便りにしてる人もいる限りさ。」
 
 神谷は至って真面目な眼差しで言った。その眼差しを見て、やる気のなくなりかけていた桜も気を取り直した。

 「そうですね!頑張りましょう!もっと頑張れば、きっといいことありますよね!」

 一と神谷、年齢も立場も全く違う二人だが、何だかんだいいながらもこれからも戦い続けようとしていた。
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