ONE

四百珊瑚

文字の大きさ
上 下
15 / 60
再来編

第十五話 一の家

しおりを挟む
 授業が終わり、一は彰悟を連れて帰宅した。

 「神谷さん!二人とも帰ってきましたよ!」

 「んあっ?!」

 っと声をあげ、神谷は起きた。

 「ちょっと!一くんを監視するって言ったの神谷さんじゃないですか!なんで居眠りしてるんですか!」

 「ごめんごめん!ちょっと疲れててね。」

 頭をボリボリと掻きながら、だるそうに神谷が答えた。

 「疲れてるのは私も一緒です!」

 どうやら桜もここ最近の疲れが相当たまっているようで、少し苛立っている様子だった。

 「んー。んじゃ、さくらちゃん寝ていいよ。俺、見張っとくから。」

 「ほんとですか?!それでは、おやすみなさい!」

 と言って車の座席を倒した瞬間桜は眠りについてしまった。

………

 「ここが一の家かー!ほんとに一人暮らししてるんだな!」

 一方そのころ、彰悟は初めて訪ねる一の家を見てワクワクしていた。

 「うん!ちらかってるけどどうぞあがって!」

 「お邪魔します!」

  二人は家の中に入った。一の家は小さな古いアパートの一室で、生活に必要なものと、寝るスペースほどの広さしかなく、男子高校生二人が入ると少し窮屈に感じた。
 
 「ほぇー。全然散らかってないじゃん!ちゃんとしてんだなぁ。」

 どうやら彰悟は一の家を気に入った様子だ。

 「テレビとゲームもあるじゃん!対戦しようぜ!」

 「うん!ちょっと待ってて!お菓子とか出すよ!」

 「お!わりーな!サンキュー!」

 一にとって、友達が自分の家に来るのは初めてで、だれかと一緒にゲームをすることも初めてだった。一は胸を踊らせながらコップに茶を注いだ。

………

 「うぁー!何度やっても勝てねぇ!お前ゲームうますぎるだろ!」

 彰悟が少し嬉しそうに悔しがっていた。

 「そうかな?やった!」

 一はとてもうれしかった。今までゲームをやるのはいつも一人だったが、友達とゲームをして、褒められるとは、一にとっては信じられないことだった。

 こんな時間がずっと続けばいいと思っていたが、時刻はすでに18:00となっていた。

 「いっけね!店の手伝いあるからそろそろ帰るわ!わりーな!また今度遊ぼう!」

 彰悟は帰らなくてはいけない時間になった。

 「うん!今日はすごい楽しかった!また来てよ!」

 一は大きく手を振って彰悟を見送った。彰悟も笑顔で手を振り替えした。

 彰悟が帰り、一は一人で片付けを始めた。

 「あれ?なんだ、すごい眠い…。」

 片付けを始めた一だったが、とても強い睡魔に襲われ、眠りについてしまった。

………

 「おっ!彰悟くんが出て来た。」

 一方その頃、神谷はずっと監視を続けていた。

 「青春だねぇ。」

 神谷がそう呟いた瞬間、突然鳴神市の緊急警報が鳴った。

 「なんだ?!」

 「はっ?!どうしたんですか?!」

 桜も驚いて飛び起きた。

 『緊急警報!緊急警報!謎の生命体が鳴神ランドマークタワー付近に出現!市民のみなさんは冷静に避難してください!繰り返します…』

 「謎の生命体だと?!また何か起こるのか…。」         
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)電子書籍発売中!
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

どうぞお好きに

音無砂月
ファンタジー
公爵家に生まれたスカーレット・ミレイユ。 王命で第二王子であるセルフと婚約することになったけれど彼が商家の娘であるシャーベットを囲っているのはとても有名な話だった。そのせいか、なかなか婚約話が進まず、あまり野心のない公爵家にまで縁談話が来てしまった。

妹しか愛していない母親への仕返しに「わたくしはお母様が男に無理矢理に犯されてできた子」だと言ってやった。

ラララキヲ
ファンタジー
「貴女は次期当主なのだから」  そう言われて長女のアリーチェは育った。どれだけ寂しくてもどれだけツラくても、自分がこのエルカダ侯爵家を継がなければいけないのだからと我慢して頑張った。  長女と違って次女のルナリアは自由に育てられた。両親に愛され、勉強だって無理してしなくてもいいと甘やかされていた。  アリーチェはそれを羨ましいと思ったが、自分が長女で次期当主だから仕方がないと納得していて我慢した。  しかしアリーチェが18歳の時。  アリーチェの婚約者と恋仲になったルナリアを、両親は許し、二人を祝福しながら『次期当主をルナリアにする』と言い出したのだ。  それにはもうアリーチェは我慢ができなかった。  父は元々自分たち(子供)には無関心で、アリーチェに厳し過ぎる教育をしてきたのは母親だった。『次期当主だから』とあんなに言ってきた癖に、それを簡単に覆した母親をアリーチェは許せなかった。  そして両親はアリーチェを次期当主から下ろしておいて、アリーチェをルナリアの補佐に付けようとした。  そのどこまてもアリーチェの人格を否定する考え方にアリーチェの心は死んだ。  ──自分を愛してくれないならこちらもあなたたちを愛さない──  アリーチェは行動を起こした。  もうあなたたちに情はない。   ───── ◇これは『ざまぁ』の話です。 ◇テンプレ [妹贔屓母] ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるかも。 ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング〔2位〕(4/19)☆ファンタジーランキング〔1位〕☆入り、ありがとうございます!!

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

妻がエロくて死にそうです

菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。 美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。 こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。 それは…… 限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

ロリっ子がおじさんに種付けされる話

オニオン太郎
大衆娯楽
なろうにも投稿した奴です

処理中です...