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最終章 契約終了ってことで
第69話
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※※
「よっ、と……」
キッチンで世界が器用にチキンライスを卵でまくとプレートに乗せて私の前にコトンとおく。
「わ、凄く上手!」
手を叩いて喜ぶ私を見ながら世界がフライ返しをちょんちょんと振るとニヤッと笑う。
「ですよねー、これプロ顔負けっすから。おまけに愛情たっぷり。これ食べたら梅子さんの仕事もきっとうまくいきますから」
「え?」
「仕事、今日はあんま捗らなかったんじゃないんすか?気づいてないかもしれないすけど、梅子さん心配ごとあると右耳に髪の毛かける癖あるんで」
「嘘……」
そっと右耳に触れればいつも間にか髪の毛がかかっている。
「えっと……それは世界くんの気のせい……」
「ではないっすね。どんだけ見てると思ってんの」
世界が自分の分の卵もささっとまいてオムライスを作るとテーブルにコトンと置いた。
「大丈夫だから。なんなら後でベットでたんまりきいてあげますし」
「ちょっと……」
「ベッドの上での拒否権ないっすからね」
唇を持ち上げた世界を眺めながら、私は世界の真向かいに座る。
こうして向かい合えばすぐに、頭の中は由紀恵との会話ばかりがぐるぐる回る。
「もうほら、そんな顔しないで。いただきます、は?」
「うん、いただきます」
二人そろってスプーンを持ち上げるとそれぞれオムライスを口に運んでいく。
「おいしいね」
「おっ。うまいっすね」
ちょうど契約交際を始めた三カ月ほど前、元カレに会って泣いた私の為に世界がオムライスを作ってたくれたことを思い出す。
世界のオムライスを食べるのは二回目だが、あの頃はこんなふうに世界のことを本気で好きになって、こうして幸せを噛み締めながらオムライスを食べる自分なんて全く想像もできなかった。同じことを思ったのか世界がふっと笑った。
「なんか不思議っすね」
「ん?」
「だって、初めて梅子さんにオムライス作った時はさ、梅子さん俺のことなんて全然相手にしてくれなかったし、十年前のことも勿論俺と会ったことあるのも忘れてたしさ、契約交際とかいって無理やり付き合ってもらったけど……俺のことマジで好きになって貰えて、こんな風に二人でオムライス食べてんの、なんかいいなって」
世界が大きな口でオムライスを頬張るとにんまり笑った。
「私もだよ……まさか世界くんみたいに若くて御曹司で……いかにも女の子にモテるだろうなっていう今どきの男の子がまさか私みたいな一回り年上を好きになってくれるなんて……」
世界が「ごちそうさまでした」とスプーンを置くと私を真っすぐに見つめた。
「好きになるに決まってんじゃん」
「え?」
「ほんとマジで分かってないんすね。梅子さんみたいないい女、世界中探してもいないっすからね。もっと自信もって欲しいし、俺からしたら……傍にいて見張っとかなきゃ、誰かにとられそうで心配ってゆうか……あー……何言ってんだろ。自信ないみたいで、かっこ悪いっすね」
世界が柔らかい髪をガシガシ掻くと恥ずかしそうにそっぽを向いた。
「そんなことないよ」
私の言葉にすぐに世界が前のめりになると私の瞳をじっと見つめた。
「じゃあ何でも相談して?受け止めるから」
その言葉に私は揺れていた決心を固める。この流れで言わなければまた迷ってしまうから。
「こっちの台詞だよ……世界くんこそ……私には何でも相談してほしい……イタリアの件も」
直ぐに世界の切れ長の瞳が大きくなった。
「な……んで?」
私はグラスの水で口内を湿らせてから口を開いた。
「ごめんなさい……この間夜中起きて水飲んだ時、世界くんの鞄ひっくり返しちゃって……そのイタリア行の件知っちゃったの……」
世界は唇を結んだままテーブルの上で掌を重ね合わせた。
「……ごめん、言わなくて。でも行かないから安心して?」
「そうじゃ……ないの」
「怒ってる?ごめん、言ったら梅子さんに変に気を遣わせるかなって思って……それにインテリアの勉強はどこでもできるし、そこまで興味ないってゆうかさ」
「嘘つかないで……」
「え?」
私は世界の瞳を真っすぐに見つめると一呼吸する。何が最善か分からない。でも私のだした結論は一つ。世界には私のせいで後ろ髪引かれることなくイタリアに行ってきて欲しい。
「一週間後……ちょうど三カ月の日、契約解除しよう?」
「は?なんだよそれ!絶対嫌だ!」
「聞いて?世界くん言ってたよね?オムライス食べながら話してくれたでしょ?いつかTONTONの新たな主力商品として陶器を使ったインテリアを作りたいって、夢だって言ってたじゃない……私は世界くんの夢を諦めてまで……私と一緒に居て欲しくない」
目頭が熱くなる。
本当は少し違う。
夢を実現してほしいけれど私の傍にもいて欲しい。今みたいに手を伸ばせばすぐに触れられる距離で私だけをいつも見ていて欲しい。でも両方選ぶのは難しいのが分かっているから。
「噓つきはどっち?そんな泣きそうな顔してる梅子さんおいて俺はイタリアなんか絶対行かない」
「やめてよ……困らせないで」
「困らせてんのどっちだよ。俺は梅子さんより大事なものないよ……それに俺だって正直悩んだんだ。こんな機会多分二度とないから……でも三年っていう時間を梅子さん一人にするなんてどうしてもできない……俺は梅子さんにいつだって傍にいて欲しいから」
やっぱり滲んだ視界に世界が立ち上がると私の隣に座りなおすと直ぐに抱きしめた。
「ごめ……泣くつもりなかったの……困らせるから……」
「泣かせてんの俺だし。ねぇ……梅子さん」
見上げれば私の瞳から世界が涙を掬う。
「……仕事辞めて俺と結婚しよ?一緒に……イタリア来てよ?」
「……私……」
世界が私の頬にそっと触れた。
「はっきり言うよ。俺の為に仕事辞めて欲しい。また三年後復職していいから……」
私は首を振っていた。ほとんど無意識だったと思う。
「いまの仕事……ほんとに大好きなの……私の作った見積書の先に誰かの笑顔のつながってるから。そんな笑顔の橋渡しの一端を担えてることに誇りも持ってる……ごめんね……一緒にはいけな……」
「じゃあ俺も行かない。大体ボスに断りの連絡入れてもらったし」
「社長はお断りの連絡してないよ」
「え?梅子さん?」
「私から社長に言って話はそのまま進めてもらってるし、チケットも預かってる」
「ちょっと、なんだよそれ!勝手に決めんなよっ」
世界が指先がぐっと肩に食い込むのが分かった。
「私……どうしても世界くんの足かせになりたくないの。私のことで夢を諦めないで。世界くんの夢は私の夢だよ……だから一度別れよ」
世界が私をぎゅっと抱きしめる。世界の心音が私の心音に重なって痛いほどに抱きしめられる。
世界はそのまま暫く黙っていた。時計の針の音だけが静かに聞こえて拭っても拭っても涙は転がって世界のワイシャツにしみ込んでいく。
「三年」
「……え?……」
「三年待てる?」
世界が私から体を離すと私の額にこつんとおでこをぶつけた。
「行ったら三年は会えないし向こうに行けば想像以上に忙しくなると思う。慣れない環境で多分自分のことで手一杯になると思うし……連絡とればすぐに会いたくなるから……連絡はしない。でも必ず迎えにいくから。今よりもっと一人前になって戻ってくるから。俺のこと待ってて?」
「でも……ひっく……それじゃあ……世界くんの負担になっちゃう……だから」
「あのね、待っててくれる人がいるから頑張れるんでしょ?」
「世界……くん……私」
「手見せて」
「え?」
世界が私の掌を持ち上げると指の根元に唇を寄せた。
「……痛っ……」
そして唇を離すとにんまり笑った。
「これ約束。迎えに行くときはその薬指に嵌めるもの持ってくから」
見れば私の左手の薬指の根元にはくっきりと赤い痕がついている。
「返事は?ってゆうか泣いてるってことはオッケーっすよね?」
世界が目を細めると両方の親指で私の涙を掬っていく。
「来週満期で契約終了ってことでいいすけど、代わりに婚約者契約結ぶってことで。返事は?」
「ひっく……うん……」
「泣かないで。泣かれると……キツいし……でも必ず約束守るから」
「……必ず……迎えにきて……待ってる」
「うん……俺以外見んなよ?」
私が頷くより先に世界の唇がそっと私の唇に落とされる。
「よっ、と……」
キッチンで世界が器用にチキンライスを卵でまくとプレートに乗せて私の前にコトンとおく。
「わ、凄く上手!」
手を叩いて喜ぶ私を見ながら世界がフライ返しをちょんちょんと振るとニヤッと笑う。
「ですよねー、これプロ顔負けっすから。おまけに愛情たっぷり。これ食べたら梅子さんの仕事もきっとうまくいきますから」
「え?」
「仕事、今日はあんま捗らなかったんじゃないんすか?気づいてないかもしれないすけど、梅子さん心配ごとあると右耳に髪の毛かける癖あるんで」
「嘘……」
そっと右耳に触れればいつも間にか髪の毛がかかっている。
「えっと……それは世界くんの気のせい……」
「ではないっすね。どんだけ見てると思ってんの」
世界が自分の分の卵もささっとまいてオムライスを作るとテーブルにコトンと置いた。
「大丈夫だから。なんなら後でベットでたんまりきいてあげますし」
「ちょっと……」
「ベッドの上での拒否権ないっすからね」
唇を持ち上げた世界を眺めながら、私は世界の真向かいに座る。
こうして向かい合えばすぐに、頭の中は由紀恵との会話ばかりがぐるぐる回る。
「もうほら、そんな顔しないで。いただきます、は?」
「うん、いただきます」
二人そろってスプーンを持ち上げるとそれぞれオムライスを口に運んでいく。
「おいしいね」
「おっ。うまいっすね」
ちょうど契約交際を始めた三カ月ほど前、元カレに会って泣いた私の為に世界がオムライスを作ってたくれたことを思い出す。
世界のオムライスを食べるのは二回目だが、あの頃はこんなふうに世界のことを本気で好きになって、こうして幸せを噛み締めながらオムライスを食べる自分なんて全く想像もできなかった。同じことを思ったのか世界がふっと笑った。
「なんか不思議っすね」
「ん?」
「だって、初めて梅子さんにオムライス作った時はさ、梅子さん俺のことなんて全然相手にしてくれなかったし、十年前のことも勿論俺と会ったことあるのも忘れてたしさ、契約交際とかいって無理やり付き合ってもらったけど……俺のことマジで好きになって貰えて、こんな風に二人でオムライス食べてんの、なんかいいなって」
世界が大きな口でオムライスを頬張るとにんまり笑った。
「私もだよ……まさか世界くんみたいに若くて御曹司で……いかにも女の子にモテるだろうなっていう今どきの男の子がまさか私みたいな一回り年上を好きになってくれるなんて……」
世界が「ごちそうさまでした」とスプーンを置くと私を真っすぐに見つめた。
「好きになるに決まってんじゃん」
「え?」
「ほんとマジで分かってないんすね。梅子さんみたいないい女、世界中探してもいないっすからね。もっと自信もって欲しいし、俺からしたら……傍にいて見張っとかなきゃ、誰かにとられそうで心配ってゆうか……あー……何言ってんだろ。自信ないみたいで、かっこ悪いっすね」
世界が柔らかい髪をガシガシ掻くと恥ずかしそうにそっぽを向いた。
「そんなことないよ」
私の言葉にすぐに世界が前のめりになると私の瞳をじっと見つめた。
「じゃあ何でも相談して?受け止めるから」
その言葉に私は揺れていた決心を固める。この流れで言わなければまた迷ってしまうから。
「こっちの台詞だよ……世界くんこそ……私には何でも相談してほしい……イタリアの件も」
直ぐに世界の切れ長の瞳が大きくなった。
「な……んで?」
私はグラスの水で口内を湿らせてから口を開いた。
「ごめんなさい……この間夜中起きて水飲んだ時、世界くんの鞄ひっくり返しちゃって……そのイタリア行の件知っちゃったの……」
世界は唇を結んだままテーブルの上で掌を重ね合わせた。
「……ごめん、言わなくて。でも行かないから安心して?」
「そうじゃ……ないの」
「怒ってる?ごめん、言ったら梅子さんに変に気を遣わせるかなって思って……それにインテリアの勉強はどこでもできるし、そこまで興味ないってゆうかさ」
「嘘つかないで……」
「え?」
私は世界の瞳を真っすぐに見つめると一呼吸する。何が最善か分からない。でも私のだした結論は一つ。世界には私のせいで後ろ髪引かれることなくイタリアに行ってきて欲しい。
「一週間後……ちょうど三カ月の日、契約解除しよう?」
「は?なんだよそれ!絶対嫌だ!」
「聞いて?世界くん言ってたよね?オムライス食べながら話してくれたでしょ?いつかTONTONの新たな主力商品として陶器を使ったインテリアを作りたいって、夢だって言ってたじゃない……私は世界くんの夢を諦めてまで……私と一緒に居て欲しくない」
目頭が熱くなる。
本当は少し違う。
夢を実現してほしいけれど私の傍にもいて欲しい。今みたいに手を伸ばせばすぐに触れられる距離で私だけをいつも見ていて欲しい。でも両方選ぶのは難しいのが分かっているから。
「噓つきはどっち?そんな泣きそうな顔してる梅子さんおいて俺はイタリアなんか絶対行かない」
「やめてよ……困らせないで」
「困らせてんのどっちだよ。俺は梅子さんより大事なものないよ……それに俺だって正直悩んだんだ。こんな機会多分二度とないから……でも三年っていう時間を梅子さん一人にするなんてどうしてもできない……俺は梅子さんにいつだって傍にいて欲しいから」
やっぱり滲んだ視界に世界が立ち上がると私の隣に座りなおすと直ぐに抱きしめた。
「ごめ……泣くつもりなかったの……困らせるから……」
「泣かせてんの俺だし。ねぇ……梅子さん」
見上げれば私の瞳から世界が涙を掬う。
「……仕事辞めて俺と結婚しよ?一緒に……イタリア来てよ?」
「……私……」
世界が私の頬にそっと触れた。
「はっきり言うよ。俺の為に仕事辞めて欲しい。また三年後復職していいから……」
私は首を振っていた。ほとんど無意識だったと思う。
「いまの仕事……ほんとに大好きなの……私の作った見積書の先に誰かの笑顔のつながってるから。そんな笑顔の橋渡しの一端を担えてることに誇りも持ってる……ごめんね……一緒にはいけな……」
「じゃあ俺も行かない。大体ボスに断りの連絡入れてもらったし」
「社長はお断りの連絡してないよ」
「え?梅子さん?」
「私から社長に言って話はそのまま進めてもらってるし、チケットも預かってる」
「ちょっと、なんだよそれ!勝手に決めんなよっ」
世界が指先がぐっと肩に食い込むのが分かった。
「私……どうしても世界くんの足かせになりたくないの。私のことで夢を諦めないで。世界くんの夢は私の夢だよ……だから一度別れよ」
世界が私をぎゅっと抱きしめる。世界の心音が私の心音に重なって痛いほどに抱きしめられる。
世界はそのまま暫く黙っていた。時計の針の音だけが静かに聞こえて拭っても拭っても涙は転がって世界のワイシャツにしみ込んでいく。
「三年」
「……え?……」
「三年待てる?」
世界が私から体を離すと私の額にこつんとおでこをぶつけた。
「行ったら三年は会えないし向こうに行けば想像以上に忙しくなると思う。慣れない環境で多分自分のことで手一杯になると思うし……連絡とればすぐに会いたくなるから……連絡はしない。でも必ず迎えにいくから。今よりもっと一人前になって戻ってくるから。俺のこと待ってて?」
「でも……ひっく……それじゃあ……世界くんの負担になっちゃう……だから」
「あのね、待っててくれる人がいるから頑張れるんでしょ?」
「世界……くん……私」
「手見せて」
「え?」
世界が私の掌を持ち上げると指の根元に唇を寄せた。
「……痛っ……」
そして唇を離すとにんまり笑った。
「これ約束。迎えに行くときはその薬指に嵌めるもの持ってくから」
見れば私の左手の薬指の根元にはくっきりと赤い痕がついている。
「返事は?ってゆうか泣いてるってことはオッケーっすよね?」
世界が目を細めると両方の親指で私の涙を掬っていく。
「来週満期で契約終了ってことでいいすけど、代わりに婚約者契約結ぶってことで。返事は?」
「ひっく……うん……」
「泣かないで。泣かれると……キツいし……でも必ず約束守るから」
「……必ず……迎えにきて……待ってる」
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