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第7章 雷雨は恋の記憶と突然に
第55話
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「……世界くんだったんだね……」
「おっそ」
そう意地悪な言い方をしながらも世界が痛いほどに私を抱きしめてくれる。
「だから運命の人って言ったじゃん。十年前、俺と梅子さんは雷の鳴る日に会ってんだよ。あとさー。あの日梅子さんから、舌打ちは幸せが逃げてくからって言われてさ、俺やめたんだ。いつかまた梅子さんに会いたくて、願掛けみたいな?」
「……そう、なの?」
世界が頷くとふっと笑う。
「俺の初恋だったから」
「え……」
「だからあの時さ、俺、別れ際こう言ったんだ。もし、もう一度会えたら……」
世界の両手が私の頬に触れると世界が私を真っ直ぐに見つめた。
「俺のおよめさんになって」
その声に言葉に、もう何ひとつ言葉が出てこない。
「泣かないでよ。何度でも言うし誓う。俺は梅子さんが好きだよ。一生大事にする。一生よそ見なんてしない、もう梅子さんしか見えないから。俺には梅子さんだけだから。だからずっと俺のそばにいて?」
子供みたいに泣きじゃくる私を見ながら世界が意地悪に笑う。
「マジで泣き虫っすね、でも誕生日に言えて良かった」
「何で、それ……」
「ふっ……カレンダーに書き込んでたじゃん。○印に35って。バレバレ」
「年……言わないで……ひっく」
「年なんて関係ねぇし」
世界が私の髪をすくように撫でた。
「ねぇ、誕生日にプロポーズされて泣くってことは、返事オッケーってことっすよね?」
「ば、か……ひっく……どれだけ……ポジティブなのよ……」
「はいはい、もういいっす。はい、ゴロンして」
「きゃ……待っ……ンンッ」
あっと言う間にシーツに縫い付けられて世界の唇が私へと重ねられる。
「てことで……今日はもう意識飛ばしても待てしないんで覚悟してくださいね。てゆうか最終確認ですけど俺のこと好きだよね?」
「え、えっと……」
「早く言えよ、俺お腹ペコペコなんで」
世界が目を細めながらネクタイの結び目を横に引くと、すぐにワイシャツを脱ぎ捨てた。思わず目を逸らした私の顎を世界がすぐに掴み上げる。
「言って?」
世界の敬語とタメ口の入り混じった言葉の一つ一つに、脳みその細胞が一粒一粒甘い毒に侵されていく。
もう二度と後戻りできない、まるでハチミツの中におっこちていくように世界のペースにハマっていく。蕩けていく。落ちていく。
「世界くんが……好き」
「俺も大好き」
世界が私の額にこつんとおでこを当てた。
「……もう二度と離さないから。俺から逃げんなよ」
「わか……ンンッ………待っ…て」
「喋んな。もう黙って俺のものになれよ」
耳元から世界のささやくような声が聞こえてきて、私の心と身体はすぐに甘く解けて溶けていく。
「脚開いて。力抜いて」
すでに着ていたブラウスもスカートも脱がされて、世界が自身のベルトを放り投げるのが見えた。ゆっくりと世界の指が私のナカに入ってくる。
「ンッ……はぁ……」
さらに世界に大きく足を開かされると指先の数が増やされ目の前がクラクラしてくる。
「痛くない?」
「や……ンンッ……」
「大丈夫そうすね……声かわい」
少しずつ階段を登るように焦らされながらも確実にお腹に熱が溜まっていく。
「まっ……て……」
「ごめん、もう待てできない。大丈夫だよ」
「ンンッ……痛っ」
世界の色気のある声と共に耳たぶに噛みつかれて甘い痛みがはしる。
与えられる痛みと繰り返される快楽に頭がどうにかなりそうだ。私は無意識に世界の背中に爪を立てた。
「待っ……て……やぁ……あっ……」
「もう少しだよ。声我慢しないでもっと聞かせて」
「だ……め……あっ……」
「いいよ」
その瞬間に世界の指先が強く奥を擦り上げて私の身体は大きく跳ねた。すぐに全身の力が抜けて耳の奥がくぐもって聞こえる。
「はぁ……は……」
世界が肩で呼吸を繰り返す私を覗き込むと、にんまり笑った。
「な……に?……」
「今日も気持ち良さそうにしてたけど、意識飛ばさなかったなって」
「そう言う、こと……言わ、ないで」
「何で?」
「は、恥ずかしい……からっ……」
世界が私の頬に音を立ててキスをすると意地悪く笑った。
「もうあちこち蕩けてる梅子さんが言ってもしょうがないと思いますけどね」
「やめ、て……」
自分でもわかるほどにもう世界に触れられる度に溶けて、甘い蜜がこぼれ落ちて、心も体も世界に捕食されていく。
「限界。最後まで食べるね」
「待っ……ンンッ」
再び噛み付くようなキスを何度も何度も繰り返されて思考が完全に停止していく。
「はぁ……せかい……く……」
「そんな顔されたらもうマジで余裕ない」
世界が私の脚を持ち上げ大きく開くとすぐに熱い塊が当てられ身体がびくんと跳ねた。
「好きだよ」
「あっ……せか……」
世界の切長の瞳が私を真っ直ぐに見つめながら、ゆっくり確かめるように少しずつ奥を目指して入ってくる。
「ンッ……」
「きっつ……ごめ……力抜いて」
私を見下ろしている世界の切なそうな顔に心がきゅっとなる。
「世界く……ん………好き、だよ……」
「も……それ……反則っ」
ゆるゆると進んでいた、世界が一気に私のナカに入ってくると、すぐに最奥を激しく揺さぶられてあっという間に意識が混濁していく。
幸せで満たされていく。
毒がまわるように心も身体も世界に食い荒らされて刻まれていく。
そしてもう二度と離れないないように世界が私の心の真ん中に噛みついて、身体中を甘い毒がめぐり支配する。
「梅子さん……お誕生日おめでとう」
もう返事ができない私は世界に向かって手を伸ばした。すぐに世界が私を抱きしめる。
背中にまわした両掌で世界をぎゅっと抱きしめたのを最後に、私はふわりと無重力の空間に吸い込まれていった。
「おっそ」
そう意地悪な言い方をしながらも世界が痛いほどに私を抱きしめてくれる。
「だから運命の人って言ったじゃん。十年前、俺と梅子さんは雷の鳴る日に会ってんだよ。あとさー。あの日梅子さんから、舌打ちは幸せが逃げてくからって言われてさ、俺やめたんだ。いつかまた梅子さんに会いたくて、願掛けみたいな?」
「……そう、なの?」
世界が頷くとふっと笑う。
「俺の初恋だったから」
「え……」
「だからあの時さ、俺、別れ際こう言ったんだ。もし、もう一度会えたら……」
世界の両手が私の頬に触れると世界が私を真っ直ぐに見つめた。
「俺のおよめさんになって」
その声に言葉に、もう何ひとつ言葉が出てこない。
「泣かないでよ。何度でも言うし誓う。俺は梅子さんが好きだよ。一生大事にする。一生よそ見なんてしない、もう梅子さんしか見えないから。俺には梅子さんだけだから。だからずっと俺のそばにいて?」
子供みたいに泣きじゃくる私を見ながら世界が意地悪に笑う。
「マジで泣き虫っすね、でも誕生日に言えて良かった」
「何で、それ……」
「ふっ……カレンダーに書き込んでたじゃん。○印に35って。バレバレ」
「年……言わないで……ひっく」
「年なんて関係ねぇし」
世界が私の髪をすくように撫でた。
「ねぇ、誕生日にプロポーズされて泣くってことは、返事オッケーってことっすよね?」
「ば、か……ひっく……どれだけ……ポジティブなのよ……」
「はいはい、もういいっす。はい、ゴロンして」
「きゃ……待っ……ンンッ」
あっと言う間にシーツに縫い付けられて世界の唇が私へと重ねられる。
「てことで……今日はもう意識飛ばしても待てしないんで覚悟してくださいね。てゆうか最終確認ですけど俺のこと好きだよね?」
「え、えっと……」
「早く言えよ、俺お腹ペコペコなんで」
世界が目を細めながらネクタイの結び目を横に引くと、すぐにワイシャツを脱ぎ捨てた。思わず目を逸らした私の顎を世界がすぐに掴み上げる。
「言って?」
世界の敬語とタメ口の入り混じった言葉の一つ一つに、脳みその細胞が一粒一粒甘い毒に侵されていく。
もう二度と後戻りできない、まるでハチミツの中におっこちていくように世界のペースにハマっていく。蕩けていく。落ちていく。
「世界くんが……好き」
「俺も大好き」
世界が私の額にこつんとおでこを当てた。
「……もう二度と離さないから。俺から逃げんなよ」
「わか……ンンッ………待っ…て」
「喋んな。もう黙って俺のものになれよ」
耳元から世界のささやくような声が聞こえてきて、私の心と身体はすぐに甘く解けて溶けていく。
「脚開いて。力抜いて」
すでに着ていたブラウスもスカートも脱がされて、世界が自身のベルトを放り投げるのが見えた。ゆっくりと世界の指が私のナカに入ってくる。
「ンッ……はぁ……」
さらに世界に大きく足を開かされると指先の数が増やされ目の前がクラクラしてくる。
「痛くない?」
「や……ンンッ……」
「大丈夫そうすね……声かわい」
少しずつ階段を登るように焦らされながらも確実にお腹に熱が溜まっていく。
「まっ……て……」
「ごめん、もう待てできない。大丈夫だよ」
「ンンッ……痛っ」
世界の色気のある声と共に耳たぶに噛みつかれて甘い痛みがはしる。
与えられる痛みと繰り返される快楽に頭がどうにかなりそうだ。私は無意識に世界の背中に爪を立てた。
「待っ……て……やぁ……あっ……」
「もう少しだよ。声我慢しないでもっと聞かせて」
「だ……め……あっ……」
「いいよ」
その瞬間に世界の指先が強く奥を擦り上げて私の身体は大きく跳ねた。すぐに全身の力が抜けて耳の奥がくぐもって聞こえる。
「はぁ……は……」
世界が肩で呼吸を繰り返す私を覗き込むと、にんまり笑った。
「な……に?……」
「今日も気持ち良さそうにしてたけど、意識飛ばさなかったなって」
「そう言う、こと……言わ、ないで」
「何で?」
「は、恥ずかしい……からっ……」
世界が私の頬に音を立ててキスをすると意地悪く笑った。
「もうあちこち蕩けてる梅子さんが言ってもしょうがないと思いますけどね」
「やめ、て……」
自分でもわかるほどにもう世界に触れられる度に溶けて、甘い蜜がこぼれ落ちて、心も体も世界に捕食されていく。
「限界。最後まで食べるね」
「待っ……ンンッ」
再び噛み付くようなキスを何度も何度も繰り返されて思考が完全に停止していく。
「はぁ……せかい……く……」
「そんな顔されたらもうマジで余裕ない」
世界が私の脚を持ち上げ大きく開くとすぐに熱い塊が当てられ身体がびくんと跳ねた。
「好きだよ」
「あっ……せか……」
世界の切長の瞳が私を真っ直ぐに見つめながら、ゆっくり確かめるように少しずつ奥を目指して入ってくる。
「ンッ……」
「きっつ……ごめ……力抜いて」
私を見下ろしている世界の切なそうな顔に心がきゅっとなる。
「世界く……ん………好き、だよ……」
「も……それ……反則っ」
ゆるゆると進んでいた、世界が一気に私のナカに入ってくると、すぐに最奥を激しく揺さぶられてあっという間に意識が混濁していく。
幸せで満たされていく。
毒がまわるように心も身体も世界に食い荒らされて刻まれていく。
そしてもう二度と離れないないように世界が私の心の真ん中に噛みついて、身体中を甘い毒がめぐり支配する。
「梅子さん……お誕生日おめでとう」
もう返事ができない私は世界に向かって手を伸ばした。すぐに世界が私を抱きしめる。
背中にまわした両掌で世界をぎゅっと抱きしめたのを最後に、私はふわりと無重力の空間に吸い込まれていった。
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