気まぐれホラー

黒色の猫

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本当に怖いのは… 後編

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 不審がった警官が、勇敢にもベッドの人物にむけて、手を伸ばし少しして引っ込めた。

「あ… あの、どうなっているんでしょうか?」

 気になった私は、警官に尋ねる。
 警官は、首を横に振り、

「分かりません。ただ、ベッドの下にいる人は、既に亡くなっていると思います…」

「「!!」」

「本当ですか、先輩!!」

「あぁ、だから連絡をとるから、一度外に出るぞ。M子さんも、外に出て貰ってもいいですか?」

「わ… 分かりました」

 私は、訳も分からず、警官の言う通りに外に出る。
 外に出ると、先輩警官が、どこかへ連絡を取り出し、少しして、複数のパトカーや救急車がやって来た。
 運ばれていく、死体をチラッと見たが、見覚えのある顔だった。

「えっとM子さんでしたっけ? 貴方、あの人の事を知ってるんですか?」

 近くにいた男性が話しかけてきた。

「あ… あの…」

「あぁ、悪い悪い。私は、こういう者です」

 男性は、警察手帳を見せてくれる。

「それで、先ほど運ばれた人に見覚えでも?」

「はい… それが…」

 私は、運ばれていった人が、元彼である事を伝えた。
 その後、何度か事情聴取を受け、その日から、近くのホテルで寝泊まりをした。





 後日、警察から話があると呼び出しがかかったので、私は警察署へむかい、女性警官に個室へ案内される。少しして、あの時の刑事さんがやって来た。

「お待たせして、悪いね」

「いいえ… それで、お話というのは?」

「あぁ、報告と確認して貰い物があってね」

「報告と確認したい事ですか?」

「そうです。まず、報告から。M子さんのベッドの下に隠れていた人物は、貴方が言った通り、貴方の元彼で間違いないですね」

「やはり、そうですか…」

「それで、彼の死因ですが、睡眠薬などの過剰摂取が原因で、一応自殺として処理されます」

「睡眠薬などの過剰摂取の自殺ですか…」

「はい、そうです。他の外傷もなかったようですし、胃の中に残っていた薬を調べた結果、最近通院していた病院で処方された物で間違いないみたいですから」

「そうですか…」

 私は、鍵を返して貰った時の一言を思い出した。

「次に、確認して貰いたい物ですが、これになります。見覚えはありませんか?」

 刑事さんは、そう言って懐から袋に入った鍵を見せてくれる。

「鍵ですか?」

「はい、そうです。彼のズボンのポケットから見つかった物です」

「…手にとってもいいですか?」

「はい、構いません。ただ、袋から取り出すのは止めて下さいね」

「分かりました…」

 私は、手にとって見てみる。
 少し見た後、まさかと思いアパートの鍵を取り出し、見比べてみる。

「アパートの鍵…」

「どうやら、知っているようですね。こちらでも、確認した結果、M子さんの部屋の鍵で間違いありません」

「でも、何で… 確かに鍵は返して貰った筈…」

「ここ数日間の動向を調査した結果、☆日前に、合鍵を作られたようですね」

「…!!」

 計算したら、私が連絡した次の日だった。

「どうやら、貴方も知らなかったようですね」

「はい、知りませんでした…」

「そうですか。話は以上になります。ありがとうございました。外まで、案内しますよ」

 話は終わったようで、刑事さんは立ち上がる。

「あ… あの」

「何でしょうか?」

「聞きたい事があるのですが、いいですか?」

「答えられる範囲なら」

「彼は、いつから私の部屋にいたのでしょうか?」

 刑事さんは、メモ帳を取り出し、ペラペラめくる。

「予想になりますがいいですか?」

「はい、構いません」

「彼が、所持していた携帯のGPS位置を調べた結果、○月△日の10時前が最後ですね。因みに、場所は、貴方の家なんで、私たちは、この日からいたと判断してますね」

「!!」

 その日は、彼から鍵を返して貰った後、買い物に行っていた日だった。

「…もう一ついいですか?」

「とうぞ」

「か… 彼が亡くなったのは、いつなんですか?」

 刑事さんは、再度メモ帳をめくり、

「これも、大まかになりますが、私たちの見解では、◎月□日の10時~12時の間ですね」

「そうですか… あの日の前じ… つ…」

 私は、血の気が引いていくのを感じる。

「どうかされましたか?」

「な… 何でもないです!!」

「聞きたい事は、それだけですか?」

「は… はい。ありがとうございました!!」

 私は、刑事さんにお礼を言った後、刑事さんの見送りを辞退し、1人で、警察署を後にした。
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