281 / 390
閑話・エルマーナ 7
しおりを挟む
ラウム様は、まだ背をむけたまま、私が何故ここにいるのか聞いてくる。
「それは…」
ラウム様も、隠す事なく話してくれたので、私も隠す事なく自分の身の上話をラウム様に話した。
「なるほど。エルは、呪詛… つまり呪いをかけられ、そのかけられた者から身を隠す為にここで暮らしていると?」
「はい、そうなります…」
「見た感じそんな風には見えないけど、今の状態はどうなの? 大丈夫なの?」
「はい。今は、お姉様がくださった呪詛耐性の装飾品を身に付けていますから、以前よりかは幾分かましになってます。」
「そう。それで、治る目処はたっているの?」
「それは…」
「ないみたいね。」
「はい… お姉様たちが色々手を尽くして下さっているんですが、私にかけられている呪詛を解呪するには、かなり希少な薬が必要みたいで…」
「確か秘薬だったわよね。」
「はい、そうです。ラウム様は何かご存知ないですか?」
「うーん… ごめんなさい、エル。こっちには何度も来てるんだけど、秘薬についての話は聞いた事ないわね。」
「ラウム様が、謝る必要はないです!! だから、頭を上げて下さい!!」
私はすぐにラウム様に頭を上げるように頼む。
「分かったわ。でも、その代わりって訳じゃないけど、私にもエルの力にならせてくれない?」
「私の力にですか?」
「えぇ、そうよ。と言っても、もの探しが得意って訳じゃないから、話を聞いて回るくらいしか出来ないから、そこの所は許してね。」
「許すもなにも、力を貸してくれるだけで有り難いです、ラウム様。でも、どうしてそこ…」
ラウム様の手が私の口を塞ぐ。
「そんなの、友達だからに決まっているでしょ。」
「らゃうむちゃま…」
ラウム様の温かい言葉で、自然と涙が溢れる。
「ちょっと、エル。泣く事ないでしょ!!」
ラウム様は少し慌てながらも、泣いている私の背中を泣き止むまで、さすってくれる。
「エル、少しは落ち着いた?」
「はい。すみませんでした、ラウム様。」
「いいのよ、このくらい。それで、話を聞いて回るにあたって、エルにお願いがあるだけどいいかな?」
「お願いですか? 私に何かが出来るかは分かりませんが、任せて下さい。全力でラウム様のお願いを叶えたいと思います。」
「そ… そう。でも、そこまで難しいお願いじゃないわよ。」
「そうなんですか?」
「そうよ。私からのお願いは、私と精霊契約して頂戴って事よ。」
「ラウム様との精霊契約ですか?」
思いもしなかったラウム様からの提案に聞き返してしまった。
「それは…」
ラウム様も、隠す事なく話してくれたので、私も隠す事なく自分の身の上話をラウム様に話した。
「なるほど。エルは、呪詛… つまり呪いをかけられ、そのかけられた者から身を隠す為にここで暮らしていると?」
「はい、そうなります…」
「見た感じそんな風には見えないけど、今の状態はどうなの? 大丈夫なの?」
「はい。今は、お姉様がくださった呪詛耐性の装飾品を身に付けていますから、以前よりかは幾分かましになってます。」
「そう。それで、治る目処はたっているの?」
「それは…」
「ないみたいね。」
「はい… お姉様たちが色々手を尽くして下さっているんですが、私にかけられている呪詛を解呪するには、かなり希少な薬が必要みたいで…」
「確か秘薬だったわよね。」
「はい、そうです。ラウム様は何かご存知ないですか?」
「うーん… ごめんなさい、エル。こっちには何度も来てるんだけど、秘薬についての話は聞いた事ないわね。」
「ラウム様が、謝る必要はないです!! だから、頭を上げて下さい!!」
私はすぐにラウム様に頭を上げるように頼む。
「分かったわ。でも、その代わりって訳じゃないけど、私にもエルの力にならせてくれない?」
「私の力にですか?」
「えぇ、そうよ。と言っても、もの探しが得意って訳じゃないから、話を聞いて回るくらいしか出来ないから、そこの所は許してね。」
「許すもなにも、力を貸してくれるだけで有り難いです、ラウム様。でも、どうしてそこ…」
ラウム様の手が私の口を塞ぐ。
「そんなの、友達だからに決まっているでしょ。」
「らゃうむちゃま…」
ラウム様の温かい言葉で、自然と涙が溢れる。
「ちょっと、エル。泣く事ないでしょ!!」
ラウム様は少し慌てながらも、泣いている私の背中を泣き止むまで、さすってくれる。
「エル、少しは落ち着いた?」
「はい。すみませんでした、ラウム様。」
「いいのよ、このくらい。それで、話を聞いて回るにあたって、エルにお願いがあるだけどいいかな?」
「お願いですか? 私に何かが出来るかは分かりませんが、任せて下さい。全力でラウム様のお願いを叶えたいと思います。」
「そ… そう。でも、そこまで難しいお願いじゃないわよ。」
「そうなんですか?」
「そうよ。私からのお願いは、私と精霊契約して頂戴って事よ。」
「ラウム様との精霊契約ですか?」
思いもしなかったラウム様からの提案に聞き返してしまった。
0
お気に入りに追加
863
あなたにおすすめの小説
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第二章シャーカ王国編
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
Sランクパーティから追放された俺、勇者の力に目覚めて最強になる。
石八
ファンタジー
主人公のレンは、冒険者ギルドの中で最高ランクであるSランクパーティのメンバーであった。しかしある日突然、パーティリーダーであるギリュウという男に「いきなりで悪いが、レンにはこのパーティから抜けてもらう」と告げられ、パーティを脱退させられてしまう。怒りを覚えたレンはそのギルドを脱退し、別のギルドでまた1から冒険者稼業を始める。そしてそこで最強の《勇者》というスキルが開花し、ギリュウ達を見返すため、己を鍛えるため、レンの冒険譚が始まるのであった。
異世界転移の特典はとんでも無いチートの能力だった。俺はこの能力を極力抑えて使わないと、魔王認定されかねん!
アノマロカリス
ファンタジー
天空 光(てんくう ひかる)は16歳の時に事故に遭いそうな小学生の女の子を救って生涯に幕を閉じた。
死んでから神様の元に行くと、弟が管理する世界に転生しないかと持ち掛けられた。
漫画やゲーム好きで、現実世界でも魔法が使えないかと勉強をして行ったら…偏った知識が天才的になっていたという少年だった。
そして光は異世界を管理する神の弟にあって特典であるギフトを授けられた。
「彼に見合った能力なら、この能力が相応しいだろう。」
そう思って与えられた能力を確認する為にステータスを表示すると、その表示された数値を見て光は吹き出した。
この世界ではこのステータスが普通なのか…んな訳ねぇよな?
そう思って転移先に降り立った場所は…災害級や天災級が徘徊する危険な大森林だった。
光の目の前に突然ベヒーモスが現れ、光はファイアボールを放ったが…
そのファイアボールが桁違いの威力で、ベヒーモスを消滅させてから大森林を塵に変えた。
「異世界の神様は俺に魔王討伐を依頼していたが、このままだと俺が魔王扱いされかねない!」
それから光は力を抑えて行動する事になる。
光のジョブは勇者という訳では無い。
だからどんなジョブを入手するかまだ予定はないのだが…このままだと魔王とか破壊神に成りかねない。
果たして光は転移先の異世界で生活をしていけるのだろうか?
3月17日〜20日の4日連続でHOTランキング1位になりました。
皆さん、応援ありがとうございました.°(ಗдಗ。)°.
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
パーティー追放された者同士で組んだら、全員魔剣士だったけど割と万能で強かった件
微炭酸
ファンタジー
勇者見習い職とされる“冒険者”をしていたハルトは、ある日突然パーティーを追放されてしまう。
そして同じくパーティーを追放されたマナツ、モミジ、ユキオの3人とパーティーを組む。
しかし、4人の職業は全員“魔剣士”であった。
前衛も後衛も中途半端で決して良い待遇を受けない魔剣士だけのパーティー。
皆からは笑われ、バカにされるが、いざ魔物と闘ってみるとパーティーボーナスによって前衛も後衛も規格外の強さになってしまい――
偏った魔剣士パで成り上がりを目指す冒険ファンタジー!
※カクヨム様・なろう様でも投稿させていただいています。
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
私の家族はハイスペックです! 落ちこぼれ転生末姫ですが溺愛されつつ世界救っちゃいます!
りーさん
ファンタジー
ある日、突然生まれ変わっていた。理由はわからないけど、私は末っ子のお姫さまになったらしい。
でも、このお姫さま、なんか放置気味!?と思っていたら、お兄さんやお姉さん、お父さんやお母さんのスペックが高すぎるのが原因みたい。
こうなったら、こうなったでがんばる!放置されてるんなら、なにしてもいいよね!
のんびりマイペースをモットーに、私は好きに生きようと思ったんだけど、実は私は、重要な使命で転生していて、それを遂行するために神器までもらってしまいました!でも、私は私で楽しく暮らしたいと思います!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる