みんなからバカにされたユニークスキル『宝箱作製』 ～極めたらとんでもない事になりました～

閑話・エルマーナ 3

　ナニー先生が家の中へと戻ったのを見送ってから、私は本を読もうとしたところで、急に目の前に誰かが現れた。
　突然の事に私は驚いたけど、目の前に現れた誰かは特に私の事を気にもしていないのか、１人で、ぶつぶつと何かを呟いていた。しかも、足は地面についておらず、宙に浮かんだままでだ。

「はぁ…　ただ息抜きをかねて、こっちでブラブラしているだけだってのに、お父様はあぁもガミガミと言わなくてもいいと思うんだけど…」

　見た目は、浮かんでいるのを抜きにしても、私よりも少し背が高いと思う。服は、白を基調にしたワンピースに、やや水色ががった長い髪の女の子に見える。

「あ…　あの…」

　私は思いきって、その宙に浮かんでいる女の子に話しかけようとしてみるが、

「そりゃあ、勉強もしないでこっちに息抜きに来る私も悪いとは思うけど、あぁも興味のない話をだらだらと聞かされているとだんだん眠くなるんだよね…」

　私の声が聞こえていないのか、女の子は、独り言を続ける。

「あ…　あの…」

　めげずにもう一度声をかけるが、

「まぁここで愚痴を言ってもどうしようもないか。さて、今日はどっちの方に行こうかな。えっと、確かこの前は…」

　やっぱり独り言は続く。
　少しめげそうになるけど、私は諦めずに、今度は思いきって、

「すみません！！」

　大きな声を出し、女の子に話しかける。

「ん？　貴方、もしかして私に言って…　「どうかしましたか、エルマーナ様！！」

　私の声が聞こえたのか、女の子の声を遮るように、家の方からアリーさんがやってくる。

「あ、いえ、突然目の前に女の子が現れたので話でもしてみようかと…」

　私は、いまだに宙に浮かんだままジーと私の事を見てくる女の子を横目でチラッと見ながらそう答える。

「女の子ですか？　その方は、どちらにいらっしゃるのですか？」

　アリーさんは、キョロキョロと辺りを見ながら、聞き返してくる。

「え…　あれ？」

　私は、アリーさんと浮かぶ女の子を交互に見る。
　確かに私には、私の事を見ながら浮かんでいる女の子が見える。

「？」

　アリーさんは、キョロキョロする私を不思議そうに見てくる。
　どうやらアリーさんには、浮かんでいる女の子が見えていないみたいだ。

「…すみません。どうやら私の見間違いだったみたいです。」

「そうですか？」

「はい。わざわざ来てくれたのに、すみませんアリーさん。」

「いえ、お気になさらないで下さい、エルマーナ様。では、何かありましたらいつでもお呼び下さい。」

　アリーさんは、私に一礼してから家の方へと戻っていった。
　それを見送った後、女の子の方へと振り返ると、

「！？」

　すぐ近くに、女の子を顔があった。