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203話・野営の食事

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 秘密について、誰にも言わない事を約束する。
 そして秘密の移動手段については、その場に到着した時に教えて貰う事になった。
 それで、今向かっている場所を聞いてみると、何でも護衛試験の時にむかった隣街だと言われたので、今度こそちゃんと護衛をしようと密かに気合いを入れ直した。
 暫く進んだ所で、

「そろそろ、お昼にしようか?」

 グラディウスさんがそう提案してくれる。

「そうですね。なら、馬車を止めますね。」

 準備もあるので、馬車を止めようとした所で、

「止めなくても、大丈夫よ。」

 待ったがかかる。

「どういう事ですか?」

「ちょっと待ってね。」

 そう言って、腰にある袋に手を入れ取り出すと、サンドイッチを持っていた。

「もしかして、その袋って、マジックバックですか?」

 確か、かなり高価な品だった筈だ。

「そうだよ。冒険者時代に手にいれた物だよ。それで、これは、馬車を借りてくるついでに買ってきた物よ。はいこれ。あ、手綱は貰うわね。」

 手綱を取られ、変わりにサンドイッチを受けとる。

「ありがとうございます。でも、先にグラディウスさんが食べた方がいいんじゃないですか?」

 買ったのもグラディウスさんだからそう聞いてみるが、

「私は大丈夫よ。」

 そう言いながら、グラディウスさんは、片手で操作しながら、もう片方で、サンドイッチを取り出し、食べ始める。

「…みたいですね。なら、食べさせて頂きます。」

 僕は、手早くサンドイッチを食べてから、手綱を代わった。





「だいぶ、上手くなってきたんじゃない?」

「グラディウスさんの教え方が上手いからですよ。」

 そこまでの速度ではないのだが、もう1人で操作出来るようになっていた。

「そう言って貰えると、教えたかいがあるよ。でも、日も暮れそうだから、そろそろ止めて野営準備をしようか。」

「はい、分かりました。」

 僕は、邪魔にならない位置に馬車を止める。

「それじゃあ、夕食の準備をしましょうか?」

「分かりました。昼食は用意して貰ったので、夕食は、僕が用意しますね。」

「大丈夫?」

「大丈夫です。だから、グラディウスさんは、休んでいて下さい。」

「分かったわ。なら、お願いね。」

「任せて下さい。」

 僕は、アイテムボックスから鍋と加熱板と食材(既に切っている物)を取り出していく。

「もしかして、その板は、魔道具なの?」

「そうですよ。火をおこす手間を省く為に用意しました。それで、グラディウスさんは、お肉は食べれますよね?」

「…えぇ、大丈夫よ。」

 僕は、鍋で食材を炒め、シチューを作り上げる。
 グラディウスさんは、そのシチューを美味しそうに食べてくれた。
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