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113話・黒い靄から現れた者

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 弾いたものを確認した瞬間、嫌な予感がしその場を飛び退く。
 すると飛び退くと同時に黒い玉から玉と同じ黒い靄が溢れてくる。
 溢れた黒い靄が悪魔の首を包み込む。

「!?」

 しかもその靄の一部が腕となり崩れていく悪魔の体を掴み靄の中へと回収していった。

「このパターンはやっぱりあれだよな…」

 体を回収し、ひと回りもふた回りも大きくなった黒い靄は次の瞬間には徐々に小さくなっていく。
 そして最後には、人型の形をとっていき黒い靄が晴れていく。
 晴れた先にいたのは、先程首を斬り落として倒したと思っていた悪魔が首の繋がった状態で立っていた。

「…お前はいったい誰だ?」

 だけど、見た目は確かに悪魔なのだが、感じる圧のようなものが全然違っていた。
 正直言ってこいつに勝てるビジョンが全然見えない。

「・・・」

 悪魔は一言も喋らず周りを確認してから最後に俺を見てくる。

「聞こえないの… !?」

 言い終える前に悪魔が目の前から消えたかと思うほどの速度で近づいてきて、腕を振り上げると同時に闇の刃を伸ばしそれを振り下ろしてきた。
 反射的に刀で受け止めようとするが、ギリギリ間に合わずに闇の刃を受けてしまう。

「?」

 だけど睡眠の霧のお陰でダメージはなかった。
 悪魔は闇の刃が止められた事を不思議がっており、その隙をつきお返しとばかりに刀を振るう。

「おいおいマジかよ」

 振るった刀は確かに悪魔の横腹に当たった。
 当たった筈なのに、その結果が薄皮1枚だけ斬りうっすら血を流すだけになった。

「ほう…」

 悪魔が言葉を発したが、刀を戻しすぐさまその場を離脱する。

眠れスリープ

 その際にスキルを使っておく。
 だけど悪魔は、眠るどころかふらつく事もなかった。

「借り物とは言え僕に傷をつけるとはいい武器だな。それにその力… そうかお前…」

 急に悪魔の言葉数が増える。
 だが、後になるにつれ声が小さくなりよく聞こえない。

「ん、何だ? 何て言ったんだ?」

「何でもない。さて続きを… ん、どうやらもう時間のようだ」

「時間だと?」

「あぁ。最後にお前の名前を聞いてもいいか?」

 こいつが何言っているかよく分からないが、

「…セウンだ」

 一応答えておく。

「セウンか。覚えておこう」

 悪魔がそう言うと、悪魔の手先が崩れ出す。

「お前それ」

「借り物の身体ではここまでと言う訳だ」

「成る程な。それでお前はいったい誰なんだ?」

「あぁ、僕は… 「魔神様!!」 ん?」

 クソ野郎が悪魔の言葉を遮る。
 その行為に、悪魔は少し眉をひそめる。
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