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65話・一筋縄ではいかない

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 油断した所を、マオさんに助けられた。
 気合いを入れ直し、シエルさんと共に再びゴブリンに向かっていく。

「グギャ!!」

 先程同様に、ゴブリンに一撃を加える。
 やはり殴った感触が残るが、今度は気にせずに私に向かってくるゴブリンを殴っていく。
 だけど、私が殴ったゴブリンは、少しして起き上がり再び向かってくる。
 向かってきたゴブリンを相手にしていると、

「ラス。威力が足りてないわ!! 威力をあげるか、腰の短剣を使いなさい!!」

 シエルさんから助言が飛んでくる。

「分かりました!! 怒れラージュ4倍カルテット

 短剣の使い方は未だ拙いので、身体強化の倍率をあげ威力をあげる事を選択する。

「はぁ!!」

 威力の増した拳は、そのままゴブリンの骨を砕いた。
 手には先程よりも嫌な感触が残るが、軽く頭をふり、次のゴブリンに向けて拳を振るう。
 その後も、ゴブリンとの戦闘を続け、十数匹のゴブリンを倒した。

「ラスどう? まだやれそう?」

「はぁはぁ… はい、まだやれそうです!!」

 多少息切れをしているが、まだ体力は残っている。

「そう、良かったわ。なら、少しここを任せてもいいかしら?」

「ここをですか?」

「えぇ。私はちょっと、あれの相手をしてくるから、ラスは、残っている普通のゴブリンの相手をお願い」

 一瞬どういう事か分からなかったが、シエルさんの視線の先を見て、その意味に気づく。

「わ… 分かりました」

「なら、お願いね」

 そう残し、シエルさんは駆けていった。





 儂の射った矢は、ゴブリンに次々と刺さっていく。

「お見事です。マオさん」

「まぁこんなもんは余裕じゃ。それで、むこうの様子はどうじゃ?」

 魔力を温存しつつ、ラスだけでなく、他の冒険者たちの援護もしているので、騎士たちの状況の確認はシェーンに任せていたので確認をとる。

「今の所、副団長さんが鬼人さん相手に頑張っていますね。ただ、鬼人さん以外にも伏兵がいたようで、そちらにも騎士を割いているみたいで、少し苦戦している感じがしますね」

 数本射って邪魔になりそうなゴブリンを倒してから、騎士たちの方を見る。

「そうみたいじゃな。これは、手早くゴブリンを倒してから援護に向かった方が良さそうじゃな」

「ですね」

「ぬ…」

「どうされましたマオさん?」

「どうやら、そう上手くいきそうにないみたいじゃ」

「それってどういう…」

 儂は、ゴブリンたちを指差すと、シェーンはそれにつられゴブリンたちを見る。

「あれは、もしかして上位のゴブリンですか?」

「そうじゃな。しかも、たぶんじゃが、何かしら手を加えられ、強化されている様子があるみたいじゃな」

 普通の上位ゴブリン以上の圧を醸し出すゴブリンたちが、後ろの方から前に出て来て、それにいち早く気づいたシエルがそれに向かっていた。
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