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116話・聞き耳をたてる

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 お師匠様より、今回はラスにあってはダメだと言われてしまう。

「そこまで落ち込まれると、何だか悪い気がしますが、今回ばかりは、ラス君も初めてスキルを使い疲れていると思いますから、今回ばかりは我慢して下さいね、いばら

「でも…」

 初めての私以外の女性なので、早く話したい気持ちもあったけど、

「いや、分かりました…」

 お師匠様の言っている事も、理解できるので、今回は諦め、お師匠様の言う通り我慢する事にした。

「ありがとうございます、茨。ほら、茨の好きな果実酒をあげますから、そんな顔しないで下さい」

「ありがとうございます…」
 
 お師匠様から果実酒を注いで貰い、それを一気に飲み干した。
 その後も、少し自棄やけになり果実酒を飲んでいたら、止められてしまい、気付けば食事も終わっていた。

「ほら、茨。片付けは私たちでやっておきますから、貴方は、もう休みなさい。熊、茨を連れていってあげて下さい」

「分かりました」

 私はそのまま、熊に部屋に連れていかれ、寝かされる。
 お酒の酔いや遠征の疲れもあってか、私はそのまま眠りについた。





「んん…」

 ふと、目が覚め、辺りを見てみると、いつも寝ている自分の部屋だった。

「あれ? 私って、いつ寝たっけ…」

 記憶を遡ってみると、果実酒をやけ酒し、皆に迷惑をかけた事を思い出す。

「謝ろう…」

 皆に謝ろうと、立ち上がった所で、尿意を催した。

「…先にトイレに行った後、謝ろうかな」

 そう思い、先にトイレへとむかった。

「ふぅ…」

 トイレをすませ、すっきりした後、まずお師匠様に謝ろうと、お師匠様を探し出すと、ある部屋で、お師匠様の声が聞こえてきた。
 部屋へそのまま入ろうと思ったが、聞いた事のない女性の声が聞こえてきた。

「もしかして…」

 私は、部屋に入る事なく戸の前で、聞く耳をたてる事にした。
 だけど少しして、戸がバッと勢いよく開いてしまった。
 戸に体重をかけていたので、私はそのまま部屋の中へと倒れこんでしまった。
 中には、お師匠様の持つ鏡で見た女の子が驚いた顔のまま私を見ていた。
 一瞬、その女の子に声をかけようと思った所で、

「茨、どうしてここにいるのか説明して貰えるかな?」

 頭の上から、お師匠様が声をかけてきた。
 私は、恐る恐る目の前の女の子から、視線を上へとむけながら、

「えっと、その謝ろうかと思って…」

 ここにいた理由を話すが、

「? それだけじゃ、分かりませんよ、茨」

 どうやら、簡単すぎて伝わらなかった。

「とりあえず、座って話を聞かせて下さい、茨。ラス君も、疲れている所悪いですが、少し待って貰ってもいいですか?」

「はい」

「あ、はい。私は、大丈夫です」

 私は、お師匠様に言われた通り、座った。
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