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67話・決着

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 再び、ラスが私にむかってくる。
 先程よりも、更に力や敏捷があがっている。
 最初は、その力に振り回されていたが、徐々にその力もコントロール出来てきていた。
 どうやらラスには、その辺りの才能のようなものを感じると共に、いったいどこまで身体強化紛いの事が出来るのか楽しみでもあった。
 だから、ラスの実力を測る為にも、私ももう少し力をあげて、まだまだ模擬戦を続けようと思ったが、どうやらラスの方はそう思っておらず、私から再び距離をとった。
 距離をとったラスは、何かしらの決意を固めたような顔をしていた。
 その顔は、今までにも見た事のあるものだった。

「どうやら次の一撃にかけるつもりみたいだね。いいよ、受けてたとうじゃないかい」

 それはそれで面白そうだと思った私は、次の一撃に全てをかけるであろうラスの一撃を受けてたとうと構えをとる。
 準備が整ったようで、律儀に声をかけてからラスは、真っ直ぐに突っ込んできた。
 また更にスピードがあがっているようにみえたが、それでも対処できない程ではないので、それを受けてからカウンターの一撃でこの模擬戦を終わらせようと思っていたが、

「!?」

 直前に更にラスが何かを発動し、その迫ってくるラスの一撃に危機感を抱いた。

「神聖拳!!」

 私は咄嗟に神聖魔法を纏わせた。





 言っていた通り、フィアンマさんはその場から動かずに私の一撃に対処するようなので、今出せる私の全てをかけた一撃をフィアンマさんへと叩きつけた…
 と思ったのだが、気づけば一瞬の浮遊感ののち背中に衝撃を受ける。
 何が起こっているのか理解する前に、更に胸部にズキンッとした痛みが襲ってきた。
 その痛みで、すぐに立ち上がれないでいたら、

「そこまで!!」

 模擬戦を終わらせるセウンさんの声が耳に届いた。





 ラスの一撃がフィアンマさんへとむかっていった。
 だけどその一撃は、一瞬驚愕の顔を浮かべたフィアンマさんが、俺との模擬戦でも見せた神聖拳を使い、ラスの手首付近を真横から弾き、少し体勢の崩れたラス目掛けて、空いていた逆の手で、ラスの胸部へと掌打を叩き込んだ。
 その掌打を受けたラスは、そのまま後ろへと飛ばされ背中から地面へと落ちた。
 そのラスの様子を観察するが、胸部の痛みからかすぐに立ち上がれそうにないようなので、これ以上続ける意味がないと判断した俺は、模擬戦を終了させた。

「シェーンこっちに来てくれ」

「はい、分かりました」

 終了後、すぐに見学していたシェーンを呼び、ラスの回復をしにラスのもとへとむかう。
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