想い、届け

ゆうごろも

文字の大きさ
上 下
1 / 13
桜、季節、もう少し

1-1

しおりを挟む



「ねえ、君?」

もうすぐ進級する季節。
あともう少しでここ、聖塔セイトウ学園を卒業する先輩に声を掛けられた。

「なんですか?」

声のした方へ振り向けば可愛いと言えば可愛いと言えるし、かっこいいと言えばかっこいいとも言える”かっこ可愛い”顔のした人が立っていた。


この学校のトップ10に入るだろう有名人だ。

それはなぜか、この学校の生徒会の親衛隊総隊長だからだ。


ここで1つこの学園の説明をする。
ここ聖塔学園は、古くから山奥にそびえ立つ小中高一貫の全寮制男子校である。特殊な制度があり、全生徒の上に立つ生徒会執行部は生徒の人気投票により決定されている。
行事の運営や学校の規約の改廃等仕事は様々であるため、遊び半分にできるものではない。が、過去遡っても仕事をマットうできなかった者はいない。天は二物を与えたか。人気投票で決定されたにも関わらず運営が回らなかったことはないのだ。

親衛隊に総隊長ができあがった理由はここからだ。
外見至上主義の中決定された生徒会ではあるが、彼らは仕事もでき人を惹き寄せるカリスマもあった。
そのため、1生徒に変わりないはずの生徒会メンバーに対して、一部の生徒は崇拝していた。アイドル化とも言えよう。
抜け駆けなんぞしようものなら親衛隊が動き制裁が行われていた。
エスカレートしていった彼らを止める者は同じ隊に所属する中にはおらず、隊外部の者はとばっちりを受けたくないため何もできなかった。
親衛隊といううものの印象が下がっていった結果、長くなるので省くがなんやかんやあり、親衛隊総隊長という役職を設置することとなった。火の付きやすい過激派親衛隊の抑制だ。


ちなみに、裕福層が通う学校のため云百年と歴史を誇るが、改築を重ねているのか古さを感じない。



今に戻ろう。
主人公は親衛隊に全く関りがない。この総隊長とも全く関りがないため、なぜ話しかけられたのか見当がつかない。


「初対面でいきなり申し訳ないんだけど、僕の跡を継いでくれないか?」

跡を継いてくれ、何の跡か。
そう聞こうか迷ったが、この人の言う跡は総隊長しかないだろう。と思い

「お断りします」

これがまだ仲の良い先輩だったら考えたかもしれない…いや、さすがにないか。


断ったのに何も変化のない表情。予想通りの返答だったのだろうか。

「お願いだよ。信じてもらえないかもしれないが、君しかいないんだ。
確かに親衛隊は嫌われているし制裁が起これば仕事が大変だ。めんどくさいことも多い」

「なぜ俺に?」


何も分からない主人公はこう聞くしかなかった。
よく考えなくても選ばれる要素がないのだ。
身長は生徒会で二番目に高い生徒会長を越している。
容姿だって愛らしくもなければ美人というわけでもない。
美形というカテゴリーに入れはしない平凡顔である。
なぜかこの学園の顔面偏差値は高い。目が肥えた者が多いこの世界で美形にカテゴライズされることはないだろう。

人脈も普通といったところだ。

もしかしたら何よりも大事なのかもしれないが、生徒会は好きでも嫌いでもない。


そんな自分が1隊当たり数十人×カケル親衛隊を持っている人数をまとめること等できるはずがない。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ダメリーマンにダメにされちゃう高校生

タタミ
BL
高校3年生の古賀栄智は、同じシェアハウスに住む会社員・宮城旭に恋している。 ギャンブル好きで特定の恋人を作らないダメ男の旭に、栄智は実らない想いを募らせていくが── ダメリーマンにダメにされる男子高校生の話。

大学生はバックヤードで

リリーブルー
BL
大学生がクラブのバックヤードにつれこまれ初体験にあえぐ。

執着攻めと平凡受けの短編集

松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。 疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。 基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

小犬の気持ち

はづき惣
BL
ある日の放課後、平凡な高校生の白井那月(しらいなつき)が、美形で人気者の九条龍臣(くじょうたつおみ)に呼び止められ、訳も分からないままに、話がすれ違い、どうにもならなくなる話。話の流れ的に那月はほぼ話しません。その後からは少し話します。今は結構話す様になりました。誤字脱字ごめんなさい。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

『これで最後だから』と、抱きしめた腕の中で泣いていた

和泉奏
BL
「…俺も、愛しています」と返した従者の表情は、泣きそうなのに綺麗で。 皇太子×従者

真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~

シキ
BL
全寮制学園モノBL。 倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。 倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……? 真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。 一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。 こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。 今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。 当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。

ヤンデレでも好きだよ!

はな
BL
春山玲にはヤンデレの恋人がいる。だが、その恋人のヤンデレは自分には発動しないようで…? 他の女の子にヤンデレを発揮する恋人に玲は限界を感じていた。

処理中です...