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23.前王タレスノア
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ポータルを抜けてタグトロンに到着すると、ガミヤが騎士団を数名携えて待ち構えていた。
ガミヤはオージルの従兄弟にあたり、タグトロンの皇位継承順位は二位となっていた。そのため幼い頃からオージルを目の敵にし、王位継承権を奪おうと何かと画策をしてきた人物だった。
オージルはその姿を目にして、心の中で舌打ちをした。
「オージル、久しぶりだな」
にこやかに話しかけてくるガミヤだったが、その笑顔が全く信用ならないことを、オージルは身に染みて分かっていた。
ガミヤは腹黒く、残忍な性格だった。本来ならば、こんなところにわざわざオージルを迎え出ることなどしない。
オージルも、一応笑顔を作った。
「わざわざ出迎えてもらえるとは。明日、こちらから出向く手筈になっていただろう」
「久しぶりに従兄弟に会えるのが嬉しくてな。ほー。なるほど。そちらがシルバーウイングとやらの御一行ですか」
明らかに小バカにしたような口調で、オージルの背後に佇むマリアたちに舐めるように視線を這わせる。中でも、オフィリアはその美貌から特に目を引いたらしく、不躾なくらいまじまじと見つめていた。
オージルがその視線の先に立ち、遮った。
「せっかくだけど、先約がある。また明日、改めて紹介させてくれ」
「父から歓迎するように言われていてね、宴会の席を用意させてもらってるんだ。このまま、案内させてもらうよ」
騎士たちが、オージルたちを取り囲む。
ガミヤからは、有無を言わせない圧力が伝わって来ていた。
「へえ。それは感激だな。ただ、そういうことは事前に連絡してくるべきことだろう?俺はともかく、ここにいるメンバーはエストーリアの国命を受けてこちらに来ている。タグトロン側の勝手な都合での変更は出来かねる。叔父さんには、夜に顔を出すと伝えておいてくれ」
オージルの言葉にガミヤは険悪な表情を浮かべたが、すぐにその顔に笑顔を貼り付けた。
「分かったよ。では、そのように父に伝えておく。ただ、国賓の警護にこちらの騎士を置いて行く。もちろん知っているとは思うが、これは、国賓である君たちがタグトロンに滞在するための絶対条件だ」
オージルは顔色を変えることなく、肩をすくめた。
「勿論、知っているさ。俺たちの警備にわざわざ人数を割いてもらえるとは、ありがたい。こちらは俺の大事な友人達でもある。よろしく頼む」
ガミヤはオージルを睨み付けたのち、踵を返し騎士と共に去って行った。その場に残ったのは二名の騎士。警護という名の監視役だった。
オージルにとっては、監視が付くのは想定済だった。事前に用意させていた馬車にマリア達を促す。
マリア達が馬車に乗り込んだ後に、オージルは騎士達に振り返った。
「馬車はこれで定員なので、君たちは後ろから着いてくればいい。大丈夫か?」
「は!そこに馬を待機させておりますので!」
「あ、そ。じゃあ、よろしく」
軽く言って、オージルは馬車に乗り込む。扉を閉め、馬車が走り出したところで、ロイが安堵のため息をついた。
「いやぁ。ばっちばちの戦いでしたね。火花が見えるようでしたよ」
オフィリアも、小さく笑みを浮かべた。
「中々、頑張っていましたわね。あなたがタグトロンの第一王子であることを、久しぶりに思い出しましたわ」
「あんな奴、大したことねぇわ。そもそも俺様とは、格が違うんだって」
「監視は予想通りだな。どうする?消すか?」
ゼリアが真顔で、物騒なことを言う。
「いやいや、目立つの禁止。穏便によろしく」
マリアが慌ててゼリアを制する。
オージルは用意させていた黒いフードを羽織り、マリア達にも渡した。
「ここでは、エルフは目立つし、ゼリアのその赤髪も特徴的で目をひく。マリアは逆に一人だけフードを身に着けていないと目立つから、着ておいて」
マリアは黒のフードに袖を通しながら、馬車の窓から見える人達を眺めた。タグトロンでは、黒っぽいフードを身につけている人達が多い。
ゼリアも同じことを感じていたらしい。ゼリアはフードを深く被りながら、外の様子を伺いながら独り言のように呟いた。
「確か・・・、アルネーゼで二十年前に目撃された人物も、黒のフードを身に着けてたとか?オージルがその人物に間違われたくらいだから、オージルに似てたってことだよな。それって、やっぱり魔族だったってことなのかな」
「二十年前のタグトロンは、俺の父親が皇位を継承した頃だ。それを阻止させるために随分きな臭い動きがあったと聞いている。さっき会ったガミヤの父親も相当な野心家だ。木馬の件に関わっていたとしても、全く驚かないな」
オージルは、忌々しい思いでそう吐き捨てた。しばらくタグトロンを離れ、気心知れた仲間と長い時間を過ごしていたせいで、自分の置かれている立場を忘れてしまっていた。
気を抜けばいつだって足元を救われる、そんな世界に自分はいるのだということを、ガミヤは嫌というほど思い出させてくれた。
「まぁ、王位を継ぐというのは大変なことですわよね」
オフィリアもしみじみと呟く。ゾウニリアの第一王女であるオフィリアだからこそ、理解できることが多くあった。いつもは辛辣な態度のオフィリアだったが、今は珍しく優しい眼差しをオージルに向けていた。
オージルの父親、現国王であるタナスが王位を継承したときは、三十の歳だった。オージルが生まれたのはそれから五年後のことだったので当時の事は知る由もないが、王位継承を巡って一悶着あったとは聞いていた。
タナス王には弟が二人いる。三歳年下のワーネクトと十歳年下のガゼスト。兄弟仲は良いとは決して言えず、特にワーネクトは王位継承権を巡って激しくタナスと衝突した。
このままでは戦争の火種になりかねないと、オージルの祖父でもある前王タレスノアが、五十歳という若さで王位をタナスに譲ることで場を収めた。
通常であれば、心身に異常をきたさない限り王として生涯を全うする。そうして王位を譲られたタナス王は、タグトロンでは珍しく穏やかな性格の持ち主で、これまでもワーネクトとの攻撃をのらりくらりと交わし続けている。
シルバーウイングとして政治に少なからず関わるようになった今、売られた喧嘩を買わずにして相手を抑え込める手腕の持ち主である父の凄さを、オージルは改めて実感していた。
そんな父にシルバーウイングとして仲間を紹介できるのが、少し誇らしい。三日という時間だったが、マリア達にゆっくりタグトロンを紹介できる時間も組み込んである。
オージルは馬車の後方の窓から、後ろの様子を伺った。馬車に乗った兵士二人は、一定の距離を保ちつつもぴたりとオージルの馬車に付いてきていた。
「大丈夫なの?」
マリアが不安そうに尋ねて来た。オージルは笑って頷く。
「今向かっているのは、俺のじいちゃんちだ。いくらあいつらでも、中までは付いて来れねぇよ」
「じいちゃんちって、・・・まさか前王タレスノア様?!」
マリアが驚く。前王タレスノアは大陸を超えて、名声を轟かせている人物だった。王座を降りた今でも、国民から慕われ続けている。
血生臭い歴史を辿って来たタグトロンが、内戦を起こすことなく二百年近く平和な時代を歩んで来ているのは、前王タレスノアの力が大きいとされている。
「俺には、ただのじいちゃんだけどな」
オージルは軽い口調でそう言ったとき、馬車が緩やかに停まった。オージルが窓から外の様子を確認し、マリア達に振り向いた。
「着いたぞ」
御者によって馬車のドアが開けらた。オージルが最初に馬車から降り、残りのメンバーの降車をエスコートする。
馬車から降りたマリアの目に飛び込んできたのは、黒岩石で建てられた豪華絢爛な館だった。黒岩石の漆黒の輝きに、重量感が半端じゃない。
広大な敷地が塀で囲まれており、門から建物までの道のりは遠かった。その間には、きれいに整備された庭が広がっている。いつの間にか、マリア達の乗った馬車は門を通り抜け、館の正面玄関にたどり着いていた。
遠くに見える門では、門番に足止めされている二人の兵士の姿が確認できた。
「あいつらは、あそこで足止めだ。これで、しばらくは時間を稼げるな」
重々しい玄関の扉が開き、中から初老の男性が現れ、オージルに深々と頭を下げた。
「オージル様、よくぞいらっしゃいました」
「おう。ご無沙汰。今回は面倒な依頼をしてしまい、すまなかった」
初老の男性は顔を上げ、オージルに優しく微笑む。そしてマリア達に向き直り、再度丁寧に頭を下げた。
「シルバーウイングの皆様、お初にお目にかかります。タレスノア様にお仕えしております、執事のフリュネドと申します」
フリュネドは顔を上げ、館内を指し示した。
「さあ、どうぞお入りください。タレスノア様がお待ちです」
ガミヤはオージルの従兄弟にあたり、タグトロンの皇位継承順位は二位となっていた。そのため幼い頃からオージルを目の敵にし、王位継承権を奪おうと何かと画策をしてきた人物だった。
オージルはその姿を目にして、心の中で舌打ちをした。
「オージル、久しぶりだな」
にこやかに話しかけてくるガミヤだったが、その笑顔が全く信用ならないことを、オージルは身に染みて分かっていた。
ガミヤは腹黒く、残忍な性格だった。本来ならば、こんなところにわざわざオージルを迎え出ることなどしない。
オージルも、一応笑顔を作った。
「わざわざ出迎えてもらえるとは。明日、こちらから出向く手筈になっていただろう」
「久しぶりに従兄弟に会えるのが嬉しくてな。ほー。なるほど。そちらがシルバーウイングとやらの御一行ですか」
明らかに小バカにしたような口調で、オージルの背後に佇むマリアたちに舐めるように視線を這わせる。中でも、オフィリアはその美貌から特に目を引いたらしく、不躾なくらいまじまじと見つめていた。
オージルがその視線の先に立ち、遮った。
「せっかくだけど、先約がある。また明日、改めて紹介させてくれ」
「父から歓迎するように言われていてね、宴会の席を用意させてもらってるんだ。このまま、案内させてもらうよ」
騎士たちが、オージルたちを取り囲む。
ガミヤからは、有無を言わせない圧力が伝わって来ていた。
「へえ。それは感激だな。ただ、そういうことは事前に連絡してくるべきことだろう?俺はともかく、ここにいるメンバーはエストーリアの国命を受けてこちらに来ている。タグトロン側の勝手な都合での変更は出来かねる。叔父さんには、夜に顔を出すと伝えておいてくれ」
オージルの言葉にガミヤは険悪な表情を浮かべたが、すぐにその顔に笑顔を貼り付けた。
「分かったよ。では、そのように父に伝えておく。ただ、国賓の警護にこちらの騎士を置いて行く。もちろん知っているとは思うが、これは、国賓である君たちがタグトロンに滞在するための絶対条件だ」
オージルは顔色を変えることなく、肩をすくめた。
「勿論、知っているさ。俺たちの警備にわざわざ人数を割いてもらえるとは、ありがたい。こちらは俺の大事な友人達でもある。よろしく頼む」
ガミヤはオージルを睨み付けたのち、踵を返し騎士と共に去って行った。その場に残ったのは二名の騎士。警護という名の監視役だった。
オージルにとっては、監視が付くのは想定済だった。事前に用意させていた馬車にマリア達を促す。
マリア達が馬車に乗り込んだ後に、オージルは騎士達に振り返った。
「馬車はこれで定員なので、君たちは後ろから着いてくればいい。大丈夫か?」
「は!そこに馬を待機させておりますので!」
「あ、そ。じゃあ、よろしく」
軽く言って、オージルは馬車に乗り込む。扉を閉め、馬車が走り出したところで、ロイが安堵のため息をついた。
「いやぁ。ばっちばちの戦いでしたね。火花が見えるようでしたよ」
オフィリアも、小さく笑みを浮かべた。
「中々、頑張っていましたわね。あなたがタグトロンの第一王子であることを、久しぶりに思い出しましたわ」
「あんな奴、大したことねぇわ。そもそも俺様とは、格が違うんだって」
「監視は予想通りだな。どうする?消すか?」
ゼリアが真顔で、物騒なことを言う。
「いやいや、目立つの禁止。穏便によろしく」
マリアが慌ててゼリアを制する。
オージルは用意させていた黒いフードを羽織り、マリア達にも渡した。
「ここでは、エルフは目立つし、ゼリアのその赤髪も特徴的で目をひく。マリアは逆に一人だけフードを身に着けていないと目立つから、着ておいて」
マリアは黒のフードに袖を通しながら、馬車の窓から見える人達を眺めた。タグトロンでは、黒っぽいフードを身につけている人達が多い。
ゼリアも同じことを感じていたらしい。ゼリアはフードを深く被りながら、外の様子を伺いながら独り言のように呟いた。
「確か・・・、アルネーゼで二十年前に目撃された人物も、黒のフードを身に着けてたとか?オージルがその人物に間違われたくらいだから、オージルに似てたってことだよな。それって、やっぱり魔族だったってことなのかな」
「二十年前のタグトロンは、俺の父親が皇位を継承した頃だ。それを阻止させるために随分きな臭い動きがあったと聞いている。さっき会ったガミヤの父親も相当な野心家だ。木馬の件に関わっていたとしても、全く驚かないな」
オージルは、忌々しい思いでそう吐き捨てた。しばらくタグトロンを離れ、気心知れた仲間と長い時間を過ごしていたせいで、自分の置かれている立場を忘れてしまっていた。
気を抜けばいつだって足元を救われる、そんな世界に自分はいるのだということを、ガミヤは嫌というほど思い出させてくれた。
「まぁ、王位を継ぐというのは大変なことですわよね」
オフィリアもしみじみと呟く。ゾウニリアの第一王女であるオフィリアだからこそ、理解できることが多くあった。いつもは辛辣な態度のオフィリアだったが、今は珍しく優しい眼差しをオージルに向けていた。
オージルの父親、現国王であるタナスが王位を継承したときは、三十の歳だった。オージルが生まれたのはそれから五年後のことだったので当時の事は知る由もないが、王位継承を巡って一悶着あったとは聞いていた。
タナス王には弟が二人いる。三歳年下のワーネクトと十歳年下のガゼスト。兄弟仲は良いとは決して言えず、特にワーネクトは王位継承権を巡って激しくタナスと衝突した。
このままでは戦争の火種になりかねないと、オージルの祖父でもある前王タレスノアが、五十歳という若さで王位をタナスに譲ることで場を収めた。
通常であれば、心身に異常をきたさない限り王として生涯を全うする。そうして王位を譲られたタナス王は、タグトロンでは珍しく穏やかな性格の持ち主で、これまでもワーネクトとの攻撃をのらりくらりと交わし続けている。
シルバーウイングとして政治に少なからず関わるようになった今、売られた喧嘩を買わずにして相手を抑え込める手腕の持ち主である父の凄さを、オージルは改めて実感していた。
そんな父にシルバーウイングとして仲間を紹介できるのが、少し誇らしい。三日という時間だったが、マリア達にゆっくりタグトロンを紹介できる時間も組み込んである。
オージルは馬車の後方の窓から、後ろの様子を伺った。馬車に乗った兵士二人は、一定の距離を保ちつつもぴたりとオージルの馬車に付いてきていた。
「大丈夫なの?」
マリアが不安そうに尋ねて来た。オージルは笑って頷く。
「今向かっているのは、俺のじいちゃんちだ。いくらあいつらでも、中までは付いて来れねぇよ」
「じいちゃんちって、・・・まさか前王タレスノア様?!」
マリアが驚く。前王タレスノアは大陸を超えて、名声を轟かせている人物だった。王座を降りた今でも、国民から慕われ続けている。
血生臭い歴史を辿って来たタグトロンが、内戦を起こすことなく二百年近く平和な時代を歩んで来ているのは、前王タレスノアの力が大きいとされている。
「俺には、ただのじいちゃんだけどな」
オージルは軽い口調でそう言ったとき、馬車が緩やかに停まった。オージルが窓から外の様子を確認し、マリア達に振り向いた。
「着いたぞ」
御者によって馬車のドアが開けらた。オージルが最初に馬車から降り、残りのメンバーの降車をエスコートする。
馬車から降りたマリアの目に飛び込んできたのは、黒岩石で建てられた豪華絢爛な館だった。黒岩石の漆黒の輝きに、重量感が半端じゃない。
広大な敷地が塀で囲まれており、門から建物までの道のりは遠かった。その間には、きれいに整備された庭が広がっている。いつの間にか、マリア達の乗った馬車は門を通り抜け、館の正面玄関にたどり着いていた。
遠くに見える門では、門番に足止めされている二人の兵士の姿が確認できた。
「あいつらは、あそこで足止めだ。これで、しばらくは時間を稼げるな」
重々しい玄関の扉が開き、中から初老の男性が現れ、オージルに深々と頭を下げた。
「オージル様、よくぞいらっしゃいました」
「おう。ご無沙汰。今回は面倒な依頼をしてしまい、すまなかった」
初老の男性は顔を上げ、オージルに優しく微笑む。そしてマリア達に向き直り、再度丁寧に頭を下げた。
「シルバーウイングの皆様、お初にお目にかかります。タレスノア様にお仕えしております、執事のフリュネドと申します」
フリュネドは顔を上げ、館内を指し示した。
「さあ、どうぞお入りください。タレスノア様がお待ちです」
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