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1③
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その日の昼食と夕食も食べさせてあげて、次の日の朝食の時間、僕はまたお兄様の部屋に向かっていた。もちろんキャサリンといっしょに。お兄様といっしょに……というより、お兄様に僕の手から食事を摂っていただきたいと思ったからだ。
でも、今日は昨日と違って皿の乗ったワゴンがお兄様の部屋の前に置いてある。
「…?キャシー、これは?」
「……ラインハルト様のお食事ではないでしょうか?」
「お兄様の?」
あんなになるまで放っておいて、今更?そう思った僕は、皿の被せを取って絶句した。
馬鹿みたいに脂が乗った牛のステーキ、ほとんど脂なんじゃないかってくらいギトギトのスープ、ドレッシングかけすぎのサラダに大量の生クリームがのったケーキ……どれも何日も食べていなかった人に食べさせるものではない。キャサリンもそう思ったのだろう。いつもの完璧な笑顔をちょっと歪めてワゴンに手をかけた。
「……お下げいたしますね」
ワゴンを運んでいくキャサリンとすれ違いでダニエルがこっちに来る。手にはワゴンではなく中くらいお盆を持っていた。
「おはようダニー。それお兄様の朝食?メニューは?」
「おはようございますマーク様。よく煮込んだ鶏肉のシチューになります」
お盆を凝視しながら質問すれば、かぶせを取って中を見せてくれた。湯気の漂う温かそうなシチューからはおいしそうな匂いが漂ってくる。
ああ、おなかすいた……そういえば僕の朝食どうしよう……。
そう思っているとキャサリンがさっきのより小さいお皿を乗せたワゴンを運んでくるのが見えた。もしかして僕の朝食だろうか。
「キャシー、それ……」
「マーク様の朝食でございます。ラインハルト様とご一緒なさるかと思いまして……」
さすが、できる侍女。キャサリンが扉を開けて入ったあと、続けて僕が入り、最後にダニエルが入る。お兄様はまだ寝ていたらしく、目をパチパチしながらぼーっとこっちをみている。やっぱり、お兄様はかわいい。
「おはようございます、お兄様」
「ん……マーク、おはよう……」
お兄様目を眠たそうにこすりながらゆっくりと挨拶をする。その様子がかわいくて、ベッドの端に座りこすっていない手を撫でた。
キャサリンは部屋の小さい机を少し掃除して僕の朝食を準備していて、ダニエルはお兄様のベッドの横の台を椅子みたいにしてそこに座った。
「こちらが本日の朝食になります」
「シチュー……俺、結構、好き……」
「食べさせて差しあげ「僕がやります!」
ついダニエルの言葉を遮ってしまったが仕方ない。かわいいお兄様を独り占めしたいのだ。ダニエルがしぶしぶといった様子で譲ってくれた椅子に座り、
「お兄様、あーん」
とすれば、お兄様はちょっと戸惑ってからシチューを口に含む。昨日1日じゃ慣れてくれなかったみたいだ。おいしかったみたいでふわふわとしているお兄様に調子に乗って半分ほど食べさせてあげたとき、キャサリンに時間がないからと半強制的にダニエルに交代させられた。
「時間がないって、今日なにか予定あったっけ?」
「いえ、ですが本日はラインハルト様のお部屋の掃除とご入浴をしていただこうと思っております」
ご入浴。お風呂。お兄様とお風呂……!?あまりの衝撃にもっていたフォークを落としそうになった。お兄様とお風呂……つまりお兄様の裸が……!?
そのあたりで考えるのを一旦やめた。それ以上考えたらなんだか鼻血が出そうな感じがしたからだ。
「お風呂……嬉しい……」
シチューでふわふわしていた雰囲気がもっとふわふわになっていく。ずっと入れていなかったのだろう。僕もお兄様と入れるのはうれしい。
お兄様のお肌やお髪を洗って差し上げられるだろうか……僕と同じ石鹸にすればお兄様から僕と同じ匂いが……やりたいことがたくさんある。もしお兄様が許してくだされば、だけど。
お兄様のふわふわに負けないくらい心がふわふわして、なんだかどうしようもない朝食の時間だった。
でも、今日は昨日と違って皿の乗ったワゴンがお兄様の部屋の前に置いてある。
「…?キャシー、これは?」
「……ラインハルト様のお食事ではないでしょうか?」
「お兄様の?」
あんなになるまで放っておいて、今更?そう思った僕は、皿の被せを取って絶句した。
馬鹿みたいに脂が乗った牛のステーキ、ほとんど脂なんじゃないかってくらいギトギトのスープ、ドレッシングかけすぎのサラダに大量の生クリームがのったケーキ……どれも何日も食べていなかった人に食べさせるものではない。キャサリンもそう思ったのだろう。いつもの完璧な笑顔をちょっと歪めてワゴンに手をかけた。
「……お下げいたしますね」
ワゴンを運んでいくキャサリンとすれ違いでダニエルがこっちに来る。手にはワゴンではなく中くらいお盆を持っていた。
「おはようダニー。それお兄様の朝食?メニューは?」
「おはようございますマーク様。よく煮込んだ鶏肉のシチューになります」
お盆を凝視しながら質問すれば、かぶせを取って中を見せてくれた。湯気の漂う温かそうなシチューからはおいしそうな匂いが漂ってくる。
ああ、おなかすいた……そういえば僕の朝食どうしよう……。
そう思っているとキャサリンがさっきのより小さいお皿を乗せたワゴンを運んでくるのが見えた。もしかして僕の朝食だろうか。
「キャシー、それ……」
「マーク様の朝食でございます。ラインハルト様とご一緒なさるかと思いまして……」
さすが、できる侍女。キャサリンが扉を開けて入ったあと、続けて僕が入り、最後にダニエルが入る。お兄様はまだ寝ていたらしく、目をパチパチしながらぼーっとこっちをみている。やっぱり、お兄様はかわいい。
「おはようございます、お兄様」
「ん……マーク、おはよう……」
お兄様目を眠たそうにこすりながらゆっくりと挨拶をする。その様子がかわいくて、ベッドの端に座りこすっていない手を撫でた。
キャサリンは部屋の小さい机を少し掃除して僕の朝食を準備していて、ダニエルはお兄様のベッドの横の台を椅子みたいにしてそこに座った。
「こちらが本日の朝食になります」
「シチュー……俺、結構、好き……」
「食べさせて差しあげ「僕がやります!」
ついダニエルの言葉を遮ってしまったが仕方ない。かわいいお兄様を独り占めしたいのだ。ダニエルがしぶしぶといった様子で譲ってくれた椅子に座り、
「お兄様、あーん」
とすれば、お兄様はちょっと戸惑ってからシチューを口に含む。昨日1日じゃ慣れてくれなかったみたいだ。おいしかったみたいでふわふわとしているお兄様に調子に乗って半分ほど食べさせてあげたとき、キャサリンに時間がないからと半強制的にダニエルに交代させられた。
「時間がないって、今日なにか予定あったっけ?」
「いえ、ですが本日はラインハルト様のお部屋の掃除とご入浴をしていただこうと思っております」
ご入浴。お風呂。お兄様とお風呂……!?あまりの衝撃にもっていたフォークを落としそうになった。お兄様とお風呂……つまりお兄様の裸が……!?
そのあたりで考えるのを一旦やめた。それ以上考えたらなんだか鼻血が出そうな感じがしたからだ。
「お風呂……嬉しい……」
シチューでふわふわしていた雰囲気がもっとふわふわになっていく。ずっと入れていなかったのだろう。僕もお兄様と入れるのはうれしい。
お兄様のお肌やお髪を洗って差し上げられるだろうか……僕と同じ石鹸にすればお兄様から僕と同じ匂いが……やりたいことがたくさんある。もしお兄様が許してくだされば、だけど。
お兄様のふわふわに負けないくらい心がふわふわして、なんだかどうしようもない朝食の時間だった。
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