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第三幕 新たな戦場――苦戦続きのバラエティー
ACT74
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週刊誌を手にした真希が、私の楽屋に押しかけていた。
見出しには『綾瀬真希のワガママ。キャスティング批判に収録拒否も!?』の文字が踊る。
「なによコレ!?」
一体何に対して怒っているのか。
「こんなデタラメな記事、ありえない!!」
デタラメ? 割と事実に忠実じゃない?
ワガママなのは言わずもがな、キャスティング批判も事実。収録拒否はさすがに無いとは思うが、駄々をこねる事は珍しくない。
ドラマでも映画でもCMでも、自分を中心に物事を進めようとする。
私の記事は創作もいいところだったが、真希の記事はなかなか的を得ているではないか。
私の時も、もう少しきちんと調べて――裏を取ってから記事にしてもらいたかった。
楽屋に不躾に突入してきた真希に、高野さんの眉がハの字になる。
眉根に寄った縦皺が、どんどん深く刻まれる。
私は慌てて、
「真希! ノックも無しに楽屋に入ってこないで!」
取り合えず、真希を悪者にすることで高野さんの気持ちに寄り添うことにする。
高野さんの怒りがこっちに向いたら嫌だしね。
「まったくよ! そんなだからこんな記事を書かれるのよ」
わざとらしく、声を大きくして高野さんが言う。
相当疲れて、気が立っているのね。
先週よりも目の下のクマが凄いことになってる。
まさしくパンダそのものね。
私に賛同する形で真希を非難するパンダ……――高野さんは立て続けに、
「綾瀬はともかく、結衣の記事はやっぱり納得いかないわ!!」
どうやら、先週の記事に対する怒りがぶり返してきたらしい。
アンタも大変ねぇ、と真希が憐れみの視線を寄越す。
普段の高野さんはこんなんじゃないもん!! あっ、こんなん言っちゃった……(口に出してはいないけど)。
完全に当てが外れた。
私は一人ため息をついた。
真希の記事も出たって事は、真希のリークじゃないって事よね。
自分の事をリークする意味ないしね。それにもし真希がリークしたのなら自分を担ぎ上げるような内容のはず。自滅なんてマヌケなことするはずかない。
しかし、だとすると一体誰が? 深まる謎に結衣が頭を悩ませているにもかかわらず、パンダと真希は溜まりに溜まったフラストレーションを爆発させていた。
二人って案外いいコンビなのかもしれない。
それにしても私と真希のリーク記事はどこからもたらされたモノなのだろう? 真希の仕業って言われた方が、ずっと気が楽だ。
正体不明のリーク犯(犯罪者扱い)というのは不気味なもので、真希の嫌がらせが可愛く思えるほどだ。
既に世論は結衣と真希から離れつつあり、弁明は意味をなさなかった。
右肩下がりの好感度を止める術を持たない私たちは、この日もどこか冷ややかな視線の混じった拍手に迎えられてスタジオに入ったのだった。
見出しには『綾瀬真希のワガママ。キャスティング批判に収録拒否も!?』の文字が踊る。
「なによコレ!?」
一体何に対して怒っているのか。
「こんなデタラメな記事、ありえない!!」
デタラメ? 割と事実に忠実じゃない?
ワガママなのは言わずもがな、キャスティング批判も事実。収録拒否はさすがに無いとは思うが、駄々をこねる事は珍しくない。
ドラマでも映画でもCMでも、自分を中心に物事を進めようとする。
私の記事は創作もいいところだったが、真希の記事はなかなか的を得ているではないか。
私の時も、もう少しきちんと調べて――裏を取ってから記事にしてもらいたかった。
楽屋に不躾に突入してきた真希に、高野さんの眉がハの字になる。
眉根に寄った縦皺が、どんどん深く刻まれる。
私は慌てて、
「真希! ノックも無しに楽屋に入ってこないで!」
取り合えず、真希を悪者にすることで高野さんの気持ちに寄り添うことにする。
高野さんの怒りがこっちに向いたら嫌だしね。
「まったくよ! そんなだからこんな記事を書かれるのよ」
わざとらしく、声を大きくして高野さんが言う。
相当疲れて、気が立っているのね。
先週よりも目の下のクマが凄いことになってる。
まさしくパンダそのものね。
私に賛同する形で真希を非難するパンダ……――高野さんは立て続けに、
「綾瀬はともかく、結衣の記事はやっぱり納得いかないわ!!」
どうやら、先週の記事に対する怒りがぶり返してきたらしい。
アンタも大変ねぇ、と真希が憐れみの視線を寄越す。
普段の高野さんはこんなんじゃないもん!! あっ、こんなん言っちゃった……(口に出してはいないけど)。
完全に当てが外れた。
私は一人ため息をついた。
真希の記事も出たって事は、真希のリークじゃないって事よね。
自分の事をリークする意味ないしね。それにもし真希がリークしたのなら自分を担ぎ上げるような内容のはず。自滅なんてマヌケなことするはずかない。
しかし、だとすると一体誰が? 深まる謎に結衣が頭を悩ませているにもかかわらず、パンダと真希は溜まりに溜まったフラストレーションを爆発させていた。
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正体不明のリーク犯(犯罪者扱い)というのは不気味なもので、真希の嫌がらせが可愛く思えるほどだ。
既に世論は結衣と真希から離れつつあり、弁明は意味をなさなかった。
右肩下がりの好感度を止める術を持たない私たちは、この日もどこか冷ややかな視線の混じった拍手に迎えられてスタジオに入ったのだった。
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