転校生は朝ドラ女優!?

小暮悠斗

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第二幕 映画撮影と超新星

ACT52

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 赤崎くんとの事の顛末を話すと何故かお母さんは喜んだ。
 空気読めよと、心の声が漏れ出す高野さん。
 あの~、高野さんも空気を読んで口に出さないでほしかったな……。
 結局、別れたの? それともただの痴話喧嘩なの? 瑞樹が熱心に根掘り葉掘り聞こうと躍起になっている。昨日、電話して来てもらっていた。呼ばなきゃよかった。
 アナタ、私の親友でしょ!? 慰めてよ!!
 もしかして私の周りって、まともな人居ないのかしら?

「今更ね」
 わッ!? やはり高野さんはエスパー!?
「だから私エスパーじゃないから」
「また心を読まれた!?」
「読んでないから」
「やはり――」
「これ、何回繰り返す?」
「もういいです……」
 なんでこう結衣って心の声が筒抜けになるのかしら? と瑞樹。
「それは勿論私の育て方がいいから――」
「甘やかされて育ったから、本心を隠すとかっていう術を学べなかったのよ。まあ、いいんじゃない、温室育ちって感じでチョロそう。だから太刀川みたいなガキに踊らされるのよ。それにせっかくの本命も逃がしちゃうし」
 何も褒めてくれていない上に、今、一番触れてもらいたくない話題を……。何故、蒸し返した!?
 遊ばれている事は間違いないだろう。

「ねぇ結衣。今日は撮影無いの?」
 ……あります……。
「今何時!?」
「えーと、10時ね」
「今日の差杖開始時間は?」
「10時半からよ」
「ここ(家)からスタジオまで何分?」
「20分」
 ~!? 急がなと、まだ支度何もしてないのにぃ~。
 なんで高野さんこんなに落ち着いてるの。案の定、お母さんは焦ってるのに。
「結衣! 早く仕度しなさい」
「はーい!」
 今日も朝から慌ただしい新田家であった。

 ついに撮影はラストシーンの撮影を残すのみとなっていた。
 色々あったけど……現在進行形で色々と問題は山積みなのだけど、ついに今日クランクアップを迎える(予定)。

 ラストシーンでは今までに劇中に登場した人が一堂に会する。
 何かボリウッド映画(インド映画)みたい。
 最後はみんなで踊ったりするのかしら?
 最近は、「◯◯ダンス」とかってドラマの最後にみんな踊るようになったし、映画もそろそろ時代に乗っかるのかしら?

 おっと、いけない。まだ撮影は終わっていないのに気を緩めていたら、また王子監督にどやされちゃう。
 怒ると豹変するからあの人。気を付けないと。
 ――あっ、監督が挨拶するみたい。

「あー、おそらく今日がみんなと撮影する最後の日だ。みんなが俺の事を、「ドS」とか「鬼」とか読んでいるのは知っている」
 知ってたんだ。
「個人的には、鬼よりもドSの方で呼んでもらえればと思う。「鬼王子」よりも「ドS王子」の方がしっくりくるからな」
 よっ、ドS王子!!
 合いの手を入れるのは瀧川さんだ。
 今回の映画ではほとんど共演なかったな。ちょっと残念。
「ありがとう瀧川君。折角だから彼の声援に応えてクランクアップまでは「ドS王子」で頑張りたいと思う」
 声援を送った瀧川さんは他の共演者にボコボコにされている。
 私も近くにいたら叩いてたかも。
「さあ、最後だ! 最高の一日にしよう!!」
「「おおー!!」」
 いつもよりも少し明るい雰囲気で撮影は始まった。

 良かったのは最初だけ。ダメ出しの大安売り。
 撮影最終日はいつにも増してドS王子が目を光らしており、すぐに顔を覗かせる。
 でもみんな最終日だからか、気合いの入りようが違う。
 見事にドS王子の難題に応えていく。

「――ハイ、OK!」
 テイク10でようやく解放された。
 ん? モニターで映像を確認する前に王子監督がどこかに行っちゃった……何かあったのかな?
「最後にひと波乱あるかも」
「――ッ! ビックリした~。何ですか瀧川さん。ひと波乱って?」
 いつの間にか私の背後に立っていた瀧川さんが、スマホを操作して動画サイトを見せる。
「コレって……」
「ね! これはマズイよね!」
 なぜか楽しげな瀧川さんの言う通り、最後にひと波乱待ち受けていそうな予感。
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