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第一幕 転校生は朝ドラ女優!?
ACT17
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相変わらず成績は伸び悩んでいるが、学校生活の方は順調そのものだ。悩みがあるとすれば……隣の席の男子である。
瑞樹たちは「恋をしている」なんて言って笑っていたけど、そんなことはない。あってはならない。
私は女優。スキャンダルなんてもっての他だ。
ここ最近週刊誌の監視の目が厳しくなっている。私と同期の子(年齢は向こうが上)が相手の自宅から出てくるところを撮られた。囲み会見してたけど、なんか口ごもってて印象はよくなかった。
私も何度か撮られたことあるけど最近は袋叩きに合うケースが多いから気をつけなきゃ。私にやましいところなんかないけど。
今まで何度か不本意ながら週刊誌の見出しを飾ったことはある。
それでも一切気に留めたことはなかった。今までとは何かが違う。
まさか、ほんとに恋しちゃってるの私?
「おい」
肩を揺さぶられる。
「ん、なに?」
「いいの、あれ」
彼が黒板を指差す。
文化祭実行委員
新田結衣
赤崎綾人
はぁ? 実行委員!?
「いや、なんで……」
「千鶴が推薦した」
「なんで私を」
言うまでもない。嫌がらせだろう。
「じゃあ、赤崎君はなんで」
選ばれたの? と尋ねるよりも先に答えが返ってきた。
「新田となら委員やってもいいかなって」
顔が暑くなる。
平静を装うので精一杯だった。
***
「いい加減認めたら?」
食堂に会したいつものメンバー。最近の話題は私の事ばかりだ。
「だから、好きとかそんなんじゃないから!」
「またまたぁ~」
ニヤニヤして、他人事だと思ってとことんからかいに来てるな。
「そんな事より」
少し強引ではあるが話題を変える。
「文化祭ってどんな事するの?」
「そうだなぁ。クラスの出し物は、喫茶店とかお化け屋敷は毎年あるみたいだよ。あと、演劇とか」
「演劇もやるんだ」
「うん、毎年どこかがやってる。多分今年は結衣のクラスがやることになると思うよ」
「え、なんで?」
「だって、千鶴がいるじゃん。あの子、演劇部でしょ。ほぼ間違いなく決まり」
「大変だよね。演劇とかどんだけ時間削られるか……遊べないじゃんね」
演劇って人気ないんだな。私はやってみたいけど。
そんなことを考えていると、「演技得意でしょ?」詩乃が尋ねる。
「そ、そんなことないよ?」
かろうじて短い答えを返す。
私の素性を知る瑞樹も詩乃の発言に驚いていた。もしかしてバレた!? でも今までそんな素振りはなかった。なのにどうして急に。
「何言ってんのシノッチ。そんなのわかんないじゃん」
「そうだね。見てみないとわからないよね」
「そうだよぉ。やっぱシノッチは変わってるよねぇ」
なんとかごまかせた? 鈴音が話に入ってきたおかげでうやむやになった、かな?
結局、その後の会話には身が入らなかった。それは瑞樹も同様で、私たち二人は逢里詩乃という人物が判らなくなった。
その日の午後。
文化祭のクラスの出し物は満場一致という不自然さを残して、演劇に決まった。
演目はシェイクスピアの『十二夜』。なかなかのチョイスだと思う。てっきり『ロミオとジュリエット』をやるものだと(定番だから)……またしても満場一致なのが不自然だが。
配役まで既に決まっていた。根回し完璧すぎだろ。
決まった配役を男子の実行委員である綾人が板書する。
ヴァイオラ役 間宮千鶴
オーシーノ役 赤崎綾人
オリヴィア役 新田結衣
折角だから演じてみたいとは思ってたけど、主役級の役じゃない! 手は抜きたくないけど本気で演じたら浮いちゃうし……どうしよう。
プロとして妥協したくないが全力で演じる訳にもいかないというジレンマが襲う。
瑞樹たちは「恋をしている」なんて言って笑っていたけど、そんなことはない。あってはならない。
私は女優。スキャンダルなんてもっての他だ。
ここ最近週刊誌の監視の目が厳しくなっている。私と同期の子(年齢は向こうが上)が相手の自宅から出てくるところを撮られた。囲み会見してたけど、なんか口ごもってて印象はよくなかった。
私も何度か撮られたことあるけど最近は袋叩きに合うケースが多いから気をつけなきゃ。私にやましいところなんかないけど。
今まで何度か不本意ながら週刊誌の見出しを飾ったことはある。
それでも一切気に留めたことはなかった。今までとは何かが違う。
まさか、ほんとに恋しちゃってるの私?
「おい」
肩を揺さぶられる。
「ん、なに?」
「いいの、あれ」
彼が黒板を指差す。
文化祭実行委員
新田結衣
赤崎綾人
はぁ? 実行委員!?
「いや、なんで……」
「千鶴が推薦した」
「なんで私を」
言うまでもない。嫌がらせだろう。
「じゃあ、赤崎君はなんで」
選ばれたの? と尋ねるよりも先に答えが返ってきた。
「新田となら委員やってもいいかなって」
顔が暑くなる。
平静を装うので精一杯だった。
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食堂に会したいつものメンバー。最近の話題は私の事ばかりだ。
「だから、好きとかそんなんじゃないから!」
「またまたぁ~」
ニヤニヤして、他人事だと思ってとことんからかいに来てるな。
「そんな事より」
少し強引ではあるが話題を変える。
「文化祭ってどんな事するの?」
「そうだなぁ。クラスの出し物は、喫茶店とかお化け屋敷は毎年あるみたいだよ。あと、演劇とか」
「演劇もやるんだ」
「うん、毎年どこかがやってる。多分今年は結衣のクラスがやることになると思うよ」
「え、なんで?」
「だって、千鶴がいるじゃん。あの子、演劇部でしょ。ほぼ間違いなく決まり」
「大変だよね。演劇とかどんだけ時間削られるか……遊べないじゃんね」
演劇って人気ないんだな。私はやってみたいけど。
そんなことを考えていると、「演技得意でしょ?」詩乃が尋ねる。
「そ、そんなことないよ?」
かろうじて短い答えを返す。
私の素性を知る瑞樹も詩乃の発言に驚いていた。もしかしてバレた!? でも今までそんな素振りはなかった。なのにどうして急に。
「何言ってんのシノッチ。そんなのわかんないじゃん」
「そうだね。見てみないとわからないよね」
「そうだよぉ。やっぱシノッチは変わってるよねぇ」
なんとかごまかせた? 鈴音が話に入ってきたおかげでうやむやになった、かな?
結局、その後の会話には身が入らなかった。それは瑞樹も同様で、私たち二人は逢里詩乃という人物が判らなくなった。
その日の午後。
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演目はシェイクスピアの『十二夜』。なかなかのチョイスだと思う。てっきり『ロミオとジュリエット』をやるものだと(定番だから)……またしても満場一致なのが不自然だが。
配役まで既に決まっていた。根回し完璧すぎだろ。
決まった配役を男子の実行委員である綾人が板書する。
ヴァイオラ役 間宮千鶴
オーシーノ役 赤崎綾人
オリヴィア役 新田結衣
折角だから演じてみたいとは思ってたけど、主役級の役じゃない! 手は抜きたくないけど本気で演じたら浮いちゃうし……どうしよう。
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