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第二章 レーナス帝国編
第73話 対談(ジンディオール視点)
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◇ 軍司令官室 ◇
「よくここまできたな、ジンディオール…。最初に聞くが、君は本当にジンディオールなのかね?」
目の前に立つのは、漆黒の重鎧を着用した男だった。彼の名は、ザナクゥ。帝国軍司令官である。
私は、この方の前に再び戻れたことに対して素直に感激していた。
しかし、私は一度命を落としている。主や女神さまの力を借りて、奇跡的にこの場に立たせて頂いている。
「お久しぶりです。軍司令。命は落としましたが見事に復活を遂げました。」
私は幼いころから、実験体としてラボに入っていた。そして、成長して魔剣士隊長として彼の隣に並ぶようになった。
彼は昔からフルアーマーを着用しており、私は一度もその素顔を見たことがなかった。
「それは素晴らしいことだな。では、また私の右腕となって働いてくれるということかね?」
彼の声からは、友好的な感情を読み取れた。
私は愚かである。尊敬する軍司令にそのような言葉を頂けたことに喜びを覚えてしまうのだ。
しかし、この体は主のものだ。私の感情だけで動いてはいけない…。
「申し訳ありません。死亡して軍部から除名された身です。ご容赦を…。」
「君がここまで来る際にやったように、軍部の作戦だったと言えば復帰など容易なことだぞ?」
「何故それを!?」
どうやら、軍司令は、軍事施設のチェックを上手に潜り抜けていたことを既に知っていたようだった。
「愚問だな…。私を誰だと思っている?」
(相変わらず隙のない方だ…。)
彼は、戦闘能力も知性もとても優れていた…。
私は、そんな彼に憧れ、彼に追いつくために必死で頑張ってきたのだ。
〘おい!ジンディオール!しっかりしろよ!お前は何のためにここまで来たんだよ!〙
主は司令の前で不甲斐ない私に喝を入れてくれた。
(す、すまぬ…。わかっている。きちんとケジメは果たすさ。)
「軍司令、フレイに…フレイに私の能力を奪わせて、殺害するように命じたのは本当でしょうか?」
「……。それを聞いてどうするつもりだね?」
彼の声が、私の心に突き刺さる。
「ケジメをつけるつもりです。」
「ケジメだと?兵器の分際で生意気を!お前の意思など私や軍には関係のないことだ。だが、お前はもう私の手を離れたモノだ。いいだろう…。」
私は、軍司令を真っ直ぐに見据えた。私の思い過ごしであったと僅かな希望を信じて…。
「君の考えていた通りだ。アレに『ブラックラズリ』を与えたのは私だ。お前の力を奪い殺害させ、代わって部隊を率いるようにと命じた。」
その言葉に、完全に心が砕けるのを感じた。
「馬鹿な!私はあなたの命令に従い、これまで尽くしてきたではありませんか?」
「君は甘いのだ。私はこれまで言ってきたように、素早くこの大陸を統一する必要がある。君は情に流されたせいで、時間を無駄に浪費させていた。だから、君を見限りフレイに任せることにしたのだよ。」
「それならば、普通に私を解任すれば良かったではありませんか!?」
「そう簡単な話ではない。知っての通り魔剣士隊は序列が全てだ。最強魔剣士が隊長を勤めなくてはならない。私は、言う通りに動くフレイをトップにしようと考えていたが、奴は君程の力はない。そこで、隊長として無能な君の能力を、せめて有効活用しようと考えて『ブラックラズリ』を与えたのだよ。」
「そんな…。」
自分が信じ尊敬していた人がこのような考えを持っていたことに驚きと悲しみを覚えた。
「やっとわかったかね?君は欠陥品だ!ただ強いだけのな。その点で言えばフレイは優秀だった。私のやりたいことを予測し、確実に結果を残したからな。結局は、君たちに邪魔されたがな。」
「あなたは、間違っている!我々をモノだ兵器だと言って使い潰しにするなんて!あなたには人としての情というものがないのですか!?」
「そのようなモノはとうに捨てた。私にとって最も不要なものだな。さて、フレイも居なくなったから、こちらも新たな兵器を作らないとならなくなった。大変面倒なことだね。」
「あなたっていう人は!!」
私は彼に対する尊敬の念は無くなり、怒りと悲しみの念が身体中を覆い尽くした。
「殺気か??お前ごときが私とやり合おうというのかね?」
「あなたは、私の尊敬する軍司令では無かった。死や混沌を招く悪の枢軸だった!!」
「短慮だな。君は全容を全く理解していないようだな。私ほど、この大陸の人々のことを考えている者はいないと思うがね?いいだろう。そう思うなら掛かってくるがいい。そこの女性もなかなかの素質のようだ。その悪の枢軸を止めてみせよ!」
「いいでしょう!あなたのせいで散っていった数々の命を代表して悲劇を終わらせてみせる!!」
「よくここまできたな、ジンディオール…。最初に聞くが、君は本当にジンディオールなのかね?」
目の前に立つのは、漆黒の重鎧を着用した男だった。彼の名は、ザナクゥ。帝国軍司令官である。
私は、この方の前に再び戻れたことに対して素直に感激していた。
しかし、私は一度命を落としている。主や女神さまの力を借りて、奇跡的にこの場に立たせて頂いている。
「お久しぶりです。軍司令。命は落としましたが見事に復活を遂げました。」
私は幼いころから、実験体としてラボに入っていた。そして、成長して魔剣士隊長として彼の隣に並ぶようになった。
彼は昔からフルアーマーを着用しており、私は一度もその素顔を見たことがなかった。
「それは素晴らしいことだな。では、また私の右腕となって働いてくれるということかね?」
彼の声からは、友好的な感情を読み取れた。
私は愚かである。尊敬する軍司令にそのような言葉を頂けたことに喜びを覚えてしまうのだ。
しかし、この体は主のものだ。私の感情だけで動いてはいけない…。
「申し訳ありません。死亡して軍部から除名された身です。ご容赦を…。」
「君がここまで来る際にやったように、軍部の作戦だったと言えば復帰など容易なことだぞ?」
「何故それを!?」
どうやら、軍司令は、軍事施設のチェックを上手に潜り抜けていたことを既に知っていたようだった。
「愚問だな…。私を誰だと思っている?」
(相変わらず隙のない方だ…。)
彼は、戦闘能力も知性もとても優れていた…。
私は、そんな彼に憧れ、彼に追いつくために必死で頑張ってきたのだ。
〘おい!ジンディオール!しっかりしろよ!お前は何のためにここまで来たんだよ!〙
主は司令の前で不甲斐ない私に喝を入れてくれた。
(す、すまぬ…。わかっている。きちんとケジメは果たすさ。)
「軍司令、フレイに…フレイに私の能力を奪わせて、殺害するように命じたのは本当でしょうか?」
「……。それを聞いてどうするつもりだね?」
彼の声が、私の心に突き刺さる。
「ケジメをつけるつもりです。」
「ケジメだと?兵器の分際で生意気を!お前の意思など私や軍には関係のないことだ。だが、お前はもう私の手を離れたモノだ。いいだろう…。」
私は、軍司令を真っ直ぐに見据えた。私の思い過ごしであったと僅かな希望を信じて…。
「君の考えていた通りだ。アレに『ブラックラズリ』を与えたのは私だ。お前の力を奪い殺害させ、代わって部隊を率いるようにと命じた。」
その言葉に、完全に心が砕けるのを感じた。
「馬鹿な!私はあなたの命令に従い、これまで尽くしてきたではありませんか?」
「君は甘いのだ。私はこれまで言ってきたように、素早くこの大陸を統一する必要がある。君は情に流されたせいで、時間を無駄に浪費させていた。だから、君を見限りフレイに任せることにしたのだよ。」
「それならば、普通に私を解任すれば良かったではありませんか!?」
「そう簡単な話ではない。知っての通り魔剣士隊は序列が全てだ。最強魔剣士が隊長を勤めなくてはならない。私は、言う通りに動くフレイをトップにしようと考えていたが、奴は君程の力はない。そこで、隊長として無能な君の能力を、せめて有効活用しようと考えて『ブラックラズリ』を与えたのだよ。」
「そんな…。」
自分が信じ尊敬していた人がこのような考えを持っていたことに驚きと悲しみを覚えた。
「やっとわかったかね?君は欠陥品だ!ただ強いだけのな。その点で言えばフレイは優秀だった。私のやりたいことを予測し、確実に結果を残したからな。結局は、君たちに邪魔されたがな。」
「あなたは、間違っている!我々をモノだ兵器だと言って使い潰しにするなんて!あなたには人としての情というものがないのですか!?」
「そのようなモノはとうに捨てた。私にとって最も不要なものだな。さて、フレイも居なくなったから、こちらも新たな兵器を作らないとならなくなった。大変面倒なことだね。」
「あなたっていう人は!!」
私は彼に対する尊敬の念は無くなり、怒りと悲しみの念が身体中を覆い尽くした。
「殺気か??お前ごときが私とやり合おうというのかね?」
「あなたは、私の尊敬する軍司令では無かった。死や混沌を招く悪の枢軸だった!!」
「短慮だな。君は全容を全く理解していないようだな。私ほど、この大陸の人々のことを考えている者はいないと思うがね?いいだろう。そう思うなら掛かってくるがいい。そこの女性もなかなかの素質のようだ。その悪の枢軸を止めてみせよ!」
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