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第二章 レーナス帝国編
第67話 新たな旅立ち(タキモト視点)
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人探しに行き詰まった私は、冒険者ギルドで依頼をこなすことにした。依頼先はイースラン公国最南端のホセ村だった。
私は村に被害を及ぼしていると言われる巨大イカの魔物を討伐し、依頼を達成したのであった。
「リーナさん、これは魔物の肉じゃろう?本当に食べられるのか?」
「もっちろん!『インフォ』では食べられるって書いてあったから大丈夫!じゃあ、私が先に…!」
「ほふ…ほふ…。うまぁー!やっぱりこれ、イカ焼きだった!皆さんも、食べてみて!」
「リーナさんがそう言うなら…。ほふ…ほふ…。これは…意外に…柔らかくて…美味い!!」
アシュアさんは、私が食べている様子を見て手を付けた。
彼が美味しそうに味わっている様子を見て他の村人も食べ始めた。
「美味い!」「嘘っ!本当に美味しいわ!」「あの外見からは想像つかんのぅ。」
村人たちは、次々とイカ焼きを味わって行った。気がつけばまだ日は真上にあるのに酒盛りが始まっていたのである。
「しかし、凄いのぅ!大きくてあんな凶暴な魔物を一人で倒してしまうのだからのぅ!」
「えへへ…。」
昔から褒められ慣れていない私は何だか照れくさくなってしまう。
「そう言えば、ジンさんもあのゴブリンリーダーを一人で倒していたよ。彼も強かったなぁ。」
「あぁ。彼がいなかったたら村は大変なことになっていたよ。」
(ジンさん?先輩と同じ…。でも、流石にね…。)
「そのジンさんって方は?」
少し気になった私は話に出てきたジンさんについて尋ねた。
「ああ、ジンさんか。ある時、棺に入れられたまま、この海岸に漂着してな。しばらくは、一緒に暮らしてたんだよ。」
「そうそう。アシュアさん家に居候してたんだが、孫娘のジュリアと旅に出ちまったよ。何でもやるべきことが出来たとかいってな…。」
「そうだったんですか…。」
「そうだ!ディオール・フブキさんって知りませんか?」
「ディオール・フブキ?貴族さんか?」
「いえ…。やっぱりいないのかな…。」
「なんだ、リーナさん人探しかい?」
「えぇ。私の旅の目的は人探しなの。」
「ほぅ、そうかい。それなら、もの知りのライズさんか、アシュアさんに尋ねてみるといい。」
「ありがとう!聞いてみます。」
村長のライズさんとアシュアさんは、火の番をしながら果実酒を楽しんでいた。
「おぉ、リーナさん。飲んでいるかの?」
「ありがとうございます!私はお酒弱いからほんの少しだけ…。」
「あんたのお陰で村は救われた。本当にありがとう。」
「いえ。私もこんなに温かな人たちと楽しい時間を過ごせて良かったです。」
私はこの村にきて本当に良かったと思う。種族の違う私にも優しく接してくれ、とても楽しい時間を過ごせたのだ。
人探しが上手くいかず、心が折れそになっていたけれど、この依頼を受けて本当に良かったと思う。
「そうだ!村長さんとアシュアさんに聞きたいことがあって…。」
「何じゃな?」
「ディオール・フブキさんを知っていませんか?」
「はて…貴族さまかの?」
「ディオール・フブキ!?わしは何か聞いたことがあったような…。」
アシュアさんは、何か心当たりがあったらしく、顎に手をおいて考え込んでいる。
「!!思い出したぞ!」
「何じゃ!アシュア!知っておるのか!?」
「ああ、思い出した!ジンさんじゃ!ジンさんじゃよ。ほら、ジンさんが旅立つ時に…。」
「ああ!確かにそんなん言ってた気が…。」
「本当ですか!!」
私はこの旅初めての好感触に胸が高鳴った。
「じゃが、彼が言っていたのは、『ジン・ディオール・フブキ』と言っておった。王族のような長い名前じゃったから記憶に残っていたようじゃ!」
「ジン・ディオール・フブキ…。え!?まさか…風吹 迅??先輩が!?」
確かに女神さまから名前を聞いた時、最初の方がきちんと聞きとれなかった気がしていた。
(もしかして、ディオール・フブキではなくて、ジン・ディオール・フブキだったのかも…。それにしても『フブキ ジン』だとしたら先輩が…。先輩がこの世界に来ているかも知れない!!)
「やほー!やった!!」
「リーナさん!?どうしたんじゃ!?」
「アシュアさん!村長さん!探している人の手掛かり見つかりました!」
「フォフォフォ!そうか見つかったか!」「アハハ!まさか、リーナさんの探し人はジンさんだったとはのぅ…。」
私たちは互いの顔を見合わせて笑いあった。
アシュアさんたちの知っていた『ジンさん』と、私が探していた『ディオール・フブキさん』が『ジン・ディオール・フブキさん』となった瞬間であった。
「それで、ジンさんは一体どちらに?」
「ああ、ジンさんなら孫のジュリアと旅に出たよ!どうやら北の方に用があると言っていた気がする。今頃どこにいるのかのぅ。」
「そうだったのですね!私、追いかけます!」
私はこうしてホセ村の依頼を終え、早速村を後にした。
「また来ますね!次も美味しいホッケイ食べさせてね~!じゃあね~!」
お見送りに集まってくれた村人たちに、私は笑顔で手を振り別れを告げたのであった…。
私は村に被害を及ぼしていると言われる巨大イカの魔物を討伐し、依頼を達成したのであった。
「リーナさん、これは魔物の肉じゃろう?本当に食べられるのか?」
「もっちろん!『インフォ』では食べられるって書いてあったから大丈夫!じゃあ、私が先に…!」
「ほふ…ほふ…。うまぁー!やっぱりこれ、イカ焼きだった!皆さんも、食べてみて!」
「リーナさんがそう言うなら…。ほふ…ほふ…。これは…意外に…柔らかくて…美味い!!」
アシュアさんは、私が食べている様子を見て手を付けた。
彼が美味しそうに味わっている様子を見て他の村人も食べ始めた。
「美味い!」「嘘っ!本当に美味しいわ!」「あの外見からは想像つかんのぅ。」
村人たちは、次々とイカ焼きを味わって行った。気がつけばまだ日は真上にあるのに酒盛りが始まっていたのである。
「しかし、凄いのぅ!大きくてあんな凶暴な魔物を一人で倒してしまうのだからのぅ!」
「えへへ…。」
昔から褒められ慣れていない私は何だか照れくさくなってしまう。
「そう言えば、ジンさんもあのゴブリンリーダーを一人で倒していたよ。彼も強かったなぁ。」
「あぁ。彼がいなかったたら村は大変なことになっていたよ。」
(ジンさん?先輩と同じ…。でも、流石にね…。)
「そのジンさんって方は?」
少し気になった私は話に出てきたジンさんについて尋ねた。
「ああ、ジンさんか。ある時、棺に入れられたまま、この海岸に漂着してな。しばらくは、一緒に暮らしてたんだよ。」
「そうそう。アシュアさん家に居候してたんだが、孫娘のジュリアと旅に出ちまったよ。何でもやるべきことが出来たとかいってな…。」
「そうだったんですか…。」
「そうだ!ディオール・フブキさんって知りませんか?」
「ディオール・フブキ?貴族さんか?」
「いえ…。やっぱりいないのかな…。」
「なんだ、リーナさん人探しかい?」
「えぇ。私の旅の目的は人探しなの。」
「ほぅ、そうかい。それなら、もの知りのライズさんか、アシュアさんに尋ねてみるといい。」
「ありがとう!聞いてみます。」
村長のライズさんとアシュアさんは、火の番をしながら果実酒を楽しんでいた。
「おぉ、リーナさん。飲んでいるかの?」
「ありがとうございます!私はお酒弱いからほんの少しだけ…。」
「あんたのお陰で村は救われた。本当にありがとう。」
「いえ。私もこんなに温かな人たちと楽しい時間を過ごせて良かったです。」
私はこの村にきて本当に良かったと思う。種族の違う私にも優しく接してくれ、とても楽しい時間を過ごせたのだ。
人探しが上手くいかず、心が折れそになっていたけれど、この依頼を受けて本当に良かったと思う。
「そうだ!村長さんとアシュアさんに聞きたいことがあって…。」
「何じゃな?」
「ディオール・フブキさんを知っていませんか?」
「はて…貴族さまかの?」
「ディオール・フブキ!?わしは何か聞いたことがあったような…。」
アシュアさんは、何か心当たりがあったらしく、顎に手をおいて考え込んでいる。
「!!思い出したぞ!」
「何じゃ!アシュア!知っておるのか!?」
「ああ、思い出した!ジンさんじゃ!ジンさんじゃよ。ほら、ジンさんが旅立つ時に…。」
「ああ!確かにそんなん言ってた気が…。」
「本当ですか!!」
私はこの旅初めての好感触に胸が高鳴った。
「じゃが、彼が言っていたのは、『ジン・ディオール・フブキ』と言っておった。王族のような長い名前じゃったから記憶に残っていたようじゃ!」
「ジン・ディオール・フブキ…。え!?まさか…風吹 迅??先輩が!?」
確かに女神さまから名前を聞いた時、最初の方がきちんと聞きとれなかった気がしていた。
(もしかして、ディオール・フブキではなくて、ジン・ディオール・フブキだったのかも…。それにしても『フブキ ジン』だとしたら先輩が…。先輩がこの世界に来ているかも知れない!!)
「やほー!やった!!」
「リーナさん!?どうしたんじゃ!?」
「アシュアさん!村長さん!探している人の手掛かり見つかりました!」
「フォフォフォ!そうか見つかったか!」「アハハ!まさか、リーナさんの探し人はジンさんだったとはのぅ…。」
私たちは互いの顔を見合わせて笑いあった。
アシュアさんたちの知っていた『ジンさん』と、私が探していた『ディオール・フブキさん』が『ジン・ディオール・フブキさん』となった瞬間であった。
「それで、ジンさんは一体どちらに?」
「ああ、ジンさんなら孫のジュリアと旅に出たよ!どうやら北の方に用があると言っていた気がする。今頃どこにいるのかのぅ。」
「そうだったのですね!私、追いかけます!」
私はこうしてホセ村の依頼を終え、早速村を後にした。
「また来ますね!次も美味しいホッケイ食べさせてね~!じゃあね~!」
お見送りに集まってくれた村人たちに、私は笑顔で手を振り別れを告げたのであった…。
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