25 / 81
第一章 ジンディオールの復讐編
第25話 冒険者ギルド
しおりを挟む
私たちはついにイースラン公国の公都フェルナンドに到着した。
フェルナンドは中世ヨーロッパの世界観がそのまま具現化されたような美しい街だった。
古風な建物や石畳の道が整然と並び、モダンな要素も見受けられた。
私はこれぞ異世界な景観に感動した。
ジュリアも村とは全く異なる大都会の光景に目を輝かせていた。
身分証を持たない私たちは、正門の兵士に勧められて冒険者ギルドで作成することにした。
街道沿いにあるということで、街の景色を楽しみながら歩き続けた。
この都市には、エルフやドワーフ、獣人などの亜人種や、ヒューマンなども多く住んでいるようだった。
街の至る所で多種多様な人種が見られた。
私たちは兵士に言われた通りに街道をまっすぐ進んだ。
やがて、冒険者ギルドと書かれた建物が目に入った。
◇ 冒険者ギルド ◇
冒険者ギルドは街の景観に溶け込むような外観をしていた。
私たちは中に入ると、奥のカウンターから元気な声が聞こえた。
「いらっしゃいませ!」
どうやら受付の女性が私たちに気づき、声をかけてくれたらしい。
私たちはギルドホールの様子をキョロキョロと見回しながら受付の方に向かった。
ホールには様々な人々がいた。
掲示板のような場所には、多くの人が集まり依頼を確認しているようだった。
(仕事を探しているのだろうか?)
また、隣接している酒場にはお酒を飲みながら談笑している人々の姿もあった。
(昼間から飲むのが異世界流なのだろうか?)
カウンターの女性と話し込む人の姿もあった。
(この受付では一体どんなことをするのだろうか?)
色々な人々が色々なことをしており、何だか面白いなと感じた。
私たちは空いている受付のカウンターに向かい、担当の女性に声をかけた。
「いらっしゃいませ!本日はどのようなご用件でしょうか?」
丁寧な言葉をかけてくれたのは、猫耳の獣人の女性だった。
容姿もスタイルも良く、異世界の女性は素晴らしいと思わずにはいられなかった。
「身分証明証を発行してもらいたくて来たんだが…。」
「そうでしたか。では、冒険者にご登録ということになりますが、大丈夫でしょうか?」
予想はしていたが、冒険者ギルドで身分証明証を作るということは、冒険者になるということだ。
私はジュリアの方に目を向けた。
ジュリアは私に目を向けてゆっくりと頷いた。
ジュリアは覚悟ができているようだった。
私も彼女に頷き返した。
「ああ。冒険者になろうと思う。登録をお願いできるか?」
「かしこまりました!喜んでご登録のサポートをさせていただきます。私はギルド職員のサニーと申します。」
「私はジン。こちらはジュリアだ。よろしく頼む。」
「では、まずはこちらにご記入ください。」
渡されたのは一枚の用紙だった。
名前や性別や年齢など一般的な情報を書くだけだった。
私にはジン・ディオール・フブキという立派な名前がある。
しかし、セカンドネームなどの長い名前は、貴族などの身分が高い者であることを意味することをジンディオールの記憶から知っている。
私はシンプルに『ジン』とだけ記入した。
年齢は18歳。性別は男性と記入した。
地球では42歳だったことが少し懐かしい。
「はい。これで記入は終わりです。では、次にこの球体に手を触れてください。」
サニーさんが取り出したのは、透明な球体だった。
「これは?」
「こちらは、犯罪歴を確認するものです。当然ですが、犯罪者を冒険者にすることはできませんので…。」
私たちは交互に球体に触れた。球体は少しだけ光を放つと、すぐに明かりは消えた。
「はい、二人とも合格ですよ!これからギルドカードの作成をします。待っていただいている間に冒険者について説明しますがよろしいですか?」
「構わない。よろしくお願いする。」
私たちは、サニーさんから冒険者についての様々な知識を教えてもらった。
冒険者は、魔物や盗賊の討伐や、護衛任務を行ったり、様々な素材採取や獣の狩りなども行う。
掃除や運搬などの雑用もあるので、依頼さえあれば何でもやるのだそうだ。
そして、冒険者はその実力をランクによって分類される。
Eランクから始まりトップクラスはSランクとなる。
私たちはEランクになるのだと言う。
様々な依頼をこなし、その実力が認められればランクが上がるのだという。
その他にも冒険者ギルドのルールなども存在し、ルール違反をすると罰金やランクダウンなどのペナルティもあるとのことだった。
「いかがでしょうか?おわかりいただけましたか?」
「ああ。よくわかったよ。ありがとう。」
「カードも完成しました。ジンさんのカードと、ジュリアさんのカードです。お受け取りください。」
サニーさんに礼を述べて受付を後にした。
掲示板の依頼が気になるが、長旅による疲労も蓄積しており、今日は宿屋で休むことにした。
◇ 宿屋 銀湖 ◇
「なぜジュリアまで同じ部屋で同じベッドなんだ?」
「いいじゃないですか!旅を共にする仲ですもん!」
「いや、だがな…。」
若い娘が同衾など、どうしたものか…。
42歳のオッサンには刺激が強いというか、なんというか…。
「ジンさん、私と同じベッドは嫌ですか?」
(ジュリア、涙目で見るのは反則だぞ!)
「いや、そんなことはない。そんなことはないんだ…。」
「うふふ。じゃあ、一緒に寝ましょ!」
私は微動だにできずに眠れない夜を過ごしたのであった…。
フェルナンドは中世ヨーロッパの世界観がそのまま具現化されたような美しい街だった。
古風な建物や石畳の道が整然と並び、モダンな要素も見受けられた。
私はこれぞ異世界な景観に感動した。
ジュリアも村とは全く異なる大都会の光景に目を輝かせていた。
身分証を持たない私たちは、正門の兵士に勧められて冒険者ギルドで作成することにした。
街道沿いにあるということで、街の景色を楽しみながら歩き続けた。
この都市には、エルフやドワーフ、獣人などの亜人種や、ヒューマンなども多く住んでいるようだった。
街の至る所で多種多様な人種が見られた。
私たちは兵士に言われた通りに街道をまっすぐ進んだ。
やがて、冒険者ギルドと書かれた建物が目に入った。
◇ 冒険者ギルド ◇
冒険者ギルドは街の景観に溶け込むような外観をしていた。
私たちは中に入ると、奥のカウンターから元気な声が聞こえた。
「いらっしゃいませ!」
どうやら受付の女性が私たちに気づき、声をかけてくれたらしい。
私たちはギルドホールの様子をキョロキョロと見回しながら受付の方に向かった。
ホールには様々な人々がいた。
掲示板のような場所には、多くの人が集まり依頼を確認しているようだった。
(仕事を探しているのだろうか?)
また、隣接している酒場にはお酒を飲みながら談笑している人々の姿もあった。
(昼間から飲むのが異世界流なのだろうか?)
カウンターの女性と話し込む人の姿もあった。
(この受付では一体どんなことをするのだろうか?)
色々な人々が色々なことをしており、何だか面白いなと感じた。
私たちは空いている受付のカウンターに向かい、担当の女性に声をかけた。
「いらっしゃいませ!本日はどのようなご用件でしょうか?」
丁寧な言葉をかけてくれたのは、猫耳の獣人の女性だった。
容姿もスタイルも良く、異世界の女性は素晴らしいと思わずにはいられなかった。
「身分証明証を発行してもらいたくて来たんだが…。」
「そうでしたか。では、冒険者にご登録ということになりますが、大丈夫でしょうか?」
予想はしていたが、冒険者ギルドで身分証明証を作るということは、冒険者になるということだ。
私はジュリアの方に目を向けた。
ジュリアは私に目を向けてゆっくりと頷いた。
ジュリアは覚悟ができているようだった。
私も彼女に頷き返した。
「ああ。冒険者になろうと思う。登録をお願いできるか?」
「かしこまりました!喜んでご登録のサポートをさせていただきます。私はギルド職員のサニーと申します。」
「私はジン。こちらはジュリアだ。よろしく頼む。」
「では、まずはこちらにご記入ください。」
渡されたのは一枚の用紙だった。
名前や性別や年齢など一般的な情報を書くだけだった。
私にはジン・ディオール・フブキという立派な名前がある。
しかし、セカンドネームなどの長い名前は、貴族などの身分が高い者であることを意味することをジンディオールの記憶から知っている。
私はシンプルに『ジン』とだけ記入した。
年齢は18歳。性別は男性と記入した。
地球では42歳だったことが少し懐かしい。
「はい。これで記入は終わりです。では、次にこの球体に手を触れてください。」
サニーさんが取り出したのは、透明な球体だった。
「これは?」
「こちらは、犯罪歴を確認するものです。当然ですが、犯罪者を冒険者にすることはできませんので…。」
私たちは交互に球体に触れた。球体は少しだけ光を放つと、すぐに明かりは消えた。
「はい、二人とも合格ですよ!これからギルドカードの作成をします。待っていただいている間に冒険者について説明しますがよろしいですか?」
「構わない。よろしくお願いする。」
私たちは、サニーさんから冒険者についての様々な知識を教えてもらった。
冒険者は、魔物や盗賊の討伐や、護衛任務を行ったり、様々な素材採取や獣の狩りなども行う。
掃除や運搬などの雑用もあるので、依頼さえあれば何でもやるのだそうだ。
そして、冒険者はその実力をランクによって分類される。
Eランクから始まりトップクラスはSランクとなる。
私たちはEランクになるのだと言う。
様々な依頼をこなし、その実力が認められればランクが上がるのだという。
その他にも冒険者ギルドのルールなども存在し、ルール違反をすると罰金やランクダウンなどのペナルティもあるとのことだった。
「いかがでしょうか?おわかりいただけましたか?」
「ああ。よくわかったよ。ありがとう。」
「カードも完成しました。ジンさんのカードと、ジュリアさんのカードです。お受け取りください。」
サニーさんに礼を述べて受付を後にした。
掲示板の依頼が気になるが、長旅による疲労も蓄積しており、今日は宿屋で休むことにした。
◇ 宿屋 銀湖 ◇
「なぜジュリアまで同じ部屋で同じベッドなんだ?」
「いいじゃないですか!旅を共にする仲ですもん!」
「いや、だがな…。」
若い娘が同衾など、どうしたものか…。
42歳のオッサンには刺激が強いというか、なんというか…。
「ジンさん、私と同じベッドは嫌ですか?」
(ジュリア、涙目で見るのは反則だぞ!)
「いや、そんなことはない。そんなことはないんだ…。」
「うふふ。じゃあ、一緒に寝ましょ!」
私は微動だにできずに眠れない夜を過ごしたのであった…。
1
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説
喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜
田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。
謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった!
異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?
地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。
冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
婚約破棄騒動に巻き込まれたモブですが……
こうじ
ファンタジー
『あ、終わった……』王太子の取り巻きの1人であるシューラは人生が詰んだのを感じた。王太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動に巻き込まれた結果、全てを失う事になってしまったシューラ、これは元貴族令息のやり直しの物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる