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第一章 ジンディオールの復讐編

第24話 キャスティール王国王城戦(フレイ視点)

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いちしき魔剣乱舞まけんらんぶ!』

 ジュアンは、魔力を高めて斬り掛かる。

《キン!キキーン!》

 魔力が高まったことで、攻撃の威力いりょくや速度が向上したようだ。

 更には、すきの少ない連続攻撃によって、敵の騎士レイヒムは防御するので精一杯せいいっぱいのようである。

「くっ…強い。」

「あんたも口だけじゃなくて、なかなかやるようだな!俺の魔剣乱舞で倒せなかったのは、魔剣士隊の先輩以外なら初めてだ。」

「それは光栄こうえいだ…な!!」

《ブンッ!》

 ジュアンの魔剣乱舞が終わるタイミングをはからって反撃の一撃がジュアンを襲うが、ってレイヒムの剣は空を切った。

見事みごとだが、私は君たち全員を相手にしなくてはならない…。申し訳ないが、ここからは本気でやらせて貰おう!ジュアンだったか?若者わかもの相手でも敵は敵だ!手は抜かぬぞ!」

「来いよ!オッサン!かくの違いを見せてやるぜ!『弐式にしき炎刃剣えんばけん!』」

 ジュアンは、ほのおの魔法を剣に付与ふよして、炎の剣を作り出した。

「ほう…そんなことができるのか!ならこちらは『身体強化ブーストアップ!』『ちょう身体強化ブーストアップ!』行くぞ!『疾風迅雷しっぷうじんらい!』」

《シュン!》

 レイヒムは、地面を強くり出すとジュアンに向かってダッシュした。

 その速度は、先程見せた彼の速度とは雲泥うんでいの差があり、気がつけばジュアンの後方まで一気に移動していた。

 良く見ればジュアンの首筋には、うっすら線のようなものがかび上がっていた。

 やがて、そこから一気に血が飛び散り、首が胴から離れて地面に落下していた…。

「ジュアン!」「糞ヒューマン!よくも!」「ジュアンが…まさか!」「死んじまった!ジュアン!!」

 ジュアンは、自分が殺られたこともかずに一瞬の攻撃で倒されたのである。

 私はあやまってしまった…。

 レイヒムとジュアンの力量りきりょうの差をけなかったのだ。

 レイヒムは、身体能力を飛躍的ひやくてきに向上させるすべを持っていた。

 我々魔剣士も、魔力で身体能力を向上させるすべを持っている。

 しかし、身体能力を並の人間より強化する程度で、レイヒムのような特別なスキルにはかなわない。

 彼のような能力向上型のスキルを持つ者は、この大陸ではきわめて希少きしょうな存在である。

 私が知るかぎりでは、ジンディオールの『魔剣士:極』の能力くらいだろう。

 レイヒムは相当そうとう強く、ジュアンでは到底とうていおよばなかったのだ。

 実力的じつりょくてきにも我が隊員でも上位の者に匹敵ひってきするかも知れない…。

「良くもやってくれましたね!」

 私はいかりに打ちふるえていた。

「どの道貴様きさまら全員を相手にする必要があるんだ。構わん、全員でかってこい!」

「んだと!?」「ふざけんな!ヒューマン風情が!」「舐めていやがる!」「おい!おめーら!ジュアンの仇討ちだ!」「おう、やってやんぜ!」

「待ちなさい!!」

「フレイ隊長!?」

「皆さんの気持ちはわかります!私も同じ想いです。しかし、この男は格が違います!あなた方がたばになって掛かっても、無駄に命をらせるだけでしょう。ここは私に任せて頂けますか?」

「わかったぜ、フレイ隊長!」「本気のフレイ隊長の力が見れるぜ!」「大陸最強だからな!」「ジュアンのかたきってくれ!」

(レイヒムは強い…。極度きょくどに身体能力を高め、瞬足しゅんそくにより一瞬いっしゅんで間合いをめ、より強化された腕力で斬りつける。普通の人間なら歯が立たないでしょう。ですが…。)

「レイヒムとやら。隊長である私が相手をして差し上げます。私が負ければ恐らく帝国にあなたに勝てる者はいないでしょう。ですが、私は負けるつもりはありませんよ!」

「いいだろう…。相手になってやる!『身体強化ブーストアップ!』『超・身体強化ブーストアップ!』」

「『魔剣士:きわみ』の実力を見せて差し上げます。」

「『玖式きゅうしき鬼神喰きじんぐい!』『魔・伍式ごしき修羅しゅら瞬脚しゅんきゃく!』『魔・壱式いちしき地獄魏斬じごくぎざん!』」

 私は魔力を高め、『魔剣士:極』によって得た能力を使用した。

 ずっとあこがれ、嫉妬しっとしていたジンディオールの能力をうばい、自分の物にした今、私がこの大陸最強なのだ。

「やあ!!」「はあ!!」

 私とレイヒムは同時に攻撃に動いた。

 互いに身体能力を極限まで高めており、その勝敗は一瞬のものだった。

《ズシュッ!》

 互いにそれぞれが元いた位置まで移動していた…。

 それ程に素早い移動であった。

 仲間や王たちからの視線が集まるのを感じる。

 私は剣に着いた血を地面に払い、剣を納めた。

「ぐぁぁぁ!」

 勝敗はきっした。

 レイヒムは頭から胴体に至るまで真っ二つに切断されて絶命ぜつめいした…。

 一瞬の出来事できごとだった。

「うぉー!」「隊長!すげぇ!」「やはり大陸最強は伊達だてじゃねぇ!」「一生いっしょうついていくぜ!隊長!」

「うわぁ!勇者さまー!」「勇者さまが殺されてしまった!?」「何ということだ!この国はもうおしまいだ!」

(あのレイヒムが勇者ですって!?なるほど…どおりで強い訳です。だが、私は勇者に勝利した!やはりこの力は素晴らしい!奴から奪って正解でしたね。)

「さて、終わりましたねぇ。それでは、後始末あとしまつとしますか…。」

 私や魔剣士隊員たちは、ゆっくりとしたあしりで玉座へと向かう。

「やめて!陛下を殺さないで!」「やめてくれ!」「降服こうふくする!だから陛下だけは…。」

「残念です…。私は最初に言いましたよね?降服して王を引き渡しなさいと。それを断ったのはあなた方ですよ!」

 私は、ゆっくりと手をあげた。

 合図を確認した魔剣士隊員たちは、王以外の人々を全て斬り殺している。

 私は再び剣を構えるとその剣先を…。

「来ないで!嫌だよ~!ぎゃぁぁぁ!!」

 キャスティール王国は、この時を境に歴史の表舞台おもてぶたいから姿を消したのであった…。
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