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第一章 ジンディオールの復讐編

第9話 決着

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 ゴブリンリーダーのスキル『シールドS』は、私の攻撃を無効化むこうかする強力な防御力を持っていた。

 しかし、その弱点を見抜き、対策を教えてくれた謎の声のおかげで、ついに突破口とっぱこうを見つけることに成功した。

 シールドSは破壊した。

 もはや私の攻撃をはばむものは何もない。

 今こそ、反撃の時がやってきた!

(それなら、新しく覚えたスキルを使ってみようかな…。)

 私は、剣術レベルが6に上がった時に獲得したスキルがあることを思い出した。

四神斬ししんざん』というスキルだ。

 このスキルは、四柱よはしらの神からほんの少しだけ力を借りて、四回の連続攻撃で敵にダメージを与える技である。

 不思議なのだが、使うと決断した途端とたんに、技の性質や使い方が頭に浮かんできた。

(すごいな!自然と使い方を理解してしまったぞ!早速使ってみよう。)

「行くぞ!『四神斬!』」

 私は地面を強くり上げて、ダッシュする。

 その足には不思議な力が宿やどり、またたくく間に相手との距離をめた。

「クッ!なんと言う速さダ!」

いちの剣:風!」

 私の剣は疾風のように素早く相手にせまり、横から一閃いっせんした。

 それは風神のやいばであり、ゴブリンリーダーの胸部に深い傷をきざんだ。

「グォォォ!」

 ゴブリンリーダーは激痛げきつうえた。その胸からは激しく体液が飛び散った。

の剣:きば!」

 私の剣は象の牙のように強く、そして鋭い突きを放った。

 それは象神の牙であり、ゴブリンリーダーの腹部をつらぬいた。

「ギャァァァ!」

 ゴブリンリーダーはさらに悲鳴を上げた。

 私は躊躇ためらうことなく次の攻撃に入る。

さんの剣:つばめ!」

 私の剣は上段から振り下ろした後、素早く下から上方に突き上げた。

 それは鳥神の翼であり、軌道がつかめない攻撃は、ゴブリンリーダーの回避を不可能にしていた。
 
「ウォォォッ!」

 ゴブリンリーダーは驚愕きょうがくと恐怖に顔をゆがめた。

 腹部から首筋まで深い傷が付いており、そこから体液があふれ出していた。

「ま、マテ!こ、降参ダ!」

 ゴブリンリーダーは、死の恐怖におびえ、許しを求めようと必死に懇願こんがんしたが、残念ながら同情心も慈悲じひの心も芽生めばえなかった。

笑止しょうし!最後はの剣:いかずち!」

「く…クソッタレガァ!」

 私の剣は雷が落ちるように頭上から思い切り叩き切った。

 それは雷神のつちであり、ゴブリンリーダーを真っ二つにした。

「ギャァァァ!」

 四度の攻撃が効果的に発揮され、ゴブリンリーダーは絶命した。

 初めて『四神斬』を完全に自分の物にした瞬間しゅんかんであった。

 目の前には、恐ろしいほど強大な敵がみじめな姿で横たわっている。

 その光景を見て、信じられない気持ちと安堵感あんどかん交錯こうさくした。

「本当に倒せたのか…。信じられないな。」

 ゴブリンリーダーの悲鳴に反応して、村人たちがってきてくれた。

「おおおお!まさか!ジンさん、あんな化け物を倒したのか?」

「ああ、皆さん。こいつはゴブリンリーダーと言うらしい。とても強かったよ。危ないところもあったんだけど…。」

「すごいぞ!」「やったね!」「信じられないよ。」「これで村は安心だね!」

 村人たちはゴブリンリーダーが倒されたことに驚きと喜びを表し、私の活躍をたたえてくれた。

『レベル14→18にアップしました。』
『スキル『異空庫いくうこ:レベル1』を獲得しました。』
 
 また急激なレベルアップと新しいスキルを得てしまったらしい。

(レベルは一つずつ上がるものじゃないのか?それに異空庫って何だろう?)

 レベルはともかく、異空庫が気になったので、その場で調べてみることにした。インフォのスキルなら簡単にわかるはずだ。

《異空庫》
 異次元空間と繋がり、様々な物を出し入れできる能力。容量や機能はレベルによって変化する。

「おお、凄い!これは、異世界ラノベに登場するあの能力か!」

「ん?ジンさん?どうしたんだ?突然大騒ぎして…。」

 私は驚きと興奮によって、大声でつぶやいてしまい、村人たちに変な目で見られてしまった…。
 
「あっ、今のは独り言だ。申し訳ないが、もう少しだけ待っていて貰えるか?」

 私は早速『異空庫』を使ってみた。

 ゴブリンリーダーの死体を持ち帰りたかったからだ。魔石や素材が後で役立つかも知れない。

《シュンッ!》

「わあ!何だ!怪物の死体が消えたぞ!」「ええ!?一体何が起こったんだ?」「びっくりしたよ!今のはジンさんがやったのか?」

「ああ。『異空庫』という能力を使ってみたんだ。どうやら異次元空間いじげんくうかんに物を保管できるみたいなんだ。」

「なんだそれは!?凄い能力だな?」「まるで英雄みたいだよ。」「本当だね。」「聞いたことのない能力だ。」

 村人たちも驚いていたが、使った自分も驚きを隠せなかった。

(小説や漫画で見たことのあるチート能力を自分が扱えるとは…。)

 その後、私たちはゴブリン巣窟内を念入ねんいりに探索たんさくして、残党ざんとうがいないことを確認した。

 獣の死体や、汚物おぶつなど目に余るものばかりだったが、ゴブリンの集団を完全に殲滅せんめつしたのは確かだった。

 私たちは、ようやく目的を果たした。誰一人欠けることなく村へ帰ったのだった…。
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