ランク外の最弱職スマホマスターが実は最強だった話。

飛燕 つばさ

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第一章 覚醒

2話 前世の記憶とジョブの異能

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(前世の記憶の断片)

 俺は、北条 響 (ほうじょう ひびき) 。東京でサラリーマンをしていた。若い頃は、イケメンと評判だったこともあったが、陰キャでゲームオタクだったことが災いし、生涯女性に縁がないまま他界した。

 仕事で得た収入は、殆どがゲームの課金へと流れて行った。ゲームは、複数やっていたが、中でもWWGが一番のお気に入りであった。そういえば、俺は何故死んだのだったか…。

ーーー

 俺は、気づくと地面の上に倒れていた…。

 辺りを見渡してみる。ここは、先程の大穴トンネルのあった場所である。不思議なことに、目の前にあったはずのトンネルは、綺麗さっぱり消えていて、山の岩肌が見えているだけであった…。

「あれ、確かにあったはずなんだけどな。」

 不思議なこともあるものだ。先程目にしていた世界は、紛れもなく現実であったと五感がそう告げているのだが、元々何も無かったかの様に、トンネルも何もかもが無くなっていたのである。

 しかし、先程の出来事がきっかけとなり、今まで眠っていた前世の記憶が、ある程度は蘇った様である。その結果、これまで全く使い方が分からなかった、『スマホマスター』のジョブの使い方が、スッと頭の中に入って来た様な気がした…。

「よし!一度試してみるか…。」
 
 流入して来た知識によると、スマホにおける異能の使用は、全て真名まなで命ずる必要があるらしい。真名は、前世の俺の名前「北条 響」だ。よく、ファンタジーの世界では、真名を隠すように言われているが、このスマホマスターには、その常識は当てはまらない。スマホマスターの場合の真名は、他から一切干渉されないマスターだけの最強の名となる。

 そして、スマホの能力には、通常アプリと異能スキルアプリとに分かれている。異能アプリは、異能力を行使するので、真名でスマホに命ずることが鍵となる。
 
「 北条 響 が命ずる!顕現せよ!スマートフォン!」
 
Shun!

 俺の呼び掛けに反応して、表れたのは、スマートフォンだった。この世界には無い素材。そして、この完成された形状と艶感。前世で使用していた様なスマホが、今、この手の中に収まった。これが、俺の能力の1つ"スマホ召喚"である。


「この手に馴染む感触…何と懐かしいことか。」

 俺は、スマホを手に取り確認する。いくつかのアプリケーションがインストールされている様だが、殆どのアイコン表示がグレー色になっており、起動が制限されている印象を受ける。 電気供給ができない代わりに、大気中の魔素を利用して動く仕組みのようだ。充電が不要であることは、大変有難い。

「現在使えそうなアプリは…。」「お、これは!WWGウォーウォージーではないか。懐かしい。」

 俺が前世で廃課金した、WWG (War World Girls)のアプリが使用可能な状態で存在していた。
 
(俺が死んでどれくらい経つのか…。流石にWWGのサービスは終わっていると思うが…。)

 俺は、不思議に思いながも、アプリのアイコンをタッチせずにはいられなかった。

 アプリが起動すると、突然見知ったキャラの姿が見えていた。

(えっ!?いきなりかよ。オープニングの画面とかは無し?あの背景は、傭兵団ギルドか…。)

「あ、来た来た!団長~!みんな、団長だよ~!」「えっ!なになに…。あっ、団長だ!」「団長おひさ~!」「ちょっと私に代わってよ。」

(何やら凄く賑やかになっているのだが…。ビデオ通話的な感じか?団長ってまさか、俺のことなのでは…。)

 画面よりこちらを覗き込むように写っているのは、非戦闘員で案内役のナビィ。そして、LRキャラのリヨン。SSRキャラのアセラと、ルルカであった。

「もしかして、俺はスマホ越しに君達と会話をしている?」

「団長、そうだよ。」

「通じた!?マジ~!?」

(俺は、何とゲームキャラクターと会話しているらしい。一体どんな仕組みなのだろうか…。)

 このスマホマスターのジョブは、扱い方が分からない最弱職のジョブだと言われていた。しかし、扱い方が少し分かった今…。このジョブは、他のジョブとは異なる不思議な力を秘めていると感じたヒビキであった…。

ーーー to  be continued ーーー
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