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第6章 地下ドワーフ編

第124話 ドワーフ王国(王との謁見)

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「社長、王様の説得に成功したぜぇ。王様との謁見ができるんだぜぇ。」

「本当ですか!メサ、お手柄ですよ!」

 メサの奮闘により、かつてないほど困難と思われたドワーフ王国への入国の足がかりを得た。

 王様と対面できれば、入国の許可を得られる可能性が高まるだろう。

 我々エチゴヤ旅団は、まだ入国は果たしていないが、王様と会うために地下入口から王宮へと向かうことになった。

 ラング隊長を筆頭とする兵士たちが我々を監視しながら護衛してくれる。

 地下入口からは馬車で移動する。

 トンネルは広くて明るく、馬車がすれ違えるほどの幅があった。

 地下に続くトンネルは、緩やかな坂が螺旋状に続いている。

 その分、移動距離は長くなるが、馬に負担をかけないように配慮されているのだろう。

 トンネルを抜けると目の前には、地下都市が広がっていた。

 天井は高く、街は広大だった。

 こんなに大きな規模の都市が地下に存在するなんて想像もつかなかった。

 王都ミキもファンタジー要素満載の景観であるが、このドワーフの地下王国も違ったタイプのファンタジー要素の景観であった。

 私は目の前の光景に圧倒されていた。

 馬車は、兵士が御者を務め、我々は荷台に乗っていた。

 他種族がその辺をウロウロしたら街の人々が驚くだろうから、配慮したのだろう。

 馬車は、最短ルートで王宮へと進んでいるようだった。

 それでも荷台からは様々な街の様子を見ることができた。

 当然ながらドワーフ族しか存在しない街である。

  小さな鍛冶屋や魔道具の工房などもあり、馬車の窓からその様子がほんの少しだけ見えた。

 ハンマーで金属を叩き伸ばしている姿などはまさにドワーフらしくて興奮が沸き起こった。

 この地下王国を目にできただけでも来た甲斐があったと思った。

 馬車は、王宮で停止した。

 念の為にオグリンキャップや馬車は『異空館』に待機させた。

 私や馬車が、突然目の前から消えた瞬間を目撃した兵士はさぞ驚いただろう。

 王宮は地下の岩盤を加工して建てられており、堅牢さと豪華さを兼ね備えていた。

 建物の広さも十分で、王宮らしい威厳も感じられた。

 内部は綺麗な石材で仕上げられており、大理石のような高級感を漂わせていた。

 兵士の案内により王の間に連れて行かれた。

◇ 王の間 ◇

 我々は、王のいる玉座の前に立たされた。その後王が現れると、片膝をついて王に敬意を表した。

「そなたらがメサの仲間か。よく来たな。我はこのドワーフ王国の王、ルドルフ・フォル・ガースである。」

 王は、ドワーフにしては大柄で、鍛え抜かれた肉体は強者の風格が漂っていた。

 そして、低く大きな声に圧倒されそうだった。

「謁見のご機会を頂き、誠にありがとうございます。私はローランネシア王国の商人、サカモト・レイと申します。」

「うむ。メサの主人だそうだな。メサがそなたの能力を高く評価しておる。興味が湧いたぞ。メサから聞いた話では、魔王が現れるというのだが。それは本当か?」

「は、はい。世界を統べる神からの神託を受けました。間違いございません。」

「ふむ。だが、我は王として責任がある。それを真に受ける訳にはいかぬ。我を納得させよ。」

「そうですね…。」

(難しい問題を投げかけられた…。正直、魔王に会ったこともない俺に王様を納得させる材料はないと思うが…。)

〘 マスター、魔王の存在を示すものはありませんが、間接的に魔王の誕生を予感させる道具はお持ちですよ。〙

(そうか、魔剣や魔族のドロップアイテムだね。)

〘 肯定します。〙

「ルドルフ陛下、この場に証拠となる品を出現させます。」

 私は、タイゲンカバンから魔剣や魔族を倒した際に手に入れたアイテムを瞬時に移動させた。

「な!なんだと!そなた、何をした!?」

「失礼しました。魔法のカバンから道具を出したのです。」

「魔法のカバンだと!まさか、マジックバッグか?」

「え、ええ。そうです。」

「驚いたわい。初めて見たぞ。なるほど、ただ者ではなさそうだな。それから、その禍々しい気配は…。」

「はい。私が作った魔剣と、魔族を倒した際に得られたアイテムです。魔族の存在こそが魔王の誕生を示唆する証拠でございます。」

「なんと!魔剣に魔族のアイテムか…確かに鑑定するまでもなく分かるぞ。すまぬが魔剣を触ってもよいか?」

「あ、はい。長時間は危険 ですが、少しの時間であれば問題ありません。」

「ふむ。感謝する。」

 王様は、手に取って感触を確かめたり、剣の造りを入念に観察したりした。

「これは見事な剣だ!丈夫で鋭く、しかも能力を向上させる効果もあるようだな。こんな凄まじい剣は初めて見たぞ。どうだ?我に売らないか?白金貨3枚は出すぞ!」

「申し訳ありません。魔剣につきましては魔族との戦いや、魔王との対決のための武器として用意しております。売り物にする予定はございません。」

「そうか…それなら仕方ないな。まあ、良い。そなたの話は信じよう。では、聖剣の話はどうだ?実在するのか?」

「はい。現在は存在しておりませんが、かつて勇者が使っていた聖剣の作成方法は手に入れました。魔王と対峙する際には必要ですから、聖剣の素材を集めるためにこの国にやってきました。」

「ほう…聖剣が作れると言い切るか。ガハハ!ドワーフ王を目の前にして大胆な奴だ!では聖剣の素材は我が国にあるというのか?」

「はい。調査して探索することになりますが、『コスモニウム』と『アダマンタイト』が必要でございます。」

「どちらも極めて希少な物だな。我々でもそう簡単にお目にかかれるものではないぞ!」

「はい。承知しております。しかし、これは私が神から託された使命でございますので、何としてもやり遂げてみせます。」

「あいわかった!そなたの志しは高く評価するぞ。『エチゴヤ』の入国を特例として認め、鉱物採取には王国も全面的に協力しよう。」

「本当でございますか!ありがとうございます!」

「やったー!王様、感謝するぜぇ!」

 どうやら入国の件は上手く事が運んだようだった。

 さらに採掘に関する国の協力が得られたことは非常に大きい。

「さて、サカモトよ。ビールだ!」

「はい?」

「ビールを売ってくれないか?」

「ああ。はい…。」

 こうして、我々エチゴヤ旅団は正式に入国を果たした。

 しかし、まだ入国を果たしただけで何もできていない。これからが正念場であることは言うまでもなかった…。

― to be continued ―
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