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第4章 魔人アモア編
第80話 ダンジョンの守り手
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◇ ダンジョン 地下七階 北側ポイント ◇
ついに北側のポイントに到着した。そこは岩壁で囲まれた広場で、マップの最北端だった。そこに待ち受けていたのは、ゴーレムらしき巨大な敵だった。しかし、それだけではなかった。ゴーレムの足元には、子供くらいの背の魔族がいた。一般的にゴーレムは自我を持たない人形であり、近くにいる魔族が作り操っているのだと思われる。
ゴーレムは、私が想像していたものと違っていた。土や岩でできていると思っていたが、それは美しい輝きを放つシルバーカラーだった。冷たく硬い質感が伝わってくる。鋭利なエッジが光る。体長は2.5メートルはあるだろう。
「主よ。倒しがいのありそうな相手だな。だが、あれは硬そうだ。通常武器では通らないかも知れないぞ。」
私は『鑑定スキル』で相手の情報を探った。
- 名前:ミスリルゴーレム
- 性別:なし
- 年齢:不明
- 種類:ゴーレム
- 能力:なし
- 名前:ゲルル
- 性別:なし
- 年齢:496
- 種類:魔族(中級)
- 能力:ゴーレム作成 ゴーレム使い 魔術工学 隠密
- 説明:魔族技師でミスリルゴーレムの製作者。
やはりあのゴーレムはミスリル製だったか。ミスリルはこの世界で上位の部類に入る硬さと魔法耐性を持つ金属だとタイゲンさんの書籍に書いてあった。これって倒せるの?私は正直不安になった。
しかし、この敵が守護者であるならば、乗り越えなければサルバネーロの住民を救えない。私は気合を入れて攻撃の準備を整える。
「皆さん。あのゴーレムの素材はミスリルです。硬い上に、魔法耐性があります。ですが、ここで負ける訳には行きません。力を貸して下さい!リヨンさん、アッシュさん、ミミは魔剣装備でお願いします!」
「御意!レイ様の御心のままに!」
「燃えるぜ!任せとけ!」
「にゃにゃ!任せてにゃん!」
「成長した私の力をレイ君に見せてあげる!」
「まったく…やれやれじゃのう!」
エチゴヤのメンバーが一斉に攻撃に入る。ゲルルという魔族技師は『隠密スキル』で姿を消してしまったようだ。『魔術工学』というスキルが何をするものか分からないし、中級魔族ということもあって、油断できない。
最初に動いたのはミリモルさんだった。土魔法『ロック』で巨大な岩の塊をゴーレムにぶつける。岩の塊は重くて速くて強力だ。普通の人間なら回避も困難だろう。ゴーレムは巨体のために回避ができない。岩の塊はゴーレムに直撃した。《バーン!》と激しい音と砂煙が舞い上がる。
しかし、ゴーレムは無傷だった。砕け散った岩の塊が地面に転がっているだけだった。
「むう。やはり効かんか…。硬いのう。」
「お師匠、次は私が!『マギナ!』」
ゴーレムの目の前に赤黄色に光る球体が現れた。赤黄色の球体は膨張していき、やがて…
《 ズドーーン!! 》
大爆発した!爆風が激しく、空気が震えるのが伝わってくる。
「どう?レイ君。凄いでしょう?」
「す、凄いよ。ミザーリアさん!いつの間にこんな凄い魔法を。」
「いや、まだじゃ。ゴーレムは倒れてはおらん。」
凄まじい爆裂魔法のマギナでも倒れないとは、異常な耐久力である。だが…ゴーレムの胸の辺りは大きく陥没していた。
「今のは効いたようだな。んじゃ、俺らが行くぜ!リヨン!ミミ!」
「承知!」「にゃん!」
魔剣を装備した三人は近接戦闘を始める。強力な攻撃がゴーレムに炸裂する。しかし、強力な魔剣でも亀裂が入るものの、致命打とまでいかないようだ。ゴーレムも受け身ではなく、強烈なパンチを繰り出して反撃する。一撃一撃が凄まじい風切り音を立てている。一撃でも直撃すれば致命傷となるだろう。
《 ガシャン! 》
アッシュさん展開中のシールドスキルにミスリルゴーレムの強力なパンチが激突する。今の所は何とか攻撃を防げているようだ。しかし…
「ワーレムガーリムスワンライファ!」
どこからか詠唱が聞こえて来たと思ったら、急にゴーレムの身体に赤黒いオーラのようなものが漂い始めた。恐らく魔族技師が何かをしたのだろう。
「な、何!?」
《 パリン!…ドン!ドン!ドン! 》
「キャアー!」
ミスリルゴーレムのパンチでついにリヨンさんのシールドが破られ、そのまま連続パンチが炸裂した。リヨンさんは魔剣で攻撃をブロックしようとしたものの、高速の連続パンチを受け止め切れずに吹き飛ばされた!多分、魔族技師が先程の術でゴーレムを強化したのだろう。スピードも破壊力も数段アップしたように見えた。
「リヨンさん!」
攻撃をガードした際に、両腕の骨が砕かれてしまったようだ。激痛でリヨンさんは意識を失っている。急いで治療しなくては!
「二人とも、時間を稼いで下さい。」
「主、任せろ!強化薬を使うぞ!」
「わかったにゃん!」
私は急いでリヨンさんの元に駆け寄り、高品質ポーションを準備する。その時!
(ん!!?『悪意スキル』に反応!?)
私は反射的に未知の攻撃を避けるために行動し、同時に射撃を始めていた。
《 プシュンッ! 》
《 ギャー!!》
魔族技師のゲルルは『隠密スキル』で姿をくらまして、私を暗殺しようとしていたようだ。
しかし、『悪意スキル』や『索敵スキル』、ガンナーのスキル『回避撃ち』の三種の相互連携作用により、無意識のうちに相手の攻撃を回避し、反撃していたのだ。
私が発砲した銃弾は、見事にゲルルの眉間に着弾・貫通しており、ゲルルは即死した。
「えっ!嘘でしょ?」
「にゃにゃ!ご主人様凄いにゃん!」
「ほぅ…レイの銃は凄いのぅ。」
私は、無意識で行われた、自分の行動の結末に驚いてしまう。暗殺を見事に回避して、反撃しただけでも驚きなのに、まさか中級魔族を一撃で屠ってしまうとは…。やはりこのガンナーのジョブと銃はとんでもないなと改めて思った。
「さて…。こうしては居られないな。リヨンさんは重症だ。」
私は、高品質ポーションを一気にリヨンさんに振りかけた上で、ゆっくりと飲ませた。すると、リヨンさんは身体が薄ら発光し始めた。しばらくして、損傷していた部分が完成に修復されていった。どうやら間に合ったようだ。
リヨンさんは、肉体的損傷は回復したが、まだ気を失ったままだ。私は、そっとリヨンを寝かせて立ち上がり、他の仲間の方へ視線を向けた。
ほんの数分の間だったが、ミスリルゴーレムの攻撃が圧倒しており、二人は防戦一方となっていた。二人のシールドスキルは既に砕かれており、ミリモルさんがサンドウォールの魔法で壁を作ったり、氷魔法で動きを封じたりして凌ぐのが精一杯である。
しかし、魔族技師を撃破したことで、ゴーレムを覆うオーラが無くなった為、これまで劣勢になっていた戦況も、徐々に均衡に傾き始めていた。それでもゴーレムは、攻撃の手を緩めることはなさそうだ。
「ミミ!打撃強化の魔法拳を使うのじゃ!」
「はいにゃあ!師匠、見ててにゃ!にゃんがミスリルゴーレムを壊すにゃあ!」『魔法拳 アタックアップ!』
ミミは、魔力を両拳に集中させた。拳から赤いオーラが溢れ出している。魔法拳とは、魔力を拳に込めて打撃力を増幅する魔法だ。ミミはこの魔法を使って、数々の強敵と戦ってきた。
「よし、準備できたにゃん!」『爆裂拳!』
「にゃ!にゃ!にゃ!にゃ!にゃ!にゃ!にゃー!!」
《ガチャン!ガチャン!ガチャン!ガチャン!》
ミミは、目にも止まらぬ高速の打撃を何度もミスリルゴーレムに打ち付けている。やがて、ゴーレムの胸の辺りのミスリルは剥がれ落ち、黒色の大きな魔核が姿を表した。
「見つけたにゃ!魔導核にゃ!いっけー!」
《パリン!》
爆発音と共に魔導核が粉々に吹き飛んだ!魔導核とは、ゴーレムの動力源であり、心臓や脳としての働きもある。魔導核を失ったことでゴーレムは動力を絶たれてその場で崩れ落ちた。
「ミミ!やったね!」
「あらあら。ミミ、凄いです!」
「何とか終わったようじゃの。もうミスリル相手は懲り懲りじゃよ。」
「やったにゃー!」
ミミは勝利の雄叫びを上げて喜んでいた!
「おい、主よ。これはどうするつもりだ?」
「ああ。そうですね。ミスリルは頂きましょう。強い武器や防具に生まれ変わるかも知れませんし、エチゴヤの商売にも使えそうです。ですが、本当はこれが一番欲しかったんです。」
私は、ミスリルゴーレムをクリエイトスキルで大きなミスリルの塊に変えた上で、粉々になった魔導核もクリエイトスキルで復元させた。
「おぉ。相変わらず凄い能力だな。それは?」
「これは、魔導核ですね。私もタイゲンさんの文献で見て知識だけはありますが、実際手にするのは初めてです。この魔導核は、無生物に知性を与える特殊な魔道具のようです。主を失っても戦いを止めなかったのはこれと……。」
そして、私がもう一つ取り出したのは、巨大な魔石だ。
「この巨大な魔石のおかげですね。」
50センチはある巨大な魔石だった。
「何と巨大な魔石じゃ!これ程の物は、見たことがないの。」
「この2つのアイテムがあれば、私専用のゴーレムを誕生させることも可能です…フフフ。」
「レイ君、何か悪者の顔つきになっているわよ…。」
「やれやれ…。私の主は、やはり化け物だったな。」
(アッシュさんには言われたくないのですが…。)
ゴーレムのミスリル素材に、魔導核、巨大魔石を入手し、私が倒した魔族の素材を回収していた際に、白いポットが落ちていたのを発見した。
早速鑑定した所、異次元空間への接続媒体であることがわかった。型は多少違うが、私が所持している『異空館』と同様のアイテムである。
リヨンさんを起こしたら、早速行ってみよう。恐らくこの先には、捕らえられた住民達が居るはずだ。
『ガンナースキル 誘導弾を獲得』
どうやらこの戦いによって、新たな能力を獲得したようである。
(誘導弾?銃弾が標的を追いかけるのかな?まあいいか…。)
そして、私たちは、リヨンさんが復活すると、意を決してポットから異次元空間へと移動したのだった…。
― to be continued ―
ついに北側のポイントに到着した。そこは岩壁で囲まれた広場で、マップの最北端だった。そこに待ち受けていたのは、ゴーレムらしき巨大な敵だった。しかし、それだけではなかった。ゴーレムの足元には、子供くらいの背の魔族がいた。一般的にゴーレムは自我を持たない人形であり、近くにいる魔族が作り操っているのだと思われる。
ゴーレムは、私が想像していたものと違っていた。土や岩でできていると思っていたが、それは美しい輝きを放つシルバーカラーだった。冷たく硬い質感が伝わってくる。鋭利なエッジが光る。体長は2.5メートルはあるだろう。
「主よ。倒しがいのありそうな相手だな。だが、あれは硬そうだ。通常武器では通らないかも知れないぞ。」
私は『鑑定スキル』で相手の情報を探った。
- 名前:ミスリルゴーレム
- 性別:なし
- 年齢:不明
- 種類:ゴーレム
- 能力:なし
- 名前:ゲルル
- 性別:なし
- 年齢:496
- 種類:魔族(中級)
- 能力:ゴーレム作成 ゴーレム使い 魔術工学 隠密
- 説明:魔族技師でミスリルゴーレムの製作者。
やはりあのゴーレムはミスリル製だったか。ミスリルはこの世界で上位の部類に入る硬さと魔法耐性を持つ金属だとタイゲンさんの書籍に書いてあった。これって倒せるの?私は正直不安になった。
しかし、この敵が守護者であるならば、乗り越えなければサルバネーロの住民を救えない。私は気合を入れて攻撃の準備を整える。
「皆さん。あのゴーレムの素材はミスリルです。硬い上に、魔法耐性があります。ですが、ここで負ける訳には行きません。力を貸して下さい!リヨンさん、アッシュさん、ミミは魔剣装備でお願いします!」
「御意!レイ様の御心のままに!」
「燃えるぜ!任せとけ!」
「にゃにゃ!任せてにゃん!」
「成長した私の力をレイ君に見せてあげる!」
「まったく…やれやれじゃのう!」
エチゴヤのメンバーが一斉に攻撃に入る。ゲルルという魔族技師は『隠密スキル』で姿を消してしまったようだ。『魔術工学』というスキルが何をするものか分からないし、中級魔族ということもあって、油断できない。
最初に動いたのはミリモルさんだった。土魔法『ロック』で巨大な岩の塊をゴーレムにぶつける。岩の塊は重くて速くて強力だ。普通の人間なら回避も困難だろう。ゴーレムは巨体のために回避ができない。岩の塊はゴーレムに直撃した。《バーン!》と激しい音と砂煙が舞い上がる。
しかし、ゴーレムは無傷だった。砕け散った岩の塊が地面に転がっているだけだった。
「むう。やはり効かんか…。硬いのう。」
「お師匠、次は私が!『マギナ!』」
ゴーレムの目の前に赤黄色に光る球体が現れた。赤黄色の球体は膨張していき、やがて…
《 ズドーーン!! 》
大爆発した!爆風が激しく、空気が震えるのが伝わってくる。
「どう?レイ君。凄いでしょう?」
「す、凄いよ。ミザーリアさん!いつの間にこんな凄い魔法を。」
「いや、まだじゃ。ゴーレムは倒れてはおらん。」
凄まじい爆裂魔法のマギナでも倒れないとは、異常な耐久力である。だが…ゴーレムの胸の辺りは大きく陥没していた。
「今のは効いたようだな。んじゃ、俺らが行くぜ!リヨン!ミミ!」
「承知!」「にゃん!」
魔剣を装備した三人は近接戦闘を始める。強力な攻撃がゴーレムに炸裂する。しかし、強力な魔剣でも亀裂が入るものの、致命打とまでいかないようだ。ゴーレムも受け身ではなく、強烈なパンチを繰り出して反撃する。一撃一撃が凄まじい風切り音を立てている。一撃でも直撃すれば致命傷となるだろう。
《 ガシャン! 》
アッシュさん展開中のシールドスキルにミスリルゴーレムの強力なパンチが激突する。今の所は何とか攻撃を防げているようだ。しかし…
「ワーレムガーリムスワンライファ!」
どこからか詠唱が聞こえて来たと思ったら、急にゴーレムの身体に赤黒いオーラのようなものが漂い始めた。恐らく魔族技師が何かをしたのだろう。
「な、何!?」
《 パリン!…ドン!ドン!ドン! 》
「キャアー!」
ミスリルゴーレムのパンチでついにリヨンさんのシールドが破られ、そのまま連続パンチが炸裂した。リヨンさんは魔剣で攻撃をブロックしようとしたものの、高速の連続パンチを受け止め切れずに吹き飛ばされた!多分、魔族技師が先程の術でゴーレムを強化したのだろう。スピードも破壊力も数段アップしたように見えた。
「リヨンさん!」
攻撃をガードした際に、両腕の骨が砕かれてしまったようだ。激痛でリヨンさんは意識を失っている。急いで治療しなくては!
「二人とも、時間を稼いで下さい。」
「主、任せろ!強化薬を使うぞ!」
「わかったにゃん!」
私は急いでリヨンさんの元に駆け寄り、高品質ポーションを準備する。その時!
(ん!!?『悪意スキル』に反応!?)
私は反射的に未知の攻撃を避けるために行動し、同時に射撃を始めていた。
《 プシュンッ! 》
《 ギャー!!》
魔族技師のゲルルは『隠密スキル』で姿をくらまして、私を暗殺しようとしていたようだ。
しかし、『悪意スキル』や『索敵スキル』、ガンナーのスキル『回避撃ち』の三種の相互連携作用により、無意識のうちに相手の攻撃を回避し、反撃していたのだ。
私が発砲した銃弾は、見事にゲルルの眉間に着弾・貫通しており、ゲルルは即死した。
「えっ!嘘でしょ?」
「にゃにゃ!ご主人様凄いにゃん!」
「ほぅ…レイの銃は凄いのぅ。」
私は、無意識で行われた、自分の行動の結末に驚いてしまう。暗殺を見事に回避して、反撃しただけでも驚きなのに、まさか中級魔族を一撃で屠ってしまうとは…。やはりこのガンナーのジョブと銃はとんでもないなと改めて思った。
「さて…。こうしては居られないな。リヨンさんは重症だ。」
私は、高品質ポーションを一気にリヨンさんに振りかけた上で、ゆっくりと飲ませた。すると、リヨンさんは身体が薄ら発光し始めた。しばらくして、損傷していた部分が完成に修復されていった。どうやら間に合ったようだ。
リヨンさんは、肉体的損傷は回復したが、まだ気を失ったままだ。私は、そっとリヨンを寝かせて立ち上がり、他の仲間の方へ視線を向けた。
ほんの数分の間だったが、ミスリルゴーレムの攻撃が圧倒しており、二人は防戦一方となっていた。二人のシールドスキルは既に砕かれており、ミリモルさんがサンドウォールの魔法で壁を作ったり、氷魔法で動きを封じたりして凌ぐのが精一杯である。
しかし、魔族技師を撃破したことで、ゴーレムを覆うオーラが無くなった為、これまで劣勢になっていた戦況も、徐々に均衡に傾き始めていた。それでもゴーレムは、攻撃の手を緩めることはなさそうだ。
「ミミ!打撃強化の魔法拳を使うのじゃ!」
「はいにゃあ!師匠、見ててにゃ!にゃんがミスリルゴーレムを壊すにゃあ!」『魔法拳 アタックアップ!』
ミミは、魔力を両拳に集中させた。拳から赤いオーラが溢れ出している。魔法拳とは、魔力を拳に込めて打撃力を増幅する魔法だ。ミミはこの魔法を使って、数々の強敵と戦ってきた。
「よし、準備できたにゃん!」『爆裂拳!』
「にゃ!にゃ!にゃ!にゃ!にゃ!にゃ!にゃー!!」
《ガチャン!ガチャン!ガチャン!ガチャン!》
ミミは、目にも止まらぬ高速の打撃を何度もミスリルゴーレムに打ち付けている。やがて、ゴーレムの胸の辺りのミスリルは剥がれ落ち、黒色の大きな魔核が姿を表した。
「見つけたにゃ!魔導核にゃ!いっけー!」
《パリン!》
爆発音と共に魔導核が粉々に吹き飛んだ!魔導核とは、ゴーレムの動力源であり、心臓や脳としての働きもある。魔導核を失ったことでゴーレムは動力を絶たれてその場で崩れ落ちた。
「ミミ!やったね!」
「あらあら。ミミ、凄いです!」
「何とか終わったようじゃの。もうミスリル相手は懲り懲りじゃよ。」
「やったにゃー!」
ミミは勝利の雄叫びを上げて喜んでいた!
「おい、主よ。これはどうするつもりだ?」
「ああ。そうですね。ミスリルは頂きましょう。強い武器や防具に生まれ変わるかも知れませんし、エチゴヤの商売にも使えそうです。ですが、本当はこれが一番欲しかったんです。」
私は、ミスリルゴーレムをクリエイトスキルで大きなミスリルの塊に変えた上で、粉々になった魔導核もクリエイトスキルで復元させた。
「おぉ。相変わらず凄い能力だな。それは?」
「これは、魔導核ですね。私もタイゲンさんの文献で見て知識だけはありますが、実際手にするのは初めてです。この魔導核は、無生物に知性を与える特殊な魔道具のようです。主を失っても戦いを止めなかったのはこれと……。」
そして、私がもう一つ取り出したのは、巨大な魔石だ。
「この巨大な魔石のおかげですね。」
50センチはある巨大な魔石だった。
「何と巨大な魔石じゃ!これ程の物は、見たことがないの。」
「この2つのアイテムがあれば、私専用のゴーレムを誕生させることも可能です…フフフ。」
「レイ君、何か悪者の顔つきになっているわよ…。」
「やれやれ…。私の主は、やはり化け物だったな。」
(アッシュさんには言われたくないのですが…。)
ゴーレムのミスリル素材に、魔導核、巨大魔石を入手し、私が倒した魔族の素材を回収していた際に、白いポットが落ちていたのを発見した。
早速鑑定した所、異次元空間への接続媒体であることがわかった。型は多少違うが、私が所持している『異空館』と同様のアイテムである。
リヨンさんを起こしたら、早速行ってみよう。恐らくこの先には、捕らえられた住民達が居るはずだ。
『ガンナースキル 誘導弾を獲得』
どうやらこの戦いによって、新たな能力を獲得したようである。
(誘導弾?銃弾が標的を追いかけるのかな?まあいいか…。)
そして、私たちは、リヨンさんが復活すると、意を決してポットから異次元空間へと移動したのだった…。
― to be continued ―
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