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第1章 異世界に迷い込んだ男
第16話 クナップスその後
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私はヨンスという男に憎しみと恐怖と軽蔑の感情を抱いていた。彼は私を拉致し、高品質のポーションを独占するためにポーション製作の道具にしようとしたのだ。
もし私が従わなければ、他国の犯罪ギルドに売り払うと脅してきた。私は彼の目的に気づくのが遅すぎた。もしリヨンさんや、商業ギルドが早急に対応してくれなかったら、私は一生、道具として利用されていたことだろう。
ヨンスは商業ギルドから追放され、50年間の囚人労働刑が下った。彼は自分の地位や名声や財産を失って絶望しただろう。彼が傲慢にふんぞり返っていたことを考えると、それはまさに相応しい刑罰だと思う。
犯罪ギルドのメンバーたちも同様に処罰された。彼らはそれぞれ30年間の囚人労働刑を宣告された。頭領のビテンは両腕が使えないため、45年間の禁固刑が言い渡された。一番過酷な形になったかもしれない。
私は商業ギルドから救出されてから、王宮でしばらく療養した。王様やミルモルさんやリヨンさんなど、多くの方々が心配してくださった。私は感謝の気持ちで一杯だった。
王様からは、高品質のポーションを国家財産として扱うことをお願いされた。私は驚きと不安を感じたが、王様は優しく説明してくださった。
「そなたが作った高品質ポーションは、この国では他に類を見ない貴重な品である。そのような品を一般販売することは、国家安全保障上問題があるだろう。したがって、高品質ポーションは商業ギルドを通して王宮に直接納品して頂けないだろうか?その代わりに、そなたには適正な報酬をお支払うことを約束しよう。」
私は王様の言葉に快諾した。そして、高品質のポーションを作ることで、自分の才能や価値を発揮できることを知った。さらに、他人のためになりたいという気持ちや使命感も高品質のポーション作りによって高まったのである。
商業ギルドマスターの座は、ベニーさんが新たに任命された。彼は今回の手柄が評価され、ミルモルさんの推薦によって選ばれたのだという。彼はギルドマスターとして、商業ギルドの再建や改革に取り組んでいるそうだ。彼は私に対しても、「高品質のポーションは、商業ギルドを通す方が、サカモト様にもメリットが多いでしょう。」と言ってくれた。
ロッケさんは相変わらずメガネ姿で素朴な相談役を務めているそうだ。メガネの下の素顔は美しいのでは?と最近では隠れたファンが増えているそうだ。私も素顔を知っているが、納得のいく話である。聞くところによると、ロッケさんのメガネはいわゆる伊達メガネだそうだ。前の世界のように、視力を矯正するメガネは存在していないようだった。
鑑定士のレネーさんは、ギルドマスターがベニーさんに代わったことで、仕事意欲が上がったようだ。最近では、彼女から正確な鑑定を受けられると評判が回復してきているようだ。
ベニーさんの仲間である元アサシンたちは、王家の裏の組織である『影』に推薦され、見事に入隊が決まったそうだ。
「『影』とは、王家を守るために活動する特殊部隊じゃ。あやつらは王家の命令で暗殺や諜報や工作などを実行することもある。あやつらの存在は極秘じゃから、普通の人が知ることはないじゃろうな。」ミルモルさんは私にそう説明してくれた。
リヨンさんは、今回の出来事をきっかけに、王様が以前に話していたように、私の監視役および護衛役を正式に任されることになったそうだ。ただし、私が邸宅に滞在している間は、使用人としても仕事をこなしたいと言っていた。
今日は、リヨンさんと一緒に商業ギルドにやって来た。高品質のポーションと魔法ポーションの専属契約を結ぶことが決まったからである。
高品質のポーションは国家財産として扱われることになり、一般販売は中止するよう指示された。商業ギルドは仲介を担い、私から仕入れた商品を直接王宮に卸す契約になっているそうだ。高品質ポーションと魔法ポーションの価格は、一瓶あたり銀貨五枚に決定した。この値段ならば、素材などの料金も考えてもかなりの利益が見込めるだろう。
今日は15本の通常ポーションと15本の魔法ポーションを納品した。すべてが高品質であり、合計金貨15枚を手にしたのである。
明日は、ゲーツ工房で30本の高品質の瓶が完成する予定である。瓶を受け取ったら、タイゲンカバンに保管してあるポーションを詰めて、再び納品することしよう。
ポーションの一般販売については、高品質ポーションを希釈し、品質を落とした『良質以下』にすれば、廉価版商品として一般販売が許可されることになった。品質は落ちるが、助けが必要な方々がいるならば、喜んで製造する覚悟である。
商業ギルドを後にし、次はガスト工房へ向かう。大量に廉価版ポーション用の瓶を購入するためである。通常は一瓶銅貨七枚のところ、五枚で購入できることになった。50本購入し、満足して帰宅することにした。
私は、ポーション以外の商品化も進めている。その完成を想像すると、早く仕上げたくなる気持ちが抑えられないのだった…。
― to be continued ―
もし私が従わなければ、他国の犯罪ギルドに売り払うと脅してきた。私は彼の目的に気づくのが遅すぎた。もしリヨンさんや、商業ギルドが早急に対応してくれなかったら、私は一生、道具として利用されていたことだろう。
ヨンスは商業ギルドから追放され、50年間の囚人労働刑が下った。彼は自分の地位や名声や財産を失って絶望しただろう。彼が傲慢にふんぞり返っていたことを考えると、それはまさに相応しい刑罰だと思う。
犯罪ギルドのメンバーたちも同様に処罰された。彼らはそれぞれ30年間の囚人労働刑を宣告された。頭領のビテンは両腕が使えないため、45年間の禁固刑が言い渡された。一番過酷な形になったかもしれない。
私は商業ギルドから救出されてから、王宮でしばらく療養した。王様やミルモルさんやリヨンさんなど、多くの方々が心配してくださった。私は感謝の気持ちで一杯だった。
王様からは、高品質のポーションを国家財産として扱うことをお願いされた。私は驚きと不安を感じたが、王様は優しく説明してくださった。
「そなたが作った高品質ポーションは、この国では他に類を見ない貴重な品である。そのような品を一般販売することは、国家安全保障上問題があるだろう。したがって、高品質ポーションは商業ギルドを通して王宮に直接納品して頂けないだろうか?その代わりに、そなたには適正な報酬をお支払うことを約束しよう。」
私は王様の言葉に快諾した。そして、高品質のポーションを作ることで、自分の才能や価値を発揮できることを知った。さらに、他人のためになりたいという気持ちや使命感も高品質のポーション作りによって高まったのである。
商業ギルドマスターの座は、ベニーさんが新たに任命された。彼は今回の手柄が評価され、ミルモルさんの推薦によって選ばれたのだという。彼はギルドマスターとして、商業ギルドの再建や改革に取り組んでいるそうだ。彼は私に対しても、「高品質のポーションは、商業ギルドを通す方が、サカモト様にもメリットが多いでしょう。」と言ってくれた。
ロッケさんは相変わらずメガネ姿で素朴な相談役を務めているそうだ。メガネの下の素顔は美しいのでは?と最近では隠れたファンが増えているそうだ。私も素顔を知っているが、納得のいく話である。聞くところによると、ロッケさんのメガネはいわゆる伊達メガネだそうだ。前の世界のように、視力を矯正するメガネは存在していないようだった。
鑑定士のレネーさんは、ギルドマスターがベニーさんに代わったことで、仕事意欲が上がったようだ。最近では、彼女から正確な鑑定を受けられると評判が回復してきているようだ。
ベニーさんの仲間である元アサシンたちは、王家の裏の組織である『影』に推薦され、見事に入隊が決まったそうだ。
「『影』とは、王家を守るために活動する特殊部隊じゃ。あやつらは王家の命令で暗殺や諜報や工作などを実行することもある。あやつらの存在は極秘じゃから、普通の人が知ることはないじゃろうな。」ミルモルさんは私にそう説明してくれた。
リヨンさんは、今回の出来事をきっかけに、王様が以前に話していたように、私の監視役および護衛役を正式に任されることになったそうだ。ただし、私が邸宅に滞在している間は、使用人としても仕事をこなしたいと言っていた。
今日は、リヨンさんと一緒に商業ギルドにやって来た。高品質のポーションと魔法ポーションの専属契約を結ぶことが決まったからである。
高品質のポーションは国家財産として扱われることになり、一般販売は中止するよう指示された。商業ギルドは仲介を担い、私から仕入れた商品を直接王宮に卸す契約になっているそうだ。高品質ポーションと魔法ポーションの価格は、一瓶あたり銀貨五枚に決定した。この値段ならば、素材などの料金も考えてもかなりの利益が見込めるだろう。
今日は15本の通常ポーションと15本の魔法ポーションを納品した。すべてが高品質であり、合計金貨15枚を手にしたのである。
明日は、ゲーツ工房で30本の高品質の瓶が完成する予定である。瓶を受け取ったら、タイゲンカバンに保管してあるポーションを詰めて、再び納品することしよう。
ポーションの一般販売については、高品質ポーションを希釈し、品質を落とした『良質以下』にすれば、廉価版商品として一般販売が許可されることになった。品質は落ちるが、助けが必要な方々がいるならば、喜んで製造する覚悟である。
商業ギルドを後にし、次はガスト工房へ向かう。大量に廉価版ポーション用の瓶を購入するためである。通常は一瓶銅貨七枚のところ、五枚で購入できることになった。50本購入し、満足して帰宅することにした。
私は、ポーション以外の商品化も進めている。その完成を想像すると、早く仕上げたくなる気持ちが抑えられないのだった…。
― to be continued ―
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