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第1章 異世界に迷い込んだ男
第13話 元アサシン
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「協力しろや!このクソ野郎が!」
男に罵られ、私は独房に放り込まれた。商業ギルドでポーションを査定した帰り、謎の集団に襲われ、ここに連れてこられたのは、もう何時間前だろうか。私のカバンや片眼鏡もいつの間にか見当たらなくなっていた。
彼らはポーションの製造情報の提供、または製造の協力を強要している。しかし、私は犯罪に加担するつもりはない。
拒否すると、拷問が始まる。殴る、蹴る、切る、焼く…。痛みと苦しみが繰り返される。しかし、私は勇者タイゲンの加護を受けている。傷はゆっくりと癒えていく。それでも痛みは感じるので、精神的なダメージは蓄積していく。
(ミルモルさん…助けてください…)
私は心の中で祈った。ミルモルさんは私を信じてくれる人だ。私もミルモルさんを信じなければならない。きっと助けに来てくれるはずだ。
◇ 二日目 ◇
「あははっ!マジかこれは!?」
私は突然笑ってしまった。拷問を受けている最中のことである。
『苦痛耐性スキルを獲得』
『物理攻撃耐性の向上』
(これが…スキルの能力か?)
突然、目の前に表示が現れた。どうやら、拷問に耐えた結果、スキルを得たらしい。その効果で、痛みがかなり和らいでいる。
「き、貴様!急に笑いやがって!舐めるなよ!!」
激昂した男たちの攻撃が激化しているようだ。しかし、致命的な打撃にはなっていないし、痛みもこれまでよりはるかに軽微だ。
「大丈夫ですか?汗が凄いですから、そろそろ休憩したらどうですか?臭いもだいぶキツイですよ!」
私は得意げになり、バカにした口調で言葉を投げかけた。だが、決して強くなったわけではない。結局、どうやっても枷を外すことはできないでいた。
「クソッ!何だ!てめえは?化け物かよ!?」
「さあ、存じ上げません。そろそろ解放していただけませんか?」
「この状況でまだ言うか!?」
痛みに対する耐性は身についたが、この状況はまだ打開できなかった。何とかしなければ...そう思っていたその時だ。
《バタン!ドカン!》
どこか近くで大きな音が鳴り響いた。
「レイ様!いらっしゃいませんか?」
(その声は!まさか?)
「リヨンさん、ここです!」
現れたのは、間違いなくリヨンさんだった。ただし、いつものメイド服ではなく、闘いに適した黒い服を身にまとっていた。数か所、返り血を浴びているようで、いつものリヨンさんとは異なる姿がそこにあった...。
「リヨンさん、どうして...ここに?」
「レイ様を探していました。ミルモル様からの依頼です。」
彼女は私の枷を素早く外し、私の身体を支えてくれていた。
◇◇◇◇ 視点切替『リヨン』◇◇◇◇
◇ 一日前 ( 事件当日 ) ◇
「ミルモル様、レイ様がまだお戻りになりません。」
「あれから二時間は経つか…確かに遅いのう。」
「あの時、私がレイ様を引き止めておけば…。」
「終わったことを言っても仕方あるまい。じゃが、何だか胸騒ぎがするのぅ。リヨンや、すまないがレイを探して来て貰えんじゃろうか?」
「承知しました。早速行って参ります!」
私は馬にまたがり、街へと急ぐ。レイ様はギルドで別れる際に露天街の素材屋に立ち寄ると言っていたはずだ。もしかしたら、そこに何か手がかりがあるかもしれない。念のために足を運んでみようと思う。
◇ 素材屋 ◇
「いらっしゃい!姉ちゃん、何にするよ?ここに並んでない物でも用意できるぜぇ~。」
「あの…レイ様がここへ来たと思いますが、ご存知ありませんか?」
「レイ?ああ、あの兄ちゃんか?おう来たぜぇ~!もう帰って二時間は経つかなぁ~。何かあったのかい?」
「行方が分からなくて探しているんです。」
「そりゃ大変じゃないか!最近物騒だしなぁ~。犯罪ギルドの動きも活発になっているそうだぜぇ。気ぃつけろゃ。そういえば、あの兄ちゃん、作った魔道具に魔法陣付けて貰うからって、急いで帰って行ったぜぇ~。」
「そうですか。ありがとうございました。」
どうやらここが最後に立ち寄った場所だったようだ。もしここから帰るならば、一般居住区手前の停留所に向かうはずだ。しかし、その間に何者かに襲われてしまった可能性もある。
私は、息詰まるような緊張感を抱きながら、レイ様の足跡を追い求めるために停留所周辺を探したが、見つからなかった。
背筋に悪寒が走り抜ける。最悪の事態として、レイ様が何者かによって危険な事件に巻き込まれている可能性もある。今はとにかく、ミルモルさんに報告しに戻ることに決めた。
◇ ミリモル邸 ◇
「そうか…。お前でも見つけられぬとはな。もしかしたら、レイを狙った犯行かもしれぬ。少なからず手がかりはあるじゃろう。では、お前は商業ギルドとギルマスのヨンスについて調べてもらえるかの?ポーションが狙われた可能性があるのじゃ。」
「承知しました。」
その後、ミルモル様から詳細なポーションの件について懸念を説明してもらい、私は商業ギルドへと急いだ。
◇ 商業ギルド ◇
「失礼します。私は、主ミルモルの使者として参りました。ギルドマスターのヨンス様とお話がございます。」
「あなたの名は存じ上げております。お会いできて光栄です。迅雷のリヨン様!私は商業ギルドの相談役、ベニーと申します。」
《ヒソヒソ…。》
「あなたがあのベニーさんでしたか…。ベニーさん、その二つ名で呼ぶのは止めて頂けませんか?その道からは既に脚を洗いました。その…なりよりも恥ずかしいので…。」
「これは失礼致しました。承知しました、リヨン様。ギルドマスターのヨンスは、昼頃から休暇を取っており、現在不在です。私が代わりにご要件をお伺いいたします。」
「レイ様とポーションについての問題です。ご存じでしょうか?」
「存じております。応接室をご用意いたしますので、そちらで詳細をお話しください…。」
ベニーさんは、機敏にカウンターから立ち上がり、同僚に声をかけた。メガネをかけた素朴な女性がゆっくりと身を返した。
「ロッケさん。私は今からお客様との面談がありますので、窓口業務をお任せします。大丈夫ですか?」
「はい!ベニーさん。心配ありません。お任せください!」
「では、リヨン様、こちらへお進みください。」
私は、ベニーさんの後に続いて応接室へと進んだ...。ベニーさんと私は初対面ではあるが、お互いの存在は十分に認識していた。かつて、私たちは裏世界で最高峰のアサシンとして名を馳せていた。
私は長い間、アサシンの仕事を嫌っていた。しかし、ミルモル様によって裏稼業から救い出され、新たな人生を使用人として歩むことになった。もちろん、それ以来、アサシンとしての任務はしていない。ベニーさんも数年前に引退したという噂を聞いたことがある。
応接室へ案内され、ベニーさんがゆっくりとドアを閉めた。瞬く間に、彼の手に握られたレイピアが俊敏に振りかざされ、私に襲いかかった!!
彼は優れたレイピア使いであり、相手の喉元を一突して数秒で命を奪う戦術を好むと聞いていた。それは予想していても回避することはできない致命的な一撃だったそうだ。かつての彼は、数多くの人をその剣で屠ってきた凄腕のアサシンであった。
彼のレイピアは、私の頬をかすめていった。ギリギリだったが、なんとか攻撃をかわせたようだ。
「おお、流石ですね。私の突きをかわせたのは、これまで数えるほどしかいませんでしたよ。しかし、なぜ反撃なさらなかったのですか?もし私の攻撃をかわせたのなら、そのまま私の命を奪えたはずですが...。」
「素晴らしい一撃でした。しかし、殺意の漲らない攻撃だったため、反撃する必要はないと判断しました。」
「全てお見通しでしたか。失礼致しました。あなたが踏み込もうとされている案件は、こういった可能性が伴いますので、実力を試させて頂きました。申し訳ありませんでした。」
ベニーさんは、手に持っていたレイピアを腰の鞘に戻しながら、申し訳なさそうに語っていた。
「いえ、私のことは大丈夫です。それより、レイ様は?」
「リヨン様、申し訳ありません。私も、サカモト様のお話をお伺いしたのは先程で、まだ居場所も掴めておりません。現在、元アサシンの仲間にお願いして捜索中です。」
「きちんとした手がかりは、まだありませんが、今お教えできる情報はございます。この件の首謀者は、恐らくギルマスのヨンスです。鑑定士のレネーからの証言ですが、信憑性は高いと思われます。」
「ヨンスですが、サカモト様のポーションが独占できなくなったことを逆恨みし、犯行に及んでいる可能性が高そうです。ただ、サカモト様を利用し、大儲けを企んでいる節があるので、最悪の可能性は回避できるでしょう。我々は、ヨンスと犯罪ギルドとの裏付けと、ヨンス本人の捜索も行っている所です。」
「犯罪ギルドの目星は?」
「『ソウルイーター』か『クナップス』の可能性が高いかと…。」
もしソウルイーターが関与していたら、非常に困難な状況となるだろう。彼らはこの国の裏側を実質的に支配していると言われる、アンダーグラウンドの頂点に君臨する犯罪者ギルドだ。その構成員たちの実力と規模は著しく高く、私の現在の力ではレイ様にたどり着くことすら困難かもしれない……。
一方、クナップスは中級の犯罪ギルドであり、相当な規模を誇っていると聞いている。こちらも簡単には行かないだろう。
「リヨン様、もう少し時間を頂戴できますでしょうか?朝一番で遣いを送ります。」
「ベニーさん、お力添えいただきありがとうございます。承知しました。私はミルモル様に報告に参ります。では、失礼いたします。」
私の知らない間に、さまざまな事態が進行していたようだ。ミルモル様には、レイ様をお守りするようお命じいただいたのに…。本当に不甲斐なく思う。
とにかく、今はベニーさんたちに任せ、自分ができるべきことに集中しよう。私は、急いで御屋敷に戻ることにした。
― to be continued ―
男に罵られ、私は独房に放り込まれた。商業ギルドでポーションを査定した帰り、謎の集団に襲われ、ここに連れてこられたのは、もう何時間前だろうか。私のカバンや片眼鏡もいつの間にか見当たらなくなっていた。
彼らはポーションの製造情報の提供、または製造の協力を強要している。しかし、私は犯罪に加担するつもりはない。
拒否すると、拷問が始まる。殴る、蹴る、切る、焼く…。痛みと苦しみが繰り返される。しかし、私は勇者タイゲンの加護を受けている。傷はゆっくりと癒えていく。それでも痛みは感じるので、精神的なダメージは蓄積していく。
(ミルモルさん…助けてください…)
私は心の中で祈った。ミルモルさんは私を信じてくれる人だ。私もミルモルさんを信じなければならない。きっと助けに来てくれるはずだ。
◇ 二日目 ◇
「あははっ!マジかこれは!?」
私は突然笑ってしまった。拷問を受けている最中のことである。
『苦痛耐性スキルを獲得』
『物理攻撃耐性の向上』
(これが…スキルの能力か?)
突然、目の前に表示が現れた。どうやら、拷問に耐えた結果、スキルを得たらしい。その効果で、痛みがかなり和らいでいる。
「き、貴様!急に笑いやがって!舐めるなよ!!」
激昂した男たちの攻撃が激化しているようだ。しかし、致命的な打撃にはなっていないし、痛みもこれまでよりはるかに軽微だ。
「大丈夫ですか?汗が凄いですから、そろそろ休憩したらどうですか?臭いもだいぶキツイですよ!」
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「この状況でまだ言うか!?」
痛みに対する耐性は身についたが、この状況はまだ打開できなかった。何とかしなければ...そう思っていたその時だ。
《バタン!ドカン!》
どこか近くで大きな音が鳴り響いた。
「レイ様!いらっしゃいませんか?」
(その声は!まさか?)
「リヨンさん、ここです!」
現れたのは、間違いなくリヨンさんだった。ただし、いつものメイド服ではなく、闘いに適した黒い服を身にまとっていた。数か所、返り血を浴びているようで、いつものリヨンさんとは異なる姿がそこにあった...。
「リヨンさん、どうして...ここに?」
「レイ様を探していました。ミルモル様からの依頼です。」
彼女は私の枷を素早く外し、私の身体を支えてくれていた。
◇◇◇◇ 視点切替『リヨン』◇◇◇◇
◇ 一日前 ( 事件当日 ) ◇
「ミルモル様、レイ様がまだお戻りになりません。」
「あれから二時間は経つか…確かに遅いのう。」
「あの時、私がレイ様を引き止めておけば…。」
「終わったことを言っても仕方あるまい。じゃが、何だか胸騒ぎがするのぅ。リヨンや、すまないがレイを探して来て貰えんじゃろうか?」
「承知しました。早速行って参ります!」
私は馬にまたがり、街へと急ぐ。レイ様はギルドで別れる際に露天街の素材屋に立ち寄ると言っていたはずだ。もしかしたら、そこに何か手がかりがあるかもしれない。念のために足を運んでみようと思う。
◇ 素材屋 ◇
「いらっしゃい!姉ちゃん、何にするよ?ここに並んでない物でも用意できるぜぇ~。」
「あの…レイ様がここへ来たと思いますが、ご存知ありませんか?」
「レイ?ああ、あの兄ちゃんか?おう来たぜぇ~!もう帰って二時間は経つかなぁ~。何かあったのかい?」
「行方が分からなくて探しているんです。」
「そりゃ大変じゃないか!最近物騒だしなぁ~。犯罪ギルドの動きも活発になっているそうだぜぇ。気ぃつけろゃ。そういえば、あの兄ちゃん、作った魔道具に魔法陣付けて貰うからって、急いで帰って行ったぜぇ~。」
「そうですか。ありがとうございました。」
どうやらここが最後に立ち寄った場所だったようだ。もしここから帰るならば、一般居住区手前の停留所に向かうはずだ。しかし、その間に何者かに襲われてしまった可能性もある。
私は、息詰まるような緊張感を抱きながら、レイ様の足跡を追い求めるために停留所周辺を探したが、見つからなかった。
背筋に悪寒が走り抜ける。最悪の事態として、レイ様が何者かによって危険な事件に巻き込まれている可能性もある。今はとにかく、ミルモルさんに報告しに戻ることに決めた。
◇ ミリモル邸 ◇
「そうか…。お前でも見つけられぬとはな。もしかしたら、レイを狙った犯行かもしれぬ。少なからず手がかりはあるじゃろう。では、お前は商業ギルドとギルマスのヨンスについて調べてもらえるかの?ポーションが狙われた可能性があるのじゃ。」
「承知しました。」
その後、ミルモル様から詳細なポーションの件について懸念を説明してもらい、私は商業ギルドへと急いだ。
◇ 商業ギルド ◇
「失礼します。私は、主ミルモルの使者として参りました。ギルドマスターのヨンス様とお話がございます。」
「あなたの名は存じ上げております。お会いできて光栄です。迅雷のリヨン様!私は商業ギルドの相談役、ベニーと申します。」
《ヒソヒソ…。》
「あなたがあのベニーさんでしたか…。ベニーさん、その二つ名で呼ぶのは止めて頂けませんか?その道からは既に脚を洗いました。その…なりよりも恥ずかしいので…。」
「これは失礼致しました。承知しました、リヨン様。ギルドマスターのヨンスは、昼頃から休暇を取っており、現在不在です。私が代わりにご要件をお伺いいたします。」
「レイ様とポーションについての問題です。ご存じでしょうか?」
「存じております。応接室をご用意いたしますので、そちらで詳細をお話しください…。」
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「はい!ベニーさん。心配ありません。お任せください!」
「では、リヨン様、こちらへお進みください。」
私は、ベニーさんの後に続いて応接室へと進んだ...。ベニーさんと私は初対面ではあるが、お互いの存在は十分に認識していた。かつて、私たちは裏世界で最高峰のアサシンとして名を馳せていた。
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彼は優れたレイピア使いであり、相手の喉元を一突して数秒で命を奪う戦術を好むと聞いていた。それは予想していても回避することはできない致命的な一撃だったそうだ。かつての彼は、数多くの人をその剣で屠ってきた凄腕のアサシンであった。
彼のレイピアは、私の頬をかすめていった。ギリギリだったが、なんとか攻撃をかわせたようだ。
「おお、流石ですね。私の突きをかわせたのは、これまで数えるほどしかいませんでしたよ。しかし、なぜ反撃なさらなかったのですか?もし私の攻撃をかわせたのなら、そのまま私の命を奪えたはずですが...。」
「素晴らしい一撃でした。しかし、殺意の漲らない攻撃だったため、反撃する必要はないと判断しました。」
「全てお見通しでしたか。失礼致しました。あなたが踏み込もうとされている案件は、こういった可能性が伴いますので、実力を試させて頂きました。申し訳ありませんでした。」
ベニーさんは、手に持っていたレイピアを腰の鞘に戻しながら、申し訳なさそうに語っていた。
「いえ、私のことは大丈夫です。それより、レイ様は?」
「リヨン様、申し訳ありません。私も、サカモト様のお話をお伺いしたのは先程で、まだ居場所も掴めておりません。現在、元アサシンの仲間にお願いして捜索中です。」
「きちんとした手がかりは、まだありませんが、今お教えできる情報はございます。この件の首謀者は、恐らくギルマスのヨンスです。鑑定士のレネーからの証言ですが、信憑性は高いと思われます。」
「ヨンスですが、サカモト様のポーションが独占できなくなったことを逆恨みし、犯行に及んでいる可能性が高そうです。ただ、サカモト様を利用し、大儲けを企んでいる節があるので、最悪の可能性は回避できるでしょう。我々は、ヨンスと犯罪ギルドとの裏付けと、ヨンス本人の捜索も行っている所です。」
「犯罪ギルドの目星は?」
「『ソウルイーター』か『クナップス』の可能性が高いかと…。」
もしソウルイーターが関与していたら、非常に困難な状況となるだろう。彼らはこの国の裏側を実質的に支配していると言われる、アンダーグラウンドの頂点に君臨する犯罪者ギルドだ。その構成員たちの実力と規模は著しく高く、私の現在の力ではレイ様にたどり着くことすら困難かもしれない……。
一方、クナップスは中級の犯罪ギルドであり、相当な規模を誇っていると聞いている。こちらも簡単には行かないだろう。
「リヨン様、もう少し時間を頂戴できますでしょうか?朝一番で遣いを送ります。」
「ベニーさん、お力添えいただきありがとうございます。承知しました。私はミルモル様に報告に参ります。では、失礼いたします。」
私の知らない間に、さまざまな事態が進行していたようだ。ミルモル様には、レイ様をお守りするようお命じいただいたのに…。本当に不甲斐なく思う。
とにかく、今はベニーさんたちに任せ、自分ができるべきことに集中しよう。私は、急いで御屋敷に戻ることにした。
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