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嫉妬と俺

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「ソレイル、デートの約束なんてしてなかったよな?」
「ごめん。あまりにも最近ステラ嬢と一緒にいるから…。俺のこと忘れてないよね?」
ソレイルがギュッと俺を抱きしめる。
周りに人もいなかったので抵抗することもなく、そのままソレイルの頭を撫でた。

「気づいてると思うけど、ステラはソレイルのことが好きなんだと思う。だから、ステラに俺が奪われるなんてことないし、あっちだってそんなこと望んでないよ。」
「本当かな。アースは優しいし、可愛いし、かっこいいし、魅力的だから好きにならない人なんていない。いつもアースが誰かに奪われてしまわないか不安だよ。
「ソレイル…。」
「…ちょっと待って。ステラ嬢のことステラって呼び捨てにした?」
「あ。」
俺が焦った顔を見せるとソレイルはズーンとまた落ち込む。
「違うんだ!ステラ嬢がそう呼んで欲しいって頼んできて…。あと共通の話題があって、盛り上がって友達になったから…。ごめん、不安にさせるし、ソレイルの前ではステラ嬢って呼ぶようにしようとは思ってたんだけど。」

慌てる俺を見てソレイルは失笑する。
「不安な理由にステラ嬢に嫉妬してるというのもある。でもね、1番大きいのは、今までステラ嬢はアースのことを邪険に扱ってきたのに急に媚を売り出したってことだ。アースがステラ嬢に何か傷つけられるようなことが起こるんじゃないかって、そんな気がしてならないよ。」
ソレイルは美しい眉を顰めて俺に諭すように言った。

「俺、ステラ嬢のこと信じてみたいんだ。」
ソレイルの目をまっすぐ見つめる。
「初めてできた女友達だし。だけど、ソレイルが俺にとって1番なのは変わらないし、ソレイルがステラ嬢のこと信じられないって言うならそれに従う。俺は何よりもソレイルのことを信じてるから。」
俺は顔を赤くしてソレイルを見つめると、ソレイルの手が俺の頬を撫でた。そのまま優しく口付けをした。


その日の夕食の時間の後。
「今度、建国記念のパーティーがあるだろう?その時これを付けてくれると嬉しいな。」
そう言ってソレイルは俺に綺麗な箱を手渡してきた。
開けると淡い緑と青のカラーダイヤモンドの耳飾り。ダイヤは大きく、凝った細工でとても高級な物だと一目でわかる。
「ソレイルの瞳の色だ…。綺麗…。ありがとう!俺も何か渡したいな。」
「気持ちだけで十分だよ。ちなみにお揃いで作ったんだ。ほら。」
ソレイルが見せたもう一つの箱の中には濃い緑のカラーダイヤモンドの耳飾りが入っていた。
「パーティーが楽しみだな。ダンス頑張らないと!」
「アースをしっかり支えられるよう頑張るよ。この後ダンスの練習でもする?」
「うん!」

その日ソレイルと俺は時も忘れてダンスを楽しんだ。
全てが順調に進んでいるように思えた。



ギィと扉を開けた。相変わらずこの店は古臭くて暗い。
「久しぶりだな。」
「言われた通り仲良くなったわよ。あいつ脳内花畑だから、すぐ気を許してきたわ。本当、馬鹿みたい。」

ステラはマーズと共に中庭に行こうとした時に見た、2人の姿を思い出す。2人の影は重なり、ただならぬ雰囲気を醸し出していた。
「ステラ嬢、あいつらは見ての通り嫌になるほど愛し合ってる。邪魔できるとか考えないほうがいい。」
「そんなこと分からないじゃない!アースばかりムカつくのよ!」
ステラは走ってマーズから逃げた。
苦々しい記憶を思い出し、はぁっとため息をつく。マーズから嫌われたらアースのせいだ。

マーズはソレイルの次に好きだ。金も権力も美貌もある。美しく聡明な自分にぴったりだと思った。しかし、私に最もふさわしいのは王妃の座だ。

「ほらよ、これ。」
男はガサっと袋を机の上に置いた。開けるとそこには金貨が数枚入っていた。これほど入っていたら庶民なら一生食っていける。やはり、男の主人は相当な金持ちなようだ。
「遅くなったが、前金だ。とうとう本格的に計画を実行するからな。」
「まだその計画ってものを教えてもらえてないのだけど?」
「今から言うからそうカッカするんじゃない。まず実行日は来月の10日、建国記念の日だ…。」


街を深い闇が覆っている。
アースはソレイルに抱きしめられ、ぐっすりと眠っていた。

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