25 / 34
嫉妬と俺
しおりを挟む
「ソレイル、デートの約束なんてしてなかったよな?」
「ごめん。あまりにも最近ステラ嬢と一緒にいるから…。俺のこと忘れてないよね?」
ソレイルがギュッと俺を抱きしめる。
周りに人もいなかったので抵抗することもなく、そのままソレイルの頭を撫でた。
「気づいてると思うけど、ステラはソレイルのことが好きなんだと思う。だから、ステラに俺が奪われるなんてことないし、あっちだってそんなこと望んでないよ。」
「本当かな。アースは優しいし、可愛いし、かっこいいし、魅力的だから好きにならない人なんていない。いつもアースが誰かに奪われてしまわないか不安だよ。
「ソレイル…。」
「…ちょっと待って。ステラ嬢のことステラって呼び捨てにした?」
「あ。」
俺が焦った顔を見せるとソレイルはズーンとまた落ち込む。
「違うんだ!ステラ嬢がそう呼んで欲しいって頼んできて…。あと共通の話題があって、盛り上がって友達になったから…。ごめん、不安にさせるし、ソレイルの前ではステラ嬢って呼ぶようにしようとは思ってたんだけど。」
慌てる俺を見てソレイルは失笑する。
「不安な理由にステラ嬢に嫉妬してるというのもある。でもね、1番大きいのは、今までステラ嬢はアースのことを邪険に扱ってきたのに急に媚を売り出したってことだ。アースがステラ嬢に何か傷つけられるようなことが起こるんじゃないかって、そんな気がしてならないよ。」
ソレイルは美しい眉を顰めて俺に諭すように言った。
「俺、ステラ嬢のこと信じてみたいんだ。」
ソレイルの目をまっすぐ見つめる。
「初めてできた女友達だし。だけど、ソレイルが俺にとって1番なのは変わらないし、ソレイルがステラ嬢のこと信じられないって言うならそれに従う。俺は何よりもソレイルのことを信じてるから。」
俺は顔を赤くしてソレイルを見つめると、ソレイルの手が俺の頬を撫でた。そのまま優しく口付けをした。
その日の夕食の時間の後。
「今度、建国記念のパーティーがあるだろう?その時これを付けてくれると嬉しいな。」
そう言ってソレイルは俺に綺麗な箱を手渡してきた。
開けると淡い緑と青のカラーダイヤモンドの耳飾り。ダイヤは大きく、凝った細工でとても高級な物だと一目でわかる。
「ソレイルの瞳の色だ…。綺麗…。ありがとう!俺も何か渡したいな。」
「気持ちだけで十分だよ。ちなみにお揃いで作ったんだ。ほら。」
ソレイルが見せたもう一つの箱の中には濃い緑のカラーダイヤモンドの耳飾りが入っていた。
「パーティーが楽しみだな。ダンス頑張らないと!」
「アースをしっかり支えられるよう頑張るよ。この後ダンスの練習でもする?」
「うん!」
その日ソレイルと俺は時も忘れてダンスを楽しんだ。
全てが順調に進んでいるように思えた。
ギィと扉を開けた。相変わらずこの店は古臭くて暗い。
「久しぶりだな。」
「言われた通り仲良くなったわよ。あいつ脳内花畑だから、すぐ気を許してきたわ。本当、馬鹿みたい。」
ステラはマーズと共に中庭に行こうとした時に見た、2人の姿を思い出す。2人の影は重なり、ただならぬ雰囲気を醸し出していた。
「ステラ嬢、あいつらは見ての通り嫌になるほど愛し合ってる。邪魔できるとか考えないほうがいい。」
「そんなこと分からないじゃない!アースばかりムカつくのよ!」
ステラは走ってマーズから逃げた。
苦々しい記憶を思い出し、はぁっとため息をつく。マーズから嫌われたらアースのせいだ。
マーズはソレイルの次に好きだ。金も権力も美貌もある。美しく聡明な自分にぴったりだと思った。しかし、私に最もふさわしいのは王妃の座だ。
「ほらよ、これ。」
男はガサっと袋を机の上に置いた。開けるとそこには金貨が数枚入っていた。これほど入っていたら庶民なら一生食っていける。やはり、男の主人は相当な金持ちなようだ。
「遅くなったが、前金だ。とうとう本格的に計画を実行するからな。」
「まだその計画ってものを教えてもらえてないのだけど?」
「今から言うからそうカッカするんじゃない。まず実行日は来月の10日、建国記念の日だ…。」
街を深い闇が覆っている。
アースはソレイルに抱きしめられ、ぐっすりと眠っていた。
「ごめん。あまりにも最近ステラ嬢と一緒にいるから…。俺のこと忘れてないよね?」
ソレイルがギュッと俺を抱きしめる。
周りに人もいなかったので抵抗することもなく、そのままソレイルの頭を撫でた。
「気づいてると思うけど、ステラはソレイルのことが好きなんだと思う。だから、ステラに俺が奪われるなんてことないし、あっちだってそんなこと望んでないよ。」
「本当かな。アースは優しいし、可愛いし、かっこいいし、魅力的だから好きにならない人なんていない。いつもアースが誰かに奪われてしまわないか不安だよ。
「ソレイル…。」
「…ちょっと待って。ステラ嬢のことステラって呼び捨てにした?」
「あ。」
俺が焦った顔を見せるとソレイルはズーンとまた落ち込む。
「違うんだ!ステラ嬢がそう呼んで欲しいって頼んできて…。あと共通の話題があって、盛り上がって友達になったから…。ごめん、不安にさせるし、ソレイルの前ではステラ嬢って呼ぶようにしようとは思ってたんだけど。」
慌てる俺を見てソレイルは失笑する。
「不安な理由にステラ嬢に嫉妬してるというのもある。でもね、1番大きいのは、今までステラ嬢はアースのことを邪険に扱ってきたのに急に媚を売り出したってことだ。アースがステラ嬢に何か傷つけられるようなことが起こるんじゃないかって、そんな気がしてならないよ。」
ソレイルは美しい眉を顰めて俺に諭すように言った。
「俺、ステラ嬢のこと信じてみたいんだ。」
ソレイルの目をまっすぐ見つめる。
「初めてできた女友達だし。だけど、ソレイルが俺にとって1番なのは変わらないし、ソレイルがステラ嬢のこと信じられないって言うならそれに従う。俺は何よりもソレイルのことを信じてるから。」
俺は顔を赤くしてソレイルを見つめると、ソレイルの手が俺の頬を撫でた。そのまま優しく口付けをした。
その日の夕食の時間の後。
「今度、建国記念のパーティーがあるだろう?その時これを付けてくれると嬉しいな。」
そう言ってソレイルは俺に綺麗な箱を手渡してきた。
開けると淡い緑と青のカラーダイヤモンドの耳飾り。ダイヤは大きく、凝った細工でとても高級な物だと一目でわかる。
「ソレイルの瞳の色だ…。綺麗…。ありがとう!俺も何か渡したいな。」
「気持ちだけで十分だよ。ちなみにお揃いで作ったんだ。ほら。」
ソレイルが見せたもう一つの箱の中には濃い緑のカラーダイヤモンドの耳飾りが入っていた。
「パーティーが楽しみだな。ダンス頑張らないと!」
「アースをしっかり支えられるよう頑張るよ。この後ダンスの練習でもする?」
「うん!」
その日ソレイルと俺は時も忘れてダンスを楽しんだ。
全てが順調に進んでいるように思えた。
ギィと扉を開けた。相変わらずこの店は古臭くて暗い。
「久しぶりだな。」
「言われた通り仲良くなったわよ。あいつ脳内花畑だから、すぐ気を許してきたわ。本当、馬鹿みたい。」
ステラはマーズと共に中庭に行こうとした時に見た、2人の姿を思い出す。2人の影は重なり、ただならぬ雰囲気を醸し出していた。
「ステラ嬢、あいつらは見ての通り嫌になるほど愛し合ってる。邪魔できるとか考えないほうがいい。」
「そんなこと分からないじゃない!アースばかりムカつくのよ!」
ステラは走ってマーズから逃げた。
苦々しい記憶を思い出し、はぁっとため息をつく。マーズから嫌われたらアースのせいだ。
マーズはソレイルの次に好きだ。金も権力も美貌もある。美しく聡明な自分にぴったりだと思った。しかし、私に最もふさわしいのは王妃の座だ。
「ほらよ、これ。」
男はガサっと袋を机の上に置いた。開けるとそこには金貨が数枚入っていた。これほど入っていたら庶民なら一生食っていける。やはり、男の主人は相当な金持ちなようだ。
「遅くなったが、前金だ。とうとう本格的に計画を実行するからな。」
「まだその計画ってものを教えてもらえてないのだけど?」
「今から言うからそうカッカするんじゃない。まず実行日は来月の10日、建国記念の日だ…。」
街を深い闇が覆っている。
アースはソレイルに抱きしめられ、ぐっすりと眠っていた。
129
お気に入りに追加
2,703
あなたにおすすめの小説
兄がいるので悪役令嬢にはなりません〜苦労人外交官は鉄壁シスコンガードを突破したい〜
藤也いらいち
恋愛
無能王子の婚約者のラクシフォリア伯爵家令嬢、シャーロット。王子は典型的な無能ムーブの果てにシャーロットにあるはずのない罪を並べ立て婚約破棄を迫る。
__婚約破棄、大歓迎だ。
そこへ、視線で人手も殺せそうな眼をしながらも満面の笑顔のシャーロットの兄が王子を迎え撃った!
勝負は一瞬!王子は場外へ!
シスコン兄と無自覚ブラコン妹。
そして、シャーロットに思いを寄せつつ兄に邪魔をされ続ける外交官。妹が好きすぎる侯爵令嬢や商家の才女。
周りを巻き込み、巻き込まれ、果たして、彼らは恋愛と家族愛の違いを理解することができるのか!?
短編 兄がいるので悪役令嬢にはなりません を大幅加筆と修正して連載しています
カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。
いらないと言ったのはあなたの方なのに
水谷繭
恋愛
精霊師の名門に生まれたにも関わらず、精霊を操ることが出来ずに冷遇されていたセラフィーナ。
セラフィーナは、生家から救い出して王宮に連れてきてくれた婚約者のエリオット王子に深く感謝していた。
エリオットに尽くすセラフィーナだが、関係は歪つなままで、セラよりも能力の高いアメリアが現れると完全に捨て置かれるようになる。
ある日、エリオットにお前がいるせいでアメリアと婚約できないと言われたセラは、二人のために自分は死んだことにして隣国へ逃げようと思いつく。
しかし、セラがいなくなればいいと言っていたはずのエリオットは、実際にセラが消えると血相を変えて探しに来て……。
◆表紙画像はGirly drop様からお借りしました🍬
◇いいね、エールありがとうございます!
愛されていないはずの婚約者に「貴方に愛されることなど望んでいませんわ」と申し上げたら溺愛されました
海咲雪
恋愛
「セレア、もう一度言う。私はセレアを愛している」
「どうやら、私の愛は伝わっていなかったらしい。これからは思う存分セレアを愛でることにしよう」
「他の男を愛することは婚約者の私が一切認めない。君が愛を注いでいいのも愛を注がれていいのも私だけだ」
貴方が愛しているのはあの男爵令嬢でしょう・・・?
何故、私を愛するふりをするのですか?
[登場人物]
セレア・シャルロット・・・伯爵令嬢。ノア・ヴィアーズの婚約者。ノアのことを建前ではなく本当に愛している。
×
ノア・ヴィアーズ・・・王族。セレア・シャルロットの婚約者。
リア・セルナード・・・男爵令嬢。ノア・ヴィアーズと恋仲であると噂が立っている。
アレン・シールベルト・・・伯爵家の一人息子。セレアとは幼い頃から仲が良い友達。実はセレアのことを・・・?
今さら、私に構わないでください
ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。
彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。
愛し合う二人の前では私は悪役。
幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。
しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……?
タイトル変更しました。
いい子で待て
冴月希衣@電子書籍配信中
BL
【歩くフェロモン×天真爛漫・一途な乙女男子】ドSなラノベ作家とオトメン幼馴染、ほのぼのいちゃラブ
『スイートピーでさようなら』のその後のお話をお届けします。
☆.。.*・☆.。.*・☆.。.*・☆.。.*☆.。.*・☆.。.*・☆
【壱チカ・スピンオフ】
『甘く滴る、花蜜の…』
冷徹傲慢な帝×純粋一途な美少年 妖艶耽溺、時々バトルありの平安ラブ
『おにいさんのジェラシーは、甘い甘いセラピー?』
高校生×小学生・年齢パロ
◆本文、画像の無断転載禁止◆
No reproduction or republication without written permission.
婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた
cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。
お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。
婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。
過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。
ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。
婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。
明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。
「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。
そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。
茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。
幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。
「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?!
★↑例の如く恐ろしく省略してます。
★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。
★コメントの返信は遅いです。
★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません
追放された公爵令嬢は、流刑地で竜系とソロキャンする。
束原ミヤコ
恋愛
リコリス・オリアニス公爵令嬢はユリウス・ヴァイセンベルク第一王子の婚約者だった。
共に学園生活を楽しんでいたのもつかの間、ある日突然、王家の反逆者あつかいされて捕縛され、流刑になってしまう。
理由は――王家の秘宝を盗み、盗んだ罪を護国の聖女といわれているアリアネ・オリアニスに、実の妹に押し付けようとしたから――らしい。
身に覚えはないけれど、流刑になってしまったリコリス。
東の荒野に一人置き去りにされたリコリスは考える。
『ここを、新生リコリス帝国にしましょう』
そこに東の荒野にひっそりと住んでいた白竜ヴィルヘルムが現れる。
ソロキャンしたいリコリスと、料理を食べたいヴィルヘルムの利害が一致したところで、新生リコリス帝国への第一歩がはじまったり始まらなかったりする話です。
所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!
ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。
幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。
婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。
王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。
しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。
貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。
遠回しに二人を注意するも‥
「所詮あなたは他人だもの!」
「部外者がしゃしゃりでるな!」
十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。
「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」
関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが…
一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。
なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる