7 / 19
7
しおりを挟む
次は魔法薬学だが、実験を行うので移動しなくてはならない。移動のために教科書を持とうとすると、朝までカバンの中にあった教科書がないことに気がつく。
「あれ?ない。どこにもない」
「どうしたの?」
「ダニエル、俺の教科書知らない?魔法薬学の基礎っていうやつ。朝までカバンの中に入ってたんだけど…」
「見てないけど…。1回も取り出してないんだよね?」
「うん。おかしいな、なくなるはずが…」
(いや、なくなるはずはあるな。)
昨日、ルシファーに好意的なことを言われたことで、ステファニーの恨みを買ったのかもしれない。
ステファニーの方を見ると、案の定、取り巻き達がくすくす笑っていた。
「時間もないし、放課後探すよ。見つからなかったらまた考える。もう探すのはやめる」
「え!でも次の授業が困るんじゃない?」
「それじゃあ私のを一緒に見よう」
ルシファーが話しかけてきた。
そしてピコンと音がなりまた選択肢が生まれる。
▷お前のせいでこうなってんの!
あまり僕に関わらないでほしい。
ありがとう!助かります!
ふと、選択肢以外の言葉を選ぶとどうなるのか気になった。わざと選択肢にない言葉を言ってみる。
「本当ですか?迷惑じゃありませんか?」
すると警告音のようなものが脳内に流れた。
“選択肢を選んでください。選択肢を選んでください。10秒以内に選ばないとオート処理が施されます”
(オート処理?何なんだ、それ?1度選んでみないでおこうかな)
“10、9、8、7、6…”
「気にしないで。次の授業は私の隣に座ってくれれば大丈夫だから。良かったらわからないところは教えるし」
ルシファーは優しく微笑む。
“3、2、1。オート処理実行。”
お前のせいでこうなってんの!
▷あまり僕に関わらないでほしい。
ありがとう!助かります!
カーソルが2番目を指す。
(え、やめてくれよ。1番下が無難だろ!?)
「あまり僕に関わらないでほしい」
思わず口からそんな言葉が出ていた。
俺はハッと手で口を押さえる。
「ちがっ、今のは…!」
「ごめん、お節介だったかな?また困ったことがあったら言ってね」
ルシファーは悲しそうな顔をした。俺は傷つけてしまったとひどく後悔をする。
「どうしたの?そんなことを言うなんて。君らしくないね」
「いや、俺も言うつもりは全くなかったんだ。本当にルシファー様のご好意をありがたく思ってて…」
「ルシファー様にそんな口を聞くのはどうかと思いますけれど、貴方はそうするべきでしてよ」
ステファニー侯爵令嬢が扇子で口元を隠しながら近づいてくる。
「貴方がルシファー様に近寄らなければ、何も困ることはない。教科書もペンも、お気に入りのペンダントもなくなることはない」
その言葉にハッとして、俺は首元を触る。
孤児院の前に捨てられていた時に一緒に置かれていたペンダントを大事に首から下げているのだ。
流石に今回はペンダントは奪われていなかったが、このままいくと奪うという警告だろう。
「そうやって脅しをかけるなんて卑怯だ」
「脅し?何のこと?私はただ、雑草は庭園ではなく、道端にいるべきだと思うだけですわ。庭園に咲くのは薔薇だけでいい。雑草がそばに生えてては見劣りいたしますもの」
ステファニーは高らかに笑った。
「あれ?ない。どこにもない」
「どうしたの?」
「ダニエル、俺の教科書知らない?魔法薬学の基礎っていうやつ。朝までカバンの中に入ってたんだけど…」
「見てないけど…。1回も取り出してないんだよね?」
「うん。おかしいな、なくなるはずが…」
(いや、なくなるはずはあるな。)
昨日、ルシファーに好意的なことを言われたことで、ステファニーの恨みを買ったのかもしれない。
ステファニーの方を見ると、案の定、取り巻き達がくすくす笑っていた。
「時間もないし、放課後探すよ。見つからなかったらまた考える。もう探すのはやめる」
「え!でも次の授業が困るんじゃない?」
「それじゃあ私のを一緒に見よう」
ルシファーが話しかけてきた。
そしてピコンと音がなりまた選択肢が生まれる。
▷お前のせいでこうなってんの!
あまり僕に関わらないでほしい。
ありがとう!助かります!
ふと、選択肢以外の言葉を選ぶとどうなるのか気になった。わざと選択肢にない言葉を言ってみる。
「本当ですか?迷惑じゃありませんか?」
すると警告音のようなものが脳内に流れた。
“選択肢を選んでください。選択肢を選んでください。10秒以内に選ばないとオート処理が施されます”
(オート処理?何なんだ、それ?1度選んでみないでおこうかな)
“10、9、8、7、6…”
「気にしないで。次の授業は私の隣に座ってくれれば大丈夫だから。良かったらわからないところは教えるし」
ルシファーは優しく微笑む。
“3、2、1。オート処理実行。”
お前のせいでこうなってんの!
▷あまり僕に関わらないでほしい。
ありがとう!助かります!
カーソルが2番目を指す。
(え、やめてくれよ。1番下が無難だろ!?)
「あまり僕に関わらないでほしい」
思わず口からそんな言葉が出ていた。
俺はハッと手で口を押さえる。
「ちがっ、今のは…!」
「ごめん、お節介だったかな?また困ったことがあったら言ってね」
ルシファーは悲しそうな顔をした。俺は傷つけてしまったとひどく後悔をする。
「どうしたの?そんなことを言うなんて。君らしくないね」
「いや、俺も言うつもりは全くなかったんだ。本当にルシファー様のご好意をありがたく思ってて…」
「ルシファー様にそんな口を聞くのはどうかと思いますけれど、貴方はそうするべきでしてよ」
ステファニー侯爵令嬢が扇子で口元を隠しながら近づいてくる。
「貴方がルシファー様に近寄らなければ、何も困ることはない。教科書もペンも、お気に入りのペンダントもなくなることはない」
その言葉にハッとして、俺は首元を触る。
孤児院の前に捨てられていた時に一緒に置かれていたペンダントを大事に首から下げているのだ。
流石に今回はペンダントは奪われていなかったが、このままいくと奪うという警告だろう。
「そうやって脅しをかけるなんて卑怯だ」
「脅し?何のこと?私はただ、雑草は庭園ではなく、道端にいるべきだと思うだけですわ。庭園に咲くのは薔薇だけでいい。雑草がそばに生えてては見劣りいたしますもの」
ステファニーは高らかに笑った。
314
お気に入りに追加
361
あなたにおすすめの小説
婚約破棄と言われても・・・
相沢京
BL
「ルークお前とは婚約破棄する!」
と、学園の卒業パーティーで男爵に絡まれた。
しかも、シャルルという奴を嫉んで虐めたとか、記憶にないんだけど・・
よくある婚約破棄の話ですが、楽しんで頂けたら嬉しいです。
***********************************************
誹謗中傷のコメントは却下させていただきます。
雫
ゆい
BL
涙が落ちる。
涙は彼に届くことはない。
彼を想うことは、これでやめよう。
何をどうしても、彼の気持ちは僕に向くことはない。
僕は、その場から音を立てずに立ち去った。
僕はアシェル=オルスト。
侯爵家の嫡男として生まれ、10歳の時にエドガー=ハルミトンと婚約した。
彼には、他に愛する人がいた。
世界観は、【夜空と暁と】と同じです。
アルサス達がでます。
【夜空と暁と】を知らなくても、これだけで読めます。
随時更新です。
初恋の公爵様は僕を愛していない
上総啓
BL
伯爵令息であるセドリックはある日、帝国の英雄と呼ばれるヘルツ公爵が自身の初恋の相手であることに気が付いた。
しかし公爵は皇女との恋仲が噂されており、セドリックは初恋相手が発覚して早々失恋したと思い込んでしまう。
幼い頃に辺境の地で公爵と共に過ごした思い出を胸に、叶わぬ恋をひっそりと終わらせようとするが…そんなセドリックの元にヘルツ公爵から求婚状が届く。
もしや辺境でのことを覚えているのかと高揚するセドリックだったが、公爵は酷く冷たい態度でセドリックを覚えている様子は微塵も無い。
単なる政略結婚であることを自覚したセドリックは、恋心を伝えることなく封じることを決意した。
一方ヘルツ公爵は、初恋のセドリックをようやく手に入れたことに並々ならぬ喜びを抱いていて――?
愛の重い口下手攻め×病弱美人受け
※二人がただただすれ違っているだけの話
前中後編+攻め視点の四話完結です
婚約破棄を傍観していた令息は、部外者なのにキーパーソンでした
Cleyera
BL
貴族学院の交流の場である大広間で、一人の女子生徒を囲む四人の男子生徒たち
その中に第一王子が含まれていることが周囲を不安にさせ、王子の婚約者である令嬢は「その娼婦を側に置くことをおやめ下さい!」と訴える……ところを見ていた傍観者の話
:注意:
作者は素人です
傍観者視点の話
人(?)×人
安心安全の全年齢!だよ(´∀`*)
婚約破棄?しませんよ、そんなもの
おしゃべりマドレーヌ
BL
王太子の卒業パーティーで、王太子・フェリクスと婚約をしていた、侯爵家のアンリは突然「婚約を破棄する」と言い渡される。どうやら真実の愛を見つけたらしいが、それにアンリは「しませんよ、そんなもの」と返す。
アンリと婚約破棄をしないほうが良い理由は山ほどある。
けれどアンリは段々と、そんなメリット・デメリットを考えるよりも、フェリクスが幸せになるほうが良いと考えるようになり……
「………………それなら、こうしましょう。私が、第一王妃になって仕事をこなします。彼女には、第二王妃になって頂いて、貴方は彼女と暮らすのです」
それでフェリクスが幸せになるなら、それが良い。
<嚙み痕で愛を語るシリーズというシリーズで書いていきます/これはスピンオフのような話です>
マジで婚約破棄される5秒前〜婚約破棄まであと5秒しかありませんが、じゃあ悪役令息は一体どうしろと?〜
明太子
BL
公爵令息ジェーン・アンテノールは初恋の人である婚約者のウィリアム王太子から冷遇されている。
その理由は彼が侯爵令息のリア・グラマシーと恋仲であるため。
ジェーンは婚約者の心が離れていることを寂しく思いながらも卒業パーティーに出席する。
しかし、その場で彼はひょんなことから自身がリアを主人公とした物語(BLゲーム)の悪役だと気付く。
そしてこの後すぐにウィリアムから婚約破棄されることも。
婚約破棄まであと5秒しかありませんが、じゃあ一体どうしろと?
シナリオから外れたジェーンの行動は登場人物たちに思わぬ影響を与えていくことに。
※小説家になろうにも掲載しております。
婚約破棄は計画的にご利用ください
Cleyera
BL
王太子の発表がされる夜会で、俺は立太子される第二王子殿下に、妹が婚約破棄を告げられる現場を見てしまった
第二王子殿下の婚約者は妹じゃないのを、殿下は知らないらしい
……どうしよう
:注意:
素人です
人外、獣人です、耳と尻尾のみ
エロ本番はないですが、匂わせる描写はあります
勢いで書いたので、ツッコミはご容赦ください
ざまぁできませんでした(´Д` ;)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる