愛などもう求めない

白兪

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交流

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ヒラヒラのレースがふんだんにあしらわれたシャツを着る。
おめかしをしているのは1ヶ月ぶりに婚約者に会うからだ。
極力会わないようにしようとはいったものの、1ヶ月に1度は会わなくてはならなかった。

「お待たせいたしました。」
「あ、ああ!久しぶりですね。お元気でしたか?」
ジュスティスは慌てて椅子から立ち上がる。
「おかげさまで。」
ヴェリテは静かにお茶を飲む。
「あの、最近レベス語を学んでいるとお聞きしました。」
「はい。」
「実は僕もレベス語を学んでいるのですよ。僕の家がレベス王国と交易をしておりまして、それで…。」
「では、レベス王国についてお詳しいのですか?」
「他の人よりは詳しいと思いますよ。何度か訪れたこともありますし。」

レベス王国は逃亡先に考えている国の一つだ。この国よりも北に位置するレベス王国は技術が発達しており豊かな国だ。犯罪発生率も低く、子供が逃げ込んでも大丈夫だと踏んでいる。シュペルブ帝国も大きな国だが、レベス王国も引けを取らない。

「レベス王国についてもっと知りたいです。」
ヴェリテがそう言うと、ジュスティスはたくさんのことを教えてくれた。

「レベスは…。」

「もうこんな時間ですね。帰らなくては。」
ジュスティスがハッとした表情を見せる。
日は沈みかけ、空は赤く染まっていた。
「たくさんお話が聞けて面白かったです。また、ぜひ教えてください。」
ヴェリテは微笑む。
「ヴェリテ様がよろしければ明日でも明後日でもお伺いしますよ!」
ジュスティスは顔を赤くした。

ジュスティスはいい人だ。前世でも、心内はともかく、ファクティスが現れるまで優しく接してくれていた。ファクティスに嫉妬してヴェリテが虐めた結果、嫌われるようになってしまっただけで、ジュスティスはその名の通り、正義感の強い男だった。

どんなに優しくしてくれたとしても、ジュスティスは僕に愛情など少しも持っていなかったけどな。
ジュスティスは酷い人だ。優しくして期待させるだけ期待させて、最後には見捨てるのだから。

「お前の顔など2度と見たくない!優しいファクティスを傷つけて!この偽物が!!」

ジュスティスの憎悪の籠った瞳を思い出す。

あまり関わりたくないと思っていたが、また明後日会う約束をしてしまった。
ジュスティスが大切な人になる前に彼から離れなくては。

「ヴェリテ様、またお会いできるのを楽しみにしています。」
ジュスティスがそう微笑みかけるたび、ヴェリテの心臓はきゅっと締め付けられた。

ヴェリテは1人涙を流した。
ジュスティスに会うたびドキドキと高鳴る心臓を必死に抑えつけるように。


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