異世界クラス転移した俺氏、陰キャなのに聖剣抜いたった ~なんかヤバそうなので学園一の美少女と国外逃亡します~

みょっつ三世

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朝チュンチュン

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 チュンチュン

 翌日。俺は窓から差し込む日差しに包まれ目を覚ました。これが朝チュンってやつか。

 昨晩、俺達は仲良く大人の階段をかけ上が……ることはなかった。
 何もなかったはずなのに様式美のように聞こえる小鳥達のさえずりが無性に憎たらしい。クソが。

 いやいやいやいや無理に決まってるじゃん?
 何度も言うけどこちとら陰キャオタク童貞よ?
 なろう小説チーレムじゃないんだからそんな序盤でくっつくとかそういうのはないの!クソが!!

 そもそもアリスは俺みたいな陰キャごときに好意なんて持たないだろうし、聖剣ちゃん達はいちいちキナ臭い。手を出す選択肢なんて有り得ないのだ。

 でも、でも……勿体なかったなぁ……。

 ふと一生童貞という言葉が頭をよぎる。
 ち、違うよね? 本当に違うよね???

 とりあえず心の中で神に拝み倒した。たのんます本当にたのんますよ!

「あら起きていたのね。おはよう明星君」

「あっはい」

 アリスが俺に反応したのか起床した。

 彼女にしては珍しく頬を少し染めて、微笑を浮かべている。
 なんでだろう。無駄に滅茶苦茶事後感が漂っているんですけど。これで俺、童貞のまんまなんだぜ?信じらんないよね。

『そういうとこですよマスター』

『ほんとマスターは童貞のざこざこ♡』

「うるさいうるさい本当にうるさいやいっ」

 ぶっとばすぞこの野郎。後アレ。童貞をイジメるんじゃありません。救いようのない化物みたいなもんなんだぞ。

 聖剣ちゃん達は既に美少女化を解除して元の剣形態に戻っていた。昨晩は本当に驚いたわ。ゼ〇ブレイドかよ。

『それで今日はどうするんですかマスター?』

「ふーむ」

 昨晩の出来事は心の底に永久封印するとして。あ、彼女達の艶姿は脳内永久保存しときました。

 何事も最初が大事だ。陰キャが高校デビューしようとして奇をてらった自己紹介しようものなら大失敗は必然みたいな。違うか。違うな。これは俺の黒歴史ですね……。

「よしなら作戦会議をしよう」

 何はともあれまず、今後の行動指針を決めるべきだろう。


 ◆


 部屋に運ばれた昼食を食べつつ今後の行動指針を決めるべく作戦会議を開始した。

「当面の目標なんだけど元の世界に戻るための手がかりを探そうと思う」

「王国はどうするの?」

「うーん、あそこかなりキナ臭いんだよなぁ」

 あそこに元の世界に戻るために必要な情報があるのは間違いないだろう。俺らを異世界転移させたわけだし。
 しかしどうにも信用できない。そもそも平然と拉致をしているような奴らだし信用も信頼も絶対にしてはいけない相手だ。

 召喚されたクラスメイト達は熱に浮かされ見過ごしているが、今回の件は拉致監禁もいいところだ。しかも都合のいいことばかり言って戦争の駒にまでしようとしている。

 信用できるわけもない。

『そうですね。聖剣ちゃん的にもしばらくあそこには近づかないほうがいいと思います』

『魔剣ちゃんあそこ嫌い~』

「そうね私も同感よ。それにあの空間は異様に感じたわ」

 そうそれなのだ。
 俺とアリスは些か特殊な立位置にいたところもあるが、それにしたって異常とも言えた。

 もしかしたら洗脳魔術もしくは扇動魔術。そんなところだろうか。いくら平和ボケした日本高校生とはいえ、あの問いかけに二つ返事なのはおかしい。そう考えたほうが腑に落ちる。

「とりあえず王国は一度置いておくとして。どうこうするにも情報が足りなすぎるな」

「そうね。王国から軽く説明を受けただけで私達はこの世界について無知だものね」

 俺達が知っていることなど王国といくつかの国が存在するこの人大陸と魔王軍が根城にしている海向こうの魔大陸に分かれている程度だ。それ以上は説明を受ける暇もなく脱走したわけだし知る由もない。
 まぁ仮に説明を受けられたところで、さぞ王国贔屓の偏った歴史や情報を教えられるだけだろうけど。

『情報収集も大事ですがアリスちゃんの戦力強化のほうが急務では?』

『アリスちゃんレベル1のよわよわ♡』

「反論出来る要素がないだけに腹ただしいわね……」

 聖剣ちゃんが言うことも一理ある。俺自身はレベルアップにより相当強化されたが、アリスはそのままだ。正直、ふとした拍子に死にそうで気が気でない。

 となると情報収集もしつつアリスの戦力強化もしていく必要があるな。

「よしとりあえずあれだ。冒険者ギルドに行こう」

 そうだギルドに行こう。
 困ったときの定番、異世界転移の基本である冒険者ギルドだ。異世界転移及び転生系でこれが出ない小説などほぼ存在しない。皆無だ。

 とりあえず冒険者ギルドに行っておけばなんとかなる。そう言っても過言ではないまであるね。

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