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第6章 太陽の聖女と星の聖女
第291話 トリスタン王子の居場所
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イナリの力で、魔の力の使い方が記されている紙がこの宝物庫に納められていた事がわかった。
その紙をイナリに見せてもらったんだけど、何が書かれているのかは少しもわからない。
何かの日付と時刻? そして、方角だろうか。それらが表にまとめられている。
でも、数字は今の文字と同じなんだけど、そこに書かれている説明文は私たちの知っている文字ではなく、見た事のない文字だ。
「イナリ。これって何の事かわかる?」
「いや、さっぱりだ。ここに書かれている意味を……むっ! 我の力が強すぎたのか、気を失ってしまったか」
イナリの言葉で目を向けると、先程の男性が倒れている。
調べてみると……うん。命に別状は無さそうね。
「すみません。私にも見せていただいて良いですか?」
「えぇ、どうぞ」
「僕も僕もー!」
ロレッタさんとコリンが紙に目を通すと、二人がそれぞれ口を開く。
「……おそらくですが、これは日の出と日没の時間ではないでしょうか。この列の日付と、この列の時刻だと概ね数字が合うかと」
「それから、これは獣人族の古い文字だよー! 何て書いてあるか全部は読めないけど、空へ放つ……っていうのだけは読めたよー!」
「ロレッタさんもコリンも凄い! よく、わかったわね」
私もイナリも、何が書いてあるのかサッパリだったけど、書かれている事が少しだけ判明した。
「私は星が出ていないと占いが出来ないので、時期毎のおおよその日没時間を覚えているので。地理的に、このイスパナでも大きな差はないと思います」
「そっか。ロレッタさんならではの視点ね」
「お役に立てて何よりです。日没の時間は時期によって違うので、こういった資料が作られたのかと。ですが、その後に続く列の数字などは、何を表しているのかはわかりませんが」
時刻の次の列には、矢印と角度を示すような数字の組み合わせがそれぞれ二つ続く。
何かの方角だったりするのだろうか?
表の項目が何を表しているのかが分かれば良いのだけど。
「コリンも、昔の文字を読めるなんて凄いわね」
「えへへ。昔教えてもらった事があるんだー。あと、この資料を作ったのは、獣人族の人だと思うよ。今は少ないけど、昔は獣人族って沢山いたらしいし」
「そうなんだ。けd、空へ放つ……って、何を空へ放つのかな?」
「魔の力の使い方って言っていたから……魔槍?」
流石に槍を空へ放つなんて事はしないはずだから、何かの比喩表現というか、隠語みたいなものだと思う。
魔槍は普通に槍として使うのではなくて、投げて使うものだという事だろうか。
「とりあえず、太陽の神殿へ行かなきゃ!」
「そうだな。ここに記されている時間が気になる。もう間もなくであろう」
「今から急いで……でも、ここから聖都へ行くには、どうやっても間に合わない!」
馬車で数日掛かるような距離を、今から数分で移動なんてイナリでも出来ないだろうし、聖都の人たちに避難してもらうにしても連絡が取れない。
それでも行くしかないと北東へ向かおうとして……イナリに止められる。
「アニエスよ。どこへ行くのだ?」
「えっ!? 太陽の神殿がある聖都でしょ?」
「待つのだ。この資料は明らかに古いものだ。今の太陽の聖女がいる神殿は、つい最近出来たものであろう」
「あっ! という事は、この旧聖都にある……」
「そうだ。アニエスが氷魔法で再現した、太陽の神殿にバカ王子はいるのだろう」
ファイアー・ドレイクに破壊された太陽の神殿を、復旧の手助けになるかも……と、私が氷魔法で同じ物を作りだしたんだ!
は、早くトリスタン王子を止めなきゃ!
その紙をイナリに見せてもらったんだけど、何が書かれているのかは少しもわからない。
何かの日付と時刻? そして、方角だろうか。それらが表にまとめられている。
でも、数字は今の文字と同じなんだけど、そこに書かれている説明文は私たちの知っている文字ではなく、見た事のない文字だ。
「イナリ。これって何の事かわかる?」
「いや、さっぱりだ。ここに書かれている意味を……むっ! 我の力が強すぎたのか、気を失ってしまったか」
イナリの言葉で目を向けると、先程の男性が倒れている。
調べてみると……うん。命に別状は無さそうね。
「すみません。私にも見せていただいて良いですか?」
「えぇ、どうぞ」
「僕も僕もー!」
ロレッタさんとコリンが紙に目を通すと、二人がそれぞれ口を開く。
「……おそらくですが、これは日の出と日没の時間ではないでしょうか。この列の日付と、この列の時刻だと概ね数字が合うかと」
「それから、これは獣人族の古い文字だよー! 何て書いてあるか全部は読めないけど、空へ放つ……っていうのだけは読めたよー!」
「ロレッタさんもコリンも凄い! よく、わかったわね」
私もイナリも、何が書いてあるのかサッパリだったけど、書かれている事が少しだけ判明した。
「私は星が出ていないと占いが出来ないので、時期毎のおおよその日没時間を覚えているので。地理的に、このイスパナでも大きな差はないと思います」
「そっか。ロレッタさんならではの視点ね」
「お役に立てて何よりです。日没の時間は時期によって違うので、こういった資料が作られたのかと。ですが、その後に続く列の数字などは、何を表しているのかはわかりませんが」
時刻の次の列には、矢印と角度を示すような数字の組み合わせがそれぞれ二つ続く。
何かの方角だったりするのだろうか?
表の項目が何を表しているのかが分かれば良いのだけど。
「コリンも、昔の文字を読めるなんて凄いわね」
「えへへ。昔教えてもらった事があるんだー。あと、この資料を作ったのは、獣人族の人だと思うよ。今は少ないけど、昔は獣人族って沢山いたらしいし」
「そうなんだ。けd、空へ放つ……って、何を空へ放つのかな?」
「魔の力の使い方って言っていたから……魔槍?」
流石に槍を空へ放つなんて事はしないはずだから、何かの比喩表現というか、隠語みたいなものだと思う。
魔槍は普通に槍として使うのではなくて、投げて使うものだという事だろうか。
「とりあえず、太陽の神殿へ行かなきゃ!」
「そうだな。ここに記されている時間が気になる。もう間もなくであろう」
「今から急いで……でも、ここから聖都へ行くには、どうやっても間に合わない!」
馬車で数日掛かるような距離を、今から数分で移動なんてイナリでも出来ないだろうし、聖都の人たちに避難してもらうにしても連絡が取れない。
それでも行くしかないと北東へ向かおうとして……イナリに止められる。
「アニエスよ。どこへ行くのだ?」
「えっ!? 太陽の神殿がある聖都でしょ?」
「待つのだ。この資料は明らかに古いものだ。今の太陽の聖女がいる神殿は、つい最近出来たものであろう」
「あっ! という事は、この旧聖都にある……」
「そうだ。アニエスが氷魔法で再現した、太陽の神殿にバカ王子はいるのだろう」
ファイアー・ドレイクに破壊された太陽の神殿を、復旧の手助けになるかも……と、私が氷魔法で同じ物を作りだしたんだ!
は、早くトリスタン王子を止めなきゃ!
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