83 / 123
第6章 太陽の聖女と星の聖女
第255話 教会の夜
しおりを挟む
「ふゎー、お風呂が大きいー!」
「す、凄い。貴族のお屋敷みたいです」
教会に泊めてもらう事になり、ロレッタさんと一緒にお風呂へやってきた。
イスパナで一番大きな教会というだけあって、ゲスト用のお風呂があるんだけど、物凄く大きい上に、私たちしか居ない。
教会というだけあって、変な装飾品とかがゴテゴテしている訳ではなく、シンプルに広いお風呂だ。
これがトリスタン王子なら、よくわからない壺とか彫像とか、絶対に無意味な調度品を並べていると思う。
大きくても教会なので、そういう所がブレないのは良いんじゃないかな。
「ふぅ。こんなに大きなお風呂は初めてです」
「ですよねー! 思いっきり脚を伸ばせちゃいますね」
「ですが、大き過ぎるので、一人だと怖くなっちゃうかもですね。コリンさんは大丈夫でしょうか?」
あ、そっか。
ロレッタさんはコリンの年齢を知らないんだ。
獣人族なので見た目は幼いけど……って、勝手に私が言っちゃダメね。
ただ、もしもこれが逆だったら……とは思う。
今はロレッタさんが居るから良いけれど、大きなお風呂に一人って怖いのよね。実際、経験したし。
そんな事を考えていると、突然コリンの声が響き渡る。
「えっと、僕は子供じゃないから、大丈夫だよー!」
「えぇっ!? コリン!? 何処に居るのっ!?」
「隣のお風呂だよー! 屋根の近くに隙間があって、お姉ちゃんたちの声が聞こえてるんだー!」
「あ、そういう事? あはは、平気みたいで良かった」
ビックリしたー。
コリンはそういう事をする子じゃないから、間違えてこっちへ入って来ちゃったのかと思っちゃった。
ひとまず、コリンは平気そうなので、ロレッタさんとお話ししながらお風呂を済ませ、夕食までいただいて、それぞれの部屋へ。
一人一部屋が割り当てられ、子狐姿のイナリは、コリンのところに居る。
「さて……今日もポーション作りを頑張りますか」
予め、イナリの異空間収納から調薬に使う器具も材料も出してもらっているし、時間もたっぷりあるから、何を作ろうかな。
超級ポーションはいつも作っているから、それなりに数もあるし、こればっかり作っていると、すぐに材料となる薬草が無くなっちゃうんだよね。
「……よし、これからの私たちに必要そうな薬にしよう」
という訳で、暫く考えた結果、まずは上級ポーションを作る事にした。
何かで私たちが別行動をしている時に、私がいなくても怪我とかを治せた方が良いもんね。
だけど、神水で上級ポーションを作ると超級になってしまうので、中級ポーションの材料で作っていく。
十本くらい作り、そろそろ違うポーションを作ろうかなと思ったところで、突然部屋が揺れる。
「な、何っ!? 何が起こったの!?」
揺れが収まると、すぐに本来の姿でイナリが飛び込んで来た。
「アニエス、無事か!?」
「え、えぇ。でも、今のは?」
「わからぬ。だが地震ではなく、魔力なども感知しなかった」
い、イナリがわからない……って、一体何事なのっ!?
ひとまず、揺れただけで何かが崩れたりした訳ではないから、調合器具や作ったポーションは無事だけど、念の為イナリに異空間収納へ格納してもらう事にした。
それから、コリンもやって来たんだけど……ロレッタさんが居ない!?
「あれ!? ロレッタさんは!?」
「……食事を終えてから魔力の動きを追っておったが、先程の揺れの前に部屋から出ているのだ」
「え……それは、どういう事なの!?」
イナリが知る由もないと言いたげに無言で首を振る。
だけど、このまま放っておく訳にもいかないので、探知魔法が使えるイナリに、ロレッタさんのところへ案内してもらう事にした。
「す、凄い。貴族のお屋敷みたいです」
教会に泊めてもらう事になり、ロレッタさんと一緒にお風呂へやってきた。
イスパナで一番大きな教会というだけあって、ゲスト用のお風呂があるんだけど、物凄く大きい上に、私たちしか居ない。
教会というだけあって、変な装飾品とかがゴテゴテしている訳ではなく、シンプルに広いお風呂だ。
これがトリスタン王子なら、よくわからない壺とか彫像とか、絶対に無意味な調度品を並べていると思う。
大きくても教会なので、そういう所がブレないのは良いんじゃないかな。
「ふぅ。こんなに大きなお風呂は初めてです」
「ですよねー! 思いっきり脚を伸ばせちゃいますね」
「ですが、大き過ぎるので、一人だと怖くなっちゃうかもですね。コリンさんは大丈夫でしょうか?」
あ、そっか。
ロレッタさんはコリンの年齢を知らないんだ。
獣人族なので見た目は幼いけど……って、勝手に私が言っちゃダメね。
ただ、もしもこれが逆だったら……とは思う。
今はロレッタさんが居るから良いけれど、大きなお風呂に一人って怖いのよね。実際、経験したし。
そんな事を考えていると、突然コリンの声が響き渡る。
「えっと、僕は子供じゃないから、大丈夫だよー!」
「えぇっ!? コリン!? 何処に居るのっ!?」
「隣のお風呂だよー! 屋根の近くに隙間があって、お姉ちゃんたちの声が聞こえてるんだー!」
「あ、そういう事? あはは、平気みたいで良かった」
ビックリしたー。
コリンはそういう事をする子じゃないから、間違えてこっちへ入って来ちゃったのかと思っちゃった。
ひとまず、コリンは平気そうなので、ロレッタさんとお話ししながらお風呂を済ませ、夕食までいただいて、それぞれの部屋へ。
一人一部屋が割り当てられ、子狐姿のイナリは、コリンのところに居る。
「さて……今日もポーション作りを頑張りますか」
予め、イナリの異空間収納から調薬に使う器具も材料も出してもらっているし、時間もたっぷりあるから、何を作ろうかな。
超級ポーションはいつも作っているから、それなりに数もあるし、こればっかり作っていると、すぐに材料となる薬草が無くなっちゃうんだよね。
「……よし、これからの私たちに必要そうな薬にしよう」
という訳で、暫く考えた結果、まずは上級ポーションを作る事にした。
何かで私たちが別行動をしている時に、私がいなくても怪我とかを治せた方が良いもんね。
だけど、神水で上級ポーションを作ると超級になってしまうので、中級ポーションの材料で作っていく。
十本くらい作り、そろそろ違うポーションを作ろうかなと思ったところで、突然部屋が揺れる。
「な、何っ!? 何が起こったの!?」
揺れが収まると、すぐに本来の姿でイナリが飛び込んで来た。
「アニエス、無事か!?」
「え、えぇ。でも、今のは?」
「わからぬ。だが地震ではなく、魔力なども感知しなかった」
い、イナリがわからない……って、一体何事なのっ!?
ひとまず、揺れただけで何かが崩れたりした訳ではないから、調合器具や作ったポーションは無事だけど、念の為イナリに異空間収納へ格納してもらう事にした。
それから、コリンもやって来たんだけど……ロレッタさんが居ない!?
「あれ!? ロレッタさんは!?」
「……食事を終えてから魔力の動きを追っておったが、先程の揺れの前に部屋から出ているのだ」
「え……それは、どういう事なの!?」
イナリが知る由もないと言いたげに無言で首を振る。
だけど、このまま放っておく訳にもいかないので、探知魔法が使えるイナリに、ロレッタさんのところへ案内してもらう事にした。
61
お気に入りに追加
7,738
あなたにおすすめの小説
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
めでたく婚約破棄で教会を追放されたので、神聖魔法に続いて魔法学校で錬金魔法も極めます。……やっぱりバカ王子は要らない? 返品はお断りします!
向原 行人
ファンタジー
教会の代表ともいえる聖女ソフィア――つまり私は、第五王子から婚約破棄を言い渡され、教会から追放されてしまった。
話を聞くと、侍祭のシャルロットの事が好きになったからだとか。
シャルロット……よくやってくれたわ!
貴女は知らないかもしれないけれど、その王子は、一言で表すと……バカよ。
これで、王子や教会から解放されて、私は自由! 慰謝料として沢山お金を貰ったし、魔法学校で錬金魔法でも勉強しようかな。
聖女として神聖魔法を極めたし、錬金魔法もいけるでしょ!
……え? 王族になれると思ったから王子にアプローチしたけど、思っていた以上にバカだから無理? ふふっ、今更返品は出来ませーん!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます
かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~
【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】
奨励賞受賞
●聖女編●
いきなり召喚された上に、ババァ発言。
挙句、偽聖女だと。
確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。
だったら好きに生きさせてもらいます。
脱社畜!
ハッピースローライフ!
ご都合主義万歳!
ノリで生きて何が悪い!
●勇者編●
え?勇者?
うん?勇者?
そもそも召喚って何か知ってますか?
またやらかしたのかバカ王子ー!
●魔界編●
いきおくれって分かってるわー!
それよりも、クロを探しに魔界へ!
魔界という場所は……とてつもなかった
そしてクロはクロだった。
魔界でも見事になしてみせようスローライフ!
邪魔するなら排除します!
--------------
恋愛はスローペース
物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。
追放された回復術師は、なんでも『回復』できて万能でした
新緑あらた
ファンタジー
死闘の末、強敵の討伐クエストを達成した回復術師ヨシュアを待っていたのは、称賛の言葉ではなく、解雇通告だった。
「ヨシュア……てめえはクビだ」
ポーションを湯水のように使える最高位冒険者になった彼らは、今まで散々ポーションの代用品としてヨシュアを利用してきたのに、回復術師は不要だと考えて切り捨てることにしたのだ。
「ポーションの下位互換」とまで罵られて気落ちしていたヨシュアだったが、ブラックな労働をしいるあのパーティーから解放されて喜んでいる自分に気づく。
危機から救った辺境の地方領主の娘との出会いをきっかけに、彼の世界はどんどん広がっていく……。
一方、Sランク冒険者パーティーはクエストの未達成でどんどんランクを落としていく。
彼らは知らなかったのだ、ヨシュアが彼らの傷だけでなく、状態異常や武器の破損など、なんでも『回復』していたことを……。
はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます
今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。
しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。
王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。
そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。
一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。
※「小説家になろう」「カクヨム」から転載
※3/8~ 改稿中
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。
幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』
電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。
龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。
そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。
盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。
当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。
今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。
ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。
ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ
「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」
全員の目と口が弧を描いたのが見えた。
一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。
作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌()
15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。