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第6章 太陽の聖女と星の聖女
第247話 コリンの気遣い
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「トリスタン王子が偽造の身分証を持っていたら、国境とか関係無く移動している可能性が高いですよね」
「えぇ。ですが、どうしましょうか。私たちも国境を通ってイスパナへ行くべきか、身分証の偽造が私の勘違いかもしれないので、先程アニエスさんが仰っていた港町の方へ行ってみるか」
イスパナとの国境の街トローセで、どうすべきかと判断に迷う。
普通に考えれば、国境を越えられずに引き返すところだけど、トリスタン王子がとんでもない行動に出るのはよく知っている。
だから……
「ロレッタさん。イスパナへ行きましょう。ただの勘なんですが、トリスタン王子は国境を越えている気がします」
「わかりました。では、参りましょう」
偽造か、山の中の道のない場所で国境を越えたのかは分からないけど、トリスタン王子はこの先に進んでいると判断し、私たちも向かう事にした。
当然ながら、私たちは何の問題も無く国境を越え、久しぶりにイスパナ側の国境の街、ザラゴーザへ。
以前に来た時は、農業が盛んな街なのに日照りが続いているせいで、若い人の殆どが仕事を求めて聖都に行ってしまっていた。
だけど太陽の聖女がビアンカさんに変わって、天候が良くなったからだろうか。
通りに若い人が大勢居るし、前とは活気が全然違う気がする。
「ロレッタさん。ひとまず今日はこの街で一泊する事にして、情報収集しましょうか」
「じゃあ、僕もいろいろ聞いてくるねー! ……そうだ! ロレッタお姉さん。僕も、この街は前に来ているから、それなりに詳しいんだー! 一緒に行こー!」
「え? は、はい。コリンさんが私で宜しいのであれば」
どういう訳か、コリンがロレッタさんの手を引いて、大通りへ。
その為、私と子狐姿のイナリが取り残されてしまった。
『ふむ。コリンが何を思ったのかはわからぬが、我らも行くか』
「えぇ、そうね。行きましょうか、イナリ」
子狐姿のイナリが私の肩に乗り、いろいろとお喋りしながら街を歩き、まずは冒険者ギルドへ。
『おぉ、以前とは違って、かなり人が多くなっているではないか』
「そうね。これなら、もう農水路の依頼はなさそうね」
前に来た時は、畑が干上がっているから新たな農水路を作りたいけど、若い人が居ない……なんて事情があったけど、大きなため池にたっぷり水を入れたし、干上がらないようにいろいろ対策もしたからねー。
まぁ私の出す水が神水だから、作物が大変な事になったけど。
『そういえば、アニエスが氷魔法を練習したのも、この街だったな』
「そうだったわね。……あれはあまり思い出したくないけれど」
『ふふ。変なポーズを取った、我やコリンの氷像が生み出されたからな』
昔話……という程でもないけれど、イナリと以前の思い出話に花が咲く。
あ! そういえば、ロレッタさんと一緒に行動するようになってから、こうしてイナリとあんまり会話出来ていなかったかも。
イナリがロレッタさんに正体を隠して居るからなんだけど……もしかして、コリンはこれを気にしたのかな?
コミュニケーションがしっかり取れていないと、何かあった時に連携が取れないもんね。
それから冒険者ギルドの受付で話を聞いたんだけど……
「すみません。私たちはフランセーズの第三王子のお顔までは存じ上げていないのです」
久々に再会したカタリナさんに頭を下げられてしまった。
まぁでも、そうだよね。隣の国の王様じゃなくて、王子の顔なんて知らないよね。
私だって、イスパナのビアンカさんの事は知っているけど、他の偉い人の事なんて全く知らないし。
なので、一旦引き上げようと思ったんだけど、イナリが念話で話し掛けてくる。
『アニエスよ。我に考えがある。この受付の者と、何処か個室へ入ってもらいたい。我は遅れて入るから、話を合わせるのだ』
何やらイナリに作戦があるみたいなので、カタリナさんにお願いし、個室で話をさせてもらう事にした。
「えぇ。ですが、どうしましょうか。私たちも国境を通ってイスパナへ行くべきか、身分証の偽造が私の勘違いかもしれないので、先程アニエスさんが仰っていた港町の方へ行ってみるか」
イスパナとの国境の街トローセで、どうすべきかと判断に迷う。
普通に考えれば、国境を越えられずに引き返すところだけど、トリスタン王子がとんでもない行動に出るのはよく知っている。
だから……
「ロレッタさん。イスパナへ行きましょう。ただの勘なんですが、トリスタン王子は国境を越えている気がします」
「わかりました。では、参りましょう」
偽造か、山の中の道のない場所で国境を越えたのかは分からないけど、トリスタン王子はこの先に進んでいると判断し、私たちも向かう事にした。
当然ながら、私たちは何の問題も無く国境を越え、久しぶりにイスパナ側の国境の街、ザラゴーザへ。
以前に来た時は、農業が盛んな街なのに日照りが続いているせいで、若い人の殆どが仕事を求めて聖都に行ってしまっていた。
だけど太陽の聖女がビアンカさんに変わって、天候が良くなったからだろうか。
通りに若い人が大勢居るし、前とは活気が全然違う気がする。
「ロレッタさん。ひとまず今日はこの街で一泊する事にして、情報収集しましょうか」
「じゃあ、僕もいろいろ聞いてくるねー! ……そうだ! ロレッタお姉さん。僕も、この街は前に来ているから、それなりに詳しいんだー! 一緒に行こー!」
「え? は、はい。コリンさんが私で宜しいのであれば」
どういう訳か、コリンがロレッタさんの手を引いて、大通りへ。
その為、私と子狐姿のイナリが取り残されてしまった。
『ふむ。コリンが何を思ったのかはわからぬが、我らも行くか』
「えぇ、そうね。行きましょうか、イナリ」
子狐姿のイナリが私の肩に乗り、いろいろとお喋りしながら街を歩き、まずは冒険者ギルドへ。
『おぉ、以前とは違って、かなり人が多くなっているではないか』
「そうね。これなら、もう農水路の依頼はなさそうね」
前に来た時は、畑が干上がっているから新たな農水路を作りたいけど、若い人が居ない……なんて事情があったけど、大きなため池にたっぷり水を入れたし、干上がらないようにいろいろ対策もしたからねー。
まぁ私の出す水が神水だから、作物が大変な事になったけど。
『そういえば、アニエスが氷魔法を練習したのも、この街だったな』
「そうだったわね。……あれはあまり思い出したくないけれど」
『ふふ。変なポーズを取った、我やコリンの氷像が生み出されたからな』
昔話……という程でもないけれど、イナリと以前の思い出話に花が咲く。
あ! そういえば、ロレッタさんと一緒に行動するようになってから、こうしてイナリとあんまり会話出来ていなかったかも。
イナリがロレッタさんに正体を隠して居るからなんだけど……もしかして、コリンはこれを気にしたのかな?
コミュニケーションがしっかり取れていないと、何かあった時に連携が取れないもんね。
それから冒険者ギルドの受付で話を聞いたんだけど……
「すみません。私たちはフランセーズの第三王子のお顔までは存じ上げていないのです」
久々に再会したカタリナさんに頭を下げられてしまった。
まぁでも、そうだよね。隣の国の王様じゃなくて、王子の顔なんて知らないよね。
私だって、イスパナのビアンカさんの事は知っているけど、他の偉い人の事なんて全く知らないし。
なので、一旦引き上げようと思ったんだけど、イナリが念話で話し掛けてくる。
『アニエスよ。我に考えがある。この受付の者と、何処か個室へ入ってもらいたい。我は遅れて入るから、話を合わせるのだ』
何やらイナリに作戦があるみたいなので、カタリナさんにお願いし、個室で話をさせてもらう事にした。
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