65 / 116
第6章 太陽の聖女と星の聖女
第237話 ロレッタさんのお願い?
しおりを挟む
翌朝。
昨日はロレッタさんが居て少し驚いたけど、薬師の試験に向けて、夕食の後にしっかりおさらいをしておいた。
そして、いよいよ今日……試験を受ける事になる。
冒険者ギルドは試験を受けなくても登録できるから、何気に子供の頃以来かも。
まぁ薬師ギルドも、普通にE級から登録すれば、試験とかは無いと思うんだけどね。
そんな事を考えながら朝食を作り、みんなで食べていると、突然ロレッタさんが真剣な表情で私を見つめてくる。
「アニエスさん! すみません。折り入って、お願いがあります!」
「あ、わかりましたー! ちょっと待ってくださいね……はい、どうぞ」
ロレッタさんの器にスープを注ぐと、どういう訳か不思議そうな表情を浮かべられてしまった。
「……あの。これは?」
「あ、すみません。おかわりが足りなかったですか?」
「お姉ちゃん! ボクもおかわりー! このコーンのポタージュ、美味しいねー!」
ロレッタさんに便乗してコリンもポタージュをおかわりすると、子狐型のイナリも便乗する。
『我は肉が欲しいのだ』
とりあえずイナリは野菜も食べないとダメなので、レタスも一緒にお皿へ乗せると、上がっていた尻尾が床に落ち……でも、ちゃんとレタスも一緒に食べていた。
「あの、アニエスさん。私はおかわりの話ではないんです」
「あ、すみません。お茶でしたか」
「いえ、ご飯の話ではなくて……アニエスさんは、これからどちらへ向かわれるのでしょうか」
「私ですか? 今日はこれから薬師ギルドの試験を受けに行くんです」
「え!? 試験!?」
「はい。この家の持ち主のソフィアさん……S級薬師の方に、受けるように言われて、これまで勉強もしてきたので」
質問に答えると、ロレッタさんが申し訳なさそうな表情を浮かべ、慌てて頭を下げる。
「そ、そんな大切な時に来てしまい、すみません」
「いえ、大丈夫ですよ。それに、私が試験を受けるなんて、知らなくて当然ですし」
「えっと、試験が終わるまで待っておりますので、改めて先程のお願いについてお話しさせていただけないでしょうか」
そう言って、ロレッタさんが真っすぐに私の目を見つめてくる。
うーん。ロレッタさんのお願いって何だろう。
この家に住まわせて欲しいっていうお願いだと、私に判断出来ないから、ソフィアさんに聞かないと……でも、ずっと空き家にしておくよりかは、ロレッタさんに住んでもらった方が良い気もする。
とりあえず、試験が終わるまで待ってくれるみたいだし、後で話を聞いて、内容によってはソフィアさんに手紙を出せば良いかな。
「わかりました。では、試験が終わるまで待っていてくれますか? それくらいなら、この家を使っていただいても大丈夫だと思いますし」
「ありがとうございます。それでは、お言葉に甘えて待たせていただきますね」
再び頭を下げるロレッタさんへ気にしないようにと話し、私はギルドへ行く準備をする。
「コリンはどうする? 一緒に来ても、待つだけだと思うけど」
「うーん。じゃあ、ボクは冒険者ギルドで情報収集しておこうかな」
『なるほど。そういう事であれば、我もコリンと一緒に行こう』
という訳で、いよいよ薬師試験の受験となった。
昨日はロレッタさんが居て少し驚いたけど、薬師の試験に向けて、夕食の後にしっかりおさらいをしておいた。
そして、いよいよ今日……試験を受ける事になる。
冒険者ギルドは試験を受けなくても登録できるから、何気に子供の頃以来かも。
まぁ薬師ギルドも、普通にE級から登録すれば、試験とかは無いと思うんだけどね。
そんな事を考えながら朝食を作り、みんなで食べていると、突然ロレッタさんが真剣な表情で私を見つめてくる。
「アニエスさん! すみません。折り入って、お願いがあります!」
「あ、わかりましたー! ちょっと待ってくださいね……はい、どうぞ」
ロレッタさんの器にスープを注ぐと、どういう訳か不思議そうな表情を浮かべられてしまった。
「……あの。これは?」
「あ、すみません。おかわりが足りなかったですか?」
「お姉ちゃん! ボクもおかわりー! このコーンのポタージュ、美味しいねー!」
ロレッタさんに便乗してコリンもポタージュをおかわりすると、子狐型のイナリも便乗する。
『我は肉が欲しいのだ』
とりあえずイナリは野菜も食べないとダメなので、レタスも一緒にお皿へ乗せると、上がっていた尻尾が床に落ち……でも、ちゃんとレタスも一緒に食べていた。
「あの、アニエスさん。私はおかわりの話ではないんです」
「あ、すみません。お茶でしたか」
「いえ、ご飯の話ではなくて……アニエスさんは、これからどちらへ向かわれるのでしょうか」
「私ですか? 今日はこれから薬師ギルドの試験を受けに行くんです」
「え!? 試験!?」
「はい。この家の持ち主のソフィアさん……S級薬師の方に、受けるように言われて、これまで勉強もしてきたので」
質問に答えると、ロレッタさんが申し訳なさそうな表情を浮かべ、慌てて頭を下げる。
「そ、そんな大切な時に来てしまい、すみません」
「いえ、大丈夫ですよ。それに、私が試験を受けるなんて、知らなくて当然ですし」
「えっと、試験が終わるまで待っておりますので、改めて先程のお願いについてお話しさせていただけないでしょうか」
そう言って、ロレッタさんが真っすぐに私の目を見つめてくる。
うーん。ロレッタさんのお願いって何だろう。
この家に住まわせて欲しいっていうお願いだと、私に判断出来ないから、ソフィアさんに聞かないと……でも、ずっと空き家にしておくよりかは、ロレッタさんに住んでもらった方が良い気もする。
とりあえず、試験が終わるまで待ってくれるみたいだし、後で話を聞いて、内容によってはソフィアさんに手紙を出せば良いかな。
「わかりました。では、試験が終わるまで待っていてくれますか? それくらいなら、この家を使っていただいても大丈夫だと思いますし」
「ありがとうございます。それでは、お言葉に甘えて待たせていただきますね」
再び頭を下げるロレッタさんへ気にしないようにと話し、私はギルドへ行く準備をする。
「コリンはどうする? 一緒に来ても、待つだけだと思うけど」
「うーん。じゃあ、ボクは冒険者ギルドで情報収集しておこうかな」
『なるほど。そういう事であれば、我もコリンと一緒に行こう』
という訳で、いよいよ薬師試験の受験となった。
57
お気に入りに追加
7,753
あなたにおすすめの小説
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
ここは私の邸です。そろそろ出て行ってくれます?
藍川みいな
恋愛
「マリッサ、すまないが婚約は破棄させてもらう。俺は、運命の人を見つけたんだ!」
9年間婚約していた、デリオル様に婚約を破棄されました。運命の人とは、私の義妹のロクサーヌのようです。
そもそもデリオル様に好意を持っていないので、婚約破棄はかまいませんが、あなたには莫大な慰謝料を請求させていただきますし、借金の全額返済もしていただきます。それに、あなたが選んだロクサーヌは、令嬢ではありません。
幼い頃に両親を亡くした私は、8歳で侯爵になった。この国では、爵位を継いだ者には18歳まで後見人が必要で、ロクサーヌの父で私の叔父ドナルドが後見人として侯爵代理になった。
叔父は私を冷遇し、自分が侯爵のように振る舞って来ましたが、もうすぐ私は18歳。全てを返していただきます!
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
ご自分の病気が治ったら私は用無しですか…邪魔者となった私は、姿を消す事にします。
coco
恋愛
病気の婚約者の看病を、必死にしていた私。
ところが…病気が治った途端、彼は私を捨てた。
そして彼は、美しい愛人と結ばれるつもりだったが…?
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
拝啓、私を追い出した皆様 いかがお過ごしですか?私はとても幸せです。
香木あかり
恋愛
拝啓、懐かしのお父様、お母様、妹のアニー
私を追い出してから、一年が経ちましたね。いかがお過ごしでしょうか。私は元気です。
治癒の能力を持つローザは、家業に全く役に立たないという理由で家族に疎まれていた。妹アニーの占いで、ローザを追い出せば家業が上手くいくという結果が出たため、家族に家から追い出されてしまう。
隣国で暮らし始めたローザは、実家の商売敵であるフランツの病気を治癒し、それがきっかけで結婚する。フランツに溺愛されながら幸せに暮らすローザは、実家にある手紙を送るのだった。
※複数サイトにて掲載中です
断罪されているのは私の妻なんですが?
すずまる
恋愛
仕事の都合もあり王家のパーティーに遅れて会場入りすると何やら第一王子殿下が群衆の中の1人を指差し叫んでいた。
「貴様の様に地味なくせに身分とプライドだけは高い女は王太子である俺の婚約者に相応しくない!俺にはこのジャスミンの様に可憐で美しい女性こそが似合うのだ!しかも貴様はジャスミンの美貌に嫉妬して彼女を虐めていたと聞いている!貴様との婚約などこの場で破棄してくれるわ!」
ん?第一王子殿下に婚約者なんていたか?
そう思い指さされていた女性を見ると⋯⋯?
*-=-*-=-*-=-*-=-*
本編は1話完結です(꒪ㅂ꒪)
…が、設定ゆるゆる過ぎたと反省したのでちょっと色付けを鋭意執筆中(; ̄∀ ̄)スミマセン
出て行けと言って、本当に私が出ていくなんて思ってもいなかった??
新野乃花(大舟)
恋愛
ガランとセシリアは婚約関係にあったものの、ガランはセシリアに対して最初から冷遇的な態度をとり続けていた。ある日の事、ガランは自身の機嫌を損ねたからか、セシリアに対していなくなっても困らないといった言葉を発する。…それをきっかけにしてセシリアはガランの前から失踪してしまうこととなるのだが、ガランはその事をあまり気にしてはいなかった。しかし後に貴族会はセシリアの味方をすると表明、じわじわとガランの立場は苦しいものとなっていくこととなり…。
【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。