76 / 86
第2章 辺境の地で快適に暮らす土の聖女
第58話 何故か叫びまくる銀髪の女性
しおりを挟む
誰かが来たらしく、ヴォーロスとセマルグルさんが出て行ったんだけど、すぐに戻って来た。
何故か、銀髪の小柄な女性を抱きかかえて。
「ヴォーロス? その女性は大丈夫?」
「んー、大丈夫だとは思うんだけど、何故か突然倒れちゃったんだよねー」
「何だろ? 髪の毛とか見た事ない色だよね。遠くから来て家を見つけたから、ホッとして疲れがドッと出てきちゃったのかな?」
「あー、そうかも。ケガならセマルグルの治癒魔法で治してもらえば良いけど、疲労は寝かせておいた方が良いかもね」
そう言って、ヴォーロスが女性を家の中へ。
夜までには起きるかな?
でも、突然倒れたりするくらいだから、一晩中歩いてきたのかも。
一度、お昼頃に様子を見てみよう。
「そうだ。お腹が空いているかもしれないから、何か作っておいてあげようかな」
「む! それは良いな。我はマヨネーズとチーズを使ったピザが良いな」
「セマルグルさん。最近、マヨネーズにハマってますよね?」
「ふふふ。あのソースは凄いからな。流石はセシリアだ」
セマルグルさんは見事にマヨネーズ好きになったけど、これで野菜も食べてくれるようになったので、良かったのかも。
ちなみに、ヴァーロスは以前からバランスよく食べてくれているし、あまり心配していないけどね。
「さてと……私としては、せっかく手に入れたお醤油を使いたいのよねー」
「む? それは以前に作った酢豚を作るのか? あれも旨かったな」
「んー、酢豚も良いんだけど、お昼ご飯だし、女性も消化に良い物が良さそうだから……パスタにしよう」
「ふむ。醤油というのは、あの辛くて黒いソースの事だな? あれがパスタに合うとは思えぬのだが」
「ふっふっふ。そこは任せて。じゃあ、パスタはすぐに出来るから、先にサラダからね……あ、マヨネーズはあるから安心してね」
サラダと言っただけでセマルグルさんが顔をしかめたけど、マヨネーズというと一瞬で表情が和らいだ。
うん、わかりやすいわね。
という訳で、早速サラダを作ったら、次はパスタを茹でて、その間にソース作りね。
パスタを茹でている横でソースを作って居ると、背後で誰かが動く気配がした。
「こ、ここは……な、何だ!? この鍋やテーブルは……それに、この香り! これは……」
「あ、大丈夫ですか? ……でも、ごめんなさいね。パスタを茹でているから、ちょっと手が離せなくて。少しだけ待っていてね」
「え? あ、あぁ……しかし、パスタでどうしてこの香りがするのだ?」
この香り……っていうことは、この女性も醤油は大丈夫なのかな?
鬼人族さんたちは、お酢も醤油も馴染みがないみたいだけど、この女性は大丈夫そうね。
ソースが出来たから、後はパスタの茹で加減を見極めて……今っ!
「ヴォーロスー! セマルグルさーん! お昼ご飯が出来たわよー!」
「昼ご飯!? 私はそんなに気を失っていたのか。しかし、生きていて良かった。どうして、無事だったのだろうか」
「なんだか大変だったみたいね。貴女の分もあるから、遠慮なく食べてね」
「え? それは、すまない。作っていただいた料理を残す訳にはいかないので、ありがたくいただ……なっ!? 何ぃぃぃっ!?」
椅子に座った女性が、突然大声を出したかと思うと、思いっきり後ろへ跳ぶ。
「お、おい! そこの……に、逃げるんだっ! ライトニング・ベアが……」
「え? 逃げるって? ……あ、後ろ。危な……」
「ん? 何か踏んだ……って、またグリフォンがっ! ま、回り込まれて……」
「だ、大丈夫ですか? とりあえず、ヴォーロスもセマルグルさんも怖くないわよ?」
女性が顔面蒼白になっていたけど、私の言葉で持ち直して……
「あ、あの……実はグリフォンの足を踏んでしまったんだが」
「うむ。許さぬ」
「ぴぇぇぇっ!」
「冗談だ。せっかくセシリアが作ってくれた料理が冷める。とりあえず食事にしようではないか」
「な、何なのぉぉぉっ!?」
セマルグルさんの翼で背中を押され、女性が強制的に席に着かされていた。
何故か、銀髪の小柄な女性を抱きかかえて。
「ヴォーロス? その女性は大丈夫?」
「んー、大丈夫だとは思うんだけど、何故か突然倒れちゃったんだよねー」
「何だろ? 髪の毛とか見た事ない色だよね。遠くから来て家を見つけたから、ホッとして疲れがドッと出てきちゃったのかな?」
「あー、そうかも。ケガならセマルグルの治癒魔法で治してもらえば良いけど、疲労は寝かせておいた方が良いかもね」
そう言って、ヴォーロスが女性を家の中へ。
夜までには起きるかな?
でも、突然倒れたりするくらいだから、一晩中歩いてきたのかも。
一度、お昼頃に様子を見てみよう。
「そうだ。お腹が空いているかもしれないから、何か作っておいてあげようかな」
「む! それは良いな。我はマヨネーズとチーズを使ったピザが良いな」
「セマルグルさん。最近、マヨネーズにハマってますよね?」
「ふふふ。あのソースは凄いからな。流石はセシリアだ」
セマルグルさんは見事にマヨネーズ好きになったけど、これで野菜も食べてくれるようになったので、良かったのかも。
ちなみに、ヴァーロスは以前からバランスよく食べてくれているし、あまり心配していないけどね。
「さてと……私としては、せっかく手に入れたお醤油を使いたいのよねー」
「む? それは以前に作った酢豚を作るのか? あれも旨かったな」
「んー、酢豚も良いんだけど、お昼ご飯だし、女性も消化に良い物が良さそうだから……パスタにしよう」
「ふむ。醤油というのは、あの辛くて黒いソースの事だな? あれがパスタに合うとは思えぬのだが」
「ふっふっふ。そこは任せて。じゃあ、パスタはすぐに出来るから、先にサラダからね……あ、マヨネーズはあるから安心してね」
サラダと言っただけでセマルグルさんが顔をしかめたけど、マヨネーズというと一瞬で表情が和らいだ。
うん、わかりやすいわね。
という訳で、早速サラダを作ったら、次はパスタを茹でて、その間にソース作りね。
パスタを茹でている横でソースを作って居ると、背後で誰かが動く気配がした。
「こ、ここは……な、何だ!? この鍋やテーブルは……それに、この香り! これは……」
「あ、大丈夫ですか? ……でも、ごめんなさいね。パスタを茹でているから、ちょっと手が離せなくて。少しだけ待っていてね」
「え? あ、あぁ……しかし、パスタでどうしてこの香りがするのだ?」
この香り……っていうことは、この女性も醤油は大丈夫なのかな?
鬼人族さんたちは、お酢も醤油も馴染みがないみたいだけど、この女性は大丈夫そうね。
ソースが出来たから、後はパスタの茹で加減を見極めて……今っ!
「ヴォーロスー! セマルグルさーん! お昼ご飯が出来たわよー!」
「昼ご飯!? 私はそんなに気を失っていたのか。しかし、生きていて良かった。どうして、無事だったのだろうか」
「なんだか大変だったみたいね。貴女の分もあるから、遠慮なく食べてね」
「え? それは、すまない。作っていただいた料理を残す訳にはいかないので、ありがたくいただ……なっ!? 何ぃぃぃっ!?」
椅子に座った女性が、突然大声を出したかと思うと、思いっきり後ろへ跳ぶ。
「お、おい! そこの……に、逃げるんだっ! ライトニング・ベアが……」
「え? 逃げるって? ……あ、後ろ。危な……」
「ん? 何か踏んだ……って、またグリフォンがっ! ま、回り込まれて……」
「だ、大丈夫ですか? とりあえず、ヴォーロスもセマルグルさんも怖くないわよ?」
女性が顔面蒼白になっていたけど、私の言葉で持ち直して……
「あ、あの……実はグリフォンの足を踏んでしまったんだが」
「うむ。許さぬ」
「ぴぇぇぇっ!」
「冗談だ。せっかくセシリアが作ってくれた料理が冷める。とりあえず食事にしようではないか」
「な、何なのぉぉぉっ!?」
セマルグルさんの翼で背中を押され、女性が強制的に席に着かされていた。
38
お気に入りに追加
4,152
あなたにおすすめの小説
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います
登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」
「え? いいんですか?」
聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。
聖女となった者が皇太子の妻となる。
そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。
皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。
私の一番嫌いなタイプだった。
ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。
そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。
やった!
これで最悪な責務から解放された!
隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。
そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。
【完結】白い結婚なのでさっさとこの家から出ていきます~私の人生本番は離婚から。しっかり稼ぎたいと思います~
Na20
恋愛
ヴァイオレットは十歳の時に両親を事故で亡くしたショックで前世を思い出した。次期マクスター伯爵であったヴァイオレットだが、まだ十歳ということで父の弟である叔父がヴァイオレットが十八歳になるまでの代理として爵位を継ぐことになる。しかし叔父はヴァイオレットが十七歳の時に縁談を取り付け家から追い出してしまう。その縁談の相手は平民の恋人がいる侯爵家の嫡男だった。
「俺はお前を愛することはない!」
初夜にそう宣言した旦那様にヴァイオレットは思った。
(この家も長くはもたないわね)
貴族同士の結婚は簡単には離婚することができない。だけど離婚できる方法はもちろんある。それが三年の白い結婚だ。
ヴァイオレットは結婚初日に白い結婚でさっさと離婚し、この家から出ていくと決めたのだった。
6話と7話の間が抜けてしまいました…
7*として投稿しましたのでよろしければご覧ください!
【完結】聖女の妊娠で王子と婚約破棄することになりました。私の場所だった王子の隣は聖女様のものに変わるそうです。
五月ふう
恋愛
「聖女が妊娠したから、私とは婚約破棄?!冗談じゃないわよ!!」
私は10歳の時から王子アトラスの婚約者だった。立派な王妃になるために、今までずっと頑張ってきたのだ。今更婚約破棄なんて、認められるわけないのに。
「残念だがもう決まったことさ。」
アトラスはもう私を見てはいなかった。
「けど、あの聖女って、元々貴方の愛人でしょうー??!絶対におかしいわ!!」
私は絶対に認めない。なぜ私が城を追い出され、あの女が王妃になるの?
まさか"聖女"に王妃の座を奪われるなんて思わなかったわーー。
宮廷錬成師の私は妹に成果を奪われた挙句、『給与泥棒』と罵られ王宮を追放されました ~後になって私の才能に気付いたってもう遅い!
日之影ソラ
ファンタジー
【16日0時に一話以外削除予定しました】
※小説家になろうにて最新話まで更新中です。
錬成師の家系に生まれた長女アリア・ローレンス。彼女は愛人との間に生まれた子供で、家や周囲の人間からは良くない扱いを受けていた。
それでも錬成師の才能があった彼女は、成果を示せばいずれ認めてもらえるかもしれないという期待の胸に、日々努力を重ねた。しかし、成果を上げても妹に奪われてしまう。成果を横取りする妹にめげず精進を重ね、念願だった宮廷錬成師になって一年が経過する。
宮廷付きになっても扱いは変わらず、成果も相変わらず妹に横取りされる毎日。ついには陛下から『給与泥棒』と罵られ、宮廷を追い出されてしまった。
途方に暮れるアリアだったが、小さい頃からよく素材集めで足を運んだ森で、同じく錬成師を志すユレンという青年と再会する。
「行く当てがないなら、俺の国に来ないか?」
実は隣国の第三王子で、病弱な妹のために錬成術を学んでいたユレン。アリアの事情を知る彼は、密かに彼女のことを心配していた。そんな彼からの要望を受け入れたアリアは、隣国で錬成師としての再スタートを目指す。
これは才能以上に努力家な一人の女の子が、新たな場所で幸せを掴む物語。
【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜
福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。
彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。
だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。
「お義姉さま!」 . .
「姉などと呼ばないでください、メリルさん」
しかし、今はまだ辛抱のとき。
セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。
──これは、20年前の断罪劇の続き。
喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。
※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。
旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』
※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。
※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。
追放された薬師でしたが、特に気にもしていません
志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、自身が所属していた冒険者パーティを追い出された薬師のメディ。
まぁ、どうでもいいので特に気にもせずに、会うつもりもないので別の国へ向かってしまった。
だが、密かに彼女を大事にしていた人たちの逆鱗に触れてしまったようであった‥‥‥
たまにやりたくなる短編。
ちょっと連載作品
「拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~」に登場している方が登場したりしますが、どうぞ読んでみてください。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる