聖女なのに婚約破棄した上に辺境へ追放? ショックで前世を思い出し、魔法で電化製品を再現出来るようになって快適なので、もう戻りません。

向原 行人

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第2章 辺境の地で快適に暮らす土の聖女

第56話 お酢を使った料理

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 お酢を広めて欲しいとお願いされたので、先ずはこの里でお酢をどんな風に使っているのか聞いてみた。

「まず一つは、飲み物ですな。果汁を混ぜて飲んだりします」
「ふむふむ。リンゴ酢みたいな感じかしら? 美味しいですよね」
「えぇ。飲み易くなりますし、子供でも飲めますね。あとは、サラダのドレッシングなどでしょうか」
「良いですねー。マリネなんかにも使えますよね」
「マリ……? ひとまず、野菜や果物などと一緒に使うのが一般的かと」

 あら? お酢はもっといろんな料理に使えるんだけど。
 まぁ教えてあげれば良いかな。

「わかりました。では、調味料って何がありますか?」
「調味料? あぁ、味付けに使えるものなら、砂糖と岩塩に、このソイソースですね。味が濃いので、使うにしてもほんの少しで良いかと思います」
「ソイソース? ちょっと失礼……って、醤油だっ! こ、これも作っているんですかっ!?」
「いえ。これは鬼人族たちとは別の商人が売りに来るのですよ。月に一度来ますし、多めに買ってあるので、ご自由に使っていただいて……あ、宜しければ一瓶差し上げますが」
「ありがとうございますっ!」

 まさか醤油があるなんて。
 まぁ味が少し違う気もするけど、だいたい醤油だからきっと大丈夫!
 あと食材は……ふむふむ。豚肉と鳥肉があると。

「はい。豚肉は鬼人族から購入しており、鳥肉は里の若い者が狩りで仕留めたものです。あぁ、卵もありますね」
「なるほど。この村だと、鳥肉の方が入手し易いですか?」
「えぇ。この山で幾らでも狩れますから」

 ふむふむ。よし、まずはこの村の名物料理……になるかどうかは分からないけど、鳥肉を使った料理を作ろう。

「では、何処か厨房をお借り出来ますか? ……ありがとうございます。では、少しお待ち下さいね」

 この家の厨房をお借り出来る事になったのと、食材は何を使っても構わないと言ってもらえたので、早速調理を始める事に。
 ちなみに、ここまでついて来てくれた鬼人族の二人にも食べてもらおうと思って、族長さんと共にリビングで待ってもらう。
 厨房から外へ出られる扉があったので、そこでオリーブとタマネギ、パセリや胡椒を収穫すると、

「まずはソース作りね。卵黄と塩、お酢とオリーブオイルを混ぜて、ひたすら混ぜるー」

 オリーブを絞りつつ、材料を混ぜていく。
 ……うん、大変ね。申し訳ないけど、混ぜるのは鬼人族の方にお願いして、メインの鳥肉へ。
 血抜きや羽なんかの処理はちゃんとされているので、小麦粉をまぶして、溶き卵の中へ。
 具現化魔法で作ったフライパンへ多めに油を入れたら、鳥肉を両面揚げ焼きに。

「セシリア様。こ、これくらいで如何でしょうか? かなり混ざった感じがするのですが」
「うん、バッチリ! ありがとうございます」
「いえ、それではすみませんが、宜しくお願いします」

 鬼人族さんが混ぜてくれたソースの中にタマネギとパセリのみじん切りを混ぜて……お肉に良い感じに揚げ色が付いてきたわね。
 一旦油を捨てて、お酢と醤油……本当はみりんを使いたかったけど、無いものは仕方ないので、砂糖を入れて煮詰め、鳥肉と絡めたら出来上がりっ!
 食べ易い大きさにカットして、お皿に盛り付けたらソースを掛けて……

「お待たせしましたー! さぁどうぞ。私の故郷では、チキン南蛮っていう料理です」
「チキン南蛮? ふむ……おぉっ!? これは、ソースが……ソースが旨いっ!」
「いえ、ソースも美味しいですが、この鳥肉の味も、柔らかくて、甘いような酸っぱいような……このソースとよく合うっ! お、おかわりはありますかっ!?」

 あれ? 結構な量を作ったのに、一瞬で無くなった!?

「えっと、そんなに難しい料理ではないので、作り方をお教えしますね」

 お酢が手に入ったので、また新たに作れる料理が増えたわね。
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