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第2章 辺境の地で快適に暮らす土の聖女

第43話 会うのが難しい守り神さん

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 ヴォーロスは教えてくれなかったけど、あの大量の食料がどうなるのかを確認はしようと思い、家まで運んでもらうと、早速お昼ご飯を作る。
 美味しく昼食を済ませると、すぐに夕食作りに取り掛かった。

「セシリア? 今お昼ご飯を食べたばかりなのに……足りなかったの?」
「ううん。さっきの祠の様子を見に行こうと思って。向こうでは鉄板とかが使えないから、冷めても食べられるご飯を作って持って行こうかなって」
「あー、夜行性だからねー」

 夜行性? という事は、やっぱり夜に食べているって事で良いのかな?
 さっきははぐらかされちゃったけど、もう一回聞いたら教えてくれるかな?

「む? セシリアよ。どこかへ行くのか?」
「んー、バステトのところへ行くんだってー」
「ふむ……奴か。うーん……」

 あれ!? セマルグルさんまで唸りだしてしまった。
 二人と仲が悪いとか?
 とりあえず、自分の目で見てみるしかないかと考え、夕食作りを頑張る事に。
 小麦粉を水で溶いて、牛乳と卵を混ぜたら、弱火で熱した鉄板の上に広げる。
 薄く伸ばして、片面が焼けたらひっくり返して反対側も焼く。
 暫くしたら鉄板から上げて冷まして……円形の生地を沢山作っておいた。
 あとは、ここにいろんな具材を載せて包むだけっ!

「レタスでしょー。チーズやキュウリなんかも良いわよねー」
「なになにー? 何だか楽しそうだねー」
「ふふっ、いろんなものを一緒に乗せて、包むのよ。ポテトはトマトソースを掛けても美味しいかも」
「僕は、前にもらったベーコンが良いなー」
「ベーコンも良いわねー。アボガドや茹で卵と一緒だと、どうかしら?」

 ヴォーロスからリクエストを受け、セマルグルさんの話も聞いて……出来たっ! クレープ!
 デザートじゃなくて、ご飯として食べる方のね。

「美味しそう! いただきまー……」
「ダメよ? これは、今日の晩ご飯なんだから」
「えぇー」
「という訳で、さっきの祠へ行ってくるねー」
「あー……待って。夜まで待つなら寒いでしょ? 僕も一緒に行くよ」

 流石ヴォーロス。
 守り神さんの事は教えてくれないけど、一緒に来てくれるらしい。
 ……ただ、まさかクレープ目当てじゃないわよね?

「すまぬが、我は奴の元には行けぬ。ヴォーロスよ。すまぬがセシリアを頼むぞ」
「そうだね。セマルグルは難しいかなー」

 セマルグルさんが会うのが難しい?
 空も飛べるし、移動といえばセマルグルさんに敵う者なんて居なさそうなのに。
 どういう事だろ?
 不思議に思いながらも、セマルグルさんの分のクレープを取り分け、私とヴォーロスの分を布で包む。
 ついでに、以前にもらった大きな牛乳の空き瓶に水を詰め、いざ出発!
 と言っても、荷物があるので帰って来た時みたいに、ヴォーロスに乗せてもらうんじゃなくて、ゆっくり徒歩だけどね。
 流石に荷物を持って、ヴォーロスのあの速度には乗っていられないもん。

「あ!」
「ん? どうかしたの?」
「うーん……私たちの上をセマルグルさんが飛んで、見守ってくれているんだけど、どうして守り神さんの所に行くのは嫌がるのかなーって、思って」
「あぁ、違うんだよ。別に僕たちは嫌がっている訳ではないんだ。僕はまだしも、セマルグルは会うのが難しいんだよ」
「空が飛べるのに?」

 私の質問にヴォーロスが少し考え、暫くして口を開く。

「……セマルグルは鳥目なんだよ」
「上半身は鳥さんだもんね……って、そういう事!?」
「うん。今から会いに行く相手は夜行性で、セマルグルは暗いところでは、あんまり目が見えないんだよ」

 なんだ……そういう理由なら普通に教えてくれれば良いのに。
 けど、初めてセマルグルさんの弱点? っぽい事を知っちゃった。
 
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