58 / 86
第2章 辺境の地で快適に暮らす土の聖女
第43話 会うのが難しい守り神さん
しおりを挟む
ヴォーロスは教えてくれなかったけど、あの大量の食料がどうなるのかを確認はしようと思い、家まで運んでもらうと、早速お昼ご飯を作る。
美味しく昼食を済ませると、すぐに夕食作りに取り掛かった。
「セシリア? 今お昼ご飯を食べたばかりなのに……足りなかったの?」
「ううん。さっきの祠の様子を見に行こうと思って。向こうでは鉄板とかが使えないから、冷めても食べられるご飯を作って持って行こうかなって」
「あー、夜行性だからねー」
夜行性? という事は、やっぱり夜に食べているって事で良いのかな?
さっきははぐらかされちゃったけど、もう一回聞いたら教えてくれるかな?
「む? セシリアよ。どこかへ行くのか?」
「んー、バステトのところへ行くんだってー」
「ふむ……奴か。うーん……」
あれ!? セマルグルさんまで唸りだしてしまった。
二人と仲が悪いとか?
とりあえず、自分の目で見てみるしかないかと考え、夕食作りを頑張る事に。
小麦粉を水で溶いて、牛乳と卵を混ぜたら、弱火で熱した鉄板の上に広げる。
薄く伸ばして、片面が焼けたらひっくり返して反対側も焼く。
暫くしたら鉄板から上げて冷まして……円形の生地を沢山作っておいた。
あとは、ここにいろんな具材を載せて包むだけっ!
「レタスでしょー。チーズやキュウリなんかも良いわよねー」
「なになにー? 何だか楽しそうだねー」
「ふふっ、いろんなものを一緒に乗せて、包むのよ。ポテトはトマトソースを掛けても美味しいかも」
「僕は、前にもらったベーコンが良いなー」
「ベーコンも良いわねー。アボガドや茹で卵と一緒だと、どうかしら?」
ヴォーロスからリクエストを受け、セマルグルさんの話も聞いて……出来たっ! クレープ!
デザートじゃなくて、ご飯として食べる方のね。
「美味しそう! いただきまー……」
「ダメよ? これは、今日の晩ご飯なんだから」
「えぇー」
「という訳で、さっきの祠へ行ってくるねー」
「あー……待って。夜まで待つなら寒いでしょ? 僕も一緒に行くよ」
流石ヴォーロス。
守り神さんの事は教えてくれないけど、一緒に来てくれるらしい。
……ただ、まさかクレープ目当てじゃないわよね?
「すまぬが、我は奴の元には行けぬ。ヴォーロスよ。すまぬがセシリアを頼むぞ」
「そうだね。セマルグルは難しいかなー」
セマルグルさんが会うのが難しい?
空も飛べるし、移動といえばセマルグルさんに敵う者なんて居なさそうなのに。
どういう事だろ?
不思議に思いながらも、セマルグルさんの分のクレープを取り分け、私とヴォーロスの分を布で包む。
ついでに、以前にもらった大きな牛乳の空き瓶に水を詰め、いざ出発!
と言っても、荷物があるので帰って来た時みたいに、ヴォーロスに乗せてもらうんじゃなくて、ゆっくり徒歩だけどね。
流石に荷物を持って、ヴォーロスのあの速度には乗っていられないもん。
「あ!」
「ん? どうかしたの?」
「うーん……私たちの上をセマルグルさんが飛んで、見守ってくれているんだけど、どうして守り神さんの所に行くのは嫌がるのかなーって、思って」
「あぁ、違うんだよ。別に僕たちは嫌がっている訳ではないんだ。僕はまだしも、セマルグルは会うのが難しいんだよ」
「空が飛べるのに?」
私の質問にヴォーロスが少し考え、暫くして口を開く。
「……セマルグルは鳥目なんだよ」
「上半身は鳥さんだもんね……って、そういう事!?」
「うん。今から会いに行く相手は夜行性で、セマルグルは暗いところでは、あんまり目が見えないんだよ」
なんだ……そういう理由なら普通に教えてくれれば良いのに。
けど、初めてセマルグルさんの弱点? っぽい事を知っちゃった。
美味しく昼食を済ませると、すぐに夕食作りに取り掛かった。
「セシリア? 今お昼ご飯を食べたばかりなのに……足りなかったの?」
「ううん。さっきの祠の様子を見に行こうと思って。向こうでは鉄板とかが使えないから、冷めても食べられるご飯を作って持って行こうかなって」
「あー、夜行性だからねー」
夜行性? という事は、やっぱり夜に食べているって事で良いのかな?
さっきははぐらかされちゃったけど、もう一回聞いたら教えてくれるかな?
「む? セシリアよ。どこかへ行くのか?」
「んー、バステトのところへ行くんだってー」
「ふむ……奴か。うーん……」
あれ!? セマルグルさんまで唸りだしてしまった。
二人と仲が悪いとか?
とりあえず、自分の目で見てみるしかないかと考え、夕食作りを頑張る事に。
小麦粉を水で溶いて、牛乳と卵を混ぜたら、弱火で熱した鉄板の上に広げる。
薄く伸ばして、片面が焼けたらひっくり返して反対側も焼く。
暫くしたら鉄板から上げて冷まして……円形の生地を沢山作っておいた。
あとは、ここにいろんな具材を載せて包むだけっ!
「レタスでしょー。チーズやキュウリなんかも良いわよねー」
「なになにー? 何だか楽しそうだねー」
「ふふっ、いろんなものを一緒に乗せて、包むのよ。ポテトはトマトソースを掛けても美味しいかも」
「僕は、前にもらったベーコンが良いなー」
「ベーコンも良いわねー。アボガドや茹で卵と一緒だと、どうかしら?」
ヴォーロスからリクエストを受け、セマルグルさんの話も聞いて……出来たっ! クレープ!
デザートじゃなくて、ご飯として食べる方のね。
「美味しそう! いただきまー……」
「ダメよ? これは、今日の晩ご飯なんだから」
「えぇー」
「という訳で、さっきの祠へ行ってくるねー」
「あー……待って。夜まで待つなら寒いでしょ? 僕も一緒に行くよ」
流石ヴォーロス。
守り神さんの事は教えてくれないけど、一緒に来てくれるらしい。
……ただ、まさかクレープ目当てじゃないわよね?
「すまぬが、我は奴の元には行けぬ。ヴォーロスよ。すまぬがセシリアを頼むぞ」
「そうだね。セマルグルは難しいかなー」
セマルグルさんが会うのが難しい?
空も飛べるし、移動といえばセマルグルさんに敵う者なんて居なさそうなのに。
どういう事だろ?
不思議に思いながらも、セマルグルさんの分のクレープを取り分け、私とヴォーロスの分を布で包む。
ついでに、以前にもらった大きな牛乳の空き瓶に水を詰め、いざ出発!
と言っても、荷物があるので帰って来た時みたいに、ヴォーロスに乗せてもらうんじゃなくて、ゆっくり徒歩だけどね。
流石に荷物を持って、ヴォーロスのあの速度には乗っていられないもん。
「あ!」
「ん? どうかしたの?」
「うーん……私たちの上をセマルグルさんが飛んで、見守ってくれているんだけど、どうして守り神さんの所に行くのは嫌がるのかなーって、思って」
「あぁ、違うんだよ。別に僕たちは嫌がっている訳ではないんだ。僕はまだしも、セマルグルは会うのが難しいんだよ」
「空が飛べるのに?」
私の質問にヴォーロスが少し考え、暫くして口を開く。
「……セマルグルは鳥目なんだよ」
「上半身は鳥さんだもんね……って、そういう事!?」
「うん。今から会いに行く相手は夜行性で、セマルグルは暗いところでは、あんまり目が見えないんだよ」
なんだ……そういう理由なら普通に教えてくれれば良いのに。
けど、初めてセマルグルさんの弱点? っぽい事を知っちゃった。
42
お気に入りに追加
4,152
あなたにおすすめの小説
いらないと言ったのはあなたの方なのに
水谷繭
恋愛
精霊師の名門に生まれたにも関わらず、精霊を操ることが出来ずに冷遇されていたセラフィーナ。
セラフィーナは、生家から救い出して王宮に連れてきてくれた婚約者のエリオット王子に深く感謝していた。
エリオットに尽くすセラフィーナだが、関係は歪つなままで、セラよりも能力の高いアメリアが現れると完全に捨て置かれるようになる。
ある日、エリオットにお前がいるせいでアメリアと婚約できないと言われたセラは、二人のために自分は死んだことにして隣国へ逃げようと思いつく。
しかし、セラがいなくなればいいと言っていたはずのエリオットは、実際にセラが消えると血相を変えて探しに来て……。
◆表紙画像はGirly drop様からお借りしました🍬
◇いいね、エールありがとうございます!
兄がいるので悪役令嬢にはなりません〜苦労人外交官は鉄壁シスコンガードを突破したい〜
藤也いらいち
恋愛
無能王子の婚約者のラクシフォリア伯爵家令嬢、シャーロット。王子は典型的な無能ムーブの果てにシャーロットにあるはずのない罪を並べ立て婚約破棄を迫る。
__婚約破棄、大歓迎だ。
そこへ、視線で人手も殺せそうな眼をしながらも満面の笑顔のシャーロットの兄が王子を迎え撃った!
勝負は一瞬!王子は場外へ!
シスコン兄と無自覚ブラコン妹。
そして、シャーロットに思いを寄せつつ兄に邪魔をされ続ける外交官。妹が好きすぎる侯爵令嬢や商家の才女。
周りを巻き込み、巻き込まれ、果たして、彼らは恋愛と家族愛の違いを理解することができるのか!?
短編 兄がいるので悪役令嬢にはなりません を大幅加筆と修正して連載しています
カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。
今さら、私に構わないでください
ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。
彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。
愛し合う二人の前では私は悪役。
幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。
しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……?
タイトル変更しました。
【完結】見た目がゴリラの美人令嬢は、女嫌い聖騎士団長と契約結婚できたので温かい家庭を築きます
三矢さくら
恋愛
【完結しました】鏡に映る、自分の目で見る姿は超絶美人のアリエラ・グリュンバウワーは侯爵令嬢。
だけど、他人の目にはなぜか「ゴリラ」に映るらしい。
原因は不明で、誰からも《本当の姿》は見てもらえない。外見に難がある子供として、優しい両親の配慮から領地に隔離されて育った。
煌びやかな王都や外の世界に憧れつつも、環境を受け入れていたアリエラ。
そんなアリエラに突然、縁談が舞い込む。
女嫌いで有名な聖騎士団長マルティン・ヴァイスに嫁を取らせたい国王が、アリエラの噂を聞き付けたのだ。
内密に対面したところ、マルティンはアリエラの《本当の姿》を見抜いて...。
《自分で見る自分と、他人の目に映る自分が違う侯爵令嬢が《本当の姿》を見てくれる聖騎士団長と巡り会い、やがて心を通わせあい、結ばれる、笑いあり涙ありバトルありのちょっと不思議な恋愛ファンタジー作品》
【物語構成】
*1・2話:プロローグ
*2~19話:契約結婚編
*20~25話:新婚旅行編
*26~37話:魔王討伐編
*最終話:エピローグ
自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!!
ゆずこしょう
恋愛
ティアナ・ノヴァ(15)には1人の変わった友人がいる。
ニーナ・ルルー同じ年で小さい頃からわたしの後ろばかり追ってくる、少しめんどくさい赤毛の少女だ。
そしていつも去り際に一言。
「私はヒロインなの!あなたはモブよ!」
ティアナは思う。
別に物語じゃないのだし、モブでいいのではないだろうか…
そんな一言を言われるのにも飽きてきたので私は学院生活の3年間ニーナから隠れ切ることに決めた。
所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!
ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。
幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。
婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。
王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。
しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。
貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。
遠回しに二人を注意するも‥
「所詮あなたは他人だもの!」
「部外者がしゃしゃりでるな!」
十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。
「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」
関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが…
一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。
なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…
よくある婚約破棄なので
おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。
その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。
言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。
「よくある婚約破棄なので」
・すれ違う二人をめぐる短い話
・前編は各自の証言になります
・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド
・全25話完結
噂好きのローレッタ
水谷繭
恋愛
公爵令嬢リディアの婚約者は、レフィオル王国の第一王子アデルバート殿下だ。しかし、彼はリディアに冷たく、最近は小動物のように愛らしい男爵令嬢フィオナのほうばかり気にかけている。
ついには殿下とフィオナがつき合っているのではないかという噂まで耳にしたリディアは、婚約解消を申し出ることに。しかし、アデルバートは全く納得していないようで……。
※二部以降雰囲気が変わるので、ご注意ください。少し後味悪いかもしれません(主人公はハピエンです)
※小説家になろうにも掲載しています
◆表紙画像はGirly Dropさんからお借りしました
(旧題:婚約者は愛らしい男爵令嬢さんのほうがお好きなようなので、婚約解消を申し出てみました)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる