27 / 70
第27話 特別棟
しおりを挟む
「テレーズさん。ごめんなさい。さっきのお買い物の件なんだけど、明日にしてもらっても良いかな? ちょっと急な予定が入っちゃって」
「それは構いませんが、午前中でも宜しいでしょうか。午後は、ルーシー様の夕食のご準備をして、屋敷へ戻らないといけないので」
「うん! 大丈夫!」
テレーズさんには悪いけど、どうしてもヒート・プレートが欲しいんだよね。
セシルたちが、魔力の向上する日本のリンゴと何かを交換してきてくれると言っているので、それを学校で買い取ってもらって……って、あれ? 入学直後の一年生がドロップアイテムの買取ってしてもらえるのかな?
それに、週末って寮の食堂がやってないくらいだし、そもそも買取屋さんも閉まっているのでは?
「テレーズさん。ちょ、ちょっとだけ待っててね」
「ルーシー様? また何処かへお出掛けですか?」
「今度はすぐに戻るからー!」
寮を飛び出すと、急いで学園の特別棟へ。
ここは、その名の通り、音楽やダンスにマナーなどといった、魔法以外の授業をする教室が集まっている。
なんせ王子や貴族が通う学園だからね。
辺境へ飛ばされる事が確定している私なんかはともかく、皆は魔法以外にも学ぶ事が沢山あるみたい。
……と、それはさておき、特別棟の一階の端に、買取屋さんがある。
その辺で拾った薬草だろうと、ダンジョンで遭遇した魔物の素材であろうと、基本的に何でも買い取ってくれるのだが、
「あー、やっぱり休みなのね」
案の定閉まっていた。
まぁ週末は部活動も原則休みだし、日本の学校とは違うわよね。
完全週休二日制で宿題も無いし、授業らしい授業もしていないし……ここの学園の先生って、やっぱり楽なんじゃないの?
そんな事を考えながら、トボトボと寮へ戻り、テレーズさんに出迎えられる。
「ただいまー」
「おかえりまさいませ。……ルーシー様? 先程までとは違い、随分と元気が無くなっておりますが、どうされました?」
「え? えーっと、実は菜園クラブの先輩が、要らないから売っても良いよって言われていた物があったから、それを換金してヒート・プレートを買おうと思っていたんだけど、それを買い取ってくれる所が閉まっていたから」
「ふむ。何かの種とかでしょうか? 私は農作物の知識はありませんが、街の買取屋なら知っておりますよ」
「本当っ!? テレーズさんは、何でも知っているのね」
「ふっふっふ。実は前職が冒険……いえ、何でもありません。では、明日はその買取屋へ寄ってから、お買い物へ参りましょう」
やった! 後は、セシルたちが持ってきてくれる物次第ではあるけど、これで自分でお米が炊けるようになるっ!
しかしそれにしても、テレーズさんって未だ若いよね?
私……というか、ルーシーよりも少し上って感じで、二十歳くらいではないだろうか。
それなのに、何かは分からないけど前職があるって……この世界は何歳から働くもの何だろう。
ルーシーも卒業と同時に辺境に飛ばされるし、やっぱり十八歳から?
でも、主人公のアメリアは、卒業後のエンディングで……あー、大体どのルートに進んでもお嫁さんよね。
唯一バッドエンドだったら……魔法大学校に進学だっけ?
まぁ私には関係のない話だから、考えても仕方が無いか。
それから、夕食までテレーズさんと世間話をしたり、部屋の片付け方について小言を聞かされたりした後、
「では、私は従者用の部屋に居りますので、何かありましたら、そちらへご連絡願います」
テレーズさんが別の部屋へ移ったところで、再び森へと移動する事にした。
「それは構いませんが、午前中でも宜しいでしょうか。午後は、ルーシー様の夕食のご準備をして、屋敷へ戻らないといけないので」
「うん! 大丈夫!」
テレーズさんには悪いけど、どうしてもヒート・プレートが欲しいんだよね。
セシルたちが、魔力の向上する日本のリンゴと何かを交換してきてくれると言っているので、それを学校で買い取ってもらって……って、あれ? 入学直後の一年生がドロップアイテムの買取ってしてもらえるのかな?
それに、週末って寮の食堂がやってないくらいだし、そもそも買取屋さんも閉まっているのでは?
「テレーズさん。ちょ、ちょっとだけ待っててね」
「ルーシー様? また何処かへお出掛けですか?」
「今度はすぐに戻るからー!」
寮を飛び出すと、急いで学園の特別棟へ。
ここは、その名の通り、音楽やダンスにマナーなどといった、魔法以外の授業をする教室が集まっている。
なんせ王子や貴族が通う学園だからね。
辺境へ飛ばされる事が確定している私なんかはともかく、皆は魔法以外にも学ぶ事が沢山あるみたい。
……と、それはさておき、特別棟の一階の端に、買取屋さんがある。
その辺で拾った薬草だろうと、ダンジョンで遭遇した魔物の素材であろうと、基本的に何でも買い取ってくれるのだが、
「あー、やっぱり休みなのね」
案の定閉まっていた。
まぁ週末は部活動も原則休みだし、日本の学校とは違うわよね。
完全週休二日制で宿題も無いし、授業らしい授業もしていないし……ここの学園の先生って、やっぱり楽なんじゃないの?
そんな事を考えながら、トボトボと寮へ戻り、テレーズさんに出迎えられる。
「ただいまー」
「おかえりまさいませ。……ルーシー様? 先程までとは違い、随分と元気が無くなっておりますが、どうされました?」
「え? えーっと、実は菜園クラブの先輩が、要らないから売っても良いよって言われていた物があったから、それを換金してヒート・プレートを買おうと思っていたんだけど、それを買い取ってくれる所が閉まっていたから」
「ふむ。何かの種とかでしょうか? 私は農作物の知識はありませんが、街の買取屋なら知っておりますよ」
「本当っ!? テレーズさんは、何でも知っているのね」
「ふっふっふ。実は前職が冒険……いえ、何でもありません。では、明日はその買取屋へ寄ってから、お買い物へ参りましょう」
やった! 後は、セシルたちが持ってきてくれる物次第ではあるけど、これで自分でお米が炊けるようになるっ!
しかしそれにしても、テレーズさんって未だ若いよね?
私……というか、ルーシーよりも少し上って感じで、二十歳くらいではないだろうか。
それなのに、何かは分からないけど前職があるって……この世界は何歳から働くもの何だろう。
ルーシーも卒業と同時に辺境に飛ばされるし、やっぱり十八歳から?
でも、主人公のアメリアは、卒業後のエンディングで……あー、大体どのルートに進んでもお嫁さんよね。
唯一バッドエンドだったら……魔法大学校に進学だっけ?
まぁ私には関係のない話だから、考えても仕方が無いか。
それから、夕食までテレーズさんと世間話をしたり、部屋の片付け方について小言を聞かされたりした後、
「では、私は従者用の部屋に居りますので、何かありましたら、そちらへご連絡願います」
テレーズさんが別の部屋へ移ったところで、再び森へと移動する事にした。
50
お気に入りに追加
1,249
あなたにおすすめの小説
婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る
拓海のり
ファンタジー
階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。
頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。
破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。
ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。
タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。
完結しました。ありがとうございました。
冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます
里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。
だが実は、誰にも言えない理由があり…。
※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。
全28話で完結。
婚約破棄され森に捨てられました。探さないで下さい。
拓海のり
ファンタジー
属性魔法が使えず、役に立たない『自然魔法』だとバカにされていたステラは、婚約者の王太子から婚約破棄された。そして身に覚えのない罪で断罪され、修道院に行く途中で襲われる。他サイトにも投稿しています。
婚約破棄を目撃したら国家運営が破綻しました
ダイスケ
ファンタジー
「もう遅い」テンプレが流行っているので書いてみました。
王子の婚約破棄と醜聞を目撃した魔術師ビギナは王国から追放されてしまいます。
しかし王国首脳陣も本人も自覚はなかったのですが、彼女は王国の国家運営を左右する存在であったのです。
聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!
へぇ。美的感覚が違うんですか。なら私は結婚しなくてすみそうですね。え?求婚ですか?ご遠慮します
如月花恋
ファンタジー
この世界では女性はつり目などのキツい印象の方がいいらしい
全くもって分からない
転生した私にはその美的感覚が分からないよ
バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話
紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界――
田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。
暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。
仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン>
「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。
最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。
しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。
ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと――
――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。
しかもその姿は、
血まみれ。
右手には討伐したモンスターの首。
左手にはモンスターのドロップアイテム。
そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。
「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」
ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。
タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。
――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――
婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます
今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。
しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。
王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。
そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。
一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。
※「小説家になろう」「カクヨム」から転載
※3/8~ 改稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる