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第10章 聖剣と魔王

第333話 コートニーからの救援要請

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「はぁっ! ……おぉ、流石だな。魔物がスパスパ斬れる」

 ライマーさんに打ってもらった聖剣の試し斬りという事で、テレポートでエルフの村の周りの森へとやって来た。
 アオイの索敵魔法で魔物を探し……一刀両断。
 流石はドワーフが打った剣と言ったところだろうか。
 両手剣も片手剣も、魔物が簡単に斬れる。

『そ、そんなの具現化魔法で作った剣でも出来るじゃないですかっ!』
(確かにそうだが、切れ味はこっちの方が上だと思うぞ)
『で、でも、具現化魔法だと、剣を運ばなくて良いんですよ? しかも、折れてもすぐに元通り。形だって自由自在ですし』
(はいはい。アオイの具現化魔法は凄いってば)

 まぁ確かに二本の剣を持ち歩くのは大変かもしれないな。
 その点、具現化魔法は手ぶらで移動出来るし、折れてもすぐに直せる。
 ただ形は……俺が、武器の造形に詳しくないとダメなので、剣や槍みたいなシンプルな武器以外は難しそうだが。
 そんな事を考えて居ると、

「これが、聖剣なんだ。確かに凄いけど、これで魔王が倒せるの?」
「うーん、正直それは分からないな。魔王って呼ばれるくらいだから、メチャクチャ強いんだろ?」
「でも、わざわざ聖剣を作ってもらったっていう事は、ヘンリーは魔王を倒そうとしているって事なの?」
「いや、そうじゃなくて、守る為だよ。魔王とは言わなくとも、実際何度か魔族と戦った事があるんだが、万が一ソフィアたちが魔族から狙われたりした時に、守れる力が欲しいと思ってさ」
「……ふふっ。じゃあ、しっかり私の事を守ってね」

 ソフィアが突然抱きついて来た。
 そういうのは嬉しいのだが、周囲にまだ魔物が居るのだが。

「……旦那様。ラウラちゃんも」
「おいおい、ラウラまで」
「……たまには、外でするのも良い」
「いや、良く無いだろ。というか、ここは魔物が出るからな? あと、エルフの村のすぐ近くだし」
「……その方がドキドキする。いつ魔物が現れるかって」
「それ、魔物は違うだろ」

 便乗してきたラウラを宥めていると、

『ヘンリーさん! コートニーです。助けてください!』

 唐突にメッセージ魔法が来た。
 コートニーは、魔法騎士隊の隊員だが、一体どうしたのだろうか。
 一先ず、ソフィアとラウラを落ち着かせ、アオイにメッセージ魔法を送ってもらう。

『どうしたんだ?』
『魔族です! 王宮に魔族が現れました! しかも、大量に』

「なんだって!?」
「ど、どうかしたの!?」
「王宮に大量の魔族が現れたらしい。悪いが、行ってくる」

 丁度、二人とも俺に抱きついていたので、そのままテレポートで屋敷へ。

「ソフィアもラウラも、家で待っていてくれ。ジェーン、マーガレット、居るか!?」
「主様。ここに」
「お兄さん。そんなに慌ててどうしたのー?」

 魔族との戦闘経験がある二人の聖女を呼び、簡潔に状況を説明する。

「……という訳で、王宮に魔族が現れたらしい。すまないが、一緒に来てくれ」
「はい、畏まりました」
「ふふっ。魔族……滅さなきゃ」

 ジェーンはいつも通りだが、久々にマーガレットの暴走モード――まだ、完全にスイッチは入っていないが――を見た気がする。

「そうだ、ジェーン。これを……聖銀で作った剣だ。斬れ味は保証する。普段使っている細身剣とは違うが、魔族にも有効なはずだ」
「よろしいのですか?」
「勿論。慣れない武器で、いきなり実戦となってしまい申し訳ないが、力を貸してくれ」
「はい、喜んで!」

 二本の聖剣のうち、まだ軽い片手剣の方をジェーンへ渡すと、

「お兄さん。私には何か無いの?」
「え? ……じゃあ、これを。魔力を剣の形に出来るらしい。厳密には刃物じゃないから、これならマーガレットでも使える……か?」
「うーん……魔力を通して武器化するなら、メイスの形にも出来る……かな」

 マーガレットの要求に応える為、おまけで貰った、柄だけの剣を渡す。

「ま、待って。私が行っても、魔族相手だと足手まといだって分かってる。だから……絶対に帰って来なさいよ!」
「当然だっ! 魔族を蹴散らして、帰ってくるさ」

 ソフィアに長めのキスをされ……離れると、

「じゃあ、行ってくる」
「お兄さん。私にも……あ、うそうそ。ソフィアさん、睨まないで」

 ジェーンとマーガレットを抱きかかえ、王宮前へ瞬間移動する。

「あ、主様……これは」
「あぁ、ヤバいな。もう一度、移動するぞ」

 視界が屋敷の中から、王宮の前へと変わったのだが、その王宮の上を、翼を生やした人型の魔物が覆い尽くしていた。
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