上 下
328 / 343
第10章 聖剣と魔王

第324話 父への挨拶と、恐れおののく店員のお姉さん

しおりを挟む
「ヘンリー……今の言葉を、もう一度言ってくれないか?」
「だから、ここに居るソフィア、ラウラと正式に結婚した。盛大に結婚式も挙げたし、結婚指輪も送った。あと、後ろに並ぶクレアとプリシラ、ヴィクトリーヌとドロシーとニーナとも、式は未だだが結婚した」
「な……なんと。話が凄すぎて、思わず聞き間違いかと思ったが、本当だったのか! よくやったぞ、ヘンリー! こんなAランク美少女とAAランク美幼女を妻に迎えるなんて! さぁ、ソフィアちゃんとラウラちゃん。お義父さんだ……よぐふぁっ!」

 一応、親族になるし、領主代行もやってもらっているので、父さんにソフィアたちの紹介に来たのだが……事もあろうに、ソフィアとラウラを抱きしめようとしたので、思いっきり蹴り飛ばしておいた。

「な、何をするんだ、ヘンリー! 父さんは、義理の娘となったソフィアちゃんとラウラちゃんと、親睦を深めようとしただけじゃないかっ!」
「親睦を深めるのに抱きつく必要はないだろ! 俺の嫁に手を出すなっ!」
「くっ……そんなに美少女を沢山はべらかしているんだから、一人くらい良いじゃないかっ! ……た、例えばエルフのルミちゃんとか」
「……父さん。結婚の報告をするため、この後母さんの所へ行くんだ。今の発言を母さんに……」
「すみませんでしたぁぁぁっ! どうか、どうか母さんには内密にっ! ……あ、ソフィアちゃん、ラウラちゃん。何かマジックアイテムで困った事があったら、お義父さんに相談してね」

 ……父さん。母さんの話を出した途端にスライディング土下座って、どうなんだ?
 というか、実は母さんってそんなに怖いのか?
 まぁ確かに気は短いし、ユーリヤを連れて実家に帰った時は、幼女をさらって来たと思われて、剣技まで放たれたけど……って、武術の心得の無い父さんには恐ろしい相手かもしれないな。
 一先ず、ソフィアたちから父さんに改めて挨拶をして、一旦解散となったので、

「ソフィアには、この屋敷に部屋を用意してもらっている。必要な物があれば用意するし、実家から持って来る物があれば、ソフィアのお父さんに挨拶へ行った時にでも、俺が運ぶよ」
「分かったわ。とりあえず、ウチのパパは、家に居ない事が多いから、挨拶には日程調整が必要ね」
「貴族だもんな。あと、俺の母さんにも紹介しようと思うんだけど、母さんは現役の騎士で、同じく家に居ない事が多いんだよな。先ずは母さんの都合を確認してくるから、それぞれ部屋で待っていてくれないか?」

 ノーマを探し出すと、ソフィアを自室へ案内してもらい、クレアたちも一旦自室へと戻ってもらう。
 ……何故かラウラは、自室へ戻ると言いながら、俺の部屋へ戻って行ったけど。
 ある意味ラウラはいつも通りなので、突っ込まずに実家へテレポートし、

「残念。留守か」

 家の中に人の気配が無いので、留守と判断した。
 父さんと俺が居なくなり、一人で暮らすには少し広い家だけど、母さんも屋敷へ呼んだ方が良いのだろうか?
 でも、未だ三十歳にもなっていないし、引退には早いか。
 まぁソフィアたちを連れて来た時に、それとなく聞いてみよう。
 何かスケジュールが分かる物が無いかと、暫くリビングを漁っていると、当番表らしきのを見つけた。

「えっと、今日は……夜まで帰って来ないのか。流石に、仕事終わりで疲れている所に来るのは悪いし、明日は……非番みたいだな」

 一先ず、準備したりする事もあるだろうからと、適当な紙を探しだし、書き置きをしておく。

――結婚しました。明日の昼過ぎに、妻を連れて挨拶に来るから、よろしく。ヘンリー――

 とりあえず、これを食卓に置いておいたので大丈夫だろう。
 再び屋敷に戻ると、今度はクレアたち五人の指輪を買えと言われてしまったので、

「すまん。ちょっと行ってくる」
「……いってらっしゃい」
「旦那様。早く帰って来て」

 ソフィアとラウラに見送られながら、王室御用達の宝石店へ。

「いらっしゃいませ。あら、先ほどの……あの、私共の商品に何か不具合でも?」
「いや、そういう訳じゃないんだ。この五人にも、結婚指輪を見繕って欲しくて」
「は? ……し、失礼しました。えっと……こ、こちらへどうぞ」

 店員のお姉さんが、驚愕の表情を浮かべているけれど、今日ソフィアとラウラに指輪を買って、それからすぐに違う五人の女性を連れて来たからな。
 まぁそういうリアクションになるのも、仕方がないよな。
 ……一先ず、新たに五つの指輪を購入し、

「ヘンリー様! あの、不束者ですが、どうぞ末永くよろしくお願い致します」
「旦那様。ボク、良い奥さんになれるように頑張るね」

 クレアとニーナから抱きつかれる。
 かと思えば、

「ふふっ……結婚指輪か。嬉しいものだな。今晩も楽しみにしているぞ」
「師匠! 自分、一生ついて行くッス! あと、その……激しいのをお願いしたいッス」
「ヘンリーさん。私は、夜は人並みで良いのです。激しくされたら……こ、壊れてしまいそうなのです」

 ヴィクトリーヌとドロシー、プリシラが大きな声でとんでもない事を言う。
 ほら、お姉さんの顔が引きつっているじゃないかっ!
 一先ず五人を連れて、逃げる様にして店を出ると、急いで屋敷へ戻る事にした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。

yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。 子供の頃、僕は奴隷として売られていた。 そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。 だから、僕は自分に誓ったんだ。 ギルドのメンバーのために、生きるんだって。 でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。 「クビ」 その言葉で、僕はギルドから追放された。 一人。 その日からギルドの崩壊が始まった。 僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。 だけど、もう遅いよ。 僕は僕なりの旅を始めたから。

修行マニアの高校生 異世界で最強になったのでスローライフを志す

佐原
ファンタジー
毎日修行を勤しむ高校生西郷努は柔道、ボクシング、レスリング、剣道、など日本の武術以外にも海外の武術を極め、世界王者を陰ながらぶっ倒した。その後、しばらくの間目標がなくなるが、努は「次は神でも倒すか」と志すが、どうやって神に会うか考えた末に死ねば良いと考え、自殺し見事転生するこができた。その世界ではステータスや魔法などが存在するゲームのような世界で、努は次に魔法を極めた末に最高神をぶっ倒し、やることがなくなったので「だらだらしながら定住先を見つけよう」ついでに伴侶も見つかるといいなとか思いながらスローライフを目指す。 誤字脱字や話のおかしな点について何か有れば教えて下さい。また感想待ってます。返信できるかわかりませんが、極力返します。 また今まで感想を却下してしまった皆さんすいません。 僕は豆腐メンタルなのでマイナスのことの感想は控えて頂きたいです。 不定期投稿になります、週に一回は投稿したいと思います。お待たせして申し訳ございません。 他作品はストックもかなり有りますので、そちらで回したいと思います

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件

月風レイ
ファンタジー
 普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。    そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。  そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。  そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。  そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。  食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。  不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。  大修正中!今週中に修正終え更新していきます!

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

召喚アラサー女~ 自由に生きています!

マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。 牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子 信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。 初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった *** 異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います

処理中です...