上 下
325 / 343
第10章 聖剣と魔王

第321話 ソフィアとラウラが欲しいもの

しおりを挟む
「えっと、今更で申し訳ないんですが、ヘンリー=フォーサイスと申します」
「……ラウラ=フォーサイスになった」
「ソフィア=フォーサイスです」

 ……って、二人まで何を言って……って、あれ? 正しいのか? ん? んんん?

「私はラーヘルよ。ヘンリーさん、ラウラを宜しく頼みますね」
「えーっと、はい。こちらこそ、宜しくお願い致します」
「むっ! 起きておったのか。婿殿、孫を……孫を頼むぅぅぅっ!」

 いつの間にかライマーさんも居て、孫を孫をと繰り返してくる。
 だが、そんな事を言われても……あ、いや。出来るような事をしてしまった訳で。
 ……あれ? よく考えたら、お義父さんって呼ばないといけないのか?
 とゆーか、俺の父さんや母さんに何て言おう。

「ちょっと、アンタ。しっかりしなさいよね。……あと、ウチのパパにも挨拶に来てよね。あと、ウチだって、改めてアンタのご両親に挨拶しないといけないしさ」
「……そ、そうだな」

 ソフィアとラウラ……二人の貧乳少女とあんな事やこんな事をしてしまったが為に、物凄く面倒臭い事になっている気がする。
 けど、あの体験は素晴らしかった訳で……後でもう一回。いや、三回ずつくらいしよう。

『ヘンリーさん、ヘンリーさん! 頭の中をピンク色にしている場合じゃないですよっ!』
(ん? あぁ、そうだな。屋敷にソフィアの部屋を用意しないとな)
『そんな話ではなくて、何の為にここへ来たんですか!?』
(え? 結婚式?)
『ちょっと、腑抜けすぎですよっ! 違うでしょっ! 聖剣ですよ、聖剣! 魔王が復活しても大丈夫なように、武器を手に入れる為に来たんですよね!?』

 あ、そうだった。
 ダメだ。さっきの体験が凄すぎて、もう魔王とか、どうでも良く……

『ヘンリーさん……』

 はいはい。ちゃんとやるべき事をやりますか。

「ライマーさん。話が変わってしまって申し訳ないんだが、前に話した聖銀で武器を作って欲しいんだが」
「そういえば、そんな事を言っておったな。では、孫が出来たら……」
「……あなた。子供が産まれるのは凄く先よ。ヘンリーさんの頼みを聞いてあげなさい」

 ラーヘルさんに言われ、ライマーさんがあっさりと折れる。
 ドワーフの長とはいえ、妻には勝てないようだ。
 ……えーっと、俺も村の領主という身だけど、そのうちソフィアとラウラに……い、いやいや。俺は大丈夫。大丈夫なはずだっ!

「婿殿。聖銀で武器を作って欲しいという話だが、そもそも聖銀はあるのか?」
「もちろん。採掘出来る場所を知っているから、足りなければまた取ってこよう」
「こ、これは……こんなに質の良い聖銀が大量にあるなんて。村の領主と聞いていたが、実はどこかの国王なのか?」
「そんな訳ないって。俺は村の一領主だよ」

 空間魔法で聖銀を取り出すと、ライマーさんに物凄く驚かれてしまった。
 だが、聖銀の質が良いという話なので、武器には期待しておこう。

「ある程度日数はかかるが、最高の武器を作る事を約束しよう。ちなみに、武器はどんなのが良いんだ? 剣か? 槍か?」
「希望は剣だな。今使っている、このクレイモアのような両手剣か、片手剣のどちらかで頼む」
「わかった。最後に、手を見せてくれ……うむ。何度も剣を振るった手だ。必ず、婿殿が満足する武器を作ってみせよう」

 そう言って、他のドワーフたちを呼んだライマーさんが聖銀をどこかへ運んでいき、

「いいかっ! ラウラの夫――つまり、俺の息子が使う武器だ! お前ら、気合い入れてやるぞっ!」
「おぉっ!」

 奥の方から雄たけびが聞こえて来た。
 かなり気合が入っているようだし、きっと良い武器を作ってくれるだろう。

「じゃあ、次はウチの番ね。アンタのご両親に挨拶させてよ」
「……ラウラちゃんも」
「そ、そうだな。とりあえず、皆に話もしないといけないし、一旦屋敷に帰るか」

 ラーヘルさんもシーツの洗濯に行っているのか、周囲に誰も居ないので、先ずはソフィアとラウラの二人をベッドに乗せ、

「ストロング・ブースト……テレポートっ!」

 先ずはベッドをソフィアの部屋に戻す。
 それから、続けてテレポートを使い、屋敷へ。

「さて、じゃあ父さんを呼んでくる……って、ソフィア? 何をしているんだ?」
「待って! お義父さんへのご挨拶も大事だけど、ウチ……大切な事を忘れてた!」
「どうしたんだ? ドワーフの国へ忘れ物か?」
「そうじゃなくて、ウチ……指輪貰ってない! 結婚指輪っ! どうせなら、お義父さんに会う前に、ハッキリと分かり易くしておきたいじゃない」

 ソフィアが何を言っているかはよく分からないが、とりあえず指輪が欲しいという事は分かった。

「えっと、ラウラも要る……よな?」
「……うん。だけど、ラウラちゃんはもっと欲しい物がある」
「何が欲しいんだ?」
「……旦那様の子供」
「……じゃあ、それはまた夜にでも。あ、もちろんソフィアも」

 アオイには浮ついていると言われてしまうかもしれないが、一応新婚だしな。
 これくらいは許してもらおうという事で、先に指輪を買いに行く事にした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

修行マニアの高校生 異世界で最強になったのでスローライフを志す

佐原
ファンタジー
毎日修行を勤しむ高校生西郷努は柔道、ボクシング、レスリング、剣道、など日本の武術以外にも海外の武術を極め、世界王者を陰ながらぶっ倒した。その後、しばらくの間目標がなくなるが、努は「次は神でも倒すか」と志すが、どうやって神に会うか考えた末に死ねば良いと考え、自殺し見事転生するこができた。その世界ではステータスや魔法などが存在するゲームのような世界で、努は次に魔法を極めた末に最高神をぶっ倒し、やることがなくなったので「だらだらしながら定住先を見つけよう」ついでに伴侶も見つかるといいなとか思いながらスローライフを目指す。 誤字脱字や話のおかしな点について何か有れば教えて下さい。また感想待ってます。返信できるかわかりませんが、極力返します。 また今まで感想を却下してしまった皆さんすいません。 僕は豆腐メンタルなのでマイナスのことの感想は控えて頂きたいです。 不定期投稿になります、週に一回は投稿したいと思います。お待たせして申し訳ございません。 他作品はストックもかなり有りますので、そちらで回したいと思います

ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。

yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。 子供の頃、僕は奴隷として売られていた。 そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。 だから、僕は自分に誓ったんだ。 ギルドのメンバーのために、生きるんだって。 でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。 「クビ」 その言葉で、僕はギルドから追放された。 一人。 その日からギルドの崩壊が始まった。 僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。 だけど、もう遅いよ。 僕は僕なりの旅を始めたから。

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件

月風レイ
ファンタジー
 普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。    そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。  そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。  そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。  そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。  食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。  不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。  大修正中!今週中に修正終え更新していきます!

「お前のような役立たずは不要だ」と追放された三男の前世は世界最強の賢者でした~今世ではダラダラ生きたいのでスローライフを送ります~

平山和人
ファンタジー
主人公のアベルは転生者だ。一度目の人生は剣聖、二度目は賢者として活躍していた。 三度目の人生はのんびり過ごしたいため、アベルは今までの人生で得たスキルを封印し、貴族として生きることにした。 そして、15歳の誕生日でスキル鑑定によって何のスキルも持ってないためアベルは追放されることになった。 アベルは追放された土地でスローライフを楽しもうとするが、そこは凶悪な魔物が跋扈する魔境であった。 襲い掛かってくる魔物を討伐したことでアベルの実力が明らかになると、領民たちはアベルを救世主と崇め、貴族たちはアベルを取り戻そうと追いかけてくる。 果たしてアベルは夢であるスローライフを送ることが出来るのだろうか。

処理中です...