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第8章 ヴァロン王国遠征
第258話 一夫多妻制
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「ヴィクトリーヌ……ちょっとこっちへ」
暑さで獣人族の姿になっているヴィクトリーヌの手を取り、一旦ドワーフたちの元から離れると、小声で話を聞く。
「……ヴィクトリーヌ。俺の妻って、一体どういうつもりなんだ!?」
「……どういうつもりも何も、昨日ヘンリー殿が我にあんな凄い事をしたのだ。であれば、我はヘンリー殿の妻だと言っても差し支えないはずだ」
妻だと言えるくらいの事をヴィクトリーヌにした!?
確かにヴィクトリーヌの大きな胸は触ってみたいと思っているが、まだ俺は触っていない。
第一、昨日は殆ど洞窟の中に……って、そう言えば突然ヴィクトリーヌが俺の腕に抱きついてきたな。
全く身に覚えが無いんだけど、もしかして俺が幻覚状態の時に、何かやらかしてしまったのか!?
だが、非常に申し訳ないのだが、冗談抜きに記憶が無い。
妻だと言うのであれば、その時に俺がしでかした事を、記憶がちゃんとある時に、もう一度やらせてくれないだろうか。
「……待って欲しいッス。そういう事なら、自分も師匠の妻みたいなものッス」
「……ドロシーまで何を言っているんだ!?」
「……だって、街中でも人前でも関係無しに胸をずっと弄られていたッス。もう、お嫁に行けない身体にされてしまったッス」
「……待て待て待て。だから、あれは修行の一環であってだな」
「……それに、昨晩師匠たちの部屋から漏れ聞こえていたラウラちゃんの気持ち良さそうな声……自分も、そんな風にしてもらいたいッス」
「……ん? それは何の話だ?」
ドロシーの胸を触り続けてきた話は、まだ分かる。
実際、ここ数日毎日揉み続けてきたし、ドロシーも胸を触っても唇を尖らせなくなってきていた。
けど、ラウラの声って何だ?
俺はユーリヤ、ラウラ、ルミ辺りのお子様たちに手を出した事は無いし、これからも出す気はないぞ?
「……あ、あの。でしたら、私もヘンリー様の妻ですっ!」
「……どうしてクレアもなのです? だったら、私もヘンリー隊長の妻なのです」
「……いや、クレアもプリシラも何言ってんだ?」
一体何を考えているのか、クレアとプリシラまでもが俺の妻だとか言い出した。
本気で何を言っているか分からないんだが、これはどういう状況なんだ?
「……ヘンリー様。あちらのドワーフが、先程の試練とやらを家族であれば関与できると言っておりました。でしたら、私たちも妻という事にしておけば、皆で試練を受ける事が出来ます」
「……いや、ツッコミどころがあり過ぎるんだけど、そもそも妻って普通は一人だよな。あと、試練の中身は知らないが、俺一人でもクリアしてみせるぞ?」
「……ヘンリー様は御存知ないですか? ドワーフは一夫多妻制ですよ? あと、ドワーフと言えば鍛冶や精密な細工を得意としております。戦闘に関する試練でしたら、確かにヘンリー様お一人でクリア出来るかと思いますが、マジックアイテムの知識などを求められる試練でしたら、困りませんか?」
む……確かに。クレアの言う通り、昨日ラウラにマジックアイテムの話をされて、何一つ答える事が出来なかった。
三つも試練があるのだから、一つくらいはその手の内容が入っているかもしれない。
「……ラウラ。ドワーフって、一夫多妻制なのか?」
「……ん、そう」
「……マジか。男にとっては夢のような世界だな。だが、分かった。そういう事ならば、すまないが皆力を貸してくれ。俺は、どうしてもこの試練をクリアしないといけないんだ」
ドワーフの力を借りる事は魔族を倒す為に必須だ。
何としても、クリアしなければ。
「……隊長さん、そういう事ならボクも協力するよ。隊長さんの、お、お嫁さんになる」
「にーに。ユーリヤもー!」
「……ニーナもユーリヤも、ありがとう。だけどユーリヤは俺の娘みたいなもので、既に家族だからな」
暫く俺の妻の振りをするだけだというのに、ニーナが顔を赤らめる。
妻の振りをしている間だけでも、その胸に顔を埋めさせてくれないだろうか。
……まぁユーリヤの前なので、流石に何もしないけど、そのユーリヤは本来ならば妹とするのが正解なのだろう。俺の年齢で子供が居るはずもないし。
だが、誰が何と言おうとユーリヤは俺の娘だ!
俺の父性が爆発しつつも、話が纏まったので全員でライマーの所へ戻る。
「待たせた。先程の話だが、家族が参加出来るというのであれば、ここに居る全員が家族だ」
「ほぅ。ドワーフとしては精力旺盛なのは良い事なのだが、この人数をどうやって養っておるのだ?」
「どうやって……って、村の領主だから住む屋敷家はあるし、村で食べ物は採れるし、交易も軌道に乗り始めたから、今の所資金には困っていないぞ?」
「領主じゃと!? その若さで……まぁ良い。では、試練を受ける者の名前と、それぞれの関係をこの紙に書いてもらおうか」
何だか役所みたいだなと思いながらも、俺を夫として、ヴィクトリーヌ、ドロシー、クレア、プリシラ、ニーナを妻、ユーリヤを娘と書き記し……って、妻が五人になっているんだが。
一先ず、書き終えた紙をライマーに渡すと、
「確かに受け取った。ではこれより、大地の神の名において、夫ヘンリーとその家族をドワーフの一族として受け入れ、我が娘ラウラと婚姻を結ぶための試練を始める」
「……は?」
とんでもない事を言い出した。
暑さで獣人族の姿になっているヴィクトリーヌの手を取り、一旦ドワーフたちの元から離れると、小声で話を聞く。
「……ヴィクトリーヌ。俺の妻って、一体どういうつもりなんだ!?」
「……どういうつもりも何も、昨日ヘンリー殿が我にあんな凄い事をしたのだ。であれば、我はヘンリー殿の妻だと言っても差し支えないはずだ」
妻だと言えるくらいの事をヴィクトリーヌにした!?
確かにヴィクトリーヌの大きな胸は触ってみたいと思っているが、まだ俺は触っていない。
第一、昨日は殆ど洞窟の中に……って、そう言えば突然ヴィクトリーヌが俺の腕に抱きついてきたな。
全く身に覚えが無いんだけど、もしかして俺が幻覚状態の時に、何かやらかしてしまったのか!?
だが、非常に申し訳ないのだが、冗談抜きに記憶が無い。
妻だと言うのであれば、その時に俺がしでかした事を、記憶がちゃんとある時に、もう一度やらせてくれないだろうか。
「……待って欲しいッス。そういう事なら、自分も師匠の妻みたいなものッス」
「……ドロシーまで何を言っているんだ!?」
「……だって、街中でも人前でも関係無しに胸をずっと弄られていたッス。もう、お嫁に行けない身体にされてしまったッス」
「……待て待て待て。だから、あれは修行の一環であってだな」
「……それに、昨晩師匠たちの部屋から漏れ聞こえていたラウラちゃんの気持ち良さそうな声……自分も、そんな風にしてもらいたいッス」
「……ん? それは何の話だ?」
ドロシーの胸を触り続けてきた話は、まだ分かる。
実際、ここ数日毎日揉み続けてきたし、ドロシーも胸を触っても唇を尖らせなくなってきていた。
けど、ラウラの声って何だ?
俺はユーリヤ、ラウラ、ルミ辺りのお子様たちに手を出した事は無いし、これからも出す気はないぞ?
「……あ、あの。でしたら、私もヘンリー様の妻ですっ!」
「……どうしてクレアもなのです? だったら、私もヘンリー隊長の妻なのです」
「……いや、クレアもプリシラも何言ってんだ?」
一体何を考えているのか、クレアとプリシラまでもが俺の妻だとか言い出した。
本気で何を言っているか分からないんだが、これはどういう状況なんだ?
「……ヘンリー様。あちらのドワーフが、先程の試練とやらを家族であれば関与できると言っておりました。でしたら、私たちも妻という事にしておけば、皆で試練を受ける事が出来ます」
「……いや、ツッコミどころがあり過ぎるんだけど、そもそも妻って普通は一人だよな。あと、試練の中身は知らないが、俺一人でもクリアしてみせるぞ?」
「……ヘンリー様は御存知ないですか? ドワーフは一夫多妻制ですよ? あと、ドワーフと言えば鍛冶や精密な細工を得意としております。戦闘に関する試練でしたら、確かにヘンリー様お一人でクリア出来るかと思いますが、マジックアイテムの知識などを求められる試練でしたら、困りませんか?」
む……確かに。クレアの言う通り、昨日ラウラにマジックアイテムの話をされて、何一つ答える事が出来なかった。
三つも試練があるのだから、一つくらいはその手の内容が入っているかもしれない。
「……ラウラ。ドワーフって、一夫多妻制なのか?」
「……ん、そう」
「……マジか。男にとっては夢のような世界だな。だが、分かった。そういう事ならば、すまないが皆力を貸してくれ。俺は、どうしてもこの試練をクリアしないといけないんだ」
ドワーフの力を借りる事は魔族を倒す為に必須だ。
何としても、クリアしなければ。
「……隊長さん、そういう事ならボクも協力するよ。隊長さんの、お、お嫁さんになる」
「にーに。ユーリヤもー!」
「……ニーナもユーリヤも、ありがとう。だけどユーリヤは俺の娘みたいなもので、既に家族だからな」
暫く俺の妻の振りをするだけだというのに、ニーナが顔を赤らめる。
妻の振りをしている間だけでも、その胸に顔を埋めさせてくれないだろうか。
……まぁユーリヤの前なので、流石に何もしないけど、そのユーリヤは本来ならば妹とするのが正解なのだろう。俺の年齢で子供が居るはずもないし。
だが、誰が何と言おうとユーリヤは俺の娘だ!
俺の父性が爆発しつつも、話が纏まったので全員でライマーの所へ戻る。
「待たせた。先程の話だが、家族が参加出来るというのであれば、ここに居る全員が家族だ」
「ほぅ。ドワーフとしては精力旺盛なのは良い事なのだが、この人数をどうやって養っておるのだ?」
「どうやって……って、村の領主だから住む屋敷家はあるし、村で食べ物は採れるし、交易も軌道に乗り始めたから、今の所資金には困っていないぞ?」
「領主じゃと!? その若さで……まぁ良い。では、試練を受ける者の名前と、それぞれの関係をこの紙に書いてもらおうか」
何だか役所みたいだなと思いながらも、俺を夫として、ヴィクトリーヌ、ドロシー、クレア、プリシラ、ニーナを妻、ユーリヤを娘と書き記し……って、妻が五人になっているんだが。
一先ず、書き終えた紙をライマーに渡すと、
「確かに受け取った。ではこれより、大地の神の名において、夫ヘンリーとその家族をドワーフの一族として受け入れ、我が娘ラウラと婚姻を結ぶための試練を始める」
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とんでもない事を言い出した。
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