245 / 343
第8章 ヴァロン王国遠征
第244話 突入! ドワーフダンジョン
しおりを挟む
「ドワーフがどういう種族か知っているのか!? 酒と鉱物にしか興味が無く、年中土の中で暮らすような奴らだぞっ!?」
「えぇ。そのドワーフに用事があるんです。今は、このピュイード火山の地下に居るんですよね?」
「それは……確かにそうだと聞いている。まさか、会いに行くのか!?」
何故かドワーフに対して嫌悪感を示すヴィクトリーヌに、二つ返事で「もちろん」と答えると、物凄く嫌そうな顔を向けられる。
「くっ……せめて、ジャンの代わりとなる監視役が見つかるまでは待てないのか?」
「無理です。我々も国の任務として来ている以上、無駄な時間を過ごす訳にはいかないので」
「ぐぬぬ……」
「ドワーフの王国への入口は知ってます? 知らないなら、こっちで調べるけど」
「……知っている。ついて来い」
ヴィクトリーヌが、苦虫を噛みつぶしたような表情から何かを諦めたような表情に変わり、俺たちを先導する。
何があるのかは知らないが、流石に他国の正規の騎士隊に嘘を教えないだろうし、信じてついて行くと、街から大きく離れた場所に、どうにか人が通れる程のほら穴があった。
「……ここが、ドワーフの王国への入口だ」
「ふむ。いかにもって感じの洞窟だな」
「えぇ。この横幅は広いのに、高さは低い所がドワーフって感じなのです」
洞窟は、横に四人くらい並べる程の幅があるのに、この中で一番背の高い俺はもちろん、女性としては普通の身長であるニーナやプリシラにヴィクトリーヌも、少しかがむくらいに、高さが無い。
背の低いドロシーとクレア、そしてユーリヤは普通に歩けるが、これはキツいな。
一先ずドロシーを先頭に、洞窟の中へ入ると、プリシラが神聖魔法で早速明かりを灯す。
「これは腰を痛めそうだな」
「そ、それは一大事ですっ! ヘンリー様の大事な腰がっ!」
後ろを歩くクレアが、腰を優しく撫でてくれるのだが、それはもう少し後で……実際に腰を痛めてからお願いしたい。
途中で現れた魔物はドロシーやプリシラに任せて暫く歩いていると、ようやく真っ直ぐに立てる程の場所に出た。
「ふぅ。やっと普通に歩けるな。……で、ここがドワーフの国なのか?」
「何を言っているんだ? そんな訳がないだろう。ここはドワーフが作ったダンジョンだ」
「ダンジョン? どういう事だ?」
「そのままの意味だ。奴らは気に入った場所に、土や石を使ったダンジョンを作る。外部からの侵入を防ぎ、採掘や鉱物の加工に専念するためにな」
「そうなのか。ちなみに、そのダンジョンを無視して、石の壁をぶち抜いて行ってはダメなのか?」
「やめておけ。仮にも石や鉱物に掛けては、右に出る者が居ない種族だ。下手な事をしたら崩落させるくらいの罠を、仕掛けているかもしれん」
ドワーフの国へ侵攻する訳ではないので、あくまで立ち塞がる壁を壊すだけなのだが……ヴィクトリーヌの言う通り、どんな仕掛けがあるかは分からない。
ドワーフと言えば、鍛冶と細工に優れているからな。
俺とユーリヤだけならともかく、崩落なんて起こったら、他のメンバーが命の危機に陥ってしまう。
「仕方が無い。じゃあ、ここからは地道にダンジョンを突破するか」
「はいっ! 頑張るッス」
「……はぁ。やっぱりこうなるか……」
ヴィクトリーヌがドワーフと聞いて嫌そうな顔をしていたのは、このダンジョンの事を知って居たからか。
先日踏破したオークの巣は単純だったけど、ここはドワーフたちによる人工のダンジョンだ。
かつて聖銀を手に入れた、エルフの作ったダンジョンみたく、罠が沢山仕掛けられていると考えた方が良いだろう。
……って、この中にあのダンジョンへ一緒に行ったメンバーが一人も居ない!
しかも、呪いや状態異常に強いマーガレットも居ないけど、大丈夫だろうか。
はっきり言って、俺は幻覚とか催眠の類には弱いぞ?
前もルミのちっぱいに顔面ダイブしかけて……って、ダメだぞ! 可愛いユーリヤの胸にダイブなんてさせるなよ!? 絶対、絶対にさせるなよっ!?
「じゃあ、隊列を変えよう。先頭は俺とドロシーだ。次にユーリヤとクレア。最後尾はニーナとプリシラに任せる。後ろからの奇襲も十二分に有り得るので、気を付けるように」
「了解だよっ!」
「了解なのですっ!」
ニーナとプリシラの返事を聞き、早速ダンジョンの中へ。
ちなみに、ヴィクトリーヌはどこでも自由に……と伝えると、俺やドロシーと並んで先頭を位置取った。ダンジョンを嫌がっていたけれど、それ以上に何事も自分で決めたいタイプなのだろうか。
一先ず、エルフのダンジョンと同様に、分岐路へ差し掛かる度に具現化魔法で剣を生み出し、進んだ道が分かるように地面へ突き刺して行く。
時折現れる魔物を薙ぎ倒し、どこからともなく飛んで来た矢を防ぐ。
しかし、遭遇する魔物は弱いのだが、段々暑くなってきているのは気のせいだろうか。
ドワーフがどういう風にダンジョンを作っているのかは知らないが、空気はちゃんとある。
にも関わらず、こうも暑いのは何故だ!?
だがドロシーは平然としているし、暑いと思っているのは俺だけなのか!?
……チラッと後ろを見てみると、ニーナやプリシラがかなり汗をかいており、服が濡れて大きな胸が透けて見えている!
そして意外な事に、
「も、もう……無理ぃ」
一番最初に音を上げたのは、ヴィクトリーヌだった。
「えぇ。そのドワーフに用事があるんです。今は、このピュイード火山の地下に居るんですよね?」
「それは……確かにそうだと聞いている。まさか、会いに行くのか!?」
何故かドワーフに対して嫌悪感を示すヴィクトリーヌに、二つ返事で「もちろん」と答えると、物凄く嫌そうな顔を向けられる。
「くっ……せめて、ジャンの代わりとなる監視役が見つかるまでは待てないのか?」
「無理です。我々も国の任務として来ている以上、無駄な時間を過ごす訳にはいかないので」
「ぐぬぬ……」
「ドワーフの王国への入口は知ってます? 知らないなら、こっちで調べるけど」
「……知っている。ついて来い」
ヴィクトリーヌが、苦虫を噛みつぶしたような表情から何かを諦めたような表情に変わり、俺たちを先導する。
何があるのかは知らないが、流石に他国の正規の騎士隊に嘘を教えないだろうし、信じてついて行くと、街から大きく離れた場所に、どうにか人が通れる程のほら穴があった。
「……ここが、ドワーフの王国への入口だ」
「ふむ。いかにもって感じの洞窟だな」
「えぇ。この横幅は広いのに、高さは低い所がドワーフって感じなのです」
洞窟は、横に四人くらい並べる程の幅があるのに、この中で一番背の高い俺はもちろん、女性としては普通の身長であるニーナやプリシラにヴィクトリーヌも、少しかがむくらいに、高さが無い。
背の低いドロシーとクレア、そしてユーリヤは普通に歩けるが、これはキツいな。
一先ずドロシーを先頭に、洞窟の中へ入ると、プリシラが神聖魔法で早速明かりを灯す。
「これは腰を痛めそうだな」
「そ、それは一大事ですっ! ヘンリー様の大事な腰がっ!」
後ろを歩くクレアが、腰を優しく撫でてくれるのだが、それはもう少し後で……実際に腰を痛めてからお願いしたい。
途中で現れた魔物はドロシーやプリシラに任せて暫く歩いていると、ようやく真っ直ぐに立てる程の場所に出た。
「ふぅ。やっと普通に歩けるな。……で、ここがドワーフの国なのか?」
「何を言っているんだ? そんな訳がないだろう。ここはドワーフが作ったダンジョンだ」
「ダンジョン? どういう事だ?」
「そのままの意味だ。奴らは気に入った場所に、土や石を使ったダンジョンを作る。外部からの侵入を防ぎ、採掘や鉱物の加工に専念するためにな」
「そうなのか。ちなみに、そのダンジョンを無視して、石の壁をぶち抜いて行ってはダメなのか?」
「やめておけ。仮にも石や鉱物に掛けては、右に出る者が居ない種族だ。下手な事をしたら崩落させるくらいの罠を、仕掛けているかもしれん」
ドワーフの国へ侵攻する訳ではないので、あくまで立ち塞がる壁を壊すだけなのだが……ヴィクトリーヌの言う通り、どんな仕掛けがあるかは分からない。
ドワーフと言えば、鍛冶と細工に優れているからな。
俺とユーリヤだけならともかく、崩落なんて起こったら、他のメンバーが命の危機に陥ってしまう。
「仕方が無い。じゃあ、ここからは地道にダンジョンを突破するか」
「はいっ! 頑張るッス」
「……はぁ。やっぱりこうなるか……」
ヴィクトリーヌがドワーフと聞いて嫌そうな顔をしていたのは、このダンジョンの事を知って居たからか。
先日踏破したオークの巣は単純だったけど、ここはドワーフたちによる人工のダンジョンだ。
かつて聖銀を手に入れた、エルフの作ったダンジョンみたく、罠が沢山仕掛けられていると考えた方が良いだろう。
……って、この中にあのダンジョンへ一緒に行ったメンバーが一人も居ない!
しかも、呪いや状態異常に強いマーガレットも居ないけど、大丈夫だろうか。
はっきり言って、俺は幻覚とか催眠の類には弱いぞ?
前もルミのちっぱいに顔面ダイブしかけて……って、ダメだぞ! 可愛いユーリヤの胸にダイブなんてさせるなよ!? 絶対、絶対にさせるなよっ!?
「じゃあ、隊列を変えよう。先頭は俺とドロシーだ。次にユーリヤとクレア。最後尾はニーナとプリシラに任せる。後ろからの奇襲も十二分に有り得るので、気を付けるように」
「了解だよっ!」
「了解なのですっ!」
ニーナとプリシラの返事を聞き、早速ダンジョンの中へ。
ちなみに、ヴィクトリーヌはどこでも自由に……と伝えると、俺やドロシーと並んで先頭を位置取った。ダンジョンを嫌がっていたけれど、それ以上に何事も自分で決めたいタイプなのだろうか。
一先ず、エルフのダンジョンと同様に、分岐路へ差し掛かる度に具現化魔法で剣を生み出し、進んだ道が分かるように地面へ突き刺して行く。
時折現れる魔物を薙ぎ倒し、どこからともなく飛んで来た矢を防ぐ。
しかし、遭遇する魔物は弱いのだが、段々暑くなってきているのは気のせいだろうか。
ドワーフがどういう風にダンジョンを作っているのかは知らないが、空気はちゃんとある。
にも関わらず、こうも暑いのは何故だ!?
だがドロシーは平然としているし、暑いと思っているのは俺だけなのか!?
……チラッと後ろを見てみると、ニーナやプリシラがかなり汗をかいており、服が濡れて大きな胸が透けて見えている!
そして意外な事に、
「も、もう……無理ぃ」
一番最初に音を上げたのは、ヴィクトリーヌだった。
0
お気に入りに追加
1,337
あなたにおすすめの小説
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
修行マニアの高校生 異世界で最強になったのでスローライフを志す
佐原
ファンタジー
毎日修行を勤しむ高校生西郷努は柔道、ボクシング、レスリング、剣道、など日本の武術以外にも海外の武術を極め、世界王者を陰ながらぶっ倒した。その後、しばらくの間目標がなくなるが、努は「次は神でも倒すか」と志すが、どうやって神に会うか考えた末に死ねば良いと考え、自殺し見事転生するこができた。その世界ではステータスや魔法などが存在するゲームのような世界で、努は次に魔法を極めた末に最高神をぶっ倒し、やることがなくなったので「だらだらしながら定住先を見つけよう」ついでに伴侶も見つかるといいなとか思いながらスローライフを目指す。
誤字脱字や話のおかしな点について何か有れば教えて下さい。また感想待ってます。返信できるかわかりませんが、極力返します。
また今まで感想を却下してしまった皆さんすいません。
僕は豆腐メンタルなのでマイナスのことの感想は控えて頂きたいです。
不定期投稿になります、週に一回は投稿したいと思います。お待たせして申し訳ございません。
他作品はストックもかなり有りますので、そちらで回したいと思います
ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。
yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。
子供の頃、僕は奴隷として売られていた。
そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。
だから、僕は自分に誓ったんだ。
ギルドのメンバーのために、生きるんだって。
でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。
「クビ」
その言葉で、僕はギルドから追放された。
一人。
その日からギルドの崩壊が始まった。
僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。
だけど、もう遅いよ。
僕は僕なりの旅を始めたから。
異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件
月風レイ
ファンタジー
普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。
そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。
そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。
そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。
そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。
食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。
不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。
大修正中!今週中に修正終え更新していきます!
「お前のような役立たずは不要だ」と追放された三男の前世は世界最強の賢者でした~今世ではダラダラ生きたいのでスローライフを送ります~
平山和人
ファンタジー
主人公のアベルは転生者だ。一度目の人生は剣聖、二度目は賢者として活躍していた。
三度目の人生はのんびり過ごしたいため、アベルは今までの人生で得たスキルを封印し、貴族として生きることにした。
そして、15歳の誕生日でスキル鑑定によって何のスキルも持ってないためアベルは追放されることになった。
アベルは追放された土地でスローライフを楽しもうとするが、そこは凶悪な魔物が跋扈する魔境であった。
襲い掛かってくる魔物を討伐したことでアベルの実力が明らかになると、領民たちはアベルを救世主と崇め、貴族たちはアベルを取り戻そうと追いかけてくる。
果たしてアベルは夢であるスローライフを送ることが出来るのだろうか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる