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第7章 マックート村の新領主
第195話 男の夢を叶えるマジックアイテム
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「全員、食堂へ集まれっ!」
思っていたよりも早く行動に移った父親から女の子たちを守るべく、全員――十人の女の子を集めた。
「主様。二階を捜索いたしましたが、父上様の姿は見つかりませんでした」
「貴方。一階には居ないみたいよ」
「お兄さん。三階も居ないと思うよ」
各階の捜索にあたってくれた、ジェーン、アタランテ、マーガレットから捜索失敗の報告が入るが、これは仕方が無いだろう。
父さんは市販されていないマジックアイテムを自ら作り出す。
しかも、自分の興味がある事に対しては、寝る時間すら惜しんで力を注ぐという厄介極まりないタイプだ。
まだ何を作ったのかは分からないが、今日一日で、隠れて女の子に何かをするマジックアイテムを作り上げたのだろう。
「これから、俺とユーリヤで父さんを探してくる。他の皆は全員食堂から出ないように。あと、この食堂の警護はジェーンとアタランテ、そしてニーナに任せる。尚、ノーマとメリッサを最優先で守るように」
「ねぇ、ヘンリー。どうして、その二人が最優先で守られるのー? イロナちゃんも守ってよー」
「いや、イロナは大丈夫だ。というか、ジェーンやニーナ、マーガレットも大丈夫だと思う」
「うーん。イロナちゃんを含めた四人とー、最重要で守るっていう二人と、ヘンリーが自ら守るユーリヤちゃんの違いは……あー、そういう事ー?」
「……そういう事だ」
イロナは意外と察しが良く、俺が言いたい事に気付いたらしい。
父さんに狙われるのは……貧乳の女の子。だが本人を前にして、そんな事は絶対に言えない。
「何かあれば、マーガレットがメッセージ魔法で俺に連絡してくれ。じゃあ、行ってくる」
ユーリヤを抱っこして、食堂を出る。
正直、女の子の安全性を考えれば、ワープ・ドアでどこかの宿へ行くべきなのだが、樹の精霊であるワンダは、森に囲まれたこの屋敷から離れない方が良い気がするんだよな。
とはいえ、ワンダだけを残してワープ・ドアっていうのも、ワンダに悪いし、他の女の子たちが何か勘ぐる事になっても嫌だ。
だから、最善は父さんをしっかり教育する事なのだが、どうしたものか。
(アオイ。俺の父親がどこに潜んで居るか、分かるか?)
『いえ。おそらく何らかのマジックアイテムを用いているのでしょう。ターゲットの気配と魔力が、共に感知出来ない状態です』
(くっ……あのバカ親父め! 変な方向にだけ力を発揮しやがって)
確か、父親が昔作って有名になったマジックアイテムが、迷子探し装置だったな。
予め対象となる子供の魔力パターンを覚えさせておけば、有る程度離れても居場所が分かるという代物で、かつて無い斬新なマジックアイテムの発想だと評価されたらしい。
だが、何故か対象に設定出来るのが、十歳未満の女児だけという謎仕様だったらしいが……どうして、それをもっと一般的に出来ないんだっ!
って、待てよ。魔力パターンと言えば……
「ユーリヤ。俺の父親がどこに居るか、魔力を感知して調べられる?」
「わかるよー。あっちー」
思った通り、ドラゴン幼女のユーリヤの魔力をもってすれば、父さんがマジックアイテムで細工した魔力も感知出来るようだ。
相変わらずユーリヤは凄いのだが、俺から言わないとやってくれないんだよね。
一先ず、ユーリヤが指さす方向へ歩いて行くと、風呂場へ着いた。
風呂場はアタランテが調べてくれているはずだし、見渡した所で人が隠れているようには見えない。というか、隠れられるような場所が無い。
「……って、ちょっと待った! ユーリヤ、今は服を脱いじゃダメだ」
「どーしてー? にーに。おふろなのに、はだかにならないのー?」
「とりあえず、そのパンツに掛けた手を戻そうな。また後で、一緒に入るから」
「じゃあ、にーに。パンツはかせてー」
まぁ確かに、俺が抱っこしたままの状態で、脱ぎかけたパンツを戻すのは難しいか。
だが、どこに父親が潜んでいるか分からないので、ユーリヤを床に降ろさず、俺の腕の中でモゾモゾとパンツを履き直させる。
「ユーリヤ。父さんはどこに居る?」
「えーっとねー。そこー」
ユーリヤが広い浴室の中の、大きな浴槽の隅を指し示す。
だが、透明な湯から湯気が立ち上るだけで、そこには誰も居ない。
しかし、マジックアイテムの効果も分からないし、何よりドラゴンのユーリヤが言っているんだ。
何かあるはずだ……と思い、目を凝らして見ていると、水面に細い茶柱みたいな、竹みたいな筒だけが見える。
それが何かは分からないが、一先ず近くにあった手桶を手にすると、お湯を汲み、その筒の中へ注いでみた。
「……ぐぼべっ! こ、殺す気かっ!」
「ほほぅ。お湯の中に居ると姿が見えないのに、お湯から出ると姿が見えると。その顔に着けているマスクみたいなアイテムの効果か?」
「くっ……バレたかっ! だがしかし、ヘンリーよ。このマジックアイテムは凄いと思わんか? 装着している者の屈折率を変化させ、水中では絶対に目視出来んという優れ物だ。これを使えば、女の子たちのお風呂が覗き放題だ! 正に男の夢を叶えるアイテムだっ!」
「へぇー。で、父さん。今の話……母さんに言っても良いかな?」
「お、お、お前、何て事をっ! 私を殺す気かっ! それはダメだっ! 絶対にダメだぞっ!」
「とりあえず、父さんは三階と浴室は立ち入り禁止な。約束を破ったら、母さんに言いつけるから」
「そ、そんなぁぁぁっ!」
物凄く悲しそうな全裸の父さんを蹴り倒し、今後は具現化魔法でマジックアイテム開発小屋の中に作った簡易風呂で入浴してもらう事になった。
思っていたよりも早く行動に移った父親から女の子たちを守るべく、全員――十人の女の子を集めた。
「主様。二階を捜索いたしましたが、父上様の姿は見つかりませんでした」
「貴方。一階には居ないみたいよ」
「お兄さん。三階も居ないと思うよ」
各階の捜索にあたってくれた、ジェーン、アタランテ、マーガレットから捜索失敗の報告が入るが、これは仕方が無いだろう。
父さんは市販されていないマジックアイテムを自ら作り出す。
しかも、自分の興味がある事に対しては、寝る時間すら惜しんで力を注ぐという厄介極まりないタイプだ。
まだ何を作ったのかは分からないが、今日一日で、隠れて女の子に何かをするマジックアイテムを作り上げたのだろう。
「これから、俺とユーリヤで父さんを探してくる。他の皆は全員食堂から出ないように。あと、この食堂の警護はジェーンとアタランテ、そしてニーナに任せる。尚、ノーマとメリッサを最優先で守るように」
「ねぇ、ヘンリー。どうして、その二人が最優先で守られるのー? イロナちゃんも守ってよー」
「いや、イロナは大丈夫だ。というか、ジェーンやニーナ、マーガレットも大丈夫だと思う」
「うーん。イロナちゃんを含めた四人とー、最重要で守るっていう二人と、ヘンリーが自ら守るユーリヤちゃんの違いは……あー、そういう事ー?」
「……そういう事だ」
イロナは意外と察しが良く、俺が言いたい事に気付いたらしい。
父さんに狙われるのは……貧乳の女の子。だが本人を前にして、そんな事は絶対に言えない。
「何かあれば、マーガレットがメッセージ魔法で俺に連絡してくれ。じゃあ、行ってくる」
ユーリヤを抱っこして、食堂を出る。
正直、女の子の安全性を考えれば、ワープ・ドアでどこかの宿へ行くべきなのだが、樹の精霊であるワンダは、森に囲まれたこの屋敷から離れない方が良い気がするんだよな。
とはいえ、ワンダだけを残してワープ・ドアっていうのも、ワンダに悪いし、他の女の子たちが何か勘ぐる事になっても嫌だ。
だから、最善は父さんをしっかり教育する事なのだが、どうしたものか。
(アオイ。俺の父親がどこに潜んで居るか、分かるか?)
『いえ。おそらく何らかのマジックアイテムを用いているのでしょう。ターゲットの気配と魔力が、共に感知出来ない状態です』
(くっ……あのバカ親父め! 変な方向にだけ力を発揮しやがって)
確か、父親が昔作って有名になったマジックアイテムが、迷子探し装置だったな。
予め対象となる子供の魔力パターンを覚えさせておけば、有る程度離れても居場所が分かるという代物で、かつて無い斬新なマジックアイテムの発想だと評価されたらしい。
だが、何故か対象に設定出来るのが、十歳未満の女児だけという謎仕様だったらしいが……どうして、それをもっと一般的に出来ないんだっ!
って、待てよ。魔力パターンと言えば……
「ユーリヤ。俺の父親がどこに居るか、魔力を感知して調べられる?」
「わかるよー。あっちー」
思った通り、ドラゴン幼女のユーリヤの魔力をもってすれば、父さんがマジックアイテムで細工した魔力も感知出来るようだ。
相変わらずユーリヤは凄いのだが、俺から言わないとやってくれないんだよね。
一先ず、ユーリヤが指さす方向へ歩いて行くと、風呂場へ着いた。
風呂場はアタランテが調べてくれているはずだし、見渡した所で人が隠れているようには見えない。というか、隠れられるような場所が無い。
「……って、ちょっと待った! ユーリヤ、今は服を脱いじゃダメだ」
「どーしてー? にーに。おふろなのに、はだかにならないのー?」
「とりあえず、そのパンツに掛けた手を戻そうな。また後で、一緒に入るから」
「じゃあ、にーに。パンツはかせてー」
まぁ確かに、俺が抱っこしたままの状態で、脱ぎかけたパンツを戻すのは難しいか。
だが、どこに父親が潜んでいるか分からないので、ユーリヤを床に降ろさず、俺の腕の中でモゾモゾとパンツを履き直させる。
「ユーリヤ。父さんはどこに居る?」
「えーっとねー。そこー」
ユーリヤが広い浴室の中の、大きな浴槽の隅を指し示す。
だが、透明な湯から湯気が立ち上るだけで、そこには誰も居ない。
しかし、マジックアイテムの効果も分からないし、何よりドラゴンのユーリヤが言っているんだ。
何かあるはずだ……と思い、目を凝らして見ていると、水面に細い茶柱みたいな、竹みたいな筒だけが見える。
それが何かは分からないが、一先ず近くにあった手桶を手にすると、お湯を汲み、その筒の中へ注いでみた。
「……ぐぼべっ! こ、殺す気かっ!」
「ほほぅ。お湯の中に居ると姿が見えないのに、お湯から出ると姿が見えると。その顔に着けているマスクみたいなアイテムの効果か?」
「くっ……バレたかっ! だがしかし、ヘンリーよ。このマジックアイテムは凄いと思わんか? 装着している者の屈折率を変化させ、水中では絶対に目視出来んという優れ物だ。これを使えば、女の子たちのお風呂が覗き放題だ! 正に男の夢を叶えるアイテムだっ!」
「へぇー。で、父さん。今の話……母さんに言っても良いかな?」
「お、お、お前、何て事をっ! 私を殺す気かっ! それはダメだっ! 絶対にダメだぞっ!」
「とりあえず、父さんは三階と浴室は立ち入り禁止な。約束を破ったら、母さんに言いつけるから」
「そ、そんなぁぁぁっ!」
物凄く悲しそうな全裸の父さんを蹴り倒し、今後は具現化魔法でマジックアイテム開発小屋の中に作った簡易風呂で入浴してもらう事になった。
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