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第5章 新たな試練
第113話 情報収集
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黒猫が魚を食べ終えるのを見計らい、もう一匹魚を取り出す。
(じゃあ、君が知っているという獣人の話を教えてくれ。有益な情報だったら、もう一匹あげよう)
『おぅ。自分で直接見た訳じゃないんだが、ここ数日で沢山店が並ぶ場所の方に住む猫が、獣人を見たと言っていたぞ』
(ほう。商店街の方かな? その獣人はどんな見た目なんだ?)
『なんでも、人間の女の格好なんだが、茶色い毛から大きな猫の耳が生えていて、知りから尻尾が生えて居たって。で、傍に居た仲間らしき人間からは、アタランテって呼ばれて居たとか』
……って、アタランテの目撃情報かよっ!
いや、確かに見た目は獣人だし、嘘は言っていない。
言っていないのだが、かなり残念な結果になってしまった。
『おーい。話したんだから、その魚もくれよ』
(……あぁ、そうだな。と、その前に、商店街の方に住む猫から聞いたって言ったよな? ここから商店街って、それなりに距離があると思うんだが)
『まぁ、そうだな。だから、俺っちもその猫から直接聞いた訳じゃないんだ』
(ん? というと、何かしら猫で情報交換をしているって事か?)
『あぁ、そうさ。猫と話が出来るアンタなら、自分で行ってみたら良いんじゃないか? 猫の集会に』
(猫の集会!?)
『おぅよ。夕方の部と夜の部があるんだが、行くなら夜をオススメするぜ。夕方は皆寝てるだけだからな』
猫の集会なんてのがあるのか。
出来れば今すぐ行きたいのだが、猫は夜行性だし、夜の方が意見が活発に意見が出るのだろう。
猫から集会の場所と大よその時間を聞き、もう一匹魚をあげて、意志疎通の魔法を解除した。
しかし、夜か。ユーリヤはどうしようかな。
未だに、魚を食べている猫を見つめるユーリヤの頭を撫でていると、
「あの、すみません。野良猫に餌をやるのはやめてもらえませんか?」
突然主婦っぽい方から話しかけられ、平謝りしてその場を離れる事になってしまった。
暫くすると、「街の北東に居る」とマーガレットからの定時報告があったので、急いで移動すると、街をぐるりと囲う壁の上で、三人の少女が街の外を向いて何かを話している。
もちろん、ニーナとマーガレットとソフィアの三人なのだが、軽く俺の身長の三倍くらいありそうな壁の上に、どうやって登ったのだろうか。
(アオイ。宙に浮いて、あの壁の上に行けたりする?)
『出来ますよ。ただ、移動速度は遅いですし、長時間の移動は出来ませんが』
アオイに教えてもらった風の魔法「レビテーション」を使用して、俺とユーリヤもふわふわと壁の上を目指して登っていく。
ソフィアが居るし、おそらく同じように風の精霊魔法を使用して上がって来たのだろう。
しかし、事前にアオイから聞いていたものの、随分とゆっくり……あ、ニーナとソフィアのパンツが丸見えだ。
残念ながらマーガレットはスカートの丈が長いので見えないが、上昇を止めて暫く二人のパンツを見ていると、
「ん……って、ちょ、ちょっとアンタ! そんな所で何をしているのよっ!」
突然ソフィアが振り向き、冷たい視線を向けられてしまった。
「あ、いや。下から三人の姿が見えたからさ。何をしているのかと思って」
「それはこっちのセリフよ! アンタこそ、そんな所で止まって何をしているのよっ!」
「まぁまぁ、それは脇に置いておいて、何か見えるのか?」
再び魔法を制御して、俺も壁の上へと着地する。
街に魔物や敵国が攻めて来たら、ここから矢を放ったりするのだろう。壁の上は人が二人すれ違える程の幅が有り、落下防止のためなのか、両側に細いロープが張られていた。
「……アンタがウチに依頼した、鉱物探しの話よ。北東の方角に山があるでしょ? 一応そこに鉱物がありそうよ」
「なるほど。じゃあ、今度俺があの山まで行ってくるよ。そうすればワープ・ドアっていう魔法で、一気にあの山まで移動出来るから、ソフィアの負担にならないだろ?」
「……ウチは一緒に歩いて……こほん。分かったわ。つまり、今度はあそこでもう一度鉱物の有無を探索して、より近づけって事なのね?」
「そういう事だ。すまないが頼むよ。一先ず、今日は今から移動は無理だろうし、終了にしよう。ソフィア、さっき言った瞬間移動の魔法で送るけど、家はどの辺りなんだ? ここから見えるか?」
「え? ……あ、あの真ん中辺りにある、ちょっと大きめの青い屋根の家だけど」
一転して街の中へ視線を向けると、ソフィアの言う通り、街の中心部に青い屋根の大きな屋敷が見える。
あの辺りなら、近くまで行った事があるな。
「よし、じゃあニーナもマーガレットも今日は終了って事で、みんな入って」
ワープ・ドアの魔法を使い、先ずはソフィアの家へ。
門から屋敷までが長くて、門の中に噴水や花壇が沢山ある。というか、庭が広過ぎないか!? まぁ貴族の家だから、これが普通なのかもしれないけどさ。
「こ、ここで良いわ。ありがと」
「いや、こちらこそ無理を言って悪かったな」
「……本当にねっ! もうっ! 乗りかかった船だから手伝うけど……バカ」
ソフィアを家まで送ってお礼を言われた直後に、何故かバカと言われてしまった。
女心はよく分からんよ。感謝の直後に罵る……どういう心理状態なんだ?
それからニーナを王宮近くへ送り、ジェーンとアタランテとも合流すると、みんなで適当な食事処へ行って夕食を済ませて、俺の部屋で就寝……なのだが、スヤスヤと眠るユーリヤを起こさないように、静かにベッドを抜け出すと、
「貴方。こんな時間へどこに行くの?」
「主様。いかがされましたか?」
流石と言うべきか、アタランテとジェーンがすぐさま反応した。
(じゃあ、君が知っているという獣人の話を教えてくれ。有益な情報だったら、もう一匹あげよう)
『おぅ。自分で直接見た訳じゃないんだが、ここ数日で沢山店が並ぶ場所の方に住む猫が、獣人を見たと言っていたぞ』
(ほう。商店街の方かな? その獣人はどんな見た目なんだ?)
『なんでも、人間の女の格好なんだが、茶色い毛から大きな猫の耳が生えていて、知りから尻尾が生えて居たって。で、傍に居た仲間らしき人間からは、アタランテって呼ばれて居たとか』
……って、アタランテの目撃情報かよっ!
いや、確かに見た目は獣人だし、嘘は言っていない。
言っていないのだが、かなり残念な結果になってしまった。
『おーい。話したんだから、その魚もくれよ』
(……あぁ、そうだな。と、その前に、商店街の方に住む猫から聞いたって言ったよな? ここから商店街って、それなりに距離があると思うんだが)
『まぁ、そうだな。だから、俺っちもその猫から直接聞いた訳じゃないんだ』
(ん? というと、何かしら猫で情報交換をしているって事か?)
『あぁ、そうさ。猫と話が出来るアンタなら、自分で行ってみたら良いんじゃないか? 猫の集会に』
(猫の集会!?)
『おぅよ。夕方の部と夜の部があるんだが、行くなら夜をオススメするぜ。夕方は皆寝てるだけだからな』
猫の集会なんてのがあるのか。
出来れば今すぐ行きたいのだが、猫は夜行性だし、夜の方が意見が活発に意見が出るのだろう。
猫から集会の場所と大よその時間を聞き、もう一匹魚をあげて、意志疎通の魔法を解除した。
しかし、夜か。ユーリヤはどうしようかな。
未だに、魚を食べている猫を見つめるユーリヤの頭を撫でていると、
「あの、すみません。野良猫に餌をやるのはやめてもらえませんか?」
突然主婦っぽい方から話しかけられ、平謝りしてその場を離れる事になってしまった。
暫くすると、「街の北東に居る」とマーガレットからの定時報告があったので、急いで移動すると、街をぐるりと囲う壁の上で、三人の少女が街の外を向いて何かを話している。
もちろん、ニーナとマーガレットとソフィアの三人なのだが、軽く俺の身長の三倍くらいありそうな壁の上に、どうやって登ったのだろうか。
(アオイ。宙に浮いて、あの壁の上に行けたりする?)
『出来ますよ。ただ、移動速度は遅いですし、長時間の移動は出来ませんが』
アオイに教えてもらった風の魔法「レビテーション」を使用して、俺とユーリヤもふわふわと壁の上を目指して登っていく。
ソフィアが居るし、おそらく同じように風の精霊魔法を使用して上がって来たのだろう。
しかし、事前にアオイから聞いていたものの、随分とゆっくり……あ、ニーナとソフィアのパンツが丸見えだ。
残念ながらマーガレットはスカートの丈が長いので見えないが、上昇を止めて暫く二人のパンツを見ていると、
「ん……って、ちょ、ちょっとアンタ! そんな所で何をしているのよっ!」
突然ソフィアが振り向き、冷たい視線を向けられてしまった。
「あ、いや。下から三人の姿が見えたからさ。何をしているのかと思って」
「それはこっちのセリフよ! アンタこそ、そんな所で止まって何をしているのよっ!」
「まぁまぁ、それは脇に置いておいて、何か見えるのか?」
再び魔法を制御して、俺も壁の上へと着地する。
街に魔物や敵国が攻めて来たら、ここから矢を放ったりするのだろう。壁の上は人が二人すれ違える程の幅が有り、落下防止のためなのか、両側に細いロープが張られていた。
「……アンタがウチに依頼した、鉱物探しの話よ。北東の方角に山があるでしょ? 一応そこに鉱物がありそうよ」
「なるほど。じゃあ、今度俺があの山まで行ってくるよ。そうすればワープ・ドアっていう魔法で、一気にあの山まで移動出来るから、ソフィアの負担にならないだろ?」
「……ウチは一緒に歩いて……こほん。分かったわ。つまり、今度はあそこでもう一度鉱物の有無を探索して、より近づけって事なのね?」
「そういう事だ。すまないが頼むよ。一先ず、今日は今から移動は無理だろうし、終了にしよう。ソフィア、さっき言った瞬間移動の魔法で送るけど、家はどの辺りなんだ? ここから見えるか?」
「え? ……あ、あの真ん中辺りにある、ちょっと大きめの青い屋根の家だけど」
一転して街の中へ視線を向けると、ソフィアの言う通り、街の中心部に青い屋根の大きな屋敷が見える。
あの辺りなら、近くまで行った事があるな。
「よし、じゃあニーナもマーガレットも今日は終了って事で、みんな入って」
ワープ・ドアの魔法を使い、先ずはソフィアの家へ。
門から屋敷までが長くて、門の中に噴水や花壇が沢山ある。というか、庭が広過ぎないか!? まぁ貴族の家だから、これが普通なのかもしれないけどさ。
「こ、ここで良いわ。ありがと」
「いや、こちらこそ無理を言って悪かったな」
「……本当にねっ! もうっ! 乗りかかった船だから手伝うけど……バカ」
ソフィアを家まで送ってお礼を言われた直後に、何故かバカと言われてしまった。
女心はよく分からんよ。感謝の直後に罵る……どういう心理状態なんだ?
それからニーナを王宮近くへ送り、ジェーンとアタランテとも合流すると、みんなで適当な食事処へ行って夕食を済ませて、俺の部屋で就寝……なのだが、スヤスヤと眠るユーリヤを起こさないように、静かにベッドを抜け出すと、
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