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第3章 第三王女直属特別隊

第36話 マニアックでハードなプレイ

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 アオイの話によると、この国の北西にドルマンド村という小さな村があり、そこに行けば魔王の事が分かるかもしれないのだとか。
 どうしてアオイがそんな事を知っているのか気になる所ではあるものの、現時点では魔族の動向を知る数少ない手がかりの一つなので、素直に向かう事にした。
 ただ、そのドルマンド村を目指すに当たって、問題が二つ。
 一つめは、ドルマンド村という名前の地名を、少なくとも俺は聞いた事がない。
 なので最悪アオイの勘違いという事も有り得るが、とりあえず言う通りの方角へ、俺とアタランテの二人で進んでいる。
 そしてもう一つが、

「はわわわ……あ、あの、もう少し揺れない様に出来ないかい?」
「無理だよ! って、喋ると舌を噛むよ?」
「むぅぅぅー」

 アタランテが馬に乗れない事だ。
 知らない場所へ向かうので、乗合馬車などを使う事が出来ないし、俺が空間収納魔法を使えるため、殆ど荷物が無いのに馬車をチャーターするのは勿体無い。
 よって馬車よりも速くて安い、おまけに街道でなくても進める馬を二頭買おうとしたのだが、アタランテが馬に乗れないと言う。
 なので、一頭だけ馬を買って、俺の背中にアタランテがしがみついているのだが、

「くぅぅぅ……」
「はにゃぁぁぁっ!」
「うきゅぅ……」

 残念な事に馬の揺れがダメらしい。

「……休憩という事で、暫く馬をゆっくり歩かせるから」
「……ありがとう。私としては、足に自信があるから、正直自分で走りたいくらいだよ」
「それは道がもっと険しくなるまで温存しておいてよ。街道を進める間は、馬に頑張ってもらおう」
「うー。分かったー。とりあえず、暫くはこのままで居させてくれるかい?」

 疲れと甘えが混じった声と共に、アタランテが俺の腰に手を回し、背中に身体を密着させてきた。
 馬を走らせている時は気付かなかったけど、ゆっくり歩かせている今ならよく分かる。
 ……俺の背中に押し付けられる、アタランテのおっぱいの柔らかさが!
 一度意識してしまうと頭から離れる事はなくて、少し馬を走らせれば俺の背中で上下にフニュフニュした物が動いているのが感じられる。
 ゆっくり揺れるおっぱいと、激しく揺れるおっぱい……うむ。どちらも素晴らしい!
 そんな事を考えながら一日移動していると、ダルメニという小さな村に辿り着いた。

「つ、着いたのかい? 今日はここまでだよね? もう馬には乗らないよね? とりあえず、休ませて欲しいな」
「大丈夫か? ヒールをかけてみるけど、体力が減っている訳ではないから、治るかな?」

 一応ヒールを使ってみたものの、ぐったりしたアタランテは予想通り回復しない。
 おっぱい密着は嬉しいけれど、それよりも優先すべきはアタランテの体調だ。
 元気な女の子ならばおっぱいやパンツを楽しませてもらいたい所だが、流石に弱っている女の子は可哀そうだ。

『……以前、魔術師ギルドで気絶している女の子のパンツを凝視していませんでしたか?』
(あれは気絶している事に気付いてなかったんだってば)

「……あぁぁぁっ! 俺、ソフィアのパンツ見せて貰ってない!」
「……パンツ? 突然、どうしたんだい? ソフィアって誰なんだい?」

 しまった。魔族の登場や、勲章授与に王女様の直属隊と、いろんな事が一度に起こり過ぎて忘れていたけれど、俺は魔法大会でソフィアに勝ったんだ。
 ちゃんと約束通りパンツを見せてもらわなければ。

『あの、ヘンリーさん。突然村の中でパンツとか叫ぶから、めっちゃ見られてますよ?』
(仕方ないだろ。思わず叫んでしまうくらい重要な事なんだ。ソフィアに今度あったら、何をしてやろうか)
『決勝戦で戦った女の子ですよね? カウンター・ペインの効果が普通の魔法じゃないって違和感を持ちながらも、それを口に出来なかった事を悔やんで、修行するって言ってませんでしたっけ? 良い子なんですから、やめてあげてください』
(いやいや、約束は約束だ。パンツという報酬があったからこそ、俺は魔族にも勝つ事が出来たんだ)
『パンツ効果はそこまで凄いんですかっ!? ……ドルマンド村、大丈夫かな……』
(ん? 目的地とパンツが何か関係するのか?)
『いえ、何でも無いですよ? えぇ、何にもありませんとも』

 何故か急にアオイがよそよそしくなったのは何なのだろうか。
 まさか、目的地が男だらけの村だとか!? もしもそうなら、正直行きたくないのだが……アオイが何も言ってくれない。
 凄く気になるが、それよりもアタランテを休ませるのが先か。
 一先ず宿らしき建物まで移動し、中へ入るとカウンターに居るオジサンに話しかける。

「すまない。二人なんだが、部屋は空いているか?」
「空いているが……兄ちゃん。うちの宿は、そんなに壁が厚くないから、程々にしてくれよな」
「……何の事だ?」
「わかってるだろ? あんまり激しい事をすると、声が隣の部屋とかに漏れちまうって事だよ」
「声? いや、疲れているから寝るだけなんだが?」
「またまたー。彼女にそんなマニアックな格好をさせておいて、何にもしない訳ないだろ? ワシは別にするなとは言ってないんだ。二人とも若いんだし、マニアックでハードなプレイでも好きにすれば良い。ただ、他のお客さんも居るから、声量は抑えてくれって事さ」

 オジサンがアタランテの猫耳や尻尾に目をやりつつ、意味不明な事を言いながら鍵を一つだけ渡してきた。
 一人部屋が二つ空いていれば良かったのだが、どうやら二人部屋が一つしか空いていないらしい。
 アタランテと二人っきりで一夜を過ごす――このシチュエーションで、もしもアタランテが元気だったら、俺の部屋にジェーンが泊まっていた時の様に理性が飛んでしまう所だ。
 ふらつくアタランテに肩を貸しながら部屋へ移動したのだが、何故かベッドが一つしか無い部屋だった。

「どうして一人部屋なんだよ……ちょっと、部屋を変えてもらってくる」
「ううん。もういいよ。正直、また移動するのも辛いからここで……私はもう寝るね」
「え? アタランテ!? ちょ、無防備過ぎ! いいの!? ……いや、ダメか。けど……」

 ぐったりしたアタランテがすぐさま寝息を立ててしまい、俺はどうやって今晩を過ごすか――パンツを覗くくらいは良いのか、おっぱいを触っても良いのか、それとも添い寝して良いのか――を悩まされる、精神的な修行の時間となってしまった。
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