ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
2,466 / 2,518

第2466話 日常に戻る

しおりを挟む
 おやつの時間になると、プラムとシオンが手伝った物が運ばれてきた。俺に運ばれてきたフルーツポンチには、強力な炭酸水が使われているようで、シュワシュワしている。

 くり抜かれたスイカや他の果物と一緒に、炭酸水の入ったシロップを口に運ぶ。

 口の中が弾けるような勢いで炭酸が破裂した……ように感じる。

 ここまで炭酸を強くした理由は分からないが、これはこれで面白いな。シュワシュワとシャリッとしたシャーベットのコラボもあり、予想以上に美味しかった。

 子どもたちの方が騒がしいと思ったら、プラムとシオンが間にいるシンラに、あーんをしていた……まてまてまて、左右から迫られたら、休みなく食べるはめになるのだが大丈夫なのか?

 心配していたが、プラムとシオンの器に入っているのは、合わせてシンラの分になるので、強引に食べさせられても問題ないんだった。いつもなら、シンラの器から強引に盗む形でプラムとシオンが食べているから、状況が違い過ぎて忘れてたわ。

 おやつを食べられているから不満な様子はなく、ニッコニコな表情をして食べさせてもらっているシンラ。

 普段からこのくらい仲が良いと嬉しいのだが、プラムとシオンの愛情だかわからない執着が、シンラの負担になっているんだよな……どうにかしたいけど、どうにもならないのが現状だからな。

 怒るわけにもいかないし、かといって放置するわけにもいかないから、状況によってはシンラの事を助けているのだが、なかなか2人には分かってもらえない。俺じゃなくて、妻たちに大半はお願いしている形なんだけどな。

 俺には攻撃してくるが、妻たちには攻撃ではなく、一緒に抱っこして! とかそんな感じなんだが……俺の扱いひどくね?

 ん~もう少し成長したら、べたべたすることも無くなるあろうって妻たちは言ってるけど、本当に大丈夫か心配ではある。もし離れなかったら、なにか方法を考える必要はあるだろうな。

 この世界では姉弟結婚しても、血が濃くなるという心配はないのでその点は気にしていないけど、お前たちにはいろんな人と出会って、色々感じてほしいと思っているんだよな。

 うん、その時になったら考えるか。

 おやつを食べて子どもたちと遊ぼうと思ったのだが、どうやら起きてからおやつまでの間にあまり勉強も運動もほとんどできていないので、おやつの後に行うようだ。

 いきなり俺の予定が崩れたけど、今日はのんびりとしましょうかね。

 ネコたちはおやつをもらった後、ランとライ以外は家のどこかへ消えていってしまった。残ったライとランは、自分専用の人をダメにするクッションを咥えてウッドデッキで寝るようだ。

 あのクッションって猫もダメにするのかね? 猫部屋に沢山置いてあるけど、乗ってないこともあるから良く分からんのよな。

 ライとランは好きみたいだから、ここまで運んできてたまに寝ている姿を見るんだよな。

 そのクッションでもへそ天で寝るのか? ん~ランだと大きすぎるから、ライのお腹に顔をうずめるか。

 通称『猫吸い』と呼ばれる、猫を飼っている人の大半が行う奇行である。俺もそんな奇行をする仲間なのだがな! 犬にもやっている人はいるけど、あまり声高らかに公言する人が少ないって言うだけなんだよな。

 奇行というのも、人間にこの行動をするとなると、とてつもない場所を嗅いでることになるからな……お腹だとへそを嗅いでいるようなもんだし、肉球を嗅ぐと足を嗅いでいるようなもんだもんな。頭なら頭皮だな。

 そう考えると、猫吸いって色々ヤバいところ嗅いでるよな……ネコ様だから許されるけど、人間に当てはめると色々ヤバい……

 それでもやめられない猫吸い……別にいい匂いってわけでもないのだが、なんか落ち着くんだよな。

 頭がお腹とお腹の毛に全部埋まるから本当に凄いな。

 ん~よし、猫吸いをさせてもらったからには、猫様にお礼をしないといけませんな。

「ライ、ブラッシングするから、背中を出してくれ。お腹は最後」

 そういって、人間をダメにするクッションの上で器用に転がり背中を向けてくれる。

 ブラッシングをすると、喉を鳴らす音が聞こえてくる。気持ちいんだろうな。ブラッシングしてほしい位置を器用に向けて動かしてくるあたり、本当に賢い猫だと思う。全体的にブラッシングしていても、本人たちに言わせると甘いんだろうな。

 最後にへそ天をしている状態で、腹毛を漉いてやるとそのまま寝てしまう。

 近くにいたランも子どもたちの面倒を看てくれたから、特別にブラッシングをしてやろう。体が大きいから時間がかかるけど俺は頑張るぞ。

 色々と大変だったがブラッシングをし終えると、後ろに猫の列ができていた……お前らのブラッシングはしないぞ。するなら下の子たちにお願いするんだ。

 こういう時ばっかり可愛くおねだりしても、俺にはきかん! 驚いた表情をしているけど、いつもの自分たちの所業を考えれば、たどりつける結論だと思うけどな!

 驚いているネコたちは猫じゃらしで撃退し、俺は自由の時間を手に入れた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。  ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。  これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

転生したら倉庫キャラ♀でした。

ともQ
ファンタジー
最高に楽しいオフ会をしよう。 ゲーム内いつものギルドメンバーとの会話中、そんな僕の一言からオフ会の開催が決定された。 どうしても気になってしまうのは中の人、出会う相手は男性?女性? ドキドキしながら迎えたオフ会の当日、そのささやかな夢は未曾有の大天災、隕石の落下により地球が消滅したため無念にも中止となる。 死んで目を覚ますと、僕はMMORPG "オンリー・テイル" の世界に転生していた。   「なんでメインキャラじゃなくて倉庫キャラなの?!」 鍛え上げたキャラクターとは《性別すらも正反対》完全な初期状態からのスタート。 加えて、オンリー・テイルでは不人気と名高い《ユニーク職》、パーティーには完全不向き最凶最悪ジョブ《触術師》であった。 ギルドメンバーも転生していることを祈り、倉庫に貯めまくったレアアイテムとお金、最強ゲーム知識をフルバーストしこの世界を旅することを決意する。 道中、同じプレイヤーの猫耳魔法少女を仲間に入れて冒険ライフ、その旅路はのちに《英雄の軌跡》と称される。 今、オフ会のリベンジを果たすため "オンリー・テイル" の攻略が始まった。

処理中です...